2011年05月02日

頑張れ日本。の噴出

震災後の我が祖国の知識人・著名人のブログなどを読んでいて気になったのが、妙に「祈り」「供養」等の記述が増えていることであった。

なんかこう、これはまた違った形での、神戸地震&オウム真理教で盛り上がったあの時代の再来ではないのか。と思えて仕方がないのだが、そういえば、東京シティーのガヴァナーの天罰発言などもよく考えてみればレリジャスで、しかも、わたし自身の伯父が似たようなことを言ってたというおまけが付いていた。
「日本人っていうのは、ずっとおかしくなってきてたからね。やっぱり、罰が当たったのかなあと、おいちゃんなんかは思うね」
博多出身のくせにすっかり寅さんみたいな喋り方になった60代後半の関東在住の伯父はそう言った。どうもこの天罰コンセプトは、ある年齢から上の世代の人々のコンセンサスだったのではないか。北野武も同様のことを言っていたようだし。

罰が当たる。天罰が下る。
という発言は、被災者への配慮が無さ過ぎるということでナンセンスとされたが、もっと「神的」レベルで言えば、こんなところに神様をもってきて勝手に物語の主人公になるな。ということだろう。

天の神様が罰を与える。というのは、ある種の主人公(ヒーロー、ヒロイン)イズムに基づく物の見方だ。世界中を見渡しておられる忙しい神様が、なぜに日本(という人の集まり)だけを注視するだろう。なぜに日本(という人の集まり)だけにお怒りになられ、わざわざ罰を下すなどして、もっと良い国になれるよう助けたりするのであろうか。

天罰。という言葉には「ヒーローは俺。ヒロインは私。世界の中心はここ」みたいな自己チュー浪漫主義がまぶされている気がしてならず、わたしにはそのことが一番気色悪い。

大地震。
は日本の国土がそういう事態が勃発しがちな場所に位置しているから起きたのであり、
原発事故。
はそういう場所に位置する国のくせに、そうした事実を真剣に考えてエネルギー計画を立てたり、運営したりしていなかったために起きたのである。

ならば、これは「罰」などではなく、「リアリティーを見据えて国家(という人の集まり)をデザイン&構築しなかったために、失敗した」というだけの話であり、何もそこにゴッドなどという人智を超えたものを持ち出さなくとも、
「天罰が下りた」のではなく、
「アホだったのでやりかぶった」だけの話ではないか。

ミステイク。というより、天罰。のほうが言葉的にはずっとグラマラスなので、そういう詩的な言葉で自らの苦境に対する意味づけを行いたくなる気持ちはわかる。が、ここは国家(という人の集まり)全体で、宗教的じゃない理由づけをしたほうが、将来的にはプラクティカルに優れた国(という人の集まり)のデザイン&システム構築ができるだろう。

などと書くと、無神論者のような響きがするが、実のところ、わたしは(カトリック教会はそうでもないが)ジーザス・クライストという人の生涯ファンである。

泣く人は幸いである。
と、例えば、彼は言った。

これは、泣く人は選ばれた民だからだ。という解釈もできるし、
泣く人は謙虚なので神の声がよく聞こえるからだ。という解釈もできる。
が、
泣く人は今後しくじらないように自分で賢くなるからだ。という現実的解釈もできる。

主人公は、わたしとかあなたとか日本とかではないのだ。
だからこそ、よその国では竜巻で人が死んだり、ちゃらちゃらとロイヤルウェディングが行われたり、NATOが空爆していたりする。

だだっ広い世界においては、誰もが脇役に過ぎないのだから、みだりに神の名を持ち出さず、自分たちのミステイクは自分たちで淡々と始末しようぜ。
といった醒めた脇役主義こそが、真に神を畏れるということだろう。

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ウィリアム王子挙式の当日、バッキンガム宮殿に詰めかけた大勢の人々のかなり前列の目立つところに、ユニオンジャックの旗に混じって日の丸の旗があり、「頑張れ日本」の手書き文字が書かれていた。

ゲイ街のストリートパーティーに招かれ、ロイヤルウェディング中継を見ながら飲んでいたわたしの酔いが一気に醒めた瞬間であった(ゲイという人々にはリベラルなイメージがあるが、実は王室大好きの人々が結構おり、ブライトンのゲイ街は大盛り上がりであった。それは王室に仕える職業の人々にゲイが多い(eg. ポール・バレル)という背景もあるらしい)。

あの旗を握っていたのが日本人だったのか、非日本人だったのかは知らない。
誰が握っていたにせよ、あの日の丸は醜悪であった。
なぜなら、あんなところで日本を世界の中心として愛を叫ばれても困るからだ。

目立つところで日本支援を訴えればより多くのグローバルサポートが得られる、というのが狙いだったとすれば、それは真逆の効果を生み出すことになっただろうし、あれは同国人からすれば目を覆いたくなるような一方的浪漫主義であった。

我が祖国のグローバルな風評を悪くするものがあるとすれば、それは放射能汚染というより、ああいう突拍子もない「頑張れ日本」の噴出だ。

  

Posted by mikako0607jp at 12:56TrackBack(0)