まったく気の沈むことだが、英国のニュースでも、ジャパーンVSチャイナの問題が取り上げられ始めた。CH4の夜のニュースでは、英国在住の皆さんにはお馴染みのセピア色の日本軍の映像なども交えながら、「日本はアジア諸国に対する戦争責任の問題をもっと真剣に考えるべし」の、同チャンネルのニュース番組にしては珍しい説教じみた報道内容。
The Times紙が社説で「北京デモの背後に中国政府あり」と書いた、と日本のニュースサイトにあがっていたので、早速オリジナルを読んだが、これ、どっちかっつうとその部分より「小泉は靖国問題を何とかしろ」の方にリキが入ってる感じで、やっぱりねええ、英国人がこういう問題で、日本の後押しするわきゃないじゃないの。と妙に納得。
だって、この人たちも大好きだもの。日本の戦争責任を追及するのが。いわゆるPOW(英軍捕虜)問題よ。98年に天皇とその嫁が訪英した際にも、バッキンガム宮殿へと続く参道(神社じゃないけど)では元POWの方々を中心とする反日キャンペーンが行われ、天皇への激しいブーイングが巻き起こるやら、日本の国旗が燃やされるやらの騒動になったことがある。
が、翌日の日本の新聞では、そうした騒動が、なぜか「両陛下、バッキンガム宮殿で温かな歓迎を受ける」という内容に変化しており、二面で小ニュース扱いをされ、一面トップは松田聖子の結婚関連記事だった。英国の新聞は、全紙が炎上する日本国旗の写真を一面に掲載し、わが愛読紙The Sunなどは、「Japanese, You Bastards」というわかりやすくも過激な見出しで大特集まで組んだにも拘らず、である。当時、某新聞社のロンドン支局にご奉公にあがっていたわたしは、この落差に少なからずショックを受けた。事務所の日本人駐在員記者たちは不機嫌そうにむっつりしており、英国人記者たちは「TYPICAL」と肩をすくめて苦笑していた。
中国の皆さんは、正しい情報を与えられていない。と日本人は口惜しがるが、では、ひるがえって自分たちはどうなのか。なんぼ好き勝手に政府に文句が言えたとしても、ひょっとしたら、その文句を作成するためのネタは、どうでもいいようなものばかりつかまされて、一番肝心なものはわからないしくみになっているかもしれない。
日本の政府関係者が「China is a scary country」とコメントしたとCH4ニュースで報道されていたが、SCARYというこの表現、日本語では何だったんだろう。「中国はこわい国」?それとも、「おそろしい」? どちらにしても、なんで一国の官僚ともあろうものが、このように稚拙な表現を使用して、いたずらに国民感情を盛り上げるような発言をしているの?こうした発言が、実は、国民におよぼす心理的影響を計算して、意図的に発せられた言葉だったとしたら?キツネもキツネなら、タヌキもタヌキ。ってことはよくあるからね。わたしゃ自分で踊るのは大好きだけど、他人に踊らされるのはまっぴら御免である。