A Time To Keep

手芸 料理 観劇 読書など・・・ 私にとって大切な時間

数年前、体調が悪く寝込んでいたとき貯め買いしてあった梨木香歩さんの 
西の魔女が死んだを読み随分感動した。別に感動を誘う文章ではないのだが、その静謐な文体に疲れた心が洗われた気がした。それ以降古本屋で目に止まれば必ず買う作家の一人だ。ファンタジー色の強い
裏庭も好きだ。どこに行ってしまうかという不安は不思議の国のアリスのようでもある。この人の文章にはイギリス文学の香りが漂うのだが、それもそのはずで英国留学され児童文学者ベティ・モーガン・ボーエンに師事している。(この方はエッセイ春になったら苺を摘みにに登場する)
アリスのように翻弄されるファンタジーに童話物語上・下向山貴彦/幻冬舎 があるがこれはかなり辛い。特に上巻などすぐに投げ出したくなった。どのくらい辛いかと言えば月の影影の海上・下十二国記 小野不由美/講談社x文庫 に登場する主人公の陽子並に辛い。理不尽な扱い、裏切りがこれでもかと少女ペチカに押し寄せる。童話物語は下巻で完結してくれたし読後はすっきりしたが、十二国記は11巻が2001年に出たきり完結してないのだ。異界に行ってしまってるので読者には手も足も出ない?早く続きが読みたいよ。
今読んでるのは
りかさん梨木香歩/
新潮社 これは前にでたからくりからくさの時代を遡ったもの。お話する人形りかさんこの設定でこんな静かな物語が出来上がるなんて素敵だな。子どもに、そう高学年以上の女の子にこういう世界を覗いて欲しいな。

文庫で日本の昔話を集中的に取り上げることになった。
昔話ってほとんどが作者不明で、しかもストーリーが微妙に地方によってなど違いがあったりするものだ。これは昔話は人から人へ語り継がれてきたものだからだろう。ところが、その語り継ぐということが、正直なところ私の世代でも危うい気がするのだ。そもそも、昔話と言われて子どもに何も見ず語ってあげられるものを私はいくつ持っているのか?
絵本は多い方だと思うが、Kの部屋を見回してみるとかさじぞうだいくとおにろくももたろうは2冊あるぞ。Kに試しに聞いてみるともちろん覚えてるよ!あぁ、よかった。因みにとBest3を挙げてくれた。
  1位  さるとかに (神沢利子文・赤羽末吉絵/銀河社)
  2位  そら、にげろ(赤羽末吉/偕成社)
  3位  つるにょうぼう(矢川澄子再話・赤羽末吉画/福音館書店)
私もさるとかにが一番好きだ。いじわるな猿にまんまとだまされ殺されてしまうかに。青い柿をぶつけられ甲羅がつぶれてしまうが中からコガニがずくずく出てくる。このコガニを始めとして蜂、栗、馬ふん(なぜ?)、そしてうすが力を合わせて敵討ちをするわけだ。勧善懲悪の典型で、しかもお話のテンポが良く知恵を出し合うところもいい。
昔話には3というキーポイントが多く、繰り返しが多いのも特徴だ。これは昔の人の粘り強さを偲ばせて、何回もやってみて結果が出るという事をこんな形でも学んでいたんだろうな。で、現代人を振り返って見るとこの辺りは見事に欠如してるように思うのだ。昔話を静かに語る環境・・・これはかなり努力して各家庭で作らないと語り継ぐなんて  行為自体が絶滅してしまうかも。
そら、にげろ

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