院長

2009年01月04日

新年あけましておめでとうございます。昨年はあまりこのブログを更新することができませんでしたが、今年こそは気合を入れて更新ラッシュ・・・といきたいと思います。

昨年のことですが、m3.comでこんなアンケートがおこなわれました。
Q. 究極の選択◆病院長は医師であるべきか否か?

422人の医師が投票し、83%が「医師であるべき」 17%が「医師以外」と回答しています。

基本的に日本には医師以外の病院長はいませんから、回答者の大多数は非医師の病院長を知らない人達だと思われます。そんな中で「医師以外が適している」と回答した17%(72人)の方々の選択理由にとても興味があるのですが、今回のアンケートでは残念ながらそこまでは触れていませんでした。

実は同じような議論は、医師以外の病院長が実際に存在するアメリカでもおこなわれています。

これについて、ジョージタウン大学 看護・医療研究部ヘルスシステム経営プログラムの責任者であるゲーリー・ファイラーマン博士はこう発言しています。

「理想的な例としては医療経営学修士を取得した医師が病院経営者になることが良いと思います。また、15年の経験を持つ会計士が医療経営学修士を取得し病院のCEOになることも良いことです。しかし、病院経営のトレーニングを受けていない医師が経営者になることは賛成しかねます。それは非常に危険なことです。医療マネジメントのトレーニングは非常に重要なのです。」
(出典:『病院の外側から見たアメリカの医療システム』 河野圭子 著)

彼の仕事は病院経営者を育成することですので、ある程度のバイアスがかかっていると思われますが、「医師」「非医師」の両方のCEOを実際に見ている立場の発言としてはとても重要だと思います。

また、クーテナイ メディカル・センターの医療関連業務部長であるブジャク氏は
「病院のおかれている環境は常に変化し、複雑になりつつある。この環境下では病院CEOはリーダーとしての資質を持つか否かが重要」とコメントしています。
(出典:『病院の内側から見たアメリカの医療システム』 河野圭子 著)

当たり前のことですが、とても重要です。こうしたことが言えるのも、医師、非医師を問わず複数の優秀な候補者の中から「これは!」と思う人を選ぶことが出来るアメリカならでは、だと思います。

一方、日本の法律のもとでは医師という限られたプールの中から、この資質を満たす人を探さなければなりません。しかもそのプールの中から、「経営に興味が無い人(=臨床や研究に集中したい人)」「開業医」などを引き算していくと、本当にわずかな人数しか残りません。もちろん限られたプールの中でも「これは!」と思う人がいれば良いですが、「消去法」や「順番」で病院長が選ばれているとしたら、それは選ばれた医師にとっても選んだ病院にとっても不幸なことではないでしょうか。

私は、「病院経営者としての資質を持つ人のプールを増やすこと」が今後の病院経営の底上げにつながると思っています。これに対して取りうる選択肢は3つあります。

1.医師以外でも病院長になれるようにする(法改正)
法律を変えたとしても、受け入れる医療者側の意識が変わっていくまでにはそれなりの時間がかかるのではないかと思います(どこかの企業のカリスマ経営者がなってくれれば話は別ですが・・・)。とはいえ、病院長を医師に縛っておく積極的な理由は何もありませんから、とりあえず法改正だけしておいても良いとは思います。

2.医師が経営を学ぶことをサポートする(教育プログラム)
教育プログラムを変えるだけでなく、医師自身のキャリアパスに対する意識を変える必要があります。臨床医としてウデを磨くのか、将来は経営者の道を目指すのか。そういう選択肢を若いうちから(出来れば医学部で)教えるような仕掛け作りが必要になります。これも長い道のりですね。

3.病院長である医師をサポートするスタッフを強化する

もっとも手っ取り早い方法です。世の企業にいる優秀な経営のプロを採用すれば良いのですから。もちろん、病院経営のことをきちんと理解している優秀な人を探すことはとても難しいですが、「あると分かっているモノを探す」だけのことですので上記の2案に比べれば簡単だと思います。課題は、、、、金銭面での条件でしょうか。

今年は、「病院経営スタッフを強化することが何故有効なのか?」について、たくさんの記事を書いていきたいと思います。このブログを見た企業人が「病院経営の仕事って面白そうと思ったり、病院長が「ウチでも雇ってみようかなと思ったりしてくれれば成功です。

皆さんのご意見&ご質問もお待ちしてます。どうぞよろしくお願いします。<(_ _)>


mha_forum at 13:44コメント(0)トラックバック(0) 
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