阿智胡地亭の非日乗Ⅲ

日々気になる情報の抜き書帳です。

―ウェーバー政治論とのギャップに呆然―    リベラル21から

ェーバーの『職業としての政治』(岩波文庫)を読んだ。
日本の政治を長いスパンで見ると何処にいるかを知るためである。

《『職業としての政治』は死去前年のミュンヘン講演》 
安倍政治の崩壊は一寸先だと思う。メディアのテーマは「次は誰か」に移ると思う。
アベノミクスの失敗や安倍政治のファシズム性を総括しないで、政治家の権力闘争に話題を転換する。政治は永田町にあるというのがメディアの認識であり、政治家の固有名詞で政治を論ずるのが一般庶民の常識である。その伝統は良くないと思い私は読んだのである。

ドイツの社会学者マックス・ウェーバー(1864~1920)は、19年1月に「職業としての学問」、「職業としての政治」の二つの講演をミュンヘンで行った。
短いものだが、後者が彼の政治認識の核心である。

ドイツおよび世界の状況はどうだったのか。
年表から事象を並べてみる。
▼1919年
・ 1月 1日 ベルリンでドイツ共産党創立
・ 1月 5日 ドイツ労働者党(ナチス)結成
・ 1月18日 パリ講和会議始まる(~6/28ベルサイユ講和条約調印)
・ 1月19日 ドイツ国民議会選挙 社民163、中央88、民主75、独立社民22
    共産党不参加
・ 3月 2日 コミンテルン創立大会(モスクワ)
・ 5月 4日 北京学生示威行動(五・四運動)
・ 7月31日 ドイツ国民議会ワイマール共和国憲法を採択
・ 11月19日 米上院、ベルサイユ条約批准否決
▼1920年
・ 1月10日 国際連盟発足

《時代と問題意識》
 『職業としての政治』の訳者脇圭平は同書の「あとがき」てこう述べている。(■から■)この記述は、1945年後の数年間、日本を支配した知的・政治空間を想起させる。
■第一次大戦における敗戦の結果、ドイツ全土が騒然たる革命の雰囲気に包まれていた時期である。熱烈なるナショナリストでもあったウェーバーにとって祖国の敗北はたしかに大きなショックではあったが、それ以上に彼を悲しませ、やりきれない思いに駆り立てたのは、この戦争の結果(敗戦の事実)をあたかも「神の審判」のように受けとり、自虐的な「負い目の感情」の中で、ひたすらに「至福千年」の理想を夢み、「革命という名誉ある名に値しない血なまぐさい謝肉祭」にわれを忘れて陶酔し切っているかにみえる一部の前衛的な学生や知識人の善意ではあるが独りよがりな「ロマンティシズム」であった■

ウェーバーの政治論は、「政治とは国家間であれ、国内の人間集団間であれ、権力の分け前にあずかり、権力の配分関係に影響を及ぼそうとする努力である」と定義する。
そうであれば、究極の権力を持つ国家の正当性が問題になる。ウェーバーは政治支配の
類型に三種あるという。一つは伝統的支配、二つはカリスマ的支配、三つは合法性による支配である。正当化された国家に人々は服従する。その物質的な担保は、国家のもつ「暴力装置」である。

《三つの支配類型・伝統的・カリスマ的・合法的》
 三つの「理念型」は、歴史的な現実を反映させつつウエーバーが抽出した概念である。彼は、現代は合法的支配が大勢と見ながらも、カリスマ的支配も存在しうるとみていた。「カリスマ」はギリシャ語の「神から与えられた奇跡、呪術、預言などを行う超自然的・非日常的な力」のことである。カリスマ的支配はそういう能力を持つ指導者による支配である。カリスマに帰依した人々は服従する。ウェーバーは、歴史上の人物にそれを見たと同時に、当時の国際社会を見渡して、敗北したドイツにもその出現を幻視したのであろう。

ウェーバーの政治(=権力闘争とその分配)認識はリアルであった。しかし、彼の政治論の特色は、その過酷な現実主義には満足できず政治家の「責任倫理」を見ようとしたことである。彼は、政治家が権力を行使するときの昂揚した気分を「心情倫理」の達成とみた。しかしそれは「空虚」な達成であり、悲劇性があると考えた。
ウェーバーはいう。
政治家にとって「情熱」、「責任感」、「判断力」が重要である。
情熱とは「事柄」(仕事・問題・対象・現実)への情熱的献身である。
情熱が「責任感」と結びついてはじめて政治家をつくり出す。そのためには「判断力」が必要である。それは事物と距離を置いて見ることである。
これだけの発言でも、私はウエーバーの政治に対する精神性の大きさに感じ入る。

《倫理と政治の関係はなにかという問い》
 しかしウェーバーの考察は、遂に「倫理と政治の関係は本当はどうなっているのか」という問題に発展する。
■「ボルシェヴィズムやスパルタクス団(ドイツ共産党の前身。民社党最左翼で非合法の一派)のイデオローグたちも、彼らが行使するこの政治的手段のゆえに、軍国主義的独裁者とまったく同じ結果を招いているという事実に、われわれは気づいていないのだろうか。権力を掌握した者の人柄とディレッタンティズムという点を除いて、労兵評議会の支配と旧制度のどれか任意の権力者の支配と、一体どこが違うのか■

ウエーバーはこのように、政治目的のためには手段を選ばないというリアリズムに満足できない。それはフランス革命最終段階の恐怖政治への評価に関して以来、「近代のジレンマ」、「歴史の狡知」として指摘され論じられてきた。ウェーバーは百年前に死んだが、以降の歴史を見れば、ロシア革命、ナチス・日本軍のホロコースト、米国による日本への原爆投下、文化大革命などがその例証となるだろう。

「心情倫理」と「責任倫理」。これがウエーバー政治論の最後の論点である。
私の理解した限りでは、現実政治はともかく、「心情」が強ければ目的のために手段は正当化されるという論理は破綻する。心情倫理論の究極には最後は神が判定してくれるという思想があり、人間による責任の回避というのが、彼の結論である。
しかし「責任倫理」についても、矛盾はなくならない。これがウェーバーの問いかけだ。
■山上の垂訓は資産について「一切か無か」といっている。福音の徒は無条件的で曖昧さを許さない。汝の有てるものを―そっくりそのまま―与えよである。それに対して政治家は言うであろう。福音の掟は、それが万人のよくなしうるところでない以上、社会的には無意味な要求である。(略)さらにそこでは「汝のもう一つの頬も向けよ!」である。一体他人に人を殴る権利があるのか、そんなことは一切問わず、無条件に頬を向けるのである■

《明治150年の謳歌どころではない》
 マックス・ウェーバーの政治論は最後に宗教論、責任論にまで上昇する。
彼の強い危機意識にも拘わらず、ドイツにはヒトラー政権が実現し再び世界大戦に敗れた。日独伊三国同盟の一員として、昭和天皇を戴く大日本帝国も「大東亜戦争」を戦い、最後はほとんど全世界を敵として敗北した。
現在、国際社会での存在感で、日本は圧倒的にドイツにリードされている。ドイツが及第で日本が落第というつもりはないが、「明治一五〇年」の謳歌ではないだろう。
国のかたち、外交、国内政経、エルルギー、文化。150年を総括し次の150年を真剣に展望したい。このままでは地盤沈下あるのみである。(2018/04/15)




面談記録自体の信ぴょう性、正確性をどう判断するか
2018年04月18日 12時21分

4月10日に、中村時広愛媛県知事が、今治市への加計学園獣医学部設置に関する愛媛県、今治市職員、加計学園関係者と、柳瀬唯夫総理秘書官(当時)との総理官邸での面談記録の存在を認めたことに加え、4月13日に、面談記録が、政府内部(農水省)でも発見されたことで、2015年4月2日の首相官邸で面談が行われたことは、否定し難い事実となりつつある。しかし、一方の柳瀬氏は、「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません。」と面談の事実を否定するコメントを維持している。

野党側は国会での柳瀬氏の証人喚問を求め、与党側は参考人招致に応じる方針のようだが、ここで重要なことは、現時点で「唯一の証拠」である愛媛県職員作成の面談記録について、判明している周辺の事情も含めて、客観的に証拠評価を行い、面談記録からどのような事実が認定できるかを検討することである。

それによって、面会の事実を否定する柳瀬氏の虚偽の答弁の疑いの程度が明らかになり、柳瀬氏を証人喚問すべきか、参考人招致でとどめても良いかが自ずと明らかなる。

面談記録自体の信ぴょう性、正確性をどう判断するか

まず、問題となるのは、この面談記録に、虚偽或いは誇張された内容が含まれている可能性がどの程度があるかである。

前回ブログ記事【"安倍王将"は「詰み」まで指し続けるのか】でも述べたように、愛媛県職員が、面談記録に、実際のやり取りとは異なったことを意図的に書く動機は考えられない。

一般的には、行政機関の内部において、他の機関との非公式の会合でのやり取りについて、実際とは異なる内容、歪曲或いは誇張した内容の報告が行われたり、報告文書が作成されたりする可能性はないわけではないが、それは、それなりの「動機」がある場合である。

例えば、当該職員が担当している事項について、何らかの問題を起こし、責任を問われかねない状況で、他者との会談の内容の中で、自らの責任に言及する部分を削除したり、ぼかしたりすること、逆に、担当者自身が自らの実績をアピールするために、相手方の言葉を誇張して表現することなどが考えられる。問題は、面談記録を作成した愛媛県職員の側に事実を歪曲したり誇張したりする動機があるかどうかだ。

また、面談記録の作成過程で、発言者の意図が正確に伝わっていなかったり、或いは、作成者の思い込みで、発言者の意図とは異なることが記載されたりすることはあり得る。今回の面談記録のように、要点を要約した文書の場合、話の順番が、記録のとおりだったとは限らないし、実際の発言と記録の記載が、言葉の表現まで厳密に同じであったかどうかはわからない。面談記録の正確性の程度は、文言の具体性、特異性、前後の文脈との関係等から、個別に判断するしかない。

「本件は、首相案件となっており」

面談記録の中の柳瀬氏の発言の冒頭は、

本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。

と記載されている。加計学園問題を追及してきた朝日新聞などのメディアや野党が、この「本件は、首相案件」という言葉が、首相の「指示」ないし「意向」による案件であることを意味しているとして「加計ありき」の根拠とするのに対して、安倍首相支持派・擁護派からは、「安倍首相が主導して導入し、しかも、諮問会議の議長を務める『国家戦略特区』という規制改革の枠組みのことを意味するもので、それ自体、首相の関与を示すものではない」との反論が行われている(【「首相案件」の何が"違法"なのか?野党は140字で説明してね】など)。

「本件は、首相案件となっており」という抽象的な言葉だけからは、いずれの解釈が正しいかを即断はできない。それに続く「内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受ける」は、国家戦略特区諮問会議の事務局を務めていた藤原豊内閣府地方創生推進室次長の「公式のヒアリングを受ける」という意味に解されるので、「国家戦略特区で進めていくこと」を意味しているようにも思える。

全文を読む


 日本国憲法の上位に日米地位協定があるかぎり アメリカ追随の首相でなければ角栄さんや鳩山さんのように その座を追われます。
 
そういう意味でも世界から見れば日本は独立国ではなくアメリカの従属国でしょう。
 
トランプが日本との関係維持に金と人がかかりすぎると思ったときが変化のチャンスですが、地政学上も日本はどう見ても中国とロシアの太平洋進出をさえぎる不沈空母ですから、アメリカが日本を思うままにあやつることを放棄することはまずない。アメリカはそれを太平洋戦争の勝利による最大の戦果としています。決してその戦果を放棄することはないでしょう。
 
アメリから見れば日本の自衛隊はアメリカ陸海空軍の下請け業者として使われることに存在意義があります。日本国憲法を変えようとしているPM安倍はアメリカの意向を忠実に果たそうとしているのでしよう。後ろ盾がいるのでPM安倍は強気でこれまで来ました。というかアメリカに対して果たさねばならぬミッションがあるので辞められません。
 
というのが現状の一つの見立てです。
 
 一方 中国が怖いのは習体制になってから中国が戦前の日本と同じように憲兵と特高で国民を抑えつける体制になったことです。完全に物言えば唇さむし秋の空になりつつあります。
 

森友問題、首相認める
2018/4/11 21:03

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、今井尚哉首相秘書官が昨年3月に安倍昭恵首相夫人付の政府職員だった谷査恵子氏に電話し、森友問題の事実関係を確認していたことが11日、分かった。安倍晋三首相が衆院予算委員会で認めた。

 谷氏は2015年11月に森友学園の籠池泰典前理事長の要請を受け、財務省に照会し、結果を森友側にファクスで返信していたが、首相は予算委の質疑で森友側とのやりとりは谷氏が自発的に行っていたと強調した。



長期拘束に抗議、40人超参加

退去強制令が出された外国人らを拘束する東日本入国管理センター(茨城県牛久市)で、収容者が長期拘束などに抗議するハンガーストライキを15日から実施していることが関係者への取材で17日、分かった。センターでは13日、長期拘束を悲観したとみられる難民申請中の30代インド人男性が自殺したばかりだった。

 収容者から事情を聴いた支援者によると、複数の棟の40人以上が参加しているという。

 センターもハンスト発生を認め「健康を害する恐れがあり、中止するよう説得している」と説明した。参加者数は明言を避けた。

 センターによると、収容者は現在335人。



 森友学園をめぐる疑惑で国政が大きく揺らいでいる。つい先日まで「安倍一強」が取り沙汰されていたが、政治の世界は「一寸先は闇」である。それにしても朝日新聞と野党は「些末な問題だ」とときに酷評されながら1年にわたってしつこく掘り下げてきたことが報われたかたちだが、同時にひとつの法人をめぐる問題にとどまらず、国家の根幹が揺らぐ事態が詳らかになりつつある。

 現象としての問題の所在は、公文書の偽造、隠蔽と政治からの圧力の有無といったところだが、一言でまとめるなら統治の手続きの妥当性に対する信頼が揺らぐ「正統性(legitimacy)の危機」である。省庁が答弁との整合性をあわせるために決裁された文書から政治と行政にとって都合の悪い文言を削除したりするといったことが起きうるのであれば、我々は行政機関が公開する情報を信頼することができないことになる。直近の報道が述べているように、財務省から国交省への働きかけがあったとするなら、なおさらのことである。

 それにしても公的機関は大量の情報を公開しているが、当然所定の方法でオーサライズされている。それらは果たして信頼できるのだろうか……このように、あらゆる政官の手続きの妥当性が自明性を喪失してしまいかねない。

 このような事態に我々はどのように向き合うべきだろうか。この記事は政治家、財務省勤務経験者、行政学者という3つの立場の識者のオピニオンを通じて、我々に思考の補助線を提供する。

 亀井静香は省庁の幹部職員の人事を一元管理する内閣人事局を不要だと断じる。内閣人事局は2014年に内閣法の改正で設置され、内閣人事局のホームページによれば「内閣人事局は、国家公務員の人事管理に関する戦略的中枢機能を担う組織として、関連する制度の企画立案、方針決定、運用を一体的に担っており、具体的には以下の3つの分野(引用者注:〔1〕国家公務員の人事行政、〔2〕国の行政組織、〔3〕幹部職員人事の一元管理)に関する取組を強力に推進」する組織である。

 2000年代後半に政治機構改革の流れのなかで政治主導を実現する手法として検討されたが、人事権を握られることを嫌った官僚サイドの働きかけもあり紆余曲折を経て、第二次安倍内閣のもとで導入された。第二次以後の安倍内閣はこの新手法を駆使してきたが、亀井はこの制度のもとで行政の自律性が毀損したといい、財務省解体論を提示する。

 旧大蔵省(現財務省)での勤務経験を有する経済学者小黒一正も本来政治主導の手段であったはずの内閣人事局の導入が「各省庁の幹部たちを、官邸の顔色をうかがう『イエスマン』集団にする契機」にしてしまったのではないかと指摘する。ただし政権の人事政策の必要性は認め、透明性、公正性、説明責任を担保できる仕組みの導入を提案する。

 行政学者の牧原出は現政権による各省庁への強力な統制の源が内閣人事局だけではなく、選挙で大勝を続け、内閣支持率も高い水準を維持してきた「短期政権型の長期政権」という特徴を指摘する。政権が世論の支持を受け、野党も分裂状態であったため、官僚の萎縮を招いたという。牧原はこのような状況のもとで行政が国民に対する透明性を高めることで政治と対峙できる可能性を述べながら、政治の透明化のために「第三者的な独立機関による監視が重要」と説く。

 政治、行政、メディアの自明性も揺らぐ現代社会において処方箋はいかにして可能か。困難な問いだが、我々の社会の正統性の危機を超克するために避けては通れない主題でもある。引用元。


この辺りで「投了」を真剣に考えるのが、一国の首相としてとるべき姿勢ではなかろうか。
2018年04月13日 13時43分

愛媛県の中村時広知事は、4月10日に記者会見を開き、加計学園の獣医学部新設に関して、2015年4月2日に県と今治市の担当者、学園幹部が首相官邸を訪れ、加計学園関係者とともに、面談した柳瀬唯夫首相秘書官(当時)、藤原豊内閣府地方創生推進事務局審議官(当時)とのやり取りを記録したメモが存在することを認めた。この面談記録には、柳瀬秘書官が「本件は、首相案件」と発言したとの記載があることに加え、次のように発言したとの記載がある。

① 加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ、今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった。

この面談記録のとおりであれば、「(2015年4月以前に)安倍総理と学園理事長(加計孝太郎氏)とが会食をした際、加計学園の獣医学部新設のことが話題になった」ということが、面談の際に話に出たことになる。

安倍首相は、昨年7月の衆議院予算委員会での閉会中審査で、加計学園の国家戦略特区への申請を知った時期について質問され、「1月20日に申請が正式決定した時点」と明言した。その発言の背景について、私は、2017年7月25日のブログ記事【"危険な賭け"に出たことで「詰将棋」に陥った安倍首相】で、安倍首相が2015年8月以前に加計学園の特区申請を知っていたとすると、「安倍首相による加計学園への便宜供与」の疑いが生じるため、敢えて「2017年1月20日に初めて知った」と強弁する「危険な賭け」に出たのではないかと指摘した。それは、国家戦略特区諮問会議での安倍首相の発言、その後のワーキンググループ(WG)での以下のような議論から言えることだ。

2016年9月9日の諮問会議で、民間議員を代表して八田達夫氏が

獣医学部の新設は、人畜共通の病気が問題になっていることから見て極めて重要ですが、岩盤が立ちはだかっています。

と発言し、9月16日のWGの冒頭で、藤原豊次長(内閣府地方創生推進事務局審議官)が、

先週金曜日に国家戦略特区の諮問会議が行われまして、まさに八田議員から民間議員ペーパーを御説明いただきましたが、その中で重点的に議論していく項目の1つとしてこの課題が挙がり、総理からもそういった提案課題について検討を深めようというお話もいただいております。

と発言しており、実質的にこの日のWGから始まっている獣医学部新設に関する議論は、「9月9日の諮問会議での安倍首相の指示」によるものであることを、藤原氏が明言している。つまり、この時点で、安倍首相が、加計学園が国家戦略特区での獣医学部新設をめざしていることを認識していたとすれば、その指示によって加計学園に便宜を図ったことが強く疑われることになる。だからこそ、安倍首相としては、その時点では加計学園の特区申請を知らなかったと強弁せざるを得なかったのであろう。(その後の国会答弁では、それまでの答弁との矛盾を突かれ、事実上過去の答弁の修正を認めざるを得ないという苦しい状況に追い込まれた。)

面談記録の上記①に記載されているように、2015年4月以前に、安倍総理と学園理事長(加計孝太郎氏)とが会食をした際、加計学園の獣医学部新設のことが話題になった事実があったとすると、安倍首相が、2016年9月9日以前に、加計学園が国家戦略特区で獣医学部新設を進めようとしていることを認識していた疑いが生じる。

愛媛県職員の面談記録の記載の中でもう一つ重要なのは、首相官邸での面談には内閣府の藤原豊氏も同席していて、同氏が、

② 要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知。獣医師会等と真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学部と異なる特徴、例えば、公務員獣医師や産業獣医師の養成などのカリキュラムの工夫や、養殖魚病対応に加え、ペット獣医師を増やさないような卒後の見通しなどもしっかり書きこんでほしい。

③ かなりチャンスがあると思っていただいてよい。

などと発言していたとの記載である。

それが事実だとすると、加計学園の獣医学部の新設を認めるべきとする理由付けについても、内閣府側が「指南」していたことになるのであり、前記のように特区諮問会議、WGでの議論を主導してきた内閣府の担当官と、特区申請を行う今治市や加計学園との間の「八百長」のようなものだったことになる。続きを読む



外国人が心底怖がる「勾留地獄・日本」の真実
2018年04月06日

日本の司法制度は籠池夫妻を不当な苦しみから解放することができるのだろうか。誰に聞いてもウソつきな3流カップルの籠池夫妻には、人気者のヒーローのような経歴はない。彼らをよく言う人を見つけるのは事実上不可能だ(筆者は実際探してみた)。

それでも、彼らはこの世界で「立派」と称される人たちと1つだけ共通点がある。不当勾留されていることだ。南アフリカの指導者ネルソン・マンデラやミャンマーのアウンサンスーチー、中国人反体制活動家劉暁波といった殉教的な人々が自分の主義主張のために投獄されたことを、世界は褒め称えている。

昨年7月から勾留されたままの籠池夫妻

籠池夫妻にはそんな人道的な大志はないが、彼らの勾留は、日本の刑事手続きが不当であることを示している。そして、日本人のみならず、在留外国人や観光客に至るまで日本の刑事手続きに翻弄されているすべての人に警鐘を鳴らしている。

籠池夫妻は昨年の7月から勾留されている。いまだにいかなる罪でも有罪とされておらず、理論的には、判決が確定するまで無期限で勾留が続く可能性があるのだ。原理上、彼らは勾留されるべきではない。刑事訴訟法89条は一部の例外を除いて「保釈の請求は許されるべき」と定めている。しかし、夫妻の件を担当する裁判官は、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」には保釈は却下されるべきとする89条の4項の例外を行使して、保釈を認めなかった。

この件に関しては、そのような危険性はないと言っていい。事件の証拠は裁判に向けてすでに押収されており、籠池夫妻は日本以外に逃げ場所がないからだ。

にもかかわらず、勾留するというのはいかにも日本的だ。つまり、被告人にとっては正当な理由もないのに勾留されるのが当たり前で、保釈は例外というお決まりのパターンである。「10年前には被告人が釈放されることは基本的に不可能だった。検察の『勾留請求』の99%以上が認められていた」と、元弁護士で現在は日本の監獄人権センターの事務局長を務める田鎖麻衣子氏は推測する。「今でも97%程度は認められている」。

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高齢者はとどまり健康被害を多発、若者は地元を離れる
2018.4.6(金)

福島第一原子力発電所の事故から7年が経ったが、福島県では現在も5万人以上が避難生活を続けている。

 今回の災害では様々な避難指示が発令された。

例えば南相馬市は、2011年3月15日に発令された避難指示によって、警戒区域(原発から20キロ圏内)、屋内退避区域(原発から20~30キロ圏)、それ以外の地域(原発から30キロ以上離れた地域)の3種類に分けられた。

 これらの避難指示は住民の放射線被曝を防ぐため、空間放射線量・原発からの距離を元に設定されたものだ。

実は大量の自主避難者が発生していた

 しかし、私たちが行った調査では、避難指示の意図に反して大量の自主避難者がいたことが明らかになった。

 屋内退避区域の住民の87%(35178/40773)、原発から30キロ以上離れ避難指示が出ていない地域の住民の87%(9622/10955)が避難を経験していた。

 この推計は坪倉正治医師らが南相馬市で行っている内部被曝調査での問診表を基に、震災直後の南相馬市民の避難状況について調べたものだ。

 なお全文は、米科学誌PLOS ONE(プロスワン*1)に掲載されている。

 本調査は、南相馬市の事故直後の人口動態について明らかにし、今後の原子力災害対策への検討を行うことを目的として行われた。

 調査結果からは、屋内退避指示が招いた大混乱が窺える。

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田中宇の国際ニュース解説 無料版 2018年4月4日 http://tanakanews.com/
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★米朝会談で北の核廃棄と在韓米軍撤退に向かう
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 3月27-28日に、北朝鮮の金正恩が中国を初めて訪問し、習近平と会談し
た。中国は昨年後半、トランプの米国から頼まれ、北朝鮮に核の廃棄を求め続け
たが、北はそれをずっと拒否し、核実験やミサイルの試射を続けた。中朝関係は
史上最悪の状態になった。それが今回、一転して、習近平が金正恩を北京に招待
し、中国側は会談終了後、2人が仲良く談笑している映像を多数流した。金正恩
は、習近平が求めていた核廃棄を了承した。そのため習近平は満足し、中朝関係
の改善を世界に喧伝した。金正恩は、韓国や米国に対しても、核廃棄の意思を伝
えている。

http://www.politico.com/story/2018/03/28/trump-north-korea-tweet-489587
Trump predicts Kim 'will do what is right' but keeps sanctions in place ahead of meeting

 昨年中、中国からの核廃棄の要求を拒否し続けていた金正恩が、今回、一転し
て核廃棄を自分の方から宣言したのはなぜか。理由は明確だ。昨年の中国主導の
シナリオでは、北が核廃棄を実行しても、北の最大の要求である在韓米軍の撤退
や米国からの敵視の解消(米朝和解)が確実に実現することが見込めなかった。
米国が中国経由で約束しても、北にとっては信用できない。だから北は中国の要
求を拒否した。だが今回、5月に金正恩とトランプが米朝会談することが決まり
、北が核を廃棄し、その見返りに米国が在韓米軍を撤退し北と和解するシナリオ
について交渉することになった。北は、核廃棄の見返りに、昨年まで得られなか
った米国との和解や在韓米軍の撤退を得られるかもしれない事態を得た。

http://www.strategic-culture.org/news/2018/03/30/xi-jinping-and-kim-jong-un-make-korea-united-again.html
Xi Jinping And Kim Jong-Un: Make Korea United Again!

 トランプは、在韓米軍(や在日米軍)を重視していない。トランプは16年の
選挙戦で「韓国や日本が駐留米軍費をもっと負担しないなら、日韓に核武装を許
す代わりに米軍を撤退する」と発言した。最近は「韓国が米国との自由貿易協定
の改定を認めないなら、在韓米軍を撤退する」と発言している。このようなトラ
ンプの姿勢から考えて、金正恩が核を廃棄すると言えば、トランプは在韓米軍の
撤退や米朝和解に賛成する可能性が高い。米朝会談は成功するだろう。

http://original.antiwar.com/justin/2018/03/18/trump-is-the-great-disruptor/
Trump Is The Great Disruptor  : Justin Raimondo

http://news.antiwar.com/2018/03/15/trump-suggests-withdrawing-troops-from-south-korea-over-trade-issues/
Trump Suggests Withdrawing Troops From South Korea Over Trade Issues

 金正恩は、3月初めに韓国代表団を通じてトランプに会談を申し入れて承諾さ
れたことにより、核廃棄の見返りに、在韓米軍の撤退や米国からの敵視解消を得
られることになった。昨年の中国の要求に従っていたら、この見返りは得られな
かった。金正恩は、中国主導のシナリオに乗らず、米国に直接交渉を申し入れて
受諾されたことで、祖父にも父にもやれなかった、米国との和解を実現できる状
況を得た。その上で金正恩は訪中し、習近平に「おおせのとおりに核廃棄します。
トランプと会って在韓米軍の撤退を要求するので支持してください」と言ったの
だろう。メンツが立った習近平は喜んで了承し、昨年来の中国主導のシナリオと、
金正恩がトランプに提案した米朝会談のシナリオが統合された。

http://tanakanews.com/180314korea.htm
米朝会談の謎解き

http://nationalinterest.org/feature/why-xi-jinping-wants-broker-the-trump-kim-deal-25118?page=show
Why Xi Jinping Wants to Broker the Trump-Kim Deal

 米国や日本のマスコミや、軍産傀儡の大手ブログなどでは、米朝会談が成功し
ない・開かれないとの予測が目立つ。北朝鮮が核廃棄に応じるはずがないとか、
ボルトンやポンぺオといった好戦派を新たな側近に据えたトランプが北に厳しい
態度をとるはずだといった筋書きの予測だ。だが、これらの見方はいずれもお門
違いだ。

http://original.antiwar.com/justin/2018/03/29/peace-and-the-intellectuals-trumps-korea-initiative-vs-the-blob/
Peace and the Intellectuals: Trump’s Korea Initiative vs. 'The Blob'  : Justin Raimondo

 911以降の米国で強い力を持っていた軍産は以前から、北朝鮮(やイラン、
イラク)を核廃棄させる際、IAEAによるひと通りの査察がすんだ後も「まだ
どこかに核を隠し持っているはずだ。あそこが怪しい。こっちも怪しい」と無限
に査察を要求するCVID(完全で検証可能、不可逆的な兵器の廃棄)を条件に
してきた。イラクは、これをやられて軍事的に丸裸にされた挙句に侵攻された。
CVIDが条件である限り、米国(とその同盟諸国)は北朝鮮(やイラン)が核
廃棄したと認めず、このシナリオに乗ると馬鹿をみる。

http://www.weeklystandard.com/editorial-mr.-kim-goes-to-beijing/article/2012115
Editorial: Mr. Kim Goes to Beijing

 しかし、米国がCVIDを核廃棄の前提条件にしていたのは、すでに過去のこ
とだ。軍産支配を潰す目的でトランプが大統領になった時点で、CVIDは、ト
ランプ敵視のマスコミや、議会や民主党の軍産傀儡派が野党的に叫んでいるだけ
の事象になった。トランプは昨春、中国に北核問題の解決を任せたが、中国は
CVIDを米英による政権転覆の道具とみなして反対している。

http://www.wsj.com/articles/north-koreas-kim-long-a-pariah-takes-tentative-step-onto-world-stage-1522241066
North Korea’s Kim, Long a Pariah, Takes Tentative Step Onto World Stage

 今後、北の核廃棄に際しては、CVIDでなく、1か月とか期限を区切り、あ
らかじめ指定した施設群をIAEAが査察して何も見つからなければそれで査察
は終わる。それに加え、北の政府が自発的に出してきた核兵器を解体して核廃棄
とする算段になりそうだ。北はおそらく、たくさん作った核弾頭のうちの一部を
隠し持ち続ける。中国やロシアは、それを黙認せざるを得ないと現実的に考えて
いる。外国に対して閉鎖されている北の国内のどこかに隠した兵器を外国勢が探
すのは不可能だ。北が他国に対して「核攻撃するぞ」と言わない限り、中露は、
北が核を隠し持ち続けることを黙認する(そもそも北に核開発の材料や情報を入
手させたのは米国系の諜報機関だから、北の核武装は米国の責任だと中露は考え
ている)。北自身や韓国も、中露の考え方に賛成している。米国が北核問題の解
決を宣言すると、日本も何も言わなくなる。

http://www.bostonglobe.com/opinion/2018/03/26/iran-and-north-korea-don-trust-and-verify-verify-verify/Rf4yxsjKFxeT8sUhBzxC7I/story.html
On Iran and North Korea: Don’t trust, and verify, verify, verify

▼トルーマンが議会に諮らず始めた朝鮮戦争を、トランプが議会に諮らず終わらせる

 米議会には、共和党にも民主党にも軍産傀儡の議員がまだ多い。トランプが大
統領権限で北核問題の解決を進めても、議会の承認が必要な事項で妨害される可
能性がある。だが、議会承認がないと進められないことは、北朝鮮との国交関係
の樹立ぐらいだ。1950年に始まった朝鮮戦争を終戦させる米朝敵対の終了は、
議会承認が必要かと思ったが、調べてみると、朝鮮戦争は米議会が開戦を可決し
て始まった戦争でない。当時のトルーマン政権が「戦争」でなく「(国家でない
共産ゲリラを退治する)警察行為」と見なし、議会の承認を経ず、大統領権限で
始めた戦争だ。朝鮮戦争は、大統領権限で開始されたものなので、トランプが
大統領権限で終わらせられる。議会は関係ない。

http://www.history.com/this-day-in-history/truman-orders-u-s-forces-to-korea-2
Truman orders U.S. forces to Korea - Jun 27, 1950

http://timeline.com/the-korean-war-gave-the-president-the-power-to-take-us-into-battle-its-been-that-way-ever-since-bc751912cb8b
The Korean War gave the president the power to take us into battle. It’s been that way ever since.

(合衆国憲法は開戦権限は議会下院にあると明記しているが、米国は、第2次大
戦より後のすべての戦争を、議会に諮らず大統領権限で始めている。議会も、ご
く最近まで文句を言わなかった。最近、サウジアラビアにやらせたイエメン戦争
の加担への批判を機に様子が変わり、サウジに対する嫌がらせの意味もあり、開
戦権限を大統領から取り戻すべきだという意見が、まだ過半数未満であるが、議
会内で増えている。今後の進展が要注目だ)

http://thehill.com/opinion/national-security/379083-congress-moving-to-end-us-involvement-in-yemen
Congress moving to end US involvement in Yemen

http://www.fcnl.org/updates/44-senators-made-history-by-voting-to-end-illegal-us-war-in-yemen-1312
44 Senators Made History by Voting to End Illegal US War in Yemen

 在韓米軍の撤退はこれまで、米国が「有事の軍事指揮権の韓国軍への移譲」と
いうかたちで進めようとしてきたが、韓国側に対米従属の傾向が強く、韓国軍の
準備ができていないという口実で、何度も延期されてきた(日本政府も70年代
以来、同じことをやってきた)。文在寅大統領は、対米自立派の左翼なので、就
任以来、できるだけ早く有事指揮権の韓国への移譲を進めようとしてきた。米朝
会談や、その前の4月27日に行われる南北会談で、米韓と北との和解が進むと、
有事指揮権の移譲が格段にやりやすくなり、在韓米軍の撤退に道が開ける。米議
会の新たな決議も必要なさそうだ。

http://tanakanews.com/180107korea.htm
北朝鮮の核保有を許容する南北対話

 ボルトンやポンペオといった好戦派の起用を見て、米朝会談のキャンセルや失
敗を予測する向きがあるが、それらはトランプ流の目くらましに気づいてない。
ボルトンやポンペオは、トランプの言うことを全部聞く人々で、それまでのマク
マスターやティラーソンといった軍産系の前任者たちからの邪魔立てを排除する
ためにトランプが起用した。2人の起用後トランプは、軍産が嫌悪する覇権放棄
的な反米勢力を強化する戦略を、むしろ加速している。トランプがプーチンに対
し、ホワイトハウスで会談しようと言って訪米を招待していたことを、最近にな
って米政府も認めた。トランプは最近、シリアから米軍を撤退させる計画も何度
も表明している。これらはいずれも米朝会談と同様、軍産が無視したい事象であ
るらしく、米マスコミできちんと報じられない傾向だ。

http://nationalinterest.org/feature/trumps-trick-successful-north-korea-negotiations-25134
Trump's Trick for Successful North Korea Negotiations

http://tanakanews.com/180320neocon.php
好戦策のふりした覇権放棄戦略

 4月27日に板門店で行われる南北首脳会談は、北朝鮮と韓国の経済協力や文
化政治交流の再開が主題だろう。北の核ミサイル開発を理由に16年から南北間
で断絶している開城工業団地などの再開があり得る。北は、核問題を米国としか
交渉したがらないので、核が南北会談の主題にならない。その後、米朝首脳会談
で、北の核廃棄と、米朝和解や在韓米軍の撤退が話し合われる。米朝首脳会談は、
おそらく南北首脳会談と同じ板門店で開かれる。北は、米国の出方に応じて核廃
棄を進めるだけで、しかも保有核の一部をずっと隠し持つつもりだろうから、
最終的に米国が約束不履行になっても失うものが少ない。

http://www.wsj.com/articles/north-and-south-korea-set-date-for-summit-1522306351
North and South Korea Set Summit, but Nuclear Omission Casts a Shadow

http://news.antiwar.com/2018/03/19/trump-kim-summit-likely-to-be-held-in-dmz-village/
Trump, Kim Summit Likely to Be Held in DMZ Village

 北が核兵器の一部を隠し持つと予測できるのと同様に、米国もいったん撤退を
約束した在韓米軍を韓国が拒否しない限りいつでも韓国に戻せる。「だから米朝
和解はぜったい実現しないよ」とうそぶく「権威ある(=軍産系)専門家」たち
がいる。だが、私が見るところトランプの目標は、米国の覇権を牛耳ってきた軍
産を無力化しつつ米国の覇権を放棄して世界の体制を多極型に転換することであ
り、北朝鮮との敵対の解消、在韓米軍の撤収、韓国を対米自立に追いやること、
朝鮮半島を米国の傘下から引き抜いて中国の傘下に入れることは、トランプの目
標の一部だ。そのような理由から、私は、5月の米朝首脳会談が成功し、北の核
廃棄と在韓米軍撤退へのプロセスが開始されると予測している。

http://nationalinterest.org/feature/beware-kim-jong-uns-diplomatic-tricks-24932?page=show
Beware of Kim Jong Un's Diplomatic Tricks

http://tanakanews.com/180329hegemon.php
米覇権の転覆策を加速するトランプ

 すでに書いたように、米議会で軍産が強いままだと、米国が北朝鮮を国家承認
しないかもしれないが、米朝会談が成功すると、米国の北敵視が大幅に減少する。
韓国は北と相互に国家承認し、連邦制などによる南北の統合が話し合われていく
だろう。南北間のプロセスが進むほど、韓国は対米従属から離脱し、在韓米軍を
引き戻す状況から遠ざかる。日本も、米国が北を承認しなくても、北を国家承認
すると考えられる。安倍首相は平壌を訪問したかったようだし(北から相手にさ
れなかったが)、韓国や中国と親密な関係を作ろうと昨年から画策し続けている
(日本はしだいに重視されなくなっている)。

http://news.antiwar.com/2018/03/13/japan-mulls-seeking-its-own-summit-with-north-koreas-kim/
Japan Mulls Seeking Its Own Summit With North Korea’s Kim

http://tanakanews.com/171224australia.php
中国のアジア覇権と日豪の未来

 北朝鮮の脅威が大幅減になると、在日米軍の存在意義も大幅に低下する。だが
今のところ、北朝鮮問題の解決後に在日米軍がどうなるかという話は、私が見て
いる範囲だと、まだ誰もしていない。トランプは就任以後、在韓米軍を撤退する
ぞとは言うが、在日米軍については撤退するぞと言っていない。むしろ日米軍事
同盟を強調しつつ、安倍に米国の中国敵視策を丸投げして担当させた上で、はし
ごを外していく策略をとっている。

http://tanakanews.com/171113abe.htm
安倍に中国包囲網を主導させ対米自立に導くトランプ

http://tanakanews.com/180201tpp11.htm
TPP11:トランプに押されて非米化する日本

 トランプは同様に、イラン敵視や中東の運営策をイスラエルとサウジアラビア
に丸投げした上ではしごを外す策略をとっている。トランプのやり口からして、
朝鮮半島が一段落した後、中国敵視の強化などを利用して、日本に対するはしご
外しの策略を加速するのでないかと予測できる。日本外務省におもねって権威を
得た外交専門家たちは「日米同盟の団結による中国敵視!」の構図に小躍りして
トランプの策にはめられるのだろう。日米同盟万歳(笑)

http://tanakanews.com/171220abe.htm
安倍とネタニヤフの傀儡を演じたトランプの覇権放棄策


この記事はウェブサイトにも載せました。
http://tanakanews.com/180404korea.htm



●最近の田中宇プラス(購読料は半年3000円)

◆トランプのバブル膨張策
http://tanakanews.com/180331bubble.php
米トランプ政権は、リーマン危機後に作られたバブル再膨張を防止するドッド
フランク法にどんどん抜け穴を作り、サブプライムやコブライトといったリー
マン前のバブル膨張を扇動した高リスクな債券や融資の取引を急増させている。
いずれ、トランプの任期が終わるころにバブルが大崩壊し、米国の金融覇権が
崩れる。その準備のため、トランプは輸入関税を引き上げ、中国など世界の諸
国を経済面の米国依存から追い出し、米国覇権が崩れた後も世界経済が回るよ
う、中国などが非米的・多極型の世界体制を作るように仕向けている。

◆米覇権の転覆策を加速するトランプ
http://tanakanews.com/180329hegemon.php
【2018年3月29日】米国の覇権戦略立案の奥の院CFRの会長が、トランプに
よる米国覇権の引き倒しと多極化を指摘する論文「リベラル世界秩序の死」を
発表した。自由貿易体制の放棄、中国との貿易戦争、イラン核協定からの離脱、
英スクリパル事件でのロシア敵視など、トランプが矢継ぎ早に打ち出す強硬策
が、米覇権の転覆を加速する。CFR論文は、米覇権の終わりが世界の繁栄や
平和の終わりになると嘆くが、現実は違う。米覇権はベトナムやイラクなど戦
争の連続だったし、米覇権の延命策の経済面である中銀群のQEは繁栄を壊す
バブル崩壊につながる。トランプの策の方が、今後の覇権崩壊時に世界を軟着
陸させる。

◆米銀行間の信用不安
http://tanakanews.com/180322bank.php
 【2018年3月22日】 米国で銀行どうしが融資し合わなくなり、融資の金利
(LIBOR)が上昇している理由は、銀行が相互に信用しなくなったからだ。
そうなった理由は、トランプの米政府が、米日欧の中銀群がQEをやめて保有
債券を手放す勘定縮小を進める中で、それを穴埋めして金融バブルを維持する
方法として、リーマン後に作った金融規制に抜け穴を多く新設して骨抜きにし、
米銀行界が高リスクな投資をやって、QEなしでバブル膨張を維持するよう仕
向けているからだ。銀行界は自分たちが危険をおかしていると知っているので、
相互に資金を貸したがらない。それがLIBOR上昇、銀行間融資市場の消失、
日欧中銀がQEを減らし、米連銀が勘定を縮小しているのに株価が高騰し続け
る事態につながっている。

毎日新聞
愛知県の私立保育園で、運営に支障をきたさないためとして園長が女性保育士の結婚時期や妊娠・出産の順番を決めていることが議論を呼んでいる。保育士の一人が順番から外れて妊娠。「子供ができてすみません」と謝罪したが、園長に「勝手にルールを破った」と叱責されたという。問題の背景を追った。【鳴海崇】  このケースは妊娠した保育士の夫(28)が毎日新聞に寄せた投稿で明らかになった(2月28日朝刊「男の気持ち」)。国が待機児童解消を急ぐ陰で、他人の子育てを支える保育士が我が子を安心して産むこともできない労働実態が浮かんだ。

 反響は大きかった。<生命の誕生を素直に喜べない社会に未来はない>や<給料が安いのに仕事が多く、親の勝手な要望に応えていたら保育士はやってられない>などの声がネット上で飛び交った。

 投稿を民放各局のワイドショーも紹介し、ある番組では経済評論家の勝間和代さんが明確な人権侵害だと指摘。一方、作家の立花胡桃さんは「女性職場で予定なしに妊娠すると周りがフォローしなければならず、他の女性の迷惑になる」と園側に理解を示した。

 保育関係者で作る「保育研究所」の村山祐一所長は「結婚や妊娠の『順番決め』は保育園では珍しくない。低賃金で長時間労働を強いられる保育士の職が敬遠され、数が足りないことが背景にある」と話す。「一人の保育士が長年かけて経験を積む仕組みが崩れ、保育の質が低下している。『順番決め』は職員が辞めずに経験を積む工夫とも映る」とみる。

 保育士の給料や労働時間はどうなのか。

 厚生労働省の昨年の統計によると保育士は平均35・8歳、勤続年数7・7年で月給22・9万円。全職種の平均より10・4万円低い。

 私立保育園の場合、国の基準に基づき子供の人数や年齢などの条件で決まる運営費が市町村から給付され、そこから保育士の給料が出る。経験の長い保育士は給料を高くせざるを得ず、残りを大勢の若手で分けると薄給に陥る。政府は保育士の給料アップをうたうが「実際は園長ら現場任せで、全員の給料に反映される保証はない」(村山さん)。

 1日の勤務時間は長く、長期休暇はない。土日に保育番が回ってくることもある。村山さんは「日中の時間は保育に充て、書類作成や行事準備は残業でこなすのが当たり前の世界だ」と説明する。

 投稿した男性は毎日新聞の取材に、夫婦で謝罪したものの園長から「結婚の休暇は認めない」と言われたと証言。「残業が多くても給料を上げたり、産後の働きやすさを重視したりして労働条件を差別化すれば、保育士が集まり定着するのではないか」と話す。

 「順番決め」について、少子化問題に詳しいジャーナリストの白河桃子さんは「保育所に限らず、女性の多い職場にありがちなケースだ」と指摘する。

 化粧品関連会社で働く東京都三鷹市の女性(26)は昨年、職場の女性リーダーに「出産は35歳ごろに」と指示された。自分と同僚女性社員の計23人の「出産・育児ローテーション表」がメールで配布され、「同時に4人以上休むと業務が滞る。勝手な行動は処罰の対象になる」などと注意書きまであった。

 結婚2年目で不妊に悩む女性は取材に「ただでさえ妊娠しづらいのに、年齢を重ね子を授かる機会を逃したらどう責任を取るのか」と不安を打ち明けた。

 白河さんは「強制されなくても同じ部署で周囲に迷惑をかけないよう、同僚が産休や育休を取ったら『自分は無理』と遠慮してしまう。日本の企業は経営計画に女性社員の出産や育児を織り込んでいない」と指摘する。

「男の気持ち」より

 結婚して8カ月、今年の1月に妻の妊娠がわかりました。妻は保育士で、不安で浮かない顔をしていました。妻の保育園では結婚の時期、妊娠の順番まで園長に決められ、先輩を追い抜くことは駄目という暗黙の了解があるようでした。私は妻と一緒に頭を下げに行きました。「子どもができてすみません」

 園長は渋々認めてくれたものの、翌日から妻に「どうして勝手にルールを破るの」とつらい言葉を投げかける日々が続いています。妻は激務の仲間のことを考え肩身の狭い思いでいます。計画的ではなかった私たちにも非があるのは重々わかっています。しかし産む順番が決められ、それを守ることは誰のためになるのでしょうか。保育士は自分の子を犠牲にしてまで他人の子どもを育てます。日本の将来を担う子を育てる尊い職業です。私はそんな妻を尊敬し、応援しています。子どもを育てる職業がこんな環境であるこの国は子育て後進国です。

2018年4月1日発行
JMM [Japan Mail Media]      No.995 Saturday Edition    http://ryumurakami.com/jmm/ 
『from 911/USAレポート』第764回
 朝鮮半島情勢や、国際経済の動向を考えると「森友」どころではない・・・という
ことをずっと申し上げてきたのですが、状況がここまで来ると、そうも言っていられ
なくなりました。とにかく、政権が信用されなければ、内外に影響力行使をすること
はできない、つまりは国家を代表できないわけですから、政権の行く末に対して黄信
号が灯ったということは無視できません。

 では、この「森友」問題を大きく取り上げて、一気に倒閣に向かうべきかというと、
どうも気の重い感じが消せません。というのは、仮に政権動揺の原因がこの「森友」
の問題だとしても、ここまでの「告発の流れ」に納得が行かないからです。

 この「森友事件」の一番の問題というのは、教育勅語を信奉する(学園の募集パン
フレットによれば「教育勅語の素読・解釈による日本人精神の育成」)などという
「現在の日本の国のかたち」を根本から否定するような小学校の設立が企図され、そ
れに保守政治家の家族が同調したということにあると思われます。ですから、この問
題はかなり深刻な話と思われるのですが、残念ながらしっかりした批判は起きていま
せん。

 というのは、この学校を設立しようとした籠池という人物を、左派を含めた野党は
利用して、いわば安倍政権を右と左から挟撃するという愚挙に出たからです。こうな
ると、何が正しいのか間違っているのか、少なくとも「戦前の価値観での教育」が企
図されたことへの批判や追及はできなくなっているわけです。そこに、何とも言えな
い「イヤな感じ」がしています。

 後は、いわゆる「三大忖度事件」の中で、もっと悪質な強姦不起訴事件や、許認可
案件などではなく、この問題だけが、土地取引を巡る政争という、まるで明治の開拓
使スキャンダル(のミニ版)みたいな形で取り上げられるのは、納得が行きません。
更に言えば、その土地取引というのは「もしかしたら地中の廃棄物というトリックを
使って」値下げされたという悪質性があるのに、その点については「既に買い戻され
た」として、現時点では「文書の改ざん」という話に矮小化されているのにも違和感
があります。

 そうではあるのですが、今回の事件に意義があるのであれば、「忖度」という不思
議な概念が話題になったことです。もっとも、現在の事件の展開というのは、必ずし
も「忖度」というものを徹底的に批判するのではない方向に行っているわけで、それ
はそれで大いに不満であるわけなのですが、少なくとも、この不思議な「忖度」なる
ものが、これだけ話題になったというのは無意味ではないと思います。

 忖度というのは、一体何なのでしょうか?

 それは「非言語コミュニケーション」の変型であると考えることができます。Aと
いうことを望んでいる上司がいて、その上司はAを希望するということは、一切、少
なくとも公的には全く口にしていないにも関わらず、Aの部下は、上司の希望はAだ
という判断、あるいは謎解きを行って、具体的な指示がないのにAが実行される、こ
れが忖度です。

 ですから、忖度というのは部下の一方的な独断ではなく、上司と部下との間に発生
する非言語コミュニケーションということになります。部下が一見独断で行ったこと
が忖度なのではなく、何らかの記号なり暗号なり、あるいは比喩や示唆などでAとい
うメッセージを出した上司と部下の間におけるコミュニケーションが忖度だと考える
ことができますす。

 明言がされていないで非言語のコミュニケーションが成立しているというと、空気
に似ているようにも思われます。ですが、空気と忖度は違います。忖度の背景に空気
があることはあり、多くの場合はそうなのですが、では空気があれば忖度があるのか
というと、それは違うのです。

 空気というのは、いわば「自明の情報、既知であり既に共有化されている情報」は
省略するという非言語コミュニケーションを指します。ずいぶん前に「「関係の空気」
「場の空気」」という本で述べたのですが、日本語の特質として既知の情報は省略し
て良いし、場合によっては省略したほうが「情報の共有確認は強化される」というこ
とがあるわけです。

 例えば、この「森友事件」において、その核心とも言える国有地払い下げの価格決
定の過程では、恐らく近畿財務局の現場では、「産廃テクニック」を使って事実上の
値下げをするかしないか、大いに困ったことが推測されます。その場合に、局内の会
話として、一々「学校法人森友学園の案件」であるとか「豊中市の案件」というので
はなく「例の件」とか「アレ」などと省略、もしくはボカし表現が使われていたと考
えるのが普通でしょう。

 そのように既知情報として省略やボカしが使われる、つまり濃厚な空気があるとい
うことは、忖度が発生する一つの条件と言えるかもしれません。ところで、ここで一
つ気になるのは、近畿財務局の局内では、頭を抱えていた「既知情報」であり、恐ら
くは空気を使っての会話の対象になっていたはずの「豊中市国有地の森友学園への払
い下げ案件」について、これまた「既知情報」であったはずの総理夫人の名前が「文
書の中で省略されることなく」何度も何度も実名で登場したという問題です。

 だからこそ後に「改ざん」が必要になったわけですが、総理夫人の名前については、
既知情報として自明であっただけでなく、下手をすると政治家の贈収賄的な問題に発
展しかねない「微妙な情報」であったわけで、それがオリジナルの文書では何度も記
載されているというのは興味深いと言えます。

 もしかしたら、余りにも異例な措置を講じるので、会計検査院などの検査を恐れて
「正確な経緯を記録しておきたかった」のかもしれませんが、いずれにしても「オリ
ジナルには名前が何度も書かれていて、それが改ざんを招いた」ということは特筆す
べき点だと思います。

 それはともかく、この忖度ですが、空気と似た点があります。それは、やはり非言
語コミュニケーションの一つであり、常識的には言語で行われるべき指示や期待感の
表明が、しばしば省略されるか、あるいは「途切れる」「記録されない」「消される」
といった形で「一部が非言語化される」ということだと思います。

 オリジナルの言葉の意味としては、非社会的な用法、例えば「最近お母さんを亡く
した友人の気持ちを忖度して母の日の話題は避ける」というようなものもありますが、
こちらも同じメカニズムがあります。ここでは友人の母親の訃報に関して積極的に弔
意を述べるのではなく、「母の日の話題を消す」という対応で、友人の心情に配慮す
るという発言、いや発言の忌避が起きているわけです。

 空気の場合は、既知情報が思い切り顕在化しており、だからこそ非言語化すること
で、余計に情報が共有されているという心理が増幅されるわけですが、忖度の場合は、
そのような心理が共有されるのではなく、むしろ心理的な事故を回避するために、一
方の側が一方的にある表現を忌避するということになります。この「母の日」の場合
ですが、友人は母の死という心理的ショックから立ち直りつつある中で、その場では
積極的な弔意を示す局面ではないし、まして「気持ちを逆なでするような母の日の話
題」は忌避するのが無難もしくは誠実という判断があったと推測されます。

 勿論、このように「言語表現の忌避」だけが忖度ではありません。例えば、ものす
ごく「イチゴのショートケーキが好きな」知人があり、その人が急に来るというので、
慌ててショートケーキを用意してもてなすというような場合、つまり積極的に相手の
気持ちを推量して行動するという場合は、もしかしたら昔の用法としては忖度になる
のかもしれませんが、現代の語感としては違うように思われます。

 つまりちょっと陰にこもる語感というのが、忖度にはあるのかもしれません。この
点については、大阪府の松井一郎知事が「良い忖度と悪い忖度がある」という興味深
いスピーチを行っており、その中で「民選の政治家は有権者の意図を忖度して行動す
べき」であり、それは「良い忖度」だというようなことを言っていたようです。確か
に政治家が有権者の意図、特に自分の支持者の意図を推し量って、それを尊重するの
は良いことではあります。

 ですが、この場合は常に忖度していてはダメで、任期途中であっても定期的に有権
者の声を直接聞くべきですし、世論調査やジャナーリズムの反応などを直接受け止め
て行動するのが政治家だと思うのです。静かに隠れたところで、一方的に政治家個人
が有権者の意図を「推測」するだけというのは不十分であり、忖度という言葉の用法
としては積極的には勧められないように思います。

 つまり、丁寧に直接聞けば良いし、刻々と変化する世論にはきめ細かく対応しなく
てはならない政治家にとっては、個人の思い込みでの「有権者への忖度」というのは、
姿勢としては悪くなくても十分ではないということです。つまり「隠れて行う」「一
方的な判断」で「対象との間には分断が」あるということだからです。

 さてこの「一方的」で「分断がある」という問題ですが、忖度というのはそういう
ものだとすると、例えば今回の「森友事件」などのケースでは、それこそ近畿財務局
だけが悪い、彼らが一方的に隠れて行ったことであり、政治家や官邸とは明らかに分
断があったということになります。

 佐川前国税庁長官などは、国会証言において「忖度とは個々の内面の問題」という
「名言(迷言?)」を吐いていましたが、仮にそうしたロジックを認めるとなると、
責任は近畿財務局内だけの問題になってしまいます。

 そうなれば、同様の問題が将来も続くという可能性が残ります。つまり終身雇用制
の官僚組織は組織防衛のために、その時々の政治家の意向を忖度し続けるという極め
て不透明な制度が残って行くということです。そうなると、この種の「汚職に近いグ
レーな行為」というのは根絶できないし、官僚組織としては「上からの暗黙の押し付
け」と「法律」の板挟みという状況に今後も晒されてしまいます。

 こうした状況を防止するには、2つのアプローチがあります。1つは東洋的な考え
方で、こうした「汚職に近いグレーな行為」が発生しないように、権力者には「帝王
学」を徹底的に学習させるとともに、その一環として部下からの「諫言(上司への耳
の痛い忠告)」を行わせるというものです。

 もう1つは、欧米的な契約社会、組織統制の考え方で、決定権限のあるレベルでの
決定は、上位者が覆すことはできないというルールを徹底するという考え方です。実
は、日本の官僚組織にしても、企業内組織にしても、まともな組織であれば、この考
え方はかなり厳格に運用されています。

 今回の事件を教訓に、こうした2つのアプローチで類似の事件の発生を抑えて行く
ことは必要と思われます。更に言えば、今回の「森友」のようなケースでは、どうし
てもこの種の小学校を認可して、しかも教育機関だからと国有地の廉価な払い下げで
支援したいというのであれば、「左派系だろうが、右派系だろうが、他民族系だろう
が」私立学校の認可基準を緩めた上で、公明正大に土地を売るしかないと思います。

 また、官僚組織や企業内組織だけでなく、一般の個人の生活における「忖度」につ
いても、時代が進むにつれて「不適当」になるケースが増えているのではないかと思
います。価値観が多様化した中で、高齢者だから和食が好みだろうとか、女性向けだ
から花柄がいいだろう的な「忖度」を一方的に先回りしても「ハズレ」になる可能性
が増えたからです。

 やや強引な結論になりますが、「忖度」という非言語コミュニケーションは明らか
に弊害があり、個人のレベルでも相当に警戒して使わなくてはならないし、また組織
内での「忖度」というのは、不正の温床となる危険を改めて意識しなくてはならない
ようです。「忖度」のあるところ、まずは警戒モードに入るというのが、現代におけ
る常識なのかもしれません。

 ところで、アメリカの場合はどうかというと、トランプ政権という異端の政治が行
われている中で、例えば「不法移民の摘発」であるとか「ビザ発行の遅滞」といった
具体的な問題が出てきているわけですが、こうした行政の末端における「トランプ流
政策の実施」はどのように行われているのでしょう?

 確かに、不法移民に対する人権無視の摘発は続いています。ビザの発給は前政権時
とは比較にならないほど、遅滞しており、大学における留学生入学数は減少、多国籍
企業における駐在員ビザも「半年待ち」という異常な状態が現出しています。こうし
た状況ですが、何となく、行政組織がホワイトハウスを忖度して行っているイメージ
を持ちがちですが、そうではありません。

 では、例えば国務省などは「政治任用」によって思い切り「トランプ的な人物」が
管理職に任用されているかというと、この点に関しては「半分ノー」であり同時に
「半分イエス」とも言えるのです。

 通常は、民主党政権から共和党政権に政権が変わると、シンクタンクや大学などで
待機していた「共和党系のエリート官僚候補」がドッとワシントンDCに押し寄せて
猟官運動を行い、最終的に落ち着くべき人が落ち着くべきところにポジションを得る
ことになります。

 ところが、トランプ政権の場合は「政権があまりにも異常」なので、自分の経歴に
「キズ」がつくのを恐れて政権入りを拒否する人材が続出しています。ですから、政
治任用ができているかというと「半分ノー」ということになります。では、完全に管
理職ポストは空席なのかというと、それでは組織が回らないので、その下のポジショ
ンの人物などを「代理」として立てることになります。

 そうすると、本来であれば「局長ポスト」などには一生かかっても就任できないよ
うな人材が「局長代理」として権限行使をすることになります。そうなると、判断は
極めて政治的となり、ホワイトハウスの示す原理原則無視の荒っぽい政策が、そのま
ま実行レベルへ向けて指示されることになります。これがアメリカの行政組織の現状
であり、そこには忖度はないと考えられます。ですが、これはこれで大変に困った状
況ではあります。

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冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)
作家(米国ニュージャージー州在住)
1959年東京生まれ。東京大学文学部、コロンビア大学大学院(修士)卒。
著書に『アメリカは本当に「貧困大国」なのか?』『チェンジはどこへ消えたか~オ
ーラをなくしたオバマの試練』『場違いな人~「空気」と「目線」に悩まないコミュ
ニケーション』『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名
門大学の合格基準』『「反米」日本の正体』『トランプ大統領の衝撃』『民主党のア
メリカ 共和党のアメリカ』など多数。またNHK-BS『クールジャパン』の準レギュ
ラーを務める。

近著は『予言するアメリカ 事件と映画にみる超大国の未来』(朝日新書)
http://mag.jmm.co.jp/39/13/298/157606
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JMM [Japan Mail Media]                 No.995 Saturday Edition
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2018年3月29日 07時08分

 学校法人「森友学園」を巡る問題に関し、安倍晋三首相の妻昭恵氏が務めていた会長職などの名誉職が計五十五件だったことが二十八日、分かった。このうち、教育機関の名誉職は「森友学園」の小学校と「加計(かけ)学園」の認可外保育施設の二件で、すでに辞任した。首相が二十八日の参院予算委員会で明らかにした。首相は二十六日の参院予算委では、昭恵氏が務めていた教育機関の名誉職を「あまたの数がある」と説明していたが、二十八日にわずか二件と訂正した。 (清水俊介)

 昭恵氏は、森友学園が開校を予定していた「瑞穂の国記念小学院」の名誉校長と、加計学園が運営する「御影インターナショナルこども園」の名誉園長を務めていた。いずれも両学園を巡る問題が国会で取り上げられた後に辞任している。

 首相は二十六日の答弁で「妻が名誉校長を務めているところがあまたの数あるが、行政に影響を及ぼしたことはない」と説明したが、二十八日には「名誉校長ではなく名誉職。言い間違っていた」と訂正し、教育機関は二つだったと明らかにした。共産党の小池晃氏は「あまたあると言ったが二つで、一つは森友、一つは加計だ」と批判した。

 首相は昭恵氏の名誉職について「もう一度チェックし、すでに辞めたものがあるが、ほとんどの名誉職を辞退することにしている」と説明した。森友学園への国有地売却に関する決裁文書改ざんを巡り、佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官が証人喚問で首相や官邸の指示を否定したことについては「これまでも、書き換えは全く指示していないと申し上げてきた通りだ」と、重ねて自らの関与を否定。佐川氏の証言については「政府は論評を控える。国民の皆さんが判断することだ」と話した。

 改ざんを巡って捜査が進んでいることなどを挙げて「確たるものを得た中で、政府としてけじめをつけていくことは当然だ」とも語り、責任を明確にする考えを示した。内閣総辞職や衆院解散は否定した。

 文書改ざんに関しては、財務省の太田充理財局長が内部調査で改ざんの構図が解明し切れていないと説明した。「複数の人間で相談した可能性もあるし、指示命令(系統)が一本の可能性もある。構図が明らかになっていない」と釈明。改ざんの責任者についても「『私が責任者だ』と普通の人間は言い難い。認定は非常に難しい」と話した。

(東京新聞)



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