2008年01月22日

アベ・プレヴォ『マノン・レスコー』(Manon Lescaut)

河盛好蔵訳/岩波文庫

 18世紀のフランスを代表する長編小説。
 17歳の主人公はふとしたきっかけで、修道院に入ろうとするマノンに出会い、駆け落ちする。マノンの主人公への愛はけっして変わらないものでありながら、マノンは豪華な服や装飾品、食事、オペラ鑑賞などがなくては不安で生きていけない人間である。そのため、悪気もなくある金持ちの貴族の妾になる。それは主人公のお金が尽きたせいでもある。
主人公はマノンを妾宅から連れ出し、結果的に二人は詐欺行為をして大金を巻き上げたことになってしまい、牢獄に入れられる。主人公は、親の口利きですぐに釈放される。「悪い女にたぶらかされただけだ」と大人たちは判断するのである。
 彼は監獄からマノンを救い出す。その過程で殺人を犯すが、それもなかったことにしてもみ消されてしまう。主人公の青年は有力者の息子だからである。
 そのような事件が繰り返され、ついにマノンはアメリカ大陸へ流刑になってしまう。主人公はアメリカまでマノンを追っていき、その地で死んだマノンを土に埋める。

 17歳の若さを考えるとこういうこともあるだろうと思える。いや、何歳になっても恋の本質は変わらず、無軌道で見境なくあらゆる困難を乗り越えていくものであるともいえる。社会的にみれば、つまり周囲の分別ある大人たちの目からみれば、悪い女にだまされて夢中になっているだけに見えるかもしれないが、マノンはちっとも悪くないし、主人公への愛も真実のものなのである。騙そうなどとこれっぽっちも思っていない無邪気なものである。ただ、ちょっと贅沢な暮らしをしていないと不安で、お金がなくなることが心配なだけなのだ。
 女性の本質と、究極の愛を描いた傑作小説。


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