2008年08月11日

080811, 野口みずきが可哀想

オリンピックマラソンの我ら希望の星、野口みずきが北京マラソンへの出場を断念したいう。原因は大腿部の筋肉の肉離れだそうだ。誠に残念至極。彼女は今週末のマラソンに備えて、悪路で高低の富んだスイスサンモリッツで約1ケ月間、猛練習していたというが、結局、筋肉を痛めたらしい。帯同していたコーチは一体何をしていたのだ! 猛練習に傾き易い選手を抑えるのがコーチの役目だろう。われらの夢を潰してしまったコーチ連中は全く無責任の限りだと思う。

私は、毎朝早く出社するが、途中で多数のシルバーさんたちと出会う。彼らは、仕事が無いため、朝早くから長歩きして毎日健康維持に努めている。テレビでも新聞でも、最低1日一万は歩くべきだといわれている。1万歩は結構な歩数であり、長い距離を歩き続けることによって、実際には腰やヒザ、肩やクビを痛めている人が大勢いるらしい。ところが、世間の99%はこの通説を信奉している。

早大大学院博士課程の小山祐史(こやまやすし)先生が長年主張していた初動負荷理論という考えかたは、この通説を真っ向から否定したものらしい。従来の運動すればするほどその効果が増すという通説は間違いだと彼は主張し続けていた。すなわち最初から最後まで負荷をかけ続ける従来の終動負荷理論は、体を痛めるだけで期待した効果は得られず、返って体を痛めるというのだ。反対に、動作の最初だけに適切な負荷をかけることで、神経と筋肉の機能が改善され、関節の可動域が広まるという、新しい考え方だ。

小山先生は10年前に、運動量に比例して効果は増すという従来からの通説(終動負荷理論)は、結局肉体を痛めているだけではないかと疑問をもち、研究を重ねて1994年に 初動負荷理論を発表したという。ところがこの説は世界中の運動理論家から猛烈な反発を食らってしまった。

しかし小山先生は怯まずに、学校のクラブ活動のウサギ跳び、高校生が炎天下で陸上や野球を猛練習、タイヤ引きやチューブ伸ばしの練習は、関節や腰を痛めて、結局生徒達を運動嫌いにしているだけだとの確信は変らず、独学で科学的なトレーニング法を研究し続け、筋肉や技術に関してひとつづつ解明していったという。彼は苦痛なしには健康になれないという通説を何としても打破したかったのだそうだ。

今に世間のトレーニングや商業施設の殆んどは、練習を積めば積むほど効果が出るという終動負荷理論に基づいて設計され料金が増える方式になっているなかで、小山先生のこの革命的な理論は徐々に注目を浴び始め、終に今年6月にカナダで開かれた国際電気生理運動学会で、世界中の運動理論家たちから、満場の拍手を受け、ご本人は万感胸に迫って涙を流したという。

イチロー選手も、自分の経験からこの初動負荷理論に賛意を表しているらしい。文部科学省も、この研究を学術フロンティア研究プロジェクトに認定し、厚生労働省も介護予防市町村モデル事業に採用したという。

そう言えば、我々に社会生活でも、何となくこの説に共感することがある。例えば、あれほど運動を積み重ねた筈の運動選手たちも一般的にはかなり短命だ。また男性に比べて、運動量が少ない筈の女性のほうが、圧倒的に長生きの人が多いとか、数えればいくらでも例がありそうだ。

1週間後に迫った北京オリンピック女子マラソンを迎えて、苦しみに耐えながら猛練習に励んできた野口みずき選手には、泣くに泣けない事態だろう。コーチという立場の方は、ただ選手に帯同して走るだけではなく、常に科学の進歩にも目を見張っていて欲しいものだ。



mh3944 at 15:42│Comments(0)TrackBack(0)

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