2005年07月30日

町田康とFay Weldon。単なる名前の並列、でもない。

Wicked Women町田康「浄土」読了。なぜかは知らねど途中で何度か寝ました。「告白」ほどは没入できなかった。まあ、「告白」は特別な作品だったと思いますが。読了後、唐突に筒井康隆の「笑うな」が読み返したくなった。そしてもう一冊、思い出したのがFay Weldonの「Wicked Women」。

彼女は英国の大御所作家であり、ベストセラーばっかり書いている(映画「She-Devil」の原作など)のに、何故か邦訳が非常に少ない。女の意地悪さ、いやらしさをブラックジョークを交えつつ余すとこなく描くのが得意なんだけれども、それと同時に女のかなしさ、バカタレさなんてのもクールに風刺するのが上手い人で、同性としては読むのが辛い小説もある(「Worst Fears」とか特に。でもマゾヒスティックな笑いを好む人は好きだと思います。って、わたしもそうだから読んでるんだけど)。が、この短編集「Wicked Women」はぴりっと小粒なだけに「辛い度」が低くてサラリサラリと読め、二ヤリニヤリと笑える。

こういう女流作家って、現代の日本にもいるんだろうか?向田邦子なんかがチラチラ見せていた部分ではあるんだけども、ここまでユーモラスかつ冷徹かつシニカルに女のいやらしさを全面的に書けるWicked Female Writerは、日本人ではちょっと思い浮かばないんですけど。日本では、(それでもまだ夢をみていたい)男性たちに敬遠されるからかなあ。で、そうなると女性も読まないんですよね。男に好かれるための参考にならないので。だから彼女の作品は邦訳があんまり出てないのかもしれません。

追記:「浄土」収録の「ギャオスの話」は、「やっぱり猫が好き」の恩田三姉妹が東京湾に出現した怪獣をTVで見て大騒ぎしているエピソードを思い出しました。あのエピソードはジャパニーズ・コメディの大傑作です(ここでわが妹様も頷いておられるはず)。

追記2:当サイトを覗かれている方々にも町田好きは多いようで、なぜに彼がこのように幅広い年齢層にアピールするのか考えてたんですが。彼は「駄目人間」を書く作家などと言われていた頃もあったようですが、実は全然そうじゃないから。じゃないでしょうか。

知識豊富な人々にありがちな「これはこうだということを自分は知っているんだ。バカにはわかんないだろうけど」みたいな、今いくよ・くるよのいくよの首に立った筋みたいにくるしげな自信じゃなくて、「俺こそがバカだ」と言いきれる強靭なSelf-beliefが、彼自身とその作品から匂いたつから。じゃないでしょうか。これは自虐・卑下とか云うようなものとは正反対の性質のものであり、謙遜と云うのも勘違いだと思います。で、その強靭なものがないと、「一見自虐的でダークな笑い」は成功しないんだろうな。と云うことを、町田はんとWeldon女史の本を読むたびに感じます。

と云うわけで、単なる名前の並列じゃなかったのよ。に辿り着いたところでもう寝ます。



Posted by mikako0607jp at 06:06│ BOOK