この頃私は人生の終わりに近づきつつあるような感じがする。
ほんの1年くらい前まで私は年を取ったとはいえ、特段悪い所も無いし、自分のことを棚に上げて年寄りを見ると「少し長生きしすぎたんじゃないの」と思ったりしていた。左折の車が止まっているために後続の車が延々とつかえているのに、歩いているのか止まっているのか分からないような感じの歩き方でゆっくり横断歩道を渡ったりする老人。レジのところでバッグの中の財布を探すのに時間がかかり、更に探し当てた財布の中の金を探すのに時間がかかっている。挙句の果てに「ああ、金が足りないわ。どうしよう」なんて言って途方に暮れる老人。おい、もう早く死んだ方が世のため人のためだよと言いたくなる。
それが去年の今頃だったか、モールのペットショップで猫を見ていて、立ち上がった途端に立ち眩みで棒のように後ろに倒れた。コンクリの床に体がバウンドしたそうだから頭も酷く打ち付けた。救急車で運ばれて頭の傷を縫って、思いのほか大したことが無かったと思ったのだが、甘かった。頭の中でじわじわと少しづつ出血していて、1か月くらい経つと歩けなくなった。当時はどういうことか分からなかった。軽い脳梗塞ですねなどと医者も間違えたくらいだから素人の私にわかる筈も無かった。
大家さんの強い勧めで別の医者に診てもらったら脳梗塞じゃなくて頭の中に血が溜まっています。それが運動神経を圧迫しているから歩けなくなったのです。血を抜けば歩けるようになりますよと言われて岐阜市民病院への紹介状を持たされ、その足で市民病院に行った。勿論歩いて行ったわけではない。妻が運転する車で行ったのである。
入院手術というのは私は初めてだったので怖いと言うより何をするんだろうかと思った。頭にたまった血のせいで脳の働きも弱っていたから手術の不安を感じなかったのかもしれない。素っ裸にされておしっこを出す穴に管を通されたとき、頭の血を抜くのになんでそんなことするの?まさかそっから頭の血を吸い出すわけじゃないだろうな、などと疑問に思ったりした。どっちにしても若くて可愛いナースだったから、好きなようにしてくれという気分だった。
以来、脳神経外科に何度も通うことになった、入院中に発見された重度の不整脈のために循環器科にも通うようになった。血液凝固阻止剤を飲んでますから怪我をしないように気を付けてくださいと何度も言われた。血友病みたいなもんか。この血液凝固阻止剤というのが非常に高くて目の玉が飛び出る。高齢者ということで2割負担になっていてそれだから、保健の利かない薬だったら目の玉でなく肝の玉が飛び出る所だ。
まあ、値段のことはともかく人為的に血友病を起こしているような薬を飲み続けるのはどう考えてもよろしくない。それで何とか焼灼術という名の嫌な手術を受けることにした。しつこく勧める医師を何度も拒否して気分を損ねてもいけないだろうという社交的配慮もあった。思い出すだけでも苦しい手術だった。そのお陰で不整脈は無視できる程度まで収まり、だいぶ良くなりましたねと医師に言われた。ところが血液凝固阻止剤は相変わらず処方されていて、もう何カ月この薬を飲み続けているのか分からないほどである。何でこの薬を飲み続けなければならないのと質問したいところだが、返ってくる回答が何やら恐ろしくて聞けないでいる。という訳で相変わらず私は人為的血友病を患っている訳である。
と、それだけならまだいいのだが、近頃ではマスクをしていると本当に呼吸困難に陥るほど肺気腫が酷くなった。そこで循環器科の先生は「患者の同意を得られたので…..」とカルテに記載していたが、実際の所は半ば無理やりに呼吸器科に回されてしまった。呼吸器科に連絡もせずに診察日を入れるので、先方の都合を聞かなくていいんですかと聞くと「ああ、院内の協働体制ですから」とにべもなく私の渋る気持ちを切り捨てる。
指定の日に呼吸器科に行くと女の先生で、私はほっとした。別に男だから女だからということはないのだが、根が助平だから、相手が女性だと安心してしまう。しかし女房を引き合いに出すまでもなく本当は女の方が厳しくて取り付く島が無いほど冷酷になったりするものである。つい先日だって、倒れて灯油を頭からかぶってしまった内縁の夫にガスバーナーで火をつけて殺してしまった女性がいる。女は時に男より残酷になる。そんなことは70有余年の人生で嫌という程思い知らされたことであるのに、女性とみると根拠なく安心してしまうのが男のサガなのである。
《北海道・新冠》内縁の夫を灯油とガスバーナーで殺害、目撃者が語る一部始終 2020年9月9日週刊女性PRIME
https://news.livedoor.com/article/detail/18871188/
肺のCTスキャンと肺活量の検査を受けた。肺活量の検査というのは学校でよくやるような簡易な道具によるものではない。軽トラックの荷台に積むとちょうど収まりそうなほどの大きなボックスから出たホースの先端のマウスピースを咥える。検査の都度マウスピースは清掃するそうだが、私の前に検査室から出てきた人は車椅子に乗ったお婆さんである。ぐったり車椅子に持たれていて、後ろから押すナースが「大丈夫ですか。疲れましたか」と話しかけても答えない。ひょっとするともう死んでいるんじゃないのと私は思った。そんな人の後から同じ検査を受けるわけである。
部屋にいたのはナースか技師か知らないが、ぽっちゃりした体形の女性で、私の好みである。ホースの先端のマウスピースは清掃したのだろうが、このデカイ機械の中にはさっきの死んだようなお婆さんの息も残っているだろうと考えると「この機械の中から空気を吸うんですか?」と思わず聞いてしまった。そうですとぽっちゃりナースは簡潔に言う。
覚悟を決めて指示通りに息をしたが、苦しいのなんの。思い切り吸ったら合図とともにドーンと一気に吐き出して、その後肺が空になるまで吐き続けるというものである。「はい、まだ出る、まだ出る、もう一息頑張る」といつまでたっても吐き出させる。もう出るものはないよ、死んじゃうよと思いながら突然さっきの婆さんのことが頭に浮かんだ。そうか、あの人もこんな風にして死んだんだ。
検査の結果が出るまで少し時間があるからその間にお昼を食べてきていいですよと受付のナースが言うので、「それじゃ一蘭に行くか」と隣に立っている妻に言うと、ナースは聞きとがめて「そんな遠くに行ってはダメです」と言う。流石地元の人だ、一蘭が近くないことを知っている。一蘭というのはラーメン屋で妻が前から一度連れて行くと言っている。それではどちらが日本人なのか分からないが、妻はお客さんとあちこちに行くから食べ物屋のことは良く知っているのである。
しょうがないから病院の11階にあるレストランで食べてから診察室に行くと、先生は黙って診察結果の紙を差し出す。それには赤字で「あなたの肺年齢は95歳以上です」と大書してあった。私は後ろの妻を振り返って「おい、私は95歳まで生きられるらしい」と言った。医者は「本当に前向きな人ですね」と呆れていた。
優しい声と優しい雰囲気の先生なのだが、「タバコはこれから1本でもダメです」と言う。電子タバコならどうだろうかと聞こうとして「でん」と言った途端にそれもダメですと決めつける。電話もダメなのかいと言おうと思ったが、余りにもくだらない冗談で切り返しになっていない。ちなみに私は、今でも以前と同じようにタバコを吸っている。文句を言いながらもタバコを買う金を渡してくれる妻のことを私は心から愛している。
人間の体は全部脳とつながっているから体が弱ると脳も弱る。横断歩道やレジで人を苛つかせる老人と私は見掛けも変わりなくなってしまった。だから私の頭はもう半分腐っていると感じる訳だ。半分腐った頭だからなのか、近頃のニュースは私には理解できないものが多い。
0歳長男に「血液」飲ませたとして母親を逮捕 20回以上嘔吐か
https://news.livedoor.com/topics/detail/18866598/
大阪市内の病院で、生後2カ月の長男に無理やり血液を飲ませ嘔吐(おうと)させた疑いで、23歳の母親が逮捕された。血液は、井田容疑者のものとみられていて、警察は、井田容疑者が子どもを傷つけて面倒をみることで注目を集める「代理ミュンヒハウゼン症候群」の疑いもあるとみて調べている。
代理ミュンヒハウゼン症候群?そんな聞いたことも無い専門用語を使えば説明になっているかのように考えるのは馬鹿なことである。少なくとも半分頭が腐っている私には理解できない。自分の血をそんなことに使うために注射か何かで抜き取るという行為そのものが私には理解できない。私は注射が嫌いだから献血なんてしたことも無いし、しようと考えたことも無い。だいたい献血や血液検査以外に注射で血を抜くことなんかあるのだろうか、下山事件じゃあるまいし。何にしても自分で自分の血を抜くなんて、考えただけで私は鳥肌が立つ。子供を傷つけたければ他にもいろいろ手段はあるだろう。要するにこの女性がした(本人は否認しているのだが)ことは、私には到底理解できない。
娘2人が車内で放置死…PTA役員の母親が重ねたウソと男の影 2020年9月8日 日刊ゲンダイDIGITAL
https://news.livedoor.com/article/detail/18862753/
4日、保護責任者遺棄致死容疑で香川県警捜査1課に逮捕された、母親で無職の竹内麻理亜容疑者(26)は、長女の真友理ちゃん(6)と次女の友理恵ちゃん(3)を車内に置き去りにしたまま男と酒を飲み明かし、男の家に泊まっていた。
夫は相手にしてくれないし子供が二人もいれば手がかかりストレスもたまる。別に淫乱ではなくても、偶には子供なんかほっぽって男と甘い夜を過ごしたくなっても不思議ではないし、同情の余地がある。……….なんて私が言うと思ったら大間違い。イエスキリストのお母さんと同じ名前を貰いながら、何と言うことをするのか、この女は。私はこのニュースを読んで頭の血管がぶち切れそうになってしまった。半分腐った頭だから、血管がいくつか切れても影響はないかもしれない。
女性教員、特別支援学級の児童を「邪魔だと思う人は手を挙げて」2020年9月9日 読売新聞オンライン
https://news.livedoor.com/article/detail/18866835/
沖縄本島中部の小学校の女性教員が6月、授業中に特別支援学級の児童が騒いだ際、「うるさいと思う人、邪魔だと思う人は手を挙げてください」と発言していたことがわかった。問題の発言は、特別支援学級の児童と普通学級の児童が一緒に授業を受けていた際に起きた。発言に対し、手を挙げなかった普通学級の児童に「あなたも支援学級に行きなさい」とも発言し、手首をつかむなどしていた。その後、恐怖心から4日間学校を休んだ児童もいたという。
特別支援学級の児童だろうと騒げばうるさいと感じるのは普通である。しかし、「うるさいと思う人、邪魔だと思う人は手を挙げてください」と言うのは普通ではない。更に、手を挙げなかった普通学級の児童に「あなたも支援学級に行きなさい」と言うのは異常である。
最上もが、容姿への“クソアドバイス”に苦言でネットから賛同の声「これは本当に正しい」2020/08/ 日刊サイゾー
https://www.cyzo.com/2020/08/post_249821_entry.html
さらに最上は、「体型についてもそう。もっと太った方がいいよ、とか痩せた方がいいよ、とか痩せすぎ、とかいちいち言う必要なくない?」と疑問を投げかけ、「もちろん、それぞれ感想はあるかもだけれど思う、のと、直接言うのとでは全然違う」とした上で、「SNSでわざわざ言ってくる男性、あなたのために努力してるわけじゃないですー!好みも知らんです~」と突き放していた。これに対して「これは本当に正しいと思う」「彼氏でもないくせに服装や体型に口出す男、キモい」という賛同の声が大半を占めていた。
芸能人になって人気が出るといつしか自分を見失ってしまう。私は半分頭が腐っているけれども、最上もがという女性の言うことは正しくないと明言できる。私のように名も無いブログをやっていると「親の顔が見たい」とか「もっと勉強しろ」なんていう見ず知らずの人からの罵倒のコメントが稀に来るのだが、それでも嬉しいと思う。一番悲しいのは嫌われることではなくて無視されることだと言うが、その通りなのである。称賛のコメントは欲しいがネガティブなコメントは欲しくないというのは贅沢であり、筋が通らない。
指原莉乃、マンション購入の噂に言及 2020年8月30日
https://www.excite.co.jp/news/article/Mdpr_news2203503/
出演者の松本人志は「家賃収入で食うていこうとしてるの?」と質問。指原は「食うていこうとはしてないです」と否定しつつも、マンションを購入したことは認め「がっつりいこうと思ったわけじゃなく、お金の流れをまず知るために、とりあえず初級編としていっちゃおうと思って、狭いやつを(買った)」と経済を勉強するためであることを打ち明けた。
最上もがにしても指原莉乃にしても若くして人気が出たというだけで、特別美人でもないし歌の天才でもない。それでも経済を勉強するためにマンションを2室購入できてしまう程の収入を得る。そのことに違和感を感じなくなるとうっかり失言したり大麻に手を出したりして世間から総スカンを食う。古市憲寿の言う通り、大麻なんて解禁されている国も少なくないのだが、それでも芸能人なら大事になるのは、彼らが世間の常識を遥かに超える稼ぎを得ているからなのである。どんなに忙しくテレビに出ていても芸能人の年収が1000万円を超えることはないということにでもなれば、芸能人に対する世の中の風当たりもだいぶ和らぐことだろう。