会社からの帰り道の繁華街。たまたま見かけたアルバイト募集の張り紙がありました。
「急募 キャスト 週二日以上 ニューハーフ、女装歓迎 経験者優遇」
そのとき勤めていた会社は業績が悪くなり、二カ月後には支店が閉鎖されることが決まっていました。
転勤の希望者は考慮するとは言われていたものの、規模縮小のためリストラ必須の状況。
幸いにも若かったことから転勤は希望すればできそうでしたが、会社自体が危ない状況でした。
ふと目にした張り紙に好奇心が芽生えます。
女装してお酒飲んでお金をもらう。
いいかもしれない。
軽いノリでした。
すぐにその場で電話番号を控え、電話をしました。何回かのコールの後、一度で電話が繋がります。
「張り紙を見て興味を持ったんですけど…。未経験なんですけど…」
わたしが恐る恐る言うと、被せるように
「今から来れる?」
女性が明るい声で言いました。
「はい…」
「場所はわかるかしら?チラシが貼ってある場所からすぐの◯◯ビル。わかる?」
すぐ横を見ると◯◯ビルと書いてあります。
「あっ。わかります」
「あら。話が早いわね。三階にお店があるから上がってきて。そこでお話ししましょう」
ちょっと電話をして様子をみるつもりがトントン拍子に話が進んでいきます。
小さな雑居ビルの三階。エレベーターを降り、二軒のお店があるうちのひとつのドアを開いてお店に入ります。
開店前の薄暗い店の奥からママさんの声がしました。
カチッ
電気をつける音とともに明かりがつくと
「そこに座って」
ママさんも目の前に座りました。
「うちのお店、おかまちゃんが好きなお客さんが多くてね。前の子が急にやめちゃったから困っていたのよ」
「華奢だし、顔も優しい顔しているから女装似合いそうね」
「女装はしたことあるの?」
「何度かあります」
「そうねぇ。経験者が欲しかったんだけど、とりあえず変身してもらっていいかしら?それで採用きめさせてもらうわ」
ママさんはわたしをバックヤードに連れて行き、クローゼットの前に立たせました。
クローゼットにはセーラー服やナース服やバニスーツやスリットの入ったドレスなどのコスプレ衣装やセクシー衣装が並んでいました。
「こういう衣装が喜ばれるのよ」
クローゼットの衣装をいくつか私の前に並べます。
「ナースなんて可愛いかな」
ママさんは薄いピンクのナース服を持ち、わたしの前にあてました。
「脇の下の毛とすね毛が少し目立つわね。お手入れしようか」
わたしはパンツ一枚にされ、椅子に座らされると脱毛クリームを塗られました。
みるみるうちに体毛が取れ、毛のないつるつるの脚や腕、脇の下になりました。
「いやだぁ。肌、白くて綺麗。羨ましいわぁ」
ママさんはわたしの毛を手入れしながら言います。
つるつるになった脚が艶めかしく見えました。
それからわたしはパープルの下着を着せられ、透明のストッキングを履くと薄いピンクのナース服姿にさせられました。
「お化粧しなくても、女の子みたいね」
ママさんはわたしを見て言いました。
「ここに座って」
化粧台の前に座ると、ママさんにメイクを施されました。
ベースメイクを施され、ファンデーションを塗られると化粧品の匂いが広がります。
目を瞑ったり、開けたりしながらマスカラやアイライナーを塗られ、口紅を付け。そしてウイッグを付けると女の子に変身していました。
「可愛いじゃない。女の子にしか見えないわ」
ママさんが鏡を見ながら言います。
「お酒の作り方教えるからこっちへきて」
わたしはナース姿でお酒の作り方を教わります。
「浅めに腰掛けて、足を斜めに。そう。可愛いわよ」
女の子の仕草も教えてくれます。
最初は恥ずかしながらでしたが、だんだんとその気になってきます。
「下着が少し見えるぐらいがセクシーね」
ママさんに足元からナース服を少し捲くられます。
「このくらいはサービスしてあげなきゃダメよ」
ママさんは微笑みながら言います。
わたしは慣れない女装姿のまま、お店が始まるまでお店のルールや片付けの仕方、お酒の場所を教わりました。