2007年01月20日

消費資本主義のゆくえ。

 社会経済学者松原隆一郎氏の「消費資本主義のゆくえ」を読みました。この本は今から6年前、2000年に上梓されています。当時はバブル崩壊後、消費の低迷により不況が長引き、デフレ、金融の不良債権処理のための貸し渋りによる企業の倒産、グローバルスタンダードにマッチすべく構造改革が急速に進み、それに伴うリストラ、年功序列終身雇用システムの崩壊等々、戦後日本を支えてきた日本経済システムが再編成された時期です。
 現在、それらの効果が徐々に出てきて、不況から脱出しつつありますが、消費は相変わらず伸び悩んでいます。松原氏は、バブル崩壊後の経済の低迷を、雇用不安からモノを買うよりも、お金を蓄えて将来の危機に備えるという消費者の心理がそうさせていると分析します。
 古典派経済学の原理は、「合理的な判断をする消費者」を前提としています。それによって需要と供給がつりあい、モノの生産と価格が自然と均衡になると。
 しかし消費資本主義においては、資本の自己増殖は、生産における技術革新の競争とともに、消費における欲望の拡大によって支えられています。消費者の欲望は、雇用が完全に保障される限り(アメリカにおいては労働市場の完全化、すぐ再就職できる、日本においては終身雇用制)において、消費は安定的にされるといいます。
 消費資本主義の基軸は以下です。
1.貨幣経済においては将来の不確実性が高まると需給に乖離が生じる可能性も高  まり、なかでも個人消費の不足が不況の原因になる
2.消費は社会の中で消費者が自らを定位したり、商品の意味を解釈する行為であ   り、また、習慣や他人の判断とのかかわりにおいて行われる

 このように考えると、株式の好況、ブランドの反映の説明がつくと思われます。消費者は買うためのカネがないわけではなく、将来の不安に備えてモノを買うことをする代わりに、カネの増殖の可能性のある株や、2の理由にマッチするブランド(自分の定位)は買うということです。
 株式により企業に資本が流入するようになり、雇用も拡大されると、所得不安が減少し、安心して消費するようになってきつつあるのが現在の状況でしょうか?
 好むと好まざるとに関わらず、日本で暮らすということは、このような高度な消費資本主義の社会に生きるということです。それは自身の欲望を肯定、満たすことを是とする社会でもあります。消費は差異による価値から生み出され、それが私たちの欲望を生み出します。私たちは自分の欲望に対して主体的であることが可能かという問いをたて続けること、自身の欲望さえも懐疑的になるということのみが、消費社会主義に生きる私たちの生を充実したものにするのではないでしょうか?
 

miki00011 at 09:38│Comments(0)TrackBack(1)

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1. スイングトレード必勝君  [ スイングトレード必勝君 ]   2007年01月20日 11:40
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