DSC6837_s【2019.12.8 マリインスキー劇場管弦楽団 2019年日本公演 於:フェニーチェ堺 大ホール】

 一昨日(2019年12月8日)、大阪府の堺市に行ってきました。久し振りにクラシック音楽のコンサートに駆けつけるためです。ゲルギエフ率いるマリインスキー劇場管弦楽団の日本公演がそれですが、東京でも私の地元浜松でもなく大阪の公演に出向いたのは、仕事の休みと重なったのがこれだけだったからです。また、会場が今年(2019年)10月にグランドオープンしたばかりのフェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)というのも興味深かったし。

 静岡県浜松市の自宅を早朝に出発していますので、14時の開演にはまだゆとりがあり、百舌鳥・古市古墳群として世界文化遺産に登録された仁徳天皇陵(大仙古墳)などを訪ねるなど、堺市散策もしています。ただ、そのあたりのことは後日別記事で。

 さて、堺市散策の後、フェニーチェ堺にやってきました。リハーサルが長引いているとのことで、ホール内に入るのを少し待たされましたが、入ってみるとシックな内観で、その印象は悪くありません。ただ、座席の並びがちょっと窮屈か。座席数の割には会場は大きくない感じなので。そんな中、オーケストラは上手側のチェロよりも客席から向かって右に金管が位置し、コントラバスは下手後方に配置され、おっ!? と思いましたね。指揮台もなく、普段とはちょっと違う楽器配置もゲルギエフには間々見かけるものではありますが、ホールの具合でそうしたのかな(下の写真ですが、ホール内での撮影はできず、外観だけで悪しからず)?

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 さあ、肝心の演奏ですが、ジャズ的な要素もあったシチェドリンの曲から始まったけど、特にショスタコーヴィチの《交響曲第5番》は良かった(実は2006年1月27日にも接したことがありましたが、座席の問題もあり、今回はそれ以上!)♪ 殊に緩徐的なところでの節回しとロシアの風土を髣髴させる音色・響き(木管が象徴的でした)は素晴らしく、この情感あるそれはやはりゲルギエフとマリインスキー劇場管弦楽団とのコンビ独特のものでしょう。

 ただ、気になったのはチャイコフスキーの《ヴァイオリン協奏曲》。オーケストラは先程言ったようにロシアロシアした感じでしたが、ヴァイオリンを弾く五嶋龍と音楽が微妙にシンクロしていない? いや、縦の線が合っていないとかそうことではなく、五嶋龍は巧みに聴かせ、美しい箇所もそれなりにあったのですが、彼のヴァイオリンからは凄みはそれほど感じられなかったし(2010年11月28日に同じくゲルギエフと共演した諏訪内晶子のほうが凛としていて素晴らしかったかな)。そういった意味(?)において、アンコールで彼が一人で弾いたクライスラーの《レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース》のほうが聴きごたえはありましたね。

 なお、ショスタコーヴィチの《交響曲第5番》後のアンコールは、何とストラヴィンスキーの『火の鳥』より《子守歌》と《終曲》。最初《子守歌》が始まったときは、組曲版の流れと同様に続けて《終曲》を演奏してほしいと切に願っていましたが、そうなって嬉しかったね。

 うん、ゲルギエフとマリインスキー劇場管弦楽団とのコンビによるロシアものはやはり素晴らしく、大阪までお金を掛けて駆けつけただけの価値はありました。濃くも美しい歌いまわしとサウンドは、私はロシアに行ったことがあるわけではないけど、改めてですが写真や映像で見たロシアの風土を感じさせる情感あるものでしたし♪ 私が接したゲルギエフのコンサートでは2010年11月28日のロンドン交響楽団とのライヴと双璧だったか!

 ところで、終演後、五嶋龍のサイン会がありましたが、こういうのに対してミーハーな私にしては珍しくそれには参加せず会場を後にしています(ゲルギエフだったら絶対に行った!?)。

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【プログラム】

シチェドリン:管弦楽のための協奏曲第1番「お茶目なチャストゥーシュカ」
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35 (ヴァイオリン:五嶋龍)
---ソリスト アンコール---
クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース Op.6 (ヴァイオリン:五嶋龍)

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 二短調 Op.47
---アンコール---
ストラヴィンスキー:『火の鳥』より子守歌と終曲

ワレリー・ゲルギエフ指揮
マリインスキー劇場管弦楽団

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