2019年07月11日

190712 吃音の苦しみ 

  
先週7/6のラジオ深夜便でルポルタージュ作家の近藤雄生氏が吃音の苦しみを話していた。大阪生れの近藤氏は子供時代に吃音を発症して、東大工学部を卒業したが電話一本も掛けられず、就職を諦めてオーストラリア旅行で出かけ、東南アジア、中国などを旅行しながら、理系ドキュメンターリー作家として活動している由 大変興味深く聞いた。                                                              
                                       
吃音は精神的原因か肉体的理由で発症するかは不明で、治療法もなく、国内には約100万人が一生を苦しみ続けているという。しかし近藤さんは30才頃に突然吃音が治り、自分が苦しみ抜いた経験を深夜便でごく淡々と話されていた。実は私も吃音に悩みながら 傘寿を越えて人生終盤を迎えている者だが、私は独特な方法で吃音をコントロールしていることをここに披露したい。吃音で苦しんでおられる方には 多分Big-Presentになるだろうと思っている。                               
                                          
多くの吃音者は、カ行、タ行、パ行などの破裂音を正常に発声できず、切符、天気、パーティーなど誰でも普通に言える言葉が 簡単には発声できずに苦しむ。小中高校の国語は本当に苦悩の時間で、指名されないように願っているが 無事に終わることはあり得ず、いつも友人達の前で大恥をかく残酷な時間だった。小学6年時の運動会で私は、赤組白組の得点係りを指名され、台上に上がって結果を発表したが、緊張して赤組白組の得点を明瞭に宣言できす、生徒や父兄達から爆笑された恥ずかしい思い出は 70年経った今でも忘れられない屈辱の記憶だ。                             
                                     
中学に入ると、Jack & Bettyの英語が始まった。英語は誰も しどろもどろだが、私だけは平気ですらすら発音できた。英語は誰も詰まって当然だと思うと、緊張から解放された私は テキストを流暢に読んで 先生や友人達を驚かせた。しかし他の殆どの時間は私には煉獄の青春だった。近藤氏と同様に工学部を卒業した私も 大学卒業までは電話一本も掛けられなかったが、誰にも言えなかった。                                                                                       
                                      
吃音の近藤氏は就職せず 海外で周遊生活を始めたそうだが、お金のない私は研究所に入り、吃音と共生せざるを得なかった。何とか発声を和らげようと、私は日本文や英語を音読して 少しでも吃音を和らげようと試みた。毎朝私は会社に早出して 誰も居ない部屋で大声で発声練習したが、英論文が最も効果があるように思った。更に英論文から英会話に移行して、何年か後には研究社の英会話読本Spoken-American-English を音読し始めた。そして遂に最上級の Advanced-Courseにまで進んだ。

私はテキストの録音テープを聞きながら 大声で真似る発声練習を繰り替えした。この研究社テキストは Lesson-1から Lesson-24まで各5分、合計120分の2時間版で 毎日2 Lesson 約10分間ほど音読し, テキストは月2周するので、年間25回も音読を繰り返す練習が レベル的に最適と感じて、10年も20年も繰り返した。                                                                                      
                                       
長年使うとテキストの背中が破れたので、何回か買い替えたが、改定本は少しづつ内容が変更され、Lesson-1 The BigTopのサーカスの話題は 文章が大幅に変更されたが、私は古い文章を繰り返した。またSection-3 Pattern-Usage-Drill は例文の順序入換えが頻繁に行われて少々困惑したが、私は初版の文章で練習を続けた。出張や親睦会などで旅に出掛けた時も 練習を欠かさずコピーを持参して、早朝起き出して屋上等で発声練習をした。                                                                             
                                       
休日は自宅練習なので 家族に嫌われたが構わず続行し、テープから大声で聞こえる Ouch(痛い!)は 10年前に亡くなった義母さえ熟知していた。10年も続けると文章は自然に暗記して、30〜40年後には分厚いテキストの隅から隅まで完全に丸暗記して テキスト無しでテープを聞きながら発声練習し始めた。この勉強法は傘寿を過ぎた今でも 毎朝続けており 家内も完全に諦めて、時折休むと逆に どうしたの?と訝るほどだが、確実にCost-freeで外国語を習得できる方法であり、関係するエピソードは山ほどあるがそれは別の機会に譲る。                                                                              
                                     
更に後日談がある。45才でDIC企画部長になった私は、米国のDiagnostics社に単独出張して 先方会長と臨床検査薬の合弁会社設立を交渉した。アメリカン英語に慣れた私に先方会長は驚いたが 殆ど苦労もなく自然に話して 先方経営陣を口説いた。高付加価値の医薬品は世界中の化学メーカーが狙う羨望の事業だが、私が単独に出張して纏め上げた合弁会社設立の合意書を 帰国して報告すると 英語が堪能なDIC社長も仰天してしまった。                             
                                             
そして私はこの合弁会社のTOPに任命されて12年間社長を務めたが、その間アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、スペイン、アイルランド、ポルトガルなどの関係会社との往来や、毎年夏にハワイやカナリア諸島で10日間も開催するSummer-Vacationは必ず参加して 波乱万丈のサラリーマン生活になった。これも痛快なエピソードも沢山あるが省略。                                                                                                            

私がここで言いたいことは、確かに吃音の完治は難かしいがコントロ−ルは可能であり、それはその外国語読本を毎日10分ほど発声練習することで 吃音を和らげることができるという、私が生涯を賭けて到達した結論であり、外国語をマスターする確実な方法でもある。今日の国際化時代は、英語、中国語、スペイ語などの外国語は必須であり、語学習得も兼ねて発声練習を続けば 吃音と共生できるという体験談をここに披露する次第である。                                                           





mh3944 at 08:54│Comments(0) 雑感 

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