2018年02月26日

180226 激変する社会

ひと昔前 銀行マンは就職希望先No.1の憧れの職業であり、若い女性は銀行員と結婚することが理想だった。しかし今、その銀行にはリストラの大波が打ち寄せている。三菱UFJは9,500人のリストラ計画を発表、三井住友は4,000人リストラ、みずほは19,000人の削減計画と驚愕の記事が紙上に踊っている。                                                                                        
私の住む住宅街にも銀行退職者が多く住んでいる。彼らは高額の退職金を貰って引退したが、プライドが邪魔して地元社会になかなか溶け込めず、長い余生を如何に過ごすかに苦労している。しかし今回の銀行リストラ旋風は、彼等のプライドをも完全に吹き飛ばした。                      
                                            
技術屋の私から見れば 銀行OBほど使い物のならない人種はいないと思う。何の技術もないが高給取り気分から抜け切れず、無様な姿を人前に晒すことを極度に恐れて家庭に引き籠っている。しかしゼロ金利時代になって環境が激変し、近年の銀行員は非常に厳しい状況になっているらしい。地元C銀行に定期貯金をもっている家内には、女性行員からお会いたいと勧誘電話が頻繁にかかってくる。満期の定期預金を投資信託に転用する勧誘で、上司から厳しく催促されているのだ。                                                           
50年前、某国立大学の理学部を卒業した私の友人にM君がいた。これからの銀行は理系の時代だと公言するМ君は太陽銀行に入社した。しかしその太陽銀行は神戸銀行と合併して太陽神戸銀行となり、更に三井銀行に吸収されて太陽神戸三井銀行になり、遂には住友銀行と大合併して太陽神戸三井住友銀行に変身 、彼との音信は完全に途絶えて消息不明になってしまった。求められた理系とは多分 暗黒のプログラマー業務だっただろうと思う。しかし更に銀行業界には環境激変が止まらず、無利子時代に突入してAI時代に入り、豊富な融資経験をもつ熟練銀行マンさえ無用にする人工頭脳の時代に変わりつつある。                                        
                                           
しかしこれは銀行界の話だけでなく、あらゆる企業に起こっている時代の大転換であり、私が関係する化学工業界も同様だった。例えばあの名門の三井石油化学工業はプラスティックをトン単位で安値で大量販売する業態から脱皮して、コンパクトディスクとして数百倍の付加価値で販売しようと計画し、千葉県市原市に巨大な研究所と工場を建設したが、そのCD自体が激烈な価格暴落に襲われて1/100以下のコモディティー商品に下落した。その結果、CDプロジェクトは主導した関係者と共に完全に消え去ってしまった。                              
                                            
他人ごとではなく、私自身にも同様な手痛い経験がある。化学会社には超高付加価値の医薬品が羨望の事業であるが、一般化学企業には臨床技術が無く、商品もなく販売網もなく人材も不在で、医薬品業界には近寄れなかった。 私はこの夢の医薬品業界への参入を狙って、40才の時に苦闘を重ね四苦八苦して、米国ロサンジェルスの臨床診断薬D社と合弁会社を具体化した。100種余りの商品群の販売権と製造技術も入手し、10年かけて全国主要都市に営業網を構築し、売上高も20憶円を狙える位置にまで仕上げた。しかしその診断薬業界にも時代の大波に洗われ始め、巨額投資を要する臨床検査機械が自動化時代に突入し、診断薬メーカーは機器メーカーに吸収され始めた。そして今日では世界でも少数の大型自動検査機器メーカーが支配する寡占業界になり、機器がない検査薬メーカーは太刀打ちできず、私の合弁会社も財閥系大手М社に吸収されてしまった。                                                                                                                              
もし私が大企業の社長CEOであったら、私は、現業の主力製品が消滅した時の具対策も考えるだろう。その時に備えて何を次の経営軸にするかを企画する部門を新設する。その担当者に指名された者は、現業部門から冷たい視線を浴びながらも、雲を掴むような将来事業の創造に耐える先見性と忍耐力が必要である。問題はそのような現実離れの将来事業の起業化を引き受けてくれる若手人材を見つけ出すことが 最大の課題であるが。 



mh3944 at 09:02│Comments(0) ビジネス 

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