2018年02月02日

180202 ルノアール営業

先日、病院で診察を受ける為、正午過ぎに近くの中堅の病院に行った。老人専門の病院でお客の殆ど高齢者ばかり、午後の診察室は2時から始まるので、昼休みは誰も居ない筈だが、当日は若いお客ばかり7〜8人が座っており、少々雰囲気が違っていた。                   
                                             
暫くすると女性の受付が、XXさんお入り下さい!と呼ぶ。するとアッタシュケースを持った若者が診察室に入っていった。明らかに医薬品セールスの営業マン(Medical-Representative)だった。そのMRは丁寧に挨拶しながら直ぐに退出し、次のセールスMRが呼び込まれたが、やはり2〜3分の短時間で出てきた。続いて小柄な若い女性MRが入り、10分以上の長い時間が経過してやっとその女性MRは満足顔で退出してきた。同様に次々とMRが呼びこまれて全員が終わるまで1時間近くが経過して、最後に年配の医師が退出した。多分、この医師は同病院のボス的存在らしく、各社のセールスMRは、このボス医師に面談して営業しているのだと分かった。  
                         
彼らMR達は午前中待機していたのであろう。若い女性MRのように10分以上も説明できれば大満足だろうが、他の男性MRは2〜3分のごく短時間で、詳しい説明は殆ど出来ず、挨拶してカタログを差し出すと、ハイ読んで置きます!と言われて追い出されたのだろうと思う。       
                                                                                         
しかし医師の立場から考えると、多数の外来患者の診察を終えて疲れている処に、新製品の売り込み説明を聞くのはかなりの苦痛であり、読んでおきましょう!と返事せざるを得ないのも分かる。しかし若い女性MRなら気分も変わり、突っ込んだ会話もあって、伝えたいことは殆ど全て情報交換できるだろう。 医薬品メーカーも女性MRを積極的に使っている筈だが、近年は人手不足で、若い女性は厳しい医薬品セールス業を好まず、空調の効いた事務室でPC相手の仕事を好むから、よほど営業適性がないと、MRはなかなか勤まらない。              
                          
クルマの営業も同様で、昔はご主人が帰宅した夜間に自宅を訪問して売り込みしていたが、営業マンも苦痛でご主人も嫌がって殆ど不可能になり、近年は訪問営業は激減して、販売店に来訪するお客に説明する方式に変わった。                               
                                             
30年前に私が現役で、米国診断薬会社の日本社長を10年以上務めた時も、多忙な医師に説明することはなかなか困難で, 朝夕に診察を終えて退出する僅かな時間を狙ってカタログや資料を手渡す程度であり、その間の待ち時間はセールスマンは近くの喫茶店で待機し、時間を見計らって診察室前で待機することが多かった。その間の長い待ち時間は、近くの喫茶店ルノアールで待つので、巷ではルノアール営業と揶揄されていた。                                 
                         
米国親会社からは、バカげたルノアール営業は中止してカタログ郵送とメール説明で、医師から呼ばれたら出張して説明する方式に改善するよう度々要求され続けたが、このようなビジネスライク営業は我が国では殆ど受け入れられなかった。この非効率な営業習慣を悪用して、温泉地での医学会に営業マンが出張して勝手に遊興する不埒なセールス部員も多く、医薬品業界の営業は異様な状況だった。                                  
                            
しかし時代は変わって人手不足になり、人件費は高騰して、米国式のビジネスライク営業をならざるを得なくなったが、セールスマンが、直立不動の姿勢で医師に説明する習慣は中小病院では根強く残っており、その懐かしい現場を思い出しながら、感慨深く眺めながら過ごした昼休みであった。   



mh3944 at 10:55│Comments(0) ビジネス 

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