2017年12月20日

171220 技術革新と裁判官

                  
広島高裁で奇妙な判決があった。世界一厳しい安全基準に合格した愛媛県の伊方原発第3号機の運転停止を命じたが、その理由が壮大過ぎるのだ。 9万年前に起きた阿蘇山の大爆発が再び発生して、火砕流が豊後水道を飛び越えて130キロ離れた愛媛県を襲い、伊方原発に破局的な大災害を与えるかも知れないので、同原発の再稼働は危険だと判決した。                              
                                          
運転寿命40年の原発の安全性を2,000倍長期の空前の巨大な物指しで判断したのだ。仮に阿蘇山大爆発が再来すれば、伊方原発だけでなく全九州や中国四国を含む西日本に住む3,000万人の国民も大被害を蒙り、日本は存亡の危機に直面する超大災害となるが、野々山裁判長は、その”危険の急迫性”の証明もないまま、運転中止の判決を下した。何ともお伽話的な判決であり呆れてしまう。                                                                               

この判決を言い渡した野々上裁判長は半月後の12/20に定年退職した。超難関の司法試験に合格して名誉ある高裁裁判長にまで出世したのだから、退職間際に世紀の迷判決を残そうと思ったのだろうか。 確かに有害な放射能を出す原発は,無いほうがベターなのは誰でも理解できる。しかし現代生活に不可欠な電力を有害なCO2を吐き続ける火力発電所に頼るよりは、安全性を極めた原発を使う方がベターであることも分かる筈であろう。このままでは9万年先よりも、目前80年先の今世紀末には温暖化で地球が破滅すると言われていることを裁判長もご存じない筈はないだろう。                                                                                  
同じような例に、昨年3/17に大津地裁の判事が下した運転中止の仮処分がある。超厳しい安全基準に合格して運転していた関電の高浜原発3号機を 大地震の切迫性もないまま運転停止を命じたのだ。これは1年後に大阪高裁で仮処分停止の逆転判決があり決着したが 今度は高裁判決である。しかも裁判長は直ぐに退職した。司法とは誠に恐ろしい。文系の最難関の司法試験に合格した超エリート裁判官の常識外れの判決だ。司法試験に合格擦する為、青春を投げうって猛勉強した為、正常感覚を失ったのだろうか。                               
                                               
私の実体験でも似たような例がある。25年前の臨床診断薬開発での事件だった。当時の臨床診断薬は、旧来のケミカル系と、新らしい免疫系の2種類あったが、我々はこの限界をブレークスルーして第3のDNA系診断薬を世界で初めて開発し世界特許を申請した。そして世界市場を握っていたEastman-KODAKの商品を駆逐し始めた。 日本の中小企業から直撃弾でショックを受けたKODAKは、偉そうなカイザー髭を生やした特許部長が千葉幕張の当社に来訪した。その大男は我々を見下しながら古い文献を持ち出して、我々の特許は無効だと主張した。それは違うと我々が反駁してKODAKとの訴訟に発展した。KODAKの文献は、何ら有効な証拠ではなく類似のワードを使っているだけだと反論した。                                                             
何も理解出来ない東京地裁は、KODAKが添付した米国バイオ学者の意見書に傾き始めた。これは大変だと我々は国内の有名なI先生に相談して反駁書を東京地裁に提出した。すると今度は東京地裁が当方に傾き始めた。それから果てしない議論の応酬となり、チンプンカンプンの東京地裁で、実りの無い技術論の応酬が続き、遂に双方は疲れて和解することになり、KODAKは製造販売を取りやめることに決着した。                                        
                                            
今日の技術革新時代に、裁判官は議論を理解できなくても白黒の決着を迫られる。特に原発の如き高度に複雑な巨大装置の安全論争は担当の技術者にも難物である。増して文系裁判官には歯が立たたず大変 辛苦するだろうと思う。9万年昔の阿蘇山の大爆発の再発を誰も否定はできないが、その火砕流が広大な豊後水道を飛び越して、130Km離れた伊方原発に襲い掛かかるかも知れないので原発は緊急停止すべきだとの結論は言い過ぎであろう。本件訴訟の原告側の弁護士は、立憲民主党の有力な候補だともいわれている。政治家に転身するには格好の手土産になったことだけは確かである。



mh3944 at 10:31│Comments(0) 政治 

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