2009年05月07日
QI=Quality Indicator、Quality Improvement
今年の私のテーマの1つが「QI」です。QIとは、タイトルにも書きましたが、Quality IndicatorとQuality Improvementの略で、「医療の質の指標・質改善への取り組み」を意味します。
私の勤める聖路加国際病院は、数年前からこの医療の質改善に積極的に取り組んでいて、2年前からは、その成果を本にして世間に公開しています。
アマゾンへのリンク
そして、今年の4月からは、インターネット上での公開を開始しました。
聖路加のサイトへのリンク
本に書ける量には制限があるので、1つの指標については概要レベルまでしか公開することができませんでしたが、ネット上ではもう一歩踏み込んだ内容まで公開しよう、ということで、聖路加がどのような手順を踏んで、質改善に取り組んでいるのかを公開することにしました。これから夏にかけて、少しずつ更新をしていく予定になっています。(毎月、原稿の締め切りがあって、けっこう大変なんです、これが・・・)
日本の病院の医療の質向上への本格的な取り組みは、ようやく始まったばかり、といった感じですが、留学中に勤めていたアメリカの病院には、"Quality"という名称の部署があり、総勢約50人(!)のスタッフが専任で、さまざまな質の改善に取り組んでいました。
CQO=Chief Quality Officer (アメリカはCなんとかOが好きですね)の下に、「医療の質」「患者満足」「業務改善」の3人の担当マネージャーが配置され、3つの中での最大部門でもあった「医療の質」を担当していたマネージャーは、UWのMHAの先輩でした。
彼女は医療のバックグランドはありませんでしたが、医療の内容にも精通していて、医療者とチームを組んで、さまざまなプロジェクトのリーダーをしていました。今でも私のロールモデルになっています。
一方、日本の病院の「医療の質改善活動」は、医療者の自助努力に委ねられているところが多いように思います。良く言えば「現場主義」「ボトムアップ」とも言えますが、データを集め、分析し、改善案を考え、その案を実行する。さらには、会議資料を作り、会議のファシリテーションをする。これだけの仕事を、医師や看護師などの医療者が担うのは、以下の3つの理由で得策ではないと考えます。
1つ目は、業務量の問題。ただでさえ忙しい医療者に、プロジェクトのマネジメント業までさせるのは酷というもの。改善プロジェクトをリードすることは、民間企業では立派に1人分の仕事です。
2つ目は、仕事の質の問題。簡単に言えば「餅は餅屋」ということ。「問題解決」や「プロジェクトマネジメント」のトレーニングを受けたスタッフが間に入ったほうが、
最終的には良い解決策が導き出されるハズです。
3つ目は、スピードの問題。医療者が一定期間だけでもプロジェクトに専念できれば良いのですが、なかなかそうはいきません。通常は、空き時間に(しかも、ボランタリーに!!)処理することになるため、どうしても進み具合が遅くなります。
ということで、我々のような「専門のトレーニングを受けた」「中立の第三者」の存在が重要になってくると思うのですが、こうした活動に対しては「お金」が出ないのが日本の診療報酬制度の悲しいところです。アメリカのように50人とは言いませんが、こうした質向上の活動に対する何らかの報酬は、あってしかるべきだと思います。
聖路加のQIへの取り組みが評価され、全国の病院に広まり、やがては診療報酬にも反映される、、、そんな日が来ることを切に願います。
私の勤める聖路加国際病院は、数年前からこの医療の質改善に積極的に取り組んでいて、2年前からは、その成果を本にして世間に公開しています。
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そして、今年の4月からは、インターネット上での公開を開始しました。
聖路加のサイトへのリンク
本に書ける量には制限があるので、1つの指標については概要レベルまでしか公開することができませんでしたが、ネット上ではもう一歩踏み込んだ内容まで公開しよう、ということで、聖路加がどのような手順を踏んで、質改善に取り組んでいるのかを公開することにしました。これから夏にかけて、少しずつ更新をしていく予定になっています。(毎月、原稿の締め切りがあって、けっこう大変なんです、これが・・・)
日本の病院の医療の質向上への本格的な取り組みは、ようやく始まったばかり、といった感じですが、留学中に勤めていたアメリカの病院には、"Quality"という名称の部署があり、総勢約50人(!)のスタッフが専任で、さまざまな質の改善に取り組んでいました。
CQO=Chief Quality Officer (アメリカはCなんとかOが好きですね)の下に、「医療の質」「患者満足」「業務改善」の3人の担当マネージャーが配置され、3つの中での最大部門でもあった「医療の質」を担当していたマネージャーは、UWのMHAの先輩でした。
彼女は医療のバックグランドはありませんでしたが、医療の内容にも精通していて、医療者とチームを組んで、さまざまなプロジェクトのリーダーをしていました。今でも私のロールモデルになっています。
一方、日本の病院の「医療の質改善活動」は、医療者の自助努力に委ねられているところが多いように思います。良く言えば「現場主義」「ボトムアップ」とも言えますが、データを集め、分析し、改善案を考え、その案を実行する。さらには、会議資料を作り、会議のファシリテーションをする。これだけの仕事を、医師や看護師などの医療者が担うのは、以下の3つの理由で得策ではないと考えます。
1つ目は、業務量の問題。ただでさえ忙しい医療者に、プロジェクトのマネジメント業までさせるのは酷というもの。改善プロジェクトをリードすることは、民間企業では立派に1人分の仕事です。
2つ目は、仕事の質の問題。簡単に言えば「餅は餅屋」ということ。「問題解決」や「プロジェクトマネジメント」のトレーニングを受けたスタッフが間に入ったほうが、
最終的には良い解決策が導き出されるハズです。
3つ目は、スピードの問題。医療者が一定期間だけでもプロジェクトに専念できれば良いのですが、なかなかそうはいきません。通常は、空き時間に(しかも、ボランタリーに!!)処理することになるため、どうしても進み具合が遅くなります。
ということで、我々のような「専門のトレーニングを受けた」「中立の第三者」の存在が重要になってくると思うのですが、こうした活動に対しては「お金」が出ないのが日本の診療報酬制度の悲しいところです。アメリカのように50人とは言いませんが、こうした質向上の活動に対する何らかの報酬は、あってしかるべきだと思います。
聖路加のQIへの取り組みが評価され、全国の病院に広まり、やがては診療報酬にも反映される、、、そんな日が来ることを切に願います。
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コメント一覧
1. Posted by meifan 2009年10月28日 09:50
久しぶりに訪れてみたら更新があり一気に読ませていただきました。以前にアメールでメリカでのMHAprogramにおける選択授業のアドバイスなどをいただいた者です。その節はありがとうございました。無事に今年の5月に修得し、今は某国立大学の医学部で働いています。
ご意見、まったくの同感です。私は医療従事者でしたから、経営の知識もない私たちに本部から”赤字です。””お給料がカットです。””患者数が伸び悩んでいます。”という事実だけが伝えられ、暗い気持ちで将来に不安を抱きつつ働いていたことを思い出します。そんな現場に憤りを感じてMHAをとりにアメリカに飛び出した気持ちも再び思い出しました。日本の医療の現場はまだまだいろんな圧力がはたらく古い世界ですが、なんとか、日本の医療現場を元気づけていきたいですね!
ご意見、まったくの同感です。私は医療従事者でしたから、経営の知識もない私たちに本部から”赤字です。””お給料がカットです。””患者数が伸び悩んでいます。”という事実だけが伝えられ、暗い気持ちで将来に不安を抱きつつ働いていたことを思い出します。そんな現場に憤りを感じてMHAをとりにアメリカに飛び出した気持ちも再び思い出しました。日本の医療の現場はまだまだいろんな圧力がはたらく古い世界ですが、なんとか、日本の医療現場を元気づけていきたいですね!
2. Posted by 鐘江 2009年10月28日 20:49
お久しぶりです!メールありがとうございます。
日本にお戻りになられたのですね。同志(?)が増えて、心強い限りです。
年末に、MHA取得者を中心に集まる会がありますので、もし良かったら参加してくださいね。詳細はメールでご案内します(^.^)
日本にお戻りになられたのですね。同志(?)が増えて、心強い限りです。
年末に、MHA取得者を中心に集まる会がありますので、もし良かったら参加してくださいね。詳細はメールでご案内します(^.^)