2006年02月27日

寒い週末のいろいろ

Dirty Pretty Thing*BBCでスティーヴン・フリアーズ監督の「Dirty Pretty Things」(写真)を観る。ロンドンの不法移民の暗い現実をテーマにしたスリラー。先月やはりBBC2で中国人不法移民のドキュメンタリーをやってたのを思い出した。マンチェスターのチャイニーズ・テイカウェイで英国人のジャージどもに惨殺された中国人青年の話とか、国の娘と父親に送金するために日々危険な不法就労で命を張って生きてるおとっつぁんの話とか。従業員が殺されてもやっぱり店開けて平常通りの営業を続けるんだよ、中国人は。まるで西原理恵子の「ぼくんち」の世界みたいだ。

*「ぼくんち」は110話が何度読んでも物凄いですね。あれは現代文学の作家たちがいまだ到達できない地点につるっと達してしまっている2ページの漫画。あの優しい笑顔の一太くんは、これから人を殺すのです。

*ジョージ・クルーニー監督の「Good Night, and Good Luck」、レビューあげました。聖林ではポリティカルな映画が流行中のようですが、BBC2のNews Nightのクルーニーのインタビューも面白かった。

「米国人が政治に興味を持ち始めたのは9.11の後のこと。それまでは、イスラエルとパレスチナの問題すら知らない人が大半だった。米国には情報の届かない僻地になりがちな一面がある」「昔はニュースソースが少なかったので受け手が自分でニュースを解釈し、自分の意見を考え出すしかなかったが、今はコンサバ、リベラル、ちょっとコンサバなど、すべての趣味趣向に応じた様々なニュースチャンネルが揃っているので、みんな自分の好みのメディアの主張に乗っかるだけで、自分の頭で考えていない」

ところで、英国の監督としては”冬の尻”ことWinterbottom監督が、グアンタナモのドキュ映画「The Road To Guantanamo」でベルリン映画祭で監督賞貰ったみたいで、はやくも”今年の華氏911”の呼び声があがっているようだ。

*ようやく「Capote」を観て来た。いい映画だったな、これは。レビューはまたそのうち。

*最近、体調は悪いし脳調は悪いしどっぷり寒さは厳しいし、どうもすっきりしない日々が続いているんだが、セールで15ポンドのブーツを連合いに買ってもらい、ちょっと元気になる。本当にわたしって安上がりでいい女だよなー。えっ?いい女じゃないから金がかからないんだって?違うよ。いい女ってのは、常日頃は欲しいもんは自分の金で手に入れる女のことだ。

  

Posted by mikako0607jp at 22:27

2006年02月25日

Outside the sh*t-stem is a real SEX PISTOL

http://uk.news.yahoo.com/25022006/325/sex-pistols-turn-hall-fame-honour.html

http://www.thefilthandthefury.co.uk/

別に誰かと語り合うつもりはございませんのでピストルズおよびライドンに関するメイルはお断りさせていただきます。同じことを何度も複数の人に対して書くのは好きでありません。

  
Posted by mikako0607jp at 20:16

2006年02月24日

ヘロイン中毒素人の公開デトックス番組:CH4 Going Cold Turkey

小麦粉だったりする。らしい。金だ銀だと世の中大騒ぎのようですが、わたしが今週寝床の中から注目していたのはCH4の新リアリティー・ショー「Going Cold Turkey」。毎朝9時半と夜11時からという妙な時間帯に放映されていたので見逃された方もおられるかもしれませんが、たいへんに凄絶な番組でした。

3人のヘロイン中毒の素人さんを、公開クリニックの中で解毒させる模様をそれぞれの病室やバスルームの中に設置したカメラで「Big Brother」風に追うという、なんとも物凄い企画で、たまに医学専門家からの解説とかが入り、Detox 5と呼ばれる薬物中毒解毒プログラムでどのような治療が行われるのかが生身の人間の反応を通して観察できる。

昔から、映画なんかでヘロイン中毒者が解毒する時の模様って、布団かぶってブルブル震えてたり、だらだら汗かきながら幻覚をみてたり、どうもこう劇的で、見方によっては格好よかったりすることが多いわけですが、この番組を観て、実際の解毒はそんな人様に見せられるようなプロセスではないことがよくわかった。なにしろ、ゲロと下痢が止まらないんだもの。エンドレス。ほんでまた、汚らしい布巻き(腸風の色で)の中にリアリスティックな色の粘土を入れてぐちゅぐちゅひねって出したりして、どうして下痢が止まらなくなっているのかの医学的な説明が丁寧に行われるもんだから視聴者としてはもう嘔吐感で涙ぐんでしまう。

若い姉ちゃんがさあ、そのうちパジャマのズボンを脱いだりトイレにまたがったりすることも面倒になって、下半身パンツ一丁で、黄緑色のゲロと黄土色の下痢が一面に広がったシーツの上にどろどろに汚れてぼんやり転がってる姿。あれを見てヘロインやりたいと思うやつはいないと思うよ。あれは公開番組だからすぐ看護婦が走って来てシーツ取り替えたりしてくれるけど、実際のクリニックだと、きっとあんな状態で何時間も放っておかれるんだと思うし。紙おむつとかされちゃうのかもしれない。

ヘロインにしたってさ、芸能人だの金持ちのドラ娘ドラ息子だの年収数千万円、数億円の人とかだと純度の高いモノホンが買えるわけだけど、今回の番組に参加した素人さんたちみたいな庶民だと、変なもんの入った混ざり物しか買えないわけじゃん。ほんで、何が混入している場合が多いかっていう説明もあったんだけど、小麦粉って・・・。収入をすべて使って自分の体に小麦粉打ち込んで、しまいにはゲロ下痢まみれになんないとやめられないなんて。自分の生涯をかけてコメディやってみるのもそりゃ一つの生き方だけれども、この場合にはコメディにもならない低脳さが漂っている。

わたしも若い頃はいろんな悪さをやってみたけれども、注射にだけは手を出さないでよかったと思う。男でも煙草でも酒でもその他の吸い物、服用物でも、ずるずる中毒しやすい自分の性質がよくわかっているだけに心からそう思った。もっと視聴者がTVを観てる時間帯に流すべきだな、ああいう番組は。

  
Posted by mikako0607jp at 21:38

2006年02月21日

BAFTA(英アカデミー賞)所感、博多弁など。

順調に育ってるみたいね。*さて、日曜の晩は我が家もBAFTA(英国アカデミー賞)を見てましたが、結果はこちらの通り。英国映画の「The Constant Gardener(ナイロビの蜂)」が賞を総なめにするだろう。の前評判を大きく裏切り、「ブロークバック・マウンテン」旋風がここでも。

んが、「ブロークバック・・・」のアン・リー監督って、これまでも英アカデミー賞のBABYみたいな存在だったのであり、彼は2001年にも「Crouching Tiger, Hidden Dragon(グリーン・デスティニー。だっけ?)」で英アカデミー賞の最優秀監督賞を貰っており、1995年には「Sense and Sensibility(いつか晴れた日に)」で最優秀作品賞も貰っているという、いわば英アカデミー賞の常連。受賞スピーチでも、「Thank you, BAFTA, again」「どうして英国の人々が僕をこんなに理解してくれるんだろう、と考えた時、僕たちは揃って”fool”だから。という理由ではなければいいと思ってるんですが」などとジョークをとばして場内の笑いを誘っていた。

逆に、「The Constant Gardener(ナイロビの蜂)」の監督が英国人だったら。或いは、英国アカデミー賞と馴染みの深い監督だったら、どうなっていただろうな。という疑問は残る。なにしろ地味な秀作といった感じの映画であり、米国で賞を獲るような作品ではないので、もうちょっと何かあげても良かったんじゃないかと思わなくもない。完全に肩すかしをくらったという感じの表情で座っていたレイフ・ファインズ、そこはかとなく笑顔が曇っていた妊婦レイチェル・ワ(ヴァ)イズ(写真。順調に育ってるよ、腹も胸も)の表情が今年は印象的だった。

*体調不良で、寝たり起きたりする合間に仕事してました。おかげで先日Y.Sさまに施していただいた書籍の数々、完全に読破いたしました。どれも面白かったです。感想などはまたボチボチ(と言うときは本気でボチボチ。最近の傾向として)。

*MovieWalkerのezaki編集長より、いきなり”吉本興業は華丸を推している!”のメイルが。「細かすぎて伝わらないもモノマネ選手権 全国大会スペシャル」に引き続き、「R-1グランプリ2006」も制して、勢いに乗ってるらしい。なんつーかこう、彼ら(一応、大吉っつぁんも含んでみる)を見ていて思うのは”続けてりゃ何とかなる”ってことは、本当にあるっちゃね。ということ。

で、最近知ったんだが、日本では方言ブームのようなものが起こって久しいそうなので、なるほどそれでやたらとこう、西洋から見たジャパネスク。にも似たあやしげな博多弁もどきの言語を使用する人々が出現しているのかと思っていたんだけれども、この波に乗って、華ちゃん大ちゃんにも一気に本業の博多弁漫才で開花して欲しいところである。

http://www.sanspo.com/geino/top/gt200602/gt2006022002.html

*博多弁といえば、Y.Sさまから戴いた絲山秋子の「逃亡くそたわけ」。面白かったんですが、あげなコテコテの博多弁を喋る姉ちゃんはいまどきの福岡にはおりまっせんばい。ありゃ、それこそ華丸やら栗の助(ローカルの方はおわかりですね)の博多弁に近かもんがある。ばってんあげな博多弁の使用はなかなかに有効やね。と思いました。ありゃ町田の「告白」の河内弁に通じるもんがある。標準語では陳腐でべちゃべちゃになるけど方言だとおかしみが出せる世界ってのは、確かにあるけんね。

昔から「博多弁はほのぼのしている」だの「女の子の博多弁は”・・・しとうと?”とか言ってカワイイ」だの言う方々に腐るほどお会いいたしましたが、実際に現地で喋られている博多弁というのはけっこう暴力的で勢いがあってミソもクソもない。という点をよく把握しておられると思いました。絲山氏は。彼女のサイトはよく覗かせていただいてるんですが、ウェブ上で「私は天才だ宣言」をして本当に作家になっちゃったんですね、この人。etc.のページが面白い。福岡についてのエッセイなんか読んでると、つい帰りとうなってくるとよ、アタキも。

  
Posted by mikako0607jp at 22:58

2006年02月17日

ジョニーはジョニーでも。

American Vol.3*キャッシュの方が今年はわたしの中で一大リバイバルを見せているわけですが、ジョニー・キャッシュは、ブライトン&ホーブ市民であるニック・ケイブ氏のヒーローだった御仁でもあり、ニックは「Kicking Against The Pricks」でも数曲コピーなさっておられるし、後年になると、想像しただけでも低くて濃い(実は非常に渋いんだけどね)デュエットなどもしておられます。

ですが、未聴の方にわたしが強くお勧めしたいのは、ジョニー・キャッシュの「American Vol.3」収録の「Mercy Seat」。ニック・ケイブが歌うオリジナルの緊迫感もいいですが、優麗なるピアノ伴奏の上でのたくる黒蛇のようなジョニーのヴォーカルは圧巻。物凄いコピーです。

というわけで、「Walk the Line」のレビュー、あげました

*体と家の調子が絶不調。先週はテレビがぶち壊れ、三人目のエンジニアでやっとなおったかと思うと、今度はトイレのタンクが壊れて一階は床上浸水状態。英国にお住まいの経験のある方は嫌というほどご存知でしょうが、なぜにこの国ってのはこんなに様々のものがチャチな造りなのか。トイレのタンクに流れ込む水が止まらなくなってタンクの上から水がザバザバ溢れ続けるなんてホラーな光景、日本ではまず目にすることもないだろう。

と云うわけで朝っぱらから泣きながらプラマーに電話し、彼の指示に従ってあれこれやってみたんだけど、結局我が家の場合は家の給水システムそのものを停止しないとトイレのタンクに流れ込む水も止まらないことが判明。明日プラマーが来るまで、水も出なきゃ暖房も使えないの。ははははは。よくある話よね。

寒いのはコート着て手袋して腹の上に猫どもを載せてればどうにかなるんだけど、こんな時に限って隣家は無人だし、あまり親しくない近所のお宅に「大便させてください」って訪ねて行くのも何だから、いざとなったら30分歩いて近くのスーパーに行くっきゃないかしら。と思うにつけ、便秘にもメリットのあったことを思い知る。38度も熱があるのに、今年で41歳になるのに、なんでいつまでもこんな生活しなきゃなんないのかしら。と思うと、ふと弱気になったりするんだけど、ぐじゃぐじゃ己の体調やクソの始末を心配しとる暇があったら働かんければ年貢が納められんのじゃ、民百姓は。ふん。何がサムライ・スピリットじゃ。そんなエリート様みたいな気取ったことぬかしとって、大地を這うようなブラジルのサンバ・サッカーに勝てるか。民百姓のエナジーと盆踊りの狂熱のビートで行け。それが日本の心たい。

  
Posted by mikako0607jp at 20:56

2006年02月11日

Y汁論

どいつもこいつもそうなのか。先週末の新聞で一番気になったのは4日付The Independent紙の「日本のプリンセス・マサコ、離婚を希望」の記事で、海外ニュースのトップ扱いだった。記事のオチはYAGIとか云う学者の「雅子妃に皇室からお下がりいただけば、多くの問題が解決するのは確かだ」とか云う、わらわも謹んで遺憾の意を表明させていただきたくなるようなボロックスなお言葉だったわけだが、こういうのが国際面トップになるってのが、「日本ってやっぱり」のノリなんだろうなと思うとまた癪に触った。母ちゃんの出ベソは、自分で吹聴して回る分にはいいが、他人から指摘されると腹が立つと云うあの心理である。

そんなこんなで週末から軽く立腹させていただいていると、今度は次男の嫁が孕んだとかで、一気にこちらでもそのニュースが報道された。そもそも故国の皇室などにはまったく興味のないわたしではあるが、ネット上でいろいろ検索してみれば、何やら日の出ずる国のプチ大日本帝国主義者の方々の間ではY染色体論などと云う議論すら持ち上がっていたという。

昔はわが故国でも、「行為中に女がいくと男の子が出来、いかないと女の子が出来る」というものをはじめとし、男女産み分けに関する様々な蛮論が存在したが、この21世紀にそのようなことを言い出す輩はおらないはずであり、子供の性別を決めるのがひとえに男のザーメンであることは、もはや隣家の息子のようなちっとも学校に行かないガキでさえ知っている事実である。つまり、女性の卵子には常にX染色体しか含まれておらず、男性のザーメンにはX染色体を含むX汁とY染色体を含むY汁とがあり、卵子がX汁で受精すれば女の子が、Y汁で受精すれば男の子が出来るのである。

と、このプロセスを冷静に考えてみれば、なんぼ男子の産めぬ女体にお下がりいただいて若い女体をお迎えあそばされたところで、殿下がY汁をしっかりお飛ばしになって卵子との受精を実現しない限り男のガキはお出来にならないのであり、男系維持を叫ぶのであれば、Y染色体をどうこうする前にY汁の重要性に目を向けなければならない。聞いた話では、X汁とY汁の重さには差があるので両汁の分離は可能とか。であれば、天皇家の男性がたに日々WANKにお励みいただき、大量の天皇家Y汁を分離して、然るべき女性たちの卵子との受精を地道に繰り返していけば、そのうち男子のお世継ぎの御生誕が相成り、尊き現人神の御神体、いやY染色体が保存あそばされつかまつるのである。この方法ならば、”離婚””再婚”などでドロドロする必要もなく、”側室”を設けてアラブ諸国にいらぬ親近感を抱かれる必要もない。

そのためには、くだんのY染色体論をお唱えになったという皇族の一員にも、市井のバカタレですら「ひょっとしてアホであらせられるんじゃないかしら」と訝ってしまうような屁理屈はおぬかしにならず、もっとリアリスティックな視点に立っていただき、「いざとなったら私も擦ります」の当事者意識を持って、その際に具合のよろしそうなビデオ、写真雑誌の収集から始めていただきたいと思う。

  
Posted by mikako0607jp at 03:29

2006年02月06日

BBC1 Johnny Cash:the Latest Great American Hero

ジョニーとジューンジョニー・キャッシュの伝記映画「ウォーク・ザ・ライン〜君につづく道」が英国でも先週末から全国公開されており、それに合わせてBBC1が以前放映されたジョニー・キャッシュのドキュメンタリーを再放送してくれた。

ジョニー・キャッシュといえば、わたしにとってはある意味ジョン・ライドンよりも感傷的アタッチメントはあるかもしれず、それというのも、むかーしむかしに気狂いするほど好きになった男を通じてジョニー・キャッシュを知ったからであり、その男もやはりジョンという名前だったのでジョニーと呼ばれていたが、今の連合いの名前はジョンではない。そういうもんである。

今回の映画はジョニー・キャッシュとジューン・カーター・キャッシュ夫妻が、互いに別の相手と結婚していたのに出会って恋に落ち、それから十数年ぐらいのところまでが描かれているらしいが、この二人は2003年に亡くなるまで(ジューンが5月に亡くなり、9月に後を追うようにしてジョニーも71歳で亡くなった)一緒だったのであり(写真)、ジョニーと前妻との間の子供たちでさえ「35年間のExtraordinaryな結婚生活だった」と言うような、”おしどり”と呼ぶのも何か失礼に感じるほどの異例の絆でつながっていたという。

番組で一番印象に残ったのは、シェリル・クロウの言葉。「人々は、ジョニーがジューンに愛され、支えられたと語りがちだけれども、自分がどんな状況になってもジョニーが自分のそばにいてくれて、どんな時でも変わらず愛してくれると確信できたからこそやって行けたのは、ジューンのほうだった」。こっちのほうが本当だろうとわたしも思う。揺らがない女の背後には、やはり揺るがない男の愛があるもんなのよ。

さらに、番組の最後にはお約束のようにジョニーのHurt(2003年)のビデオが流れたわけだが、このビデオは英国でベスト・ミュージック・ビデオTOP50だのTOP100だのいう番組があるときには必ず上位に食い込んでおり、中年ミュージシャンの面々が「ブリリアントだ・・・」か何かコメントしながら瞳を充血させているのが常であるが、未見の方はこちらから是非見ていただきたい。自分の死を予感していたジョニーが、自分で自分のキャリアに幕を引いたかのような凄絶なビデオである。

このビデオが完成した折、ジョニーの子供全員にサンプル・テープが送付されたらしい。ジョニーの娘の一人が「その日の朝、姉から電話がかかってきて”Be careful”と言われた」と語っていたのも印象的だった。「あのビデオには、父だけではなく、私たちの人生もあった。涙が出て止まらなかった」そうだが、自分の親父のこんな記録を保存できる子供たちってのはなんて幸福なんだろう。

追記:巨匠ウディ・アレンのMatch Pointの映画レビュー、あげました

  
Posted by mikako0607jp at 23:56

2006年02月02日

施していただいた本を読む。

淡々と、いい本です。*金が無くて本が買えない。などとうっかり書いてしまったところ、ロンドン出張の折にわざわざブライトンまで来てくださって何冊も書籍をお恵みくださった御仁あり。わたしとしたことが、いつの間にやらブロガーどころかベガーになり果ててしまっていたのか。と複雑な想いもいたしましたが、楽しいひとときを過ごさせていただきました。Y.Sさま。どうもありがとうございました。

*というわけで、まずは「Brokeback Mountain」の原作を読ませていただきました。こんなに短かったのか。が第一印象。こんな短い話をあそこまで膨らませた脚本家もえらいもんだと感心しましたが、その拍子抜けるほど短い原作が実にブリリアントでした。

淡々と、閉塞感があって、寂しい。寂しいんです、なんか全体的に。それも、「あなたがここにいてくれたら私の寂しさは埋まる」みたいな口説き文句ちっくな軟弱な孤独じゃなくて、人間はひとり。どこまでもひとり。愛しても、愛されても、ひとりで生まれて死んでゆく。みたいな鋼のように確固とした人間の孤独。それが静かに、短く、とつとつと語られていて。自分自身の意志で、自分の生きたいように生きなかったEnnisの人生のビターさ。それが、原作のつれないほどに簡潔な描写のほうがじわじわ伝わって、大変な秀作だと思いました。

この原作も「ゲイ文学」として書かれたものではないし、映画のほうも「ゲイ映画」として観られるべきではないと思います。米国の方々から、ゲイの映画ということで一緒に観にいってくれる人がいない、とか、突然この映画の上映をキャンセルした映画館のオーナーがいる、みたいな話を伺うたびに、米国はやっぱり保守的なんだなーとびっくりするわけですが、英国はその点ゲイ慣れしてるっていうか、わたしたちが観に行ったときも観客の殆どが男女カップル(それも若年から老年まで幅広く)で、今さらながら英国社会の”Tolerance”というやつに驚かされました。英国人から「英国の何が好きだ?」と訊かれたときに、わたしがいつも答えるのは「Tolerance」なんですが、こういうところが好きだからわたしは英国に住んでるんだろうなあと思います。

*スピルバーグ「Munich」の映画レビュー、あげてます

  
Posted by mikako0607jp at 22:15