2005/5/26 町田市民ホール

[スタッフ]
原作:結城亮一/脚本:藤田傳/演出:関矢幸雄

[キャスト]
柴田義之/里村孝雄/加藤慎一/水口助弘/山本隆世/澤村壱番/小川美千代/澤純子/上野裕子/室井美可/他


芝居を観て、感想をメール交換している友人が居ます。
今回の舞台を観る事になったのは、その友人が送信してくれたメールで、“劇団1980”という存在を知ったことがキッカケになりました。

彼女は、その劇団の芝居に出会って、演劇の面白さに惹きこまれたのだそうです。

そんなメールを読んだ数日後、知人の方が誘ってくださったのが、たまたま知ったばかりの友人のメールにあった劇団の名前だったのです。

“これって、運命かもしれない!”
“今、観るタイミングなのかもよ!”

何でも、巡り合わせってあると思うんです。
全く初めての劇団、“素劇”というスタイル。
題材は、レコード第一号歌手“佐藤千夜子”の一生。


舞台には黒い箱が積まれて、その上に蓄音機が鎮座しています。

初演は、1993年。
上演を重ねて、昨年2004年11〜12月はブラジルでの公演を敢行。
今回の上演は、凱旋公演ともいえるものです。
♪昔恋しい 銀座の柳
仇な年増を 誰か知ろ♪

「東京行進曲」です。
年末年始にTVから流れる懐かしの歌謡曲といった番組で、なんとなく聞いた気がする歌。

大正〜昭和、時代に翻弄されつつ、誰もが親しめる歌の表現者として歌姫として、レコード歌手第一号になったのが、“佐藤千夜子”です。

華やかな成功を経験しながら、その晩年は寂しいものだったのですね。
舞台は、千夜子の生い立ちから始まり、成功へと駆け上り、人生の岐路での選択、そして終焉を、3人の女優が演じ継いでいきます。

“素劇”
千夜子の生涯から、歌は切り離せません。
しかし、舞台にはバンドも無く、もちろん音楽テープも流れません。
劇団員達の、口三味線によるアカペラ伴奏、あるいは歌だけというスタイルです。
装置らしいものも見当たりません。
たくさんの黒い箱とロープが、その時々で電車になり、教会のキリスト像になり、家になり学校になり、船になりと姿を変えていきます。
いわば“人間のみ”が創り上げる、シンプル極まりないスタイル。

衣装も黒が基本。
一人一人が何役も受け持ち、次々と畳みかけるように物語を進めていきます。

今回の上演劇場は客席数700の中劇場。
東京近郊の市民ホールです。
(newOSKの高世さんが外部出演する「アメイジング」のツアー最終公演が予定されている劇場です)


ハッキリ言って、地味です。
華やかなスターさんが出てるとか、豪華な装置や衣装も一切ありません。
でも、だからこそ、積み上げた稽古で鍛えられた“役者の演技”が全面に出て、演劇のシンプルだけど力強い“伝えるチカラ”がビシビシと響いていくる舞台に仕上がっていたのです。


限られた小道具だからこそ繰り出されるアイデア。
演出の妙。
演劇の一つのスタイルを、観たような気がしました。