「一番美しく」(3)

















『一番美しく』   1944(昭和19)年 東宝(配給 社団法人映画配給社(紅系) )   1944(昭和19)年 

<黒澤 明>
黒澤 明監督<監督>黒澤 明
<製作>宇佐美仁
<企画>伊藤基彦
<脚本>黒澤 明
<撮影>小原譲治
<美術>安部輝明
<録音>菅原亮八
<照明>大沼正喜
<編集>矢口良江
<音楽>鈴木静一
<鼓笛隊指導>井内 久
<スチール>秦 大三
<記録>矢口良江
<監督助手>宇佐美仁・堀川弘通

<出演>
矢口陽子・入江たか子・菅井一郎・志村喬・ 清川荘司 ・ 谷間小百合・ 尾崎幸子・ 西垣シヅ子・ 河野秋武・ 萬代峰子・登山晴子・広町とき子・人見和子・山田シズ子・河野糸子・羽島敏子・横山運平・真木 順・嶺恵美子・宮川五十鈴・山下春枝・平山栄子・豊原みのり・三井春子・須藤美令子


「一番美しく」?<粗筋>

  兵器に搭載される光学機器を生産している神奈川の工場では、戦時非常態勢により生産の倍増計画を発令する。
  男子工員は通常の2倍、女子工員は1.5倍という目標数値が出されるが、女子組長の渡辺ツル(矢口)を筆頭とする女子工員達は、男子の半分ではなく3分の2を目標にしてくれと懇願し受け入れられる。
  奮発する女子達だが目標達成は生易しくはなく、一時的に上昇した生産高は疲労や怪我・苛立ちから来る仲違い等により下降する。
  しかし、女子工員達の寮母(入江)や工場の上司(菅井)達の暖かい協力、そして種々の問題を試行錯誤しながら解決し、更に結束を強めた彼女達の懸命な努力は再び報われ始める。ラスト近く、郷里の親の訃報に涙しつつレンズ調整に精を出す渡辺ツルの姿は痛々しい。


「一番美しく」(2)


















<一言>                                                    
  戦時下に製作された映画は全て、何かの形で戦争協力を表現する必要があった。登場人物の言動が非協力的に描かれる事は許されず、この作品でも、戦争そのものを間接的にでも否定するような表現はされていない。やはり時節柄、プロパガンダとしての役割を帯びていたのは否めない。
  登場人物は全員献身的かつ謙譲に努めており、彼等の言動は多分に美化され過ぎとも映るが、当時では個人的な苦労や悲哀を強調することは避けられるべきことだったのだろう。
  女子工員の一人が病弱を理由に帰省するが、本人の口から「帰りたい」と言われるのではなく、本人はむしろ自分を帰さないでほしいとまで懇願する。

「一番美しく」?  彼女を帰省させるのは寮母や工場の上司である。現代の観点からすれば、彼女達のそんな献身は奇異にさえ映る。
  戦争という特殊な状況での一種の躁状態だったともいえる。
  ある意味では、現代日本人が忘れたかもしれない「他を尊重する心」をタイトルの如く美しく語っている、という見方も出来得る。ラストシーンで、郷里の親の訃報に涙しつつレンズ調整に精を出す渡辺ツルの姿は痛々しくもあるが、他のために我が身を粉にする意味を考えさせる場面ではある。
  作品では、それはあくまで「お国のために」であるが、「何故そこまでして」と問う以前に、謙譲の美・献身の徳を再確認出来る内容ともいえる。アリティを求める監督の狙いが功を奏している作品でもある。


「一番美しく」(1)


















<余談>
 
 劇中では「東亜光学」という社名だが、日本光学工業(現・ニコン)の神奈川県にある戸塚工場がモデル。女性映画の名手・木下恵介は、黒澤作品の中で最も秀逸な作品と賞している。
  黒澤監督は、この映画をセミ・ドキュメンタリーの手法で撮りたかったということで、実際に俳優達をニコンの平塚工場や寮に張り付け、工場への行き来の際は、映画で描かれているように鼓笛隊を編成して行進させた。主演の矢口陽子は後に黒澤明の妻となる。


「一番美しく」

















「一番美しく」(6)「一番美しく」(7)「一番美しく」(10)






「一番美しく」(11)「一番美しく」(8)「一番美しく」(9)






「一番美しく」「一番美しく」「一番美しく」






「一番美しく」「一番美しく」「一番美しく」






「一番美しく」「一番美しく」「一番美しく」






「一番美しく」-2「一番美しく」-3「一番美しく」






「一番美しく」-1「一番美しく」-2









「一番美しく」-3「一番美しく」-4









「一番美しく」-5「一番美しく」-6










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