2008年03月09日

不思議な少年

4076465c.jpgマーク・トウェイン/中野好夫訳(岩波文庫)

 マーク・トウェインといえば、「トム・ソーヤーの冒険」「ハックルベリー・フィンの冒険」が名高く読んだ人も多いと思う。この本も、以前ちょっと読んでみようかなと思い「積ん読」しておいたものを何年ぶりかで「たまたま」読んだものであるが、大変面白い小説で、意外ともうけものをしたような気分であった。
 トウェインがこんな小説を書いていたのはまったく知らなかったのであるが、中野好夫氏の解説によると、晩年はかなりペシミスティックな人間観を抱いていたようである。
 3人のこどもたちの前に、あの悪魔の親戚である天使のサタンが現れ、いろいろ面白いものを見せて子どもたちを楽しませ、時空を超えて世界中を案内してくれる。その内容は、人間の愚かさ、残虐性をこれでもかと見せつけるものである。生きるためでなく「ただ残虐性のためだけに他人を殺す生き物は人間だけである」というサタンの言葉は説得力があり反論しようがない。
 中世の魔女刈りや戦争による大虐殺など、サタンの見せつける愚かな事例は、この小説の書かれた19世紀末の時代でも十分に説得的なのであるが、その後の20世紀に人類の経験した第一次、第二次の世界大戦や、ホロコースト、原爆の投下などの事例を見れば、サタンが罵倒してやまない人間の愚かさ醜さの事例は、さらに確実に例証されたと言わざるを得ない。

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