2024年09月01日

夢を実現できる時代

多忙な自営会社を経営してきた私も、傘寿半ばを超える高齢となり、遂に隠居生活になった。孫の結婚式も無事に済ませて、今は現役サラリーマンの出勤を眺めながら柴犬と散歩する日々だ。
                                      
私は地方の田舎育ちで、大学受験は殆ど考えたことがなかった。ただ高校時代には 夜中に目を覚まして枕元のトランジスターで、文化放送の英語講座や、塩田良平先生の古文講座を聞く程度だった。女生徒が多数の高校で、農繁期には学校を休んで農業を手伝った。三年になり先生から、希望する大学を聞かれて、旧帝大の工学部と答えると, バカヤロウ! 何を考えてるんだ。あそこは東大と同レベルの超難関だぞ!と周囲が振り向く大声で怒鳴られたことは, 70年経った今でも忘れない。不合格だったら近くの塩田会社に就職しようと思っていたが、希望大学に一発で合格した。高校先生の反応を聞きたかったが、顔を会わすのも嫌だった。難関大学に合格できた理由を私は知っている。農業を手伝いながらも 私はいつも豆単を持ち歩き 2,800の英単語を殆ど丸暗記していた。単語が分かるので 英語で入試点数を大きく稼いだのた。
                                           
しかし大学生活はゲルヒンだった。 友人と共同で6畳間を借りた。文系の彼はアルバイトをしていたが、理系の私は超多忙で時間が無く 貧乏な4年間だった。理系の就職活動は文系とは様相が全く違う。理系学生を獲得する為、大企業の担当者が大学に訪問して学生の紹介を要請する。就職担当教授は 学生を成績順に次々と自室に呼び込み、君はA社かB社のどちらかを選べ,と提示する。そして、東レ、帝人、三菱化成,三井化学、住友化学、旭化成、三井石化、ブジリストン、三菱重工、日立、カネカ........など超一流企業に一人ずつ学生を送り込む。 大会社に内定した友人達は大喜びしたが、私は巨大企業の歯車になるのは嫌いで 自由に働ける中小会社が好きだった。
                                         
殆どの友人は就職先を決めたが、優等生でなかった私にはなかなか話が来なかった。 このままでは夏休みに帰郷できないかと不安になったが、助教授からJRCという初耳の日米合弁会社があることを聞いた。念願の新鋭小会社だったので、私は入社したいと申し出た。初耳の会社名に友人達は怪訝な顔をしていた。田舎で朗報を待つ親兄弟も多分落胆するだろうと思った。大会社より中小企業の方が絶対に面白いことを 世間は誰も理解しないのだ。 IT時代の今日、人材豊富な巨大企業より、新鋭中小会社の方が存分に仕事ができることを私は学生達に明言する。 
                                         
かくして私の波乱の会社人生がスタートしたが スペースがないので詳細は略す。ただ想定外の事件は40代前半の時、私は脳腫瘍を患ったが、有名K大学病院の脳外科で摘出手術を受け,幸運にも切り抜けた。入院中に病院の実態を知った私は、退院後 臨床検査薬の日米合弁会社を設立して社長に就任し、世界を駆け回る痛快な会社生活となった。合弁会社社長を12年で終えて退職した私は、今度は自営会社を設立して、臨床検査機械の保守管理業を更に20年間自営して85才で引退した。これから就職する学生諸君にアドバイスしたいことがある。今日は大企業でも決して安定ではない。IT時代の現代、やる気があれば、自営会社で、夢を実現できる激変社会になっていることを 是非知って欲しい。

mh3944 at 10:51│Comments(0) ビジネス 

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