英語を学習する(歌うことも含む)で重要なのは、アクセントです。日本語とはアクセントの表現方法が大きく異なることから、この英語特有のアクセントの特徴を踏まえて発生しないと、いくら個別の発音が正しくても、決して英語らしく聞こえませんし、ネイティヴスピーカーに通じません。

その英語特有のアクセントの成り立ちに関して話します。

英語はインドヨーロッパ語族に属していますが、このインドヨーロッパ語族の言語は最初は一つの言語(祖インドヨーロッパ語)だったという説が有力です。

この祖インドヨーロッパ語がその後4つに分裂しましたが、それがラテン語、ゲルマン語、ギリシャ語、サンスクリット語です。

サンスクリット語はインドで話されていた言語ですが、現在はその派生言語も含めて話す人はいません。

ラテン語はその後地方にに広がって方言化し、それが現在のイタリア語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語、ルーマニア語になっています。

ゲルマン語の派生言語で現在使われている主なものでは英語、ドイツ語、オランダ語が挙げられます。

ギリシャ語は様々な変化を経験しながらも現在のギリシャ語に続いています。

ここでアクセントの話ですが、祖インドヨーロッパ語、その派生語であるラテン語、ゲルマン語、ギリシャ語、サンスクリット語においては、強アクセント(強く発音される部分)が、2音節(母音が2つある、もしくは子音で区別される母音が2つあること)の単語に関しては、原則後ろにあります。仮に、tataという単語があったとしたら、発音は「タター」。

3つ以上の場合は、最後から2つ目に強アクセントが来ます。仮にtatataという単語があったとしたら、発音は「タタータ」、tatatataなら「タタタータ」です。

一方、英語、ドイツ語、オランダ語など現存するゲルマン系の言語は、ゲルマン語から変化する途中で、この強アクセントが前に移動しました。しかも、強アクセントの表現方法が、現存するゲルマン系言語以外の言語が強アクセントのある音節において緩やかに音が高くなってから低くなるのに対し、現存するゲルマン系言語では急激に上昇した後に急激に下降するのみならず、この急激に上昇するときに非常に多くの空気を強く吐き出すという特徴があります。

これが英語特有の強アクセントの表現方法であり、英語以外の現存するインドヨーロッパ語族の言葉(フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ルーマニア語、ギリシャ語など)と大きく異なる点です。

日本語の強アクセントの表現方法はむしろ英語以外のインドヨーロッパ語族の言葉に似ていると言われ、そのせいで、日本ではジャズヴォーカルを始めた人が無意識のうちにボサノバの曲ばかり選ぶようになったりするのはこのためです。