2023年06月

2023年06月26日

トヨタと富士フィルム

 
人材不足の近年 社員引止策として 企業は内職(副業)を認め始めた。50年前の私の時代には 副業は厳禁で、夜学通学さえ許されなかった。傲慢な上司に相談せず、私は夜学(神戸大学経営学部\)に通い始めた。 夕方4時半の定刻後 更に2時間の残業を済ませた後7時半に オートバイで六甲山麓の神戸大学に走っていたが、通学を知った上司は激怒して 技術屋に経営学は無用だ! 止めなければ地方に転勤させると恐喝した。
                                                                                
取り敢えず私は休学届を提出して通学を止め、上司の転勤を待ち 2年後に再び復学して 遂に経営学士号を取った。技術系の私には経営学の講義は結構面白く、苦労して学習した証拠を残そうと機会を狙っていたが、タイミングよく 社内で懸賞論文募集があり、早速私は実証データを駆使した学術的な論文を書いて提出し、見事一等賞を獲得した。そして2年後に私は、研究開発部門から東京本社企画部に転勤することになった。                             
                                                                                                                
本社の企画課長になった私は、従来からの無駄な社内調整仕事を止めて、新事業の企画立案に方針を転換し、新事業の発掘と 社外交流で情報収集に専念した。本社企画部の同輩10余名は 本部長の顔色ばかり窺って 何の自主行動もしない茶坊主社員ばかりで、私は絶対に差をつけてやろうと決心していた。
                                                
IT革命が始まったばかりの当時、超優良会社の富士フィルムの親しい企画部長は、デジタル技術が如何に進展しても、銀塩の超微細密度には到達不可能で、富士は大量の銀在庫を持っており 事業安泰だと豪語していたが、デジタルメモリーが桁違いに発展した為、富士はIT革命から置き去りされて 遂にITから脱落てしてしまった。全く同様に世界の最優良会社Eastman-KODAK(米国)もデジタル革命の大津波に沈没したが 彼らの過信が原因だった。
                                         
年功序列の我国は、年配になると 部下ナシ専任部長とか,担当部長の名目役職が普通だったが、名目肩書だけの役職が嫌いな私は、米国DPC社と合弁会社を設立して臨床検査薬の日本社長に就任して、世界中の関係会社との技術交流、毎年夏季のSummer-Meetingで、Hawaii、Itary、Rocky山脈、Spain-Canary諸島などの家族交流を楽しんだ貴重な経験は 私の人生の宝物になった。
                                    
                                           
売上高40兆円の世界企業トヨタも Hybrid成功で 激増するEV車に出遅れ、世界の自動車業界から脱落寸前になったのは、世界の動向を軽視した結果である。副業容認はやる気社員には朗報で 社外との交流で、時代変化を見逃す危険を防ぐ効果は大きく、時代変化に乗り遅れない為の強力な対策になる。トヨタの緻密なHybridエンジンは素晴らしいが、電池とモーターだけに簡素化したEV車は更に革命的で、コスト激安、メンテナンス不要で(車検は不要?)、単なるソフト交換で 衝突防止、自動運転, ....そして最終的な完全自動運転車にも ソフト差替えで転換できる画期的な特徴があり、10年先には殆どのエンジン車はEVに置き換る見通となりそうだ。 トヨタにEV革命を乗りれるだろうか?                              

mh3944 at 11:15|PermalinkComments(0) ビジネス 

2023年06月15日

政治家2世の効用  

岸田首相が首相秘書官(自分の息子)を更迭した。首相官邸で身内知人を集めて私的な食事会を開催し、赤絨毯の西階段で 大臣就任式の如き記念写真撮影を真似し、寝転んだりしたことが露呈した為だという。私も全く軽率すぎると思う。官邸の首席秘書官とは、首相の最重要な相談役であり、単なる身内の相談役とは違うのだ。派手な安倍政治を引継いだ岸田首相は 地味に頑張っていると思っていたが 首相の卑しい身内ひいき根性を垣間見た思いがした。
                                         
先月のG7広島会議では 世界平和宣言を発表し、多数の世界脳を広島原爆記念館に呼んで 原爆の悲惨さを実感させるなど大活躍した。国民の支持率も跳ね上がり 岸田首相は更に活躍するだろうと予想した途端の愚行で 如何にも情けない。G7成功の祝杯なら、近くの高級レストランで済む筈で、わざわざ知人を集めて首相官邸で騒ぐ必要は全くない。マスコミに指摘された首相は 慌てて自分の愚行に気付き、息子を首相秘書官から解任したが 卑しい魂胆は国民に知れ渡ってしまった。
                                               
大体 日本は二世政治に甘く 地元地盤を子息に引き継ぐ事例が多いが、私は大いに疑問に持っている。命と財産を賭けて起業した親が 子供に事業を引き渡すのは私は大賛成だ。危険な創業を敢行して成功させた勇気は称賛に値する。しかし大学卒業して直ぐに 政治家社会に直行する学生を私は余り好きではない。国民に奉仕する職業だと唱えながら、内心では一生気楽な公務員として過ごしたい魂胆が丸見えだからである。
                           
超有名大学の医学部を卒業して直ぐにアフガニスタンに赴き、広大な砂漠を農耕緑地に変える大事業の途中で殺害されたドクター中村哲氏を見習えと迄は言わないが、本当に国民に奉仕する気なら、身分安定は2の次であろう、複雑な現代社会では 公務員が成果を挙げる迄 年月を要するので 政府が身分安定を保障しているだけだが、日本では身分安定だけが目標に完全に逆転してしまった。私の隣家には自称キャリアOBの母親が、2流私大卒の息子を、手練手管で地元市役所に押し込んだが、彼女は自分の経験から, 競争厳しい民間企業より 公務員が気楽で身分安定の職業であることを熟知しているからだ。
                                            
国家公務員は高邁な奉仕精神が必要な業務であり 倫理観と使命観が不可欠だが、かような雰囲気は殆ど見えない自分の息子を、首相秘書官に任命したことが そもそも間違いである。親の仕事を見ながら、政治家は結構儲かる職業だと直感して、親の後光が輝く内に 中央政界に潜り込もうとする親子の魂胆は明々白々だ。日本には2世政治家が多いが 国民から賞賛される実績を上げた人物はごく少ない。 経験は無いが 自意識だけ過剰な若者が、政治世界で楽に出世しようと、奇抜なパーフォ-マンスを繰り広げる例が多いからだ。
                                           
世界には多数の独裁国家があるが、彼らは全く狂人の感覚で、自分一族だけの生存と利益に固執する連中である。北朝鮮の金正恩はその典型で、国民を飢餓に追い込みながらも 金正恩一族の生存と永続だけを考えて 核ミサイル確保に没頭する奴らだ。ロシアのプーチンも同様で、人類滅亡もあり得る核兵器で ウクライナを脅かして国土攻略を試み、失敗すれば一族だけは 大型航空機で地球裏側の安全な国に逃げ込む算段の悪魔政治家である。
                                  





mh3944 at 12:48|PermalinkComments(0) 政治 

2023年06月01日

日本の車業界が崩壊する

世界の自動車業界はEV化の大波が押し寄せて、日本の自動車を壊滅させようとしている。近年 Hybridの成功で世界をリードしてきた日本の自動車は、EV化の激流に乗り遅れてしまった。中国では既にEV年間100万台メーカーが出現したが、トヨタ,日産など日本メーカーは精々2万台レベルでシェアも1%以下だ。トヨタの豊田社長は 全方位戦略に執着してEVへの切替が遅れ、社長の座を追われてしまった。
                                                     
今後の世界の自動車業界は GM,VW,トヨタ等の老舗メーカーから、身軽な電池メーカーBYD(中国) 90万台と 米国テスラー100万台に交代しつつある。慌てたGMはEVを70万台生産し, VWは55万台, 中国浙江由利 35万台, 現代自動車 34万台、日産ルノー28万台, 上海汽車23万台と後追いしているが、量産でコストが激減する自動車は 先行メーカが圧倒的に有利で、多数の従業員を抱える旧来メーカーはEV展開に苦しみ ホンダ 3万台 トヨタ 2万台で 零細企業レベルだ。EV車はエンジンとTransmissionの心臓部分が全く不要で、原価の半分を占めるリチューム電池のメーカーがTOPを疾走している。
                                                         
確かにリチューム電池にはまだ未完成で、日本メーカーは開発中の全固体電池で追撃して 世界シェアを奪還できると主張するが、中国メーカーは電池を自由交換方式として、改良型新電池に簡単に差し換え得るタイプとした。更に従来の自動車業界は 新年度毎に デザインを一新して需要喚起を図ってきたが、EV車はハード(車体)をそのままで、ソフト更新だけで 次々と新タイプに置き換える戦略に変えてしまった。トヨト,ホンダ,VWなど旧来メーカーは、全国に営業店拠点を確立して、お客様サービスを展開してきたが、機械が皆無のEV車をメンテナン不要として、営業マンがユーザー自宅に訪問して、新ソフトに交換する営業方式にした。                             

既に年産300万台規模に到達した中国EV業界は 今年度よりEV助成金を廃止したのを契機に、欧米日本向けに安価なEV車を洪水輸出する作戦を開始した。米国政府は直ちに反応して、米国内で国産したEV車のみに 助成金100万円を供与して米国メーカーを育成する制度を設け 輸入EV車を排除する政策をとった。欧州は合成ガソリン使用を条件に 従来のエンジン車存続を認めて 欧州自動車業界を中国EV車から守る制度を設けた。しかし海外輸出に大きく依存してきた日本メーカーは有効なEV対抗策が無く、業界関係者500万人の大半は仕事が消滅して 近い将来 大量の失業者を産む見通しになった。
                                                                      
歴史的に日本は、半導体やテレビなど弱電製品で世界を制覇したが、次々と中国,韓国メーカーに市場を奪れた経緯があり、自動車も中国EV車に圧倒される可能性が濃厚となった。日本メーカーがHybrid成功に酔っていたことが最大の理由だが 同じ過ちを繰り返す日本企業には 基本的な欠陥があると私は思う。
                                                            
昔は田舎会社だったトヨタ自動車を世界のトヨタに成長させたのは、名古屋大学 工学部機械科技術陣である。彼らは 東大機械科人材が結集する日産が、技術のニッサン と派手に騒ぐ姿を横目に見ながら 地道にエンジン改良を続けて 遂に最高のハイブリッド車を仕上げた。彼ら名大機械技術者は社内で圧倒的な発言力をもつようになったが そこに脱CO2の環境嵐が吹いてきた。EVは本来、石炭火力発電から発生する大量のCO2を排除することが目的で 石炭火力で動くEVとは直結しない。しかし中国は 独走するハイブリッドを打倒するチャンスと捉え、脱CO2とは無関係に 脱エンジンにテーマをすり替えて、ハイブリッド打倒を狙ったのだ。
                                             
トヨタの電気技術者はこの危険性に気付いていたが、老骨な豊田社長と ハイブリッド技術陣は 中国の魂胆を理解できなかった。どこの会社にもいる自信過剰なリーダーは 寛容さを失って状況判断を欠き、自社を苦境に追い込むことが多い。例えば小売業界の王様 デパート群を失墜させたのは 慶応閥で固めたデパート経営陣の驕りと油断である。彼らは小売業の主流が デパートから安価量販のスーパーに移り、更に終日営業の分散小型コンビニに移るのを軽視して 小売業界の主流から振り落とされ、少数裕福客だけが相手の特殊な販売店に転落させてしまったのだ。           




mh3944 at 09:27|PermalinkComments(1) 政治