
今年(2025年)は今のところ4月までのNHK交響楽団の演奏会のチケットを4枚購入していますが、今回はまずその第1弾になります。ただ、今回もB席(それでも7,600円也)にしていて、移動も静岡県からですが新幹線は使わず往復するという節約をしているけど。それも、小田原駅から小田急小田原線に乗りかえ、さらに下北沢駅で下車してそこから歩いていくことまでして。もっとも、何となく歩いていたら、少し遠回りをしてしまいました。でも、そのおかげで代々木八幡宮に立ち寄ることが。そう、私が東京で暮らしていた最後の地からの最寄り駅の路線も小田急小田原線だったけど、代々木八幡駅で降りたことは(たぶん)なく、この駅名の由来になっている代々木八幡宮って? と昔から気にはなっていたんだよね。

んっ? 復元竪穴住居が。

代々木八幡遺跡か。1950年に発掘調査が行われ、多くの土器や石器とともに縄文時代の住居跡とその中に掘られた柱穴が発見されたとのこと。約5000年前には、この丘陵地に集落をつくって暮らしていたということですね。史学専攻の大学生だった私にとって歴史のロマンを感じる一かくでした。出土品の一部は陳列館に収蔵されています。

拝殿ですが、混雑はしていないけど結構人はひっきりなしに。

なお、富士登拝の碑が出世稲荷社の隣に。富士塚とかはありませんが。


さあ、代々木公園方面にやってきました。国立代々木競技場のわくわくする建造物と渋谷の景観を横目にNHKホールへ。



っと、その前に、近くのコンビニでこの地にやってきたことを象徴する食べ物などを買ってから(これ以外にも購入して栄養補充!)。

NHKホール内に。カフェコーナーが臨時営業ということで、うん、にぎわっていましたね。


また、アウトレットセールもやっていて、N響グッズ、買っちゃったよ。手に入れたのはポロシャツとエコバッグ。あ〜、節約していたはずなんだけど……


いつも通り、アートも味わいます。


さて、肝心の演奏です。ウクライナ侵攻の直後に起きたロシア音楽・芸術家のキャンセル・カルチャーに抗議して、ロシアとフランスでの要職を辞したロシアのトゥガン・ソヒエフが指揮する「レニングラード」との通称をもつドミートリイ・ショスタコーヴィチの交響曲のみの演奏会ですが、この曲、第2次世界大戦の独ソ戦の中で最大の激戦ともいうレニングラード包囲戦の最中、ショスタコーヴィチの生まれ故郷であるそのレニングラード(現サンクトペテルブルク)に捧げられたという背景も含め、すごく期待していた公演でした。結果、はい、期待に違わず、結構満足度の高い演奏でしたよ。

この曲の核心であるともいえる第3楽章などはもちろん素敵でしたが、今回はあえて第1楽章の例の「ちちんVV」を。そう、1990年、アリナミンVのCMでアーノルド・シュワルツェネッガーが出演し、《ちちんVVの唄》としてCD化もされたらしい「戦争(侵略)の主題」だけど、この部分の構築が実に見事でした。モーリス・ラヴェルの《ボレロ》的でもあるこの部分は、バルトーク・ベーラが《管弦楽のための協奏曲》で揶揄しているように、壮大なる愚作(私はそうは思いません)ともいわれているこの交響曲のその象徴的な箇所かも入れません。しかし、これをソヒエフはこれまで聴いたことのないような(って、この曲、そこまで多くの演奏を聴いてきたわけではないけど)多彩さで克明に描き切り、そして強靭なクライマックスを築くという、ある意味俗的な部分をここまで聴きごたえ十分にして応えるなんて、いや〜、圧巻でした。私はこの部分を聴いて、今回の演奏はこれまで生で聴いたショスタコーヴィチの中でも最上位クラスになることを確信しました(演奏の傷や、ここはもっとこうしたほうが、っていうのがなかったわけではありませんが)。

ただね、NHKホールはもともとデッドな響きなんだけど、さらに頭上は3階席がかぶさっている座席だったので、やっぱり音を全身で浴びるという感じにはならないんだよね。生でコンサートホールでしか感じることのできない、たとえば弦楽器のソノリティーといったものもあまり体感できず、CDとの差が、ってね。ですから、次の公演については、より安いD席(5,000円也)ですが、あえて3階席のチケットを購入しています。果たして!?

それでも素晴らしい演奏であったことには変わりなく、名残惜しくステージを眺めます。

最後に、岡本太郎に別れと、また金曜日に来るよと。

まだ午後4時前なので明るいですね。のんびり帰宅の途に就きましょうか。


【プログラム】
― ショスタコーヴィチ没後50年 ―
ショスタコーヴィチ/交響曲 第7番 ハ長調 作品60「レニングラード」
指揮:トゥガン・ソヒエフ
管弦楽:NHK交響楽団

