2017年11月06日

171106 無策の郊外都市 

私は都心から40分ほど離れた人口13万人の郊外に住んでいる。都心から適当に離れて何ら問題はないが最近人口が減少し始めて市は慌てている。この住みやすい街で何故人口が減るのだろうと不思議に思っていたが最近その理由がわかり始めた。                
                                
400億円近い一般予算の中心政策は高齢者向けの医療介護や、福祉健康、市民交流センターなど福利厚生一辺倒、殆どの市民は通勤都民となり、市内に住む中堅住民や若者への配慮が全く欠けているのだ。地元に留まり何か夢を実現しようとする元気な若者達には居場所が無い。居場所が無いばかりでなく、市民交流センターでは仕事の話は禁止で、囲碁、将棋、マージャン、読書会、社交ダンス、などなど閑を持て余す爺さん婆さん達の遊びの仕掛けばかりで、若者達には近寄ることも出来ない。                                                       
                                            
駅前には市と県共有の11階建のモダンなビルがあり、結構な人数の勤務者が何だか訳の分からない仕事をしている。5年前にこのビルの最上階で営業していたレストランが不採算で撤退した。景観は最高だが50崢度の狭い客室では採算が合わなかったという。市は新しい用途を探し求めて公募したが市民からの反応は皆無で、唯一私だけが若者や有志達のITビジネスセンター案を提出したが、最低と評価されて却下されてしまった。そして色々なアイデアが試行され始めたが、効果的な案は無く、家賃300万円を市が負担し続けて4年間放置されてきた。         
                                                    
景観最高、交通至便、冷房暖房完備に目をつけたのは 中高受験生の親達で、早速受験生達が押しかけ始めた。特に夏休み、冬休みは家庭を追い出された学生達で狭い室内は満室になるが、学校は始まると同時に学生の姿は消えてガラガラになり、代わって閑な高齢者達の団欒サロンに代わる。         
                                    
市内唯一の駅前高層ビルがこの様では格好がつかないと、市役所は毎週2回(月8回)の結婚相談所を開設したが、典型的な武士の商法で来訪者は殆ど無く、係員2名が終日手持無沙汰で待機し、清掃員まで陰で笑っている始末だ。真偽は不明だが結婚成立件数は月1件にも満たず、民間企業なら確実に倒産閉鎖だが、公的資金だから赤字無視で営業し続けている。                             
                                
そして4年が経過し、市議会でも疑問視する声が上がり、市も重い腰を上げて、再び効果的な活用法を探り始めた。近隣の市町村は市民の活性化に力を入れて、起業促進室とか、コンテンツ産業推進策などを市役所が仕掛けを提供して市内有志の起業創業推進に努めているが、我が市のお役人達は何の関心を示さない。

これでは我が愛する街は本当に衰弱死すると不安になった私は再び市長にShare-Office案を提出した。人口が減少するのは結婚相手が居ないからではなく、仕事が無いからであり、有志若者や経験豊富な退職者達が集まって協議し起業を考える格安料金の半個室を設けて、自由に使わせたいと提案した。3年前に私が提案したITビジネスセンター案とも似たようなものだ。                    
                                             
そして識者と呼ばれる先生方が参画した検討会議で私は説明したが、再び却下されてしまった。理由は家賃300万円の市負担が続くのは市の財政改善に役立たないという。金欠の若者達が自由に集まって協議し起業する場に高い料金で請求できる訳がなく、市の空室を利用して起業の場を若者達に格安の月2~3万円で貸し出し有志の夢をトライさせる市活性化計画で、本来は市主導で行うべきサービスだと説明したが、 若者達の活性化よりも家賃回収がより重要だと市は判断したらしい。更にこの貴重な場所を10余名の起業家に利用させるのは公平性の点から問題があるとか、それよりも市民が誰でも自由に無目的に使える空室として残すべきだとの理屈で、Free-Spaceとか意味ありげな看板を下げて再び目的の無い空き室となるらしい。                    
                               
これが郊外都市の市長や役人達の思考レベルなのだ。確かにベンチャー基地を設けても何か新事業が生まれるとは保証できない。それより誰もが自由に出入りできる自由サロンとする方が非難されないかも知れない。具体的に何かやるよりも、何もやらない方が危険が少ないのは確かだろう。こうして市内唯一の貴重な場所は再び無目的な空き室として、子供の受験勉強や、高齢者の閑潰しサロンとして放置される見通しになった。そして市の人口は流失を続けるのだ。何年か経過して再びその無駄さ加減が糾弾される日まで貴重な部屋は眠ってしまうだろう。 




mh3944 at 15:18│Comments(0) 政治 

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔