2018年02月24日

人類の遥かなる旅路

 人類学者アリス・ロバーツ氏の「人類20万年遥かなる旅路」を読みました。若き人類学者としてイギリスの科学テレビ番組でも人気の著者は、現生人類がアフリカに発祥して、全世界に拡散していった過程を、実際に取材し、それが実際どのような旅路であったのか、なぜ現生人類は「旅」したのか、その謎の確信に迫ります。
 現生人類は20万年前にアフリカに残った集団から地球全体に広がったということが遺伝子研究から明らかになっています。
 それはミトコンドリア内のDNAと、核内のDNAの変異の速度の違いから、単一の現生人類の種だけが地球全体に広がっていったということがわかりました。
 それはアフリカから出発して、アジアに渡り、インドの海岸線を周り、オーストラリアをけいゆうし、ヨーロッパを北上し、シベリアを通過し、アメリカ大陸のたどり着きました。なんとも壮大なグレートジャーニーです。
 そしてそれは地図があるわけでもなく、私たちの祖先はどこかを目指していたわけでななかったということが何とも不思議な気がします。 
 現生人類は8万5000年以降にアフリカで誕生し、それから急速に広がっていき、6万年前から5万年前にはすでにオーストラリアまで達していました。
 ほぼ徒歩での旅でなぜそれが可能だったかというと、当時は海水位が現在より40メートルひくく、ボルネオ島、スマトラ島、ジャワ島・バリ島は本土とつながっていてて広大な亜大陸「スンダ大陸」を形成していたからです。そしてオーストラリアは「サフル大陸」を形成していました。そのため、最終的には海を渡らなければならず、その距離は70キロ以上にも及びました。つまり、当時の現生人類は、79キロの海路を行う船舶技術を持っていたということです。
 またロバーツ氏は、現生人類がたどり着いた最北端、極寒のシベリアを旅しますが、マイナス30度を超える極寒での暮らしは、現在のエネルギー進歩によって一応可能になっていますが、当時このような技術のない現生人類はどのようにして暮らすことが可能だったのか不思議に思います。ロバーツ氏はそれを可能にしたのは、家畜としていたトナカイによるものであると推測しています。トナカイが与える高エネルギーの脂肪や、毛皮などが、人類を極寒の地の生活を支えるものであったろうと。
 現生人類が当時氷河期で海面が陸続きであったベーリング海を渡ってアメリカ大陸に渡ったのは、2万年〜1万6000年前だとわかっています。そして南北アメリカを縦断し、南アメリカの最先端にまで達して、グレートジャーニーは終わりました。
 このような現生人類の旅を支えたのは、現生人類が持つ、創意工夫、順応性、発明の才であるとロバーツ氏は考えます。
 そしてそれに加えて、きっと人類の遺伝子の中には、冒険を好む、未知のものへの好奇心が強いものが、長い旅の中で淘汰されてきたのではないかと、壮大な祖先の旅に思いをはせました。

miki00011 at 04:05|PermalinkComments(0)

2018年02月23日

アメリカの反知性主義の温床

 森本あんり氏の「反知性主義」を読みました。
 ブッシュ→トランプ大統領の系譜は、アメリカの反知性主義の象徴と他の世界中からとらえられていますが、アメリカの反知性主義とは何か。その土壌となっているアメリカの福音主義の成り立ちと、それを支える思想から紐解いています。
 森本氏はアメリカの反知性主義は、知性に対する反発ではなく、知性が権威と結びつくことへの反発であるといいます。アメリカの反知性主義は、知性に対してはむしろ重んじ、敬意を持っていますが、それを権威として振りかざすことに反発する民衆の精神的ムーブメント、アメリカンスピリッチュアルであると。
 アメリカの反知性主義を支える土壌は、その建国の起源にさかのぼるリバイバリズム(信仰復興運動)を源流とするエバンジェリカル(福音主義)にあると森本氏はいいます。
 リバイバリズムとは、ヨーロッパの権力と結びついた腐敗し硬直したキリスト教とは独立した、神と個人が聖書という神の言葉によって直接結びつくというキリスト教のラジカル派です。その教えの根底には、もともとキリスト教にある「契約神学」−神の一方的で無条件の恵みを人間が感謝によって受け止める信者当事者のコミットメントをさすのに対して、アメリカにおいては神と人間が双方お互いが履行すべき義務を負う、対等なギブアンドテイクの互恵関係へと理解されなおし、「ご利益宗教」であるところにアメリカのキリスト教の土着化があります。
 そのような宗教的な教えが、アメリカの精神の二分法ー明瞭に善悪をわける道徳主義、生硬で尊大な使命意識、揺らぐことのない正当の自認、実験と体験を首とする行動主義、世俗的であからさまな実利志向、成功と繁栄の自己慶賀ーを生み出す温床となっていきました。
 このように反知性主義は宗教的確信に根差した、ラディカルな平等間に端を発して、神の前では学のある者も無い者もみな平等である、いや、無い者こそが、神の恩恵を受けやすい存在であるという反転した知性偏重の考え方に至るようになりました。
 そして信仰と道徳はほとんど同義語であり、アメリカ人の精神には、このような反知性主義が道徳的倫理観を帯びて深く浸透しています。
 現在のアメリカという現象を理解するために、彼らの精神の温床にあるこのような反知性主義を知ることが必要だと痛感しました。

miki00011 at 04:06|PermalinkComments(0)

2018年02月22日

恐竜が教えてくれること

 夏休みこども科学相談の恐竜部門回答者で恐竜博士の小林快次氏の「恐竜は滅んでいない」を読みました。氏は北海道むかわ町にハドロサウルスの一種、全長8メートル、体重7トンの「むかわ竜」を発掘し、日本にも恐竜が存在したことを明らかにした日本の恐竜研究一人者です。ラジオでのこどもたちの質問への受けごたえの真摯さと熱血さに、本当に恐竜が心底好きなことが感じられます。
 なぜ恐竜を研究するのか。その意義は何か。
 氏は、恐竜の化石を通じて、過去を見つめ、未来を見渡すことが可能になるからだといいます。絶滅した恐竜と、わたしたちを含め、今、生きている生物とのつながりがよく見えてくるからです。
 そして恐竜研究は、今現在わたしたちが直面している喫緊の課題を説くためのヒントを与えてくれる可能性があるからだと、小林氏はその意義をいいます。
 それは現在進行形で起きているのは、人為的な生態系の破壊による大量絶滅の危機です。大量絶滅の恐ろしさは生態系への決定的なダメージを与えることです。生物は単純な食物連鎖ではなく、互いに影響を及ぼしあう、より複雑なネットワーク関係を築いています。そのため急激な大量絶滅で生物の多様性が一気に失われると、地球のあり方が根底から覆される恐れがあります。
 恐竜の絶滅を含め、地球上の生物は過去6回の大量絶滅の危機を経てきました。
 恐竜が生態系の主流に躍り出たのは2億1600万年前で、三畳紀とジュラ紀の境界で4回目の大量絶滅が引き起こされた後です。そして6600年前の白亜紀の終わりの大量絶滅で絶滅しました。
 この原因として、現在ではユカタン半島に巨大小天体が引き金となった気象変動が主要因と考えられていますが、小林氏はそれに加えて、それ以前に恐竜の大型化により、支配的な恐竜が多くを占め、多様性が失われていたために、大きな環境変動に対する耐性が失われていたからだと考えます。
 恐竜の大型化には、安全性、広範な移動が可能になり食べ物と交配相手を探すのに優位であるというメリットがあり、どんどん大型化が進んできたようですが、そのためのデメリットとしては、より多くの食物を食べなければならなくなり、ある種で恐竜の特徴的な形である首が長くなりました。そのために、口内消化ができなくなったため、食べ物を丸呑みしなければならなくなり、消化管は、栄養をできるだけ多く吸収するために、体くうを大きくする必要が生まれ、巨大化が益々進んでいきました。
 そしてその巨大化した体のすみずみまで酸素を送り込むために、肺に加えて気のうという換気のためのシステムが発達していました。
 恐竜の化石発掘は、運と根気と情熱が必要だと、小林氏の恐竜発掘のエピソードからも知りました。そのような苦労をしても恐竜にかける情熱は何か。それは「化石という物体を思考材料として哲学」することのだいご味であると氏はいいます。
 恐竜の化石が現代の私たちに教えてくれるものを聞き取りたいと思いました。

miki00011 at 04:08|PermalinkComments(0)

2018年02月21日

影響力とは何か

 ロバート・チャルディーニ氏の「影響力の武器」を再読しました。
 チャルディーニ氏は社会心理学者として、人々に与える影響力の強さを研究しています。
 影響力とは何か。
 それは人の態度や行動を変化させる心理的な力であると定義されます。
 氏は、影響力をその働きの性質から6つの基本的なカテゴリーに分類します。
1.返報性
2.一貫性(コミットメント)
3.社会的証明
4.好意
5.権威
6.希少性
 それぞれは影響力に特徴的に影響する要素となり、それらを受け取った者に自動的な行動を促す作用があります。それぞれは価値中立な要素ですが、影響力の性質上、それを与える者が支配的な力を手にしたときに、その自動的な反応により、与えられたものの、自由を制限する力となる可能性があります。
 1.返報性のルールとは、他者がら何かを与えられたら、自分も同様に与えるように努めること
 その特徴は、「最初に」です。影響力を与える相手に対して、「最初」に、モノや譲歩を与えることによって、相手に「借り」をつくることによって、相手に影響を与えていきます。

 2.一貫性(コミットメント)の要素は
 一貫性を持つことによって、社会における自己イメージや将来における一貫した行動に影響を与えます。それは行動を含み、公衆の目にさらし、努力を要し、自分の意志で選んだように感じられることによって、自己の行動を束縛する影響を与えます。

 3.社会的証明は、他人の模倣をすることです。人は状況が不確かか、もしくは類似性の高いときに、それの大きな影響を受けます。
 4.好意は、人は好意を感じている知人に対してイエスという傾向があります。好意に影響する要因は、身体的魅力、類似性、称賛、親密性などです。
 5.権威は、本当の権威者は優れた知識と力をもっているのが普通なので、そうした人の命令に従うことは適応的な行為であることが多いことからきました。しかし、権威者に対して自動的に反応する場合、その実体にではなく、権威の単なるシンボルに反応してしまう危険性があります。
 6.希少性は、人は機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす傾向があることから生まれます。特に、自由、権利、コントロールといった問題に対して、制限されることにとりわけ敏感になります。
 それら影響力に影響する要素は、適応的な行為として私たちの行動の土台となっています。社会的な動物である私たち人間は、そのような影響力によって、集団生活を維持し生き残ってきました。
 しかし、影響力を与える者と与えられる者の関係のバランスは危うい均衡によって成り立っているということを十分自覚することが大切だと氏はいいます。そしてそれは身体的なサインとして私たちにしばしば知らせてくれると。
 影響力に対して自覚的になり、完全にその主導権を手放すことをしないことが、そこから主体性を手に入れる秘訣だと思いました。

miki00011 at 04:06|PermalinkComments(0)

2018年02月20日

脳の衰え防止策

 築山節氏の「一生衰えない脳のつくり方」を再読しました。
 脳も他の身体と同様、年齢とともに機能不全を生じやすくなります。しかし、脳の働きを理解して、機能の衰えの原因を理解し、その予防方法を知ることで、それを防ぐことができると築山氏は、脳科学的な見地から具体的な方法を指南しています。
 脳機能が衰えるということは「覚醒度」が下がるということです。脳機能を維持するには、脳が冴える覚醒状態をいかに保つかが秘訣になります。
 脳も筋肉と同じく使うことによって「力」が維持され、使うことによって「疲労」します。
 脳の「疲労感」と「疲労」は異なり、「疲労感」は感情によって左右されるのに対して、「疲労」は物理的な現象で、その原因は「疲労不足」と「サーカディアンリズムの乱れ」です。脳は起床から15〜16時間で疲労のため眠くなります。したがって、8時間、質の高い眠りをとることが、脳の覚醒度を保つ秘訣です。 
 また年齢とともに、言葉につまるー「あれ、これ」−が増えてきますが、それは聞き取れない言葉が増えてくることが原因だと築山氏はいいます。
 脳は耳から入ってきた情報を、聞く→解釈する→話すという一連のプロセスを経て、言葉として出力します。こうして「声のカタログ」が脳の中に出来上がっていくのですが、年齢と共に普段からあまり会話をせず、話すことも、人の話を聞くことも少なくなると、いざというときに長く話すことも、聞くこともできなくなります。それを防ぐためには、読む、聞くだけでなく、話すという出力をしっかりおおこなって、言葉の記憶を定着させることが必要です。そのために毎日1000語ぐらいの新聞の社説を音読することを氏は推奨しています。
 また脳を活性化するのは、「やる気」。つまり感情・報酬です。「やる気」をつくる3つの行動原則は
1.時間・・メリハリをつける。準備に時間をかける。同じことを長くしない
2.順序・・やさしいものからむずかしいものへ
3.達成度・・できなかったことをあえてつくる。できたこと:継続中:できなかったこと=6:3:1の割合にする。
 また記憶をしっかり定着させるために、声に出すこと以外に、ノートに記憶することも有効です。
 記憶しても使うことのできない記憶は「死滅した記憶」であると氏はいい、その原因は、情報は入力されたけれども、認識されなかったからです。それを高齢になり言葉が思い出せないのは、入力してもしっかり認識しないことが多くなるからで、声にだす、ノートに書くなどして、認識を強化する行動を習慣化することが有効だと氏はいいます。
 50歳を過ぎて、思い出せない言葉が多くなってきた私は、さっそく実行してみようと思いました。

miki00011 at 04:04|PermalinkComments(0)

2018年02月19日

50歳からの脳の使い方

 築山節氏の4「いくつになっても脳は磨ける」を読みました。
 脳神経外科医で精神科医の築山氏は、脳科学的に、精神科の臨床医として経験から、40歳までの脳と50歳以降の脳は機能的に異なってきているといいます。
 それは脳神経の消滅により引き起こされる機能の衰えだけでなく、脳機能の働く領域の違いによって、成長と成熟の層の違いとして、50歳以降も脳の新たな機能を高める可能性があるといいます。50歳以降の脳は、衰えを防ぎ、新たな能力も発達させていく。これが老後の生活の質を向上させる秘訣です。
 40歳までの脳の成長段階では、あれこれ勉強し、多くを記憶し、習慣にして能力の基礎力を築く時期です。
 50歳からの成熟の段階は、蓄えた知識をベースに一人で判断・決定をしながら仕事を進めます。様々な経験を経て、問題の解き方がうまくなっているからです。
 そのためには脳を上手に働かせる「環境づくり」が肝要です。
 その際にキーワードとなるのが「雑用」です。「雑用は脳トレ」になると築山氏はいいます。なぜならば雑用は自分の手と足を使ってあれこれ工夫しながら行うので、脳を広範囲に使う絶好のチャンスだからです。面倒くさがらずにコツコツとこなしているうちに前頭葉が鍛えられるからと。
 また、知識は「認知予備力」になると築山氏はいいます。脳は使えば使うほど、知識習得などに用いた神経細胞の数が多くなり、脳内のネットワークが強化されるからです。これがいざというときに(認知症になったときに)予備の力として働くからです。
 しかしこれはもろ刃の剣として、高学歴の知識労働者の認知症発見の遅れと、発症後の急速な進行の要因にもなると氏はいいます。それに加えて、知識労働者は使われる脳の部分は酷使しても、専門領域以外はほとんど使われることなく、脳をまんべんなく使ってネットワークを広げることをしていないため、いったん脳の衰えが境界を超えると、急速に病状が進行してしまうからです。
 そうならないために、成長させる脳として、成熟期以降も脳を上手に鍛え続けることが大事だと築山氏は、脳の情報処理の三段階ー入力、解釈、出力ーすべてを上手に刺激する方法を提唱しています。
 そしてある程度のストレスは「薬」として使うことによって脳力は鍛えられるといいます。気を付けるストレスは、「過剰で」、「継続し」、「繰り返す」ストレスで、それらは感情系を刺激し続け、感情の抑制が効かなくなるからです。適度なストレスを早期にさっさと解決する習慣を意識的に持つことで、脳を刺激し、その活力を保ち続けることができるようになると。
 このように老齢期の脳の性質を知り、うまく脳を使うことによって、いつまでも脳機能を保ち続けることが可能だと知りました。

miki00011 at 04:08|PermalinkComments(0)

2018年02月18日

「読む」「聴く」、「話す」で脳を活性化

 築山節氏の「脳が加速する3つの習慣」を再読しました。前著では脳の活性化のために15の有効的な習慣を上げましたが、日常生活でそれをすべて実践することはかなり難しいとの要望に応えて、それをたった3つ「読む」、「聴く」、「話す」という習慣に絞り、それを3つのステージに分け、それぞれのステージに求められる3つの習慣における脳の鍛え方を指南していて、脳の機能を踏まえたアップグレードの方法がわかりやすく解説しています。
 築山氏のモットーは「脳の働きはある意味スポーツに似ている。毎日努力しなければ基礎はできなく、能力も維持できない。」というものです。そのためにはスポーツの訓練がそうであるように、脳に有効な刺激を与える方法を考え、毎日それを繰り返す単調な作業が必要となります。
 このように脳を鍛えることの最終的な目標は、脳の「直観力」を手に入れることです。
 「直観力」とは、瞬間的に本質を見抜く力であり、時間制限がある状況において。最適な解決策を俊二に導ける力のことです。
 それは脳科学的には、脳基底部の「尾状核」×大脳頭頂部の「ケツ前部」の働きによります。
 脳の3つのステージとは
ステージ1.基礎的なトレーニングを積み重ねて、基本を確立する時期
ステージ2.蓄えた経験を積み重ねる時期
ステージ3.脳の活性化が高レベルに達し、直観力を備えた時期
 そしてそのために脳を活性化させる方法が「読む」、「書く」、「話す」というベーシックな行為に集約されます。脳の処理のプロセスは、「入力」→「解釈」→「出力」を経て達成されるため、「読む」、「書く」、「話す」はこの一連のプロセスを網羅することになります。
 「読む」とは、視覚以外の感覚を使い、情報を脳にインプットすること。入力された情報は、記憶として蓄えられ、やがて経験や知識の基盤となります。
 「書く」とは、手に入れた情報を自分の中で整理することです。入力した情報を処理する行為です。
 「話す」とは、自分以外の誰かを相手に双方向のコミュニケーションをとることです。
 ステージ1における「読む」、「聴く」、「話す」は、基本的に質より量を重視した情報処理です。対象は身近なものに限られ、それからの刺激を短調に繰り返します。 
 ステージ2においては、対象が広がり、抽象度が高くなります。記憶の定着、整理整頓、相手の心を読むこと、意見を生み出す段階にまで行きます。
 ステージ3においては、それまでに培ったものを土台として、自由に創造的な行為が行われるようになります。その時には直観力が十分涵養されているために、自分自身のイマジネーションを駆使して、自由な発想で創造的なものを生み出すことができるようになります。
 脳をスポーツの訓練に例えることで、脳機能を鍛える方法がわかりやすく、実践しやすいと感じました。

miki00011 at 04:08|PermalinkComments(0)

2018年02月17日

出力を意識して脳を活性化する

 築山節氏の「脳が冴える15の習慣」を再読しました。
 脳機能を十分に発揮させるためには、脳の性質を良く知ることが必要です。
 そのためには脳の周期と生活のリズムをなるべく一致させることが秘訣です。
 朝は脳をウォーキングアップさせることを心掛けます。具体的には足・手・口などの運動系の機能を積極的に動かし、手でモノを作る(朝食など)ことなどによって、徐々に脳の機能を高めていきます。
 そして夜は情報を高める時間と考え、睡眠時間も利用して、日中入力した情報の整理をします。睡眠中は入力がない状態で、記憶の定着、思考の整理が行われるため、記憶が永続的になり、自動的に整理されます。
 このような夜の脳の働きを有効に利用するために、夜の勉強は中途半端にやれ!と築山氏はいます。記憶は寝ている間に自動的に整理されるため、朝起きたときにアイデアがひらめきやすくなるからです。起きてからのアイデアはメモに書き留める習慣をつけることが大切です。
 そして脳の働きは前頭葉によって支えられているので、前頭葉を意識的に活性化させることが必要です。前頭葉は理性的な思考の司令塔で、その働きが低下すると辺縁系の働きである感情系に支配されるようになり、もともと脳の性質である面倒なことはしたくない、楽なことをしたい、人に任せたいとう脳の原始的な欲求に従って動いてしまいがちになります。
 現代人の脳の衰えは、便利すぎる現代生活からくる前頭葉のテクニック的な部分よりも、指令をだす前頭葉の体力の衰えからきていると築山氏はいいます。そうならないために、脳の基礎体力つづくりとして、日常的な雑用を面倒くさがらずに片付けることで脳が鍛えられると。面倒くさいことや辛いことに対する「耐性」がつくと、生活が楽になっていくと氏は怠惰な生活や偏った生活から一時的に脳機能が低下した患者さんの治療する経験からそういいます。
 脳は、情報「入力」→「解釈」→「出力」という一連のプロセスを経て行動を生じさせます。
 現代人に必要なのは「出力」を意識した、情報の入力」−誰かに内容を伝える、声に出す等ーを心がけることで、情報を行動へ結びつける力が高まっていきます。
 また自分がした失敗を分析することは、脳の問題を自覚する良い方法になると氏はいいます。失敗は無意識的にやってしまった行動の結果なので、それをどこかで意識化しないかぎり、行動を改めるきっかけにはならないからです。
 クリエイティブな脳になるためには、このような脳の性質を十分わきまえて、それが総合的に機能するように意識的に脳を使っていかなければならないと思いました。

miki00011 at 04:07|PermalinkComments(0)

2018年02月16日

脳の働きを良くするには感情系を刺激する

 脳神経外科医で精神科医の築山節氏の「頭の働きが最高によくなる本」を読みました。
 築山氏は、脳神経の機能と精神の関係を具体的に解説して、脳の働きを良くするためには、精神の作用ー感情ーが重要な働きをしているということを明らかにしています。
 築山氏は脳の性質は基本的に「怠け者」であるといいます。だからすぐにラクをしたがる傾向があるため、脳を活発に働かせるためには普段から意識してコントロールしようとすることが大切だといいます。
 そのためには、脳の性質を十分理解して、脳がうまく働いてくれるようにする必要があります。
 脳は階層性があり、外部情報は、脳幹→大脳辺縁系→大脳新皮質へと順に立ち上がっていきます。
 脳の活動の初期に大脳辺縁系の部分、つまり本人の価値判断が大きく影響する「感情系」の部分を通ります。だから脳が活動するためには、まず感情をうまくコントロールすることが大切です。そのためには作業興奮ー作業を始めていくと自然とやる気が引き出される性質ーを利用して、脳が活性化する前の時間帯をマニュアル化することが効率よく脳を働かせる秘訣です。
 また脳と筋肉に共通する性質は、ともに「使うことによって力が維持され、使う機会が少なくなれば、機能が低下し、また、ある限界以上使うと疲弊する。」です。
 したがって、便利さのために脳の働きを休ませてしまったり、逆に休まないで酷使すると、脳の機能を十分に働かせることができなくなります。脳に適度な負荷をかけ、使いすぎたら休ませて、常に脳を刺激するような生活を送ることが必要です。
 眠りは身体だけでなく脳を休ませ、エネルギー補給のために重要な役割があります。また脳の情報整理をしているという働きも明らかになってきました。脳の機能を高めるためにも、十分な眠りが必要です。
 脳は「入力する」→「解釈する」→「出力」するという一連のプロセスによって活性化されるため、意識的に脳に情報を入力することが必要です。その際に解釈が入るため、わかっていないことを言葉として出力することはできません。脳の中で処理され、理解されたものだけが声に出して言えます。
 だから「繰り返し声に出して言う」ことが脳を活性化させます。
 さらに感情を上手に使うために、価値ある情報ー「覚えたいこと」、「自分の役に立つ」ーという感情を刺激して脳の記憶力を高めることができます。
 感情系を刺激するものは6:3:1−「好ましいこと」6:「あまり好ましくないこと」3:「嫌いなこと」1の割合で刺激することが効果的に脳を活性化するそうです。毎日ひとつだけ「嫌いなこと」、「苦手なこと」を自分に課すことが、実は脳を活性化させるのです。
 このように脳の働きを十分理解して、臨床で応用されている築山氏の説には説得力があります。 私も実行してみようと思いました。


miki00011 at 04:07|PermalinkComments(0)

2018年02月15日

若年性健忘症

 脳神経外科医 築山節氏の「若年性健忘症を治す」を読みました。
 近年氏の脳神経外来に、高齢者の認知症と同じような症状を呈する若者ー10代〜30代ーが多く訪れるうようになりました。彼らに共通する症状は、認知症症状のようなモノ忘れ、言葉がでなくなる、人の話が理解しにくくなる、などを特徴とします。彼らの脳神経をMRIなどで検査しても何の問題もないので、脳梗塞などの病気ではないことが明らかなのですが、脳機能検査によって、脳機能の一部が低下していることが判明しました。
 築山氏は彼らの脳機能の低下には、現代社会の環境因子が影響しているといいます。
 脳で行われる情報処理には3段階あり、「入力」、「処理」、「出力」です。
 「入力」は視聴覚の感覚器官から大脳の感覚野へ、「処理」は前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉で、
「出力」は、運動野を介して行われます。
 若年性認知症の様々な症状は、この3つの段階のどれかが機能不全を起こしていることによって生じていると築山氏はいいます。
 氏は若年性健忘症を、その症状によって5つのタイプに分類し、それぞれの症状を引き起こす環境因子を改善することによって治療を試みています。
1.外部入力遮断タイプ
2.やる気障害タイプ
3.感覚偏向タイプ
4.前頭葉他者依存タイプ
5.反射行動タイプ
 1の場合、多忙のあまり専門以外の外部からの情報が入らなかったり、情報が受け入れることをしなかったりする期間が長いために、脳の一部しか使われなくなったために機能が低下、もしくは止まったしまった症状です。
 対処法としては情報の入力をしていないということ自覚させるために、新聞のコラムを毎日書き写す作業をします。
 2の場合、やる気の大脳辺縁系に問題があります。 
 対処法は、「できる量をする」、「正確に物事を行う」を意識させ、達成感を味わうようにします。
 3の場合、視覚情報に偏重しているため、言葉が記憶に残らなかったり、話を聞いてもイメージがわかなかったりします。
 対処法は、感覚情報の中で不足しやすい聴覚情報を刺激するために、ラジオ番組を視聴するように促します。
 4の場合、自分の考えがまとまらなかったり、他者への依存心が強かったりします。
 対処法は、読み書きそろばんを自分でするように心がける習慣をつけることです。
5の場合、「仕事は速い」が「同じタイプの間違い」をしてしまいます。
 対処法は、毎日の行動を記憶する。日記をつける。
 若年性健忘症は、現代生活がいかに脳の使い方を偏重させているかが若者の生活行動の異常としてあらわれた顕著な例ですが、多かれ少なかれ、現代の情報過多、便利な生活にどっぷりと浸って、脳本来の生き生きとした体験が不足している現代人はその予備軍であるということを意識して、積極的に脳を刺激して生活しなければならないと感じました。

miki00011 at 04:03|PermalinkComments(0)
Archives