December 19, 2005
日本人の存在理由
東南アジアで、中国とインドがこれからの経済超大国であるとの認識が広まるのと反比例して、この地域での日本の影響力がどんどん弱まっていくのを感じる。
これまで数十年間の東南アジアにおける日本の圧倒的な経済的なプレセンスは何だったんだろうと思う。アジア人の目から見れば、日本人は、相変わらず不可解な人々。まじめで、規律正しく働き者で、それなりに親切だが、それから先はよく分からないというか存在感が薄いような、そんな人々の集団のように見える。
こんな状態のなか、これからの日本と日本人の存在理由はなんだろうかとよく考える。確かに、先端技術における貢献はもう少しの間は続くだろうが、これからは、前にも書いたように、ソフトパワー、とりわけライフスタイルの面での貢献が大きいのではないかと思う。
「2020年問題」が迫っている。これによると、西暦2020年頃には、利用可能な地球上の資源の供給が、世界の人口による資源への需要を下回るようになる。その頃には、少なくなっていく資源の獲得をめぐって世界中が騒然となっているだろうとのこと。
この資源不足の問題がうまく解決しなかった場合、間もなくして、この地球上の人口は急激に減少するだろうと。その減少のしかたを考えるだに、恐ろしくなる。
このような、悲劇のシナリオを実現させないためにできることは、まず、いうまでもなく資源の無駄遣いをやめることだ。そのためには、私たちのライフスタイルを現在のそれから大きく変える必要がある。目標は「地産地消」つまり、生命圏地域主義の考え方にしたがって、地球上の各地で、資源、エネルギー、信用の地域循環を最大限に高めること。
この点において日本は有力なモデルを提供できると思う。何と言っても「里山の思想」が日本人の遺伝子の中に刷り込まれている。これが今後大きく息を吹き返す予感がする。東南アジアに住んでいると、こちらの人たちの物質主義と資源の無駄遣いぶりに驚かされる。これらに対し、日本の環境マネジメント技術に加え、日本人が育んできた自然への接し方、省資源のさまざまなノウハウがきっと役に立つに違いない。
そのためにも、現在日本の各地で広がろうとしている、あたらしい生き方、スローライフ、ロハスの実践などに期待したい。これらの生活技術をアジアを始め世界の各地に移転可能な技術として確立したい。たぶんこの方面において、従来の意味における「経済活動」の第一線から退く日本の「団塊の世代」の人々は、大きく貢献するだろう。
もう一つは、ちょっと手前味噌ではあるが、「ピースメーカー」(平和を作る人)としての役割への期待だ。日本人は、自分の国でいち早く地産地消を実現した上で世界に出て行ってほしい。そこで何をやるかというと、各地で繰り広げられるであろう資源獲得をめぐる争いを建設的・創造的に解決することだ。
そのような仕事には、何が起こっているか素早く学ぶ能力、問題に潜む可能性を見抜き、その可能性を膨らませる能力、コミュニケーション能力、それに交渉力が必要とされる。日本の人々は、このようなピースメーカーを数多く養成するために、お金と時間をもっとかけてほしい。
以上をまとめれば、これからのアジアそれに世界における日本人の存在理由として、先端技術、自然と共生するための知恵とノウハウ、それにピースメーカーの少なくとも3つが有望だということになる。
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この記事へのコメント
東南アジア在住という事で非常に説得力があります。
>東南アジアに住んでいると、こちらの人たちの物質主義と資源の無駄遣いぶりに驚かされる。
かなり前ですがベトナムを訪問した時に次々と工業団地が出来ているのを見て、「美しい自然」という素晴らしい資源をワザワザ破壊してもったいないと思った事をよく覚えています。日本も過去は同じ道を辿ったのですが、世界中の国が産業立国になったら誰が物を買うのだろうと素朴な疑問を持っています。続く・・・
私の郷里、鹿児島は産業化というより、観光県としての道を選んだようで、そのためのインフラは他の県よりかなり進んでいます。これ等は自然という資源を有効に活用している例だと思います。
みんなが同じ産業化と方向に向かった場合、必ず歪みと矛盾が出て紛争の原因となります。日本を含むアジア諸国は、そのあたりの整理から着手すべきと考えています。
続く・・・
わたしは、産業化=富=文化・文明という構図が変わらないと2020問題が現実に発生すると確信しています。そのためには、日本人自身が変わらなければなりませんし、変わってはじめてアジア諸国の人々と同じ目線で話し合えるようになると思います。
ついつい、長くなってしまいました。すみません。
私が書いた生命圏地域主義(バイオ・リージョナリズム)に基づく社会のビジョンは、最終的に人間社会はこうなるしかないのではないかというところを表わしていますが、途中のプロセスが大切なんでしょうね。
これほど浪費が多い産業化社会は、変わっていかざるを得ないでしょうし、それとともに人の意識も大きく変わるでしょう。
これから10年かそこら、人間社会はものすごくエキサイティングで決定的な時期を迎えそうです。このような時期を体験できる私たちは、とてもラッキーだと言えそうです(ただまかり間違えば、こんなアンラッキーなことはないかも知れません...)。
カンガルーマンさん熱が入ったコメントですね〔笑)
中国なんかは環境問題が深刻化していますね。
日本は確かにピースメーカとしての役割があるように思えますが 現在は日本は”平和”を浪費している状況!!
意識の変革が必要ですね。
いつもありがとうございます
昨晩東京から帰りました。凄い出会いが沢山あって実りあるパーティになりました。
私もエバクリーンという会社を経営していました。これは環境社会を作ることを目的に「何時までもクリーンな世界を築こう」をテーマに食品廃棄物から石油系プラスチックに替わる植物性プラスチックの開発と実用化に数億円と投資してきましたが、日本の企業は当時インフレに始めて入り込み、目先の利益しか追わない会社ばかりでした。今は徐々に大手企業からその方向性へ移ってきており、今は多くの企業が地球の環境を真剣に考えるようになてきました。
考え方を変えていくという壮大な大石さんの活動には敬服します。
「壮大な活動」と言っていただいて有難うございます。同時に足元も見ながら進んで行きたいです。
こんちわ
油やしからの燃料は多分エタノールでしょうか?バイオマス燃料にも手がけましたが、生半可な投資では難しかったです。今日本でも実用化されてますが、多くは廃食用油とサトウキビ等が原料になっています。環境関連は大手でないと資金力が続かないです!
成分がエタノールなのか調べてみましたが残念ながら分かりませんでした。マレーシアのbiofuel はディーゼルオイル95%、油やしからの油(パームオイル)5%からなるそうです。
パームオイルは現在、主にクッキングオイルとして使われてて、マレーシアはその世界一の生産量を誇っています。それで、政府も油やしのプランテーション会社各社もこのbiofuelに大変力を入れていますね。ヨーロッパを主要な市場として狙っており、すでにマレーシアの会社がロッテルダムにプラントを建設中とのことです。
マレーシアでは、来年からこの燃料を試験的に導入して、数年のうちにディーゼル車は全てこの燃料を使うことになるそうです。
この国では、政府と財界の後ろ盾があるとなんでもさっさと決まるようです。

