2011年10月22日

コロンバイン銃乱射事件の真実5

2006年11月に紹介したマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」。

この映画では、全米ライフル協会へ突撃インタビューをするなど、銃社会である米国の病理を描いていました。
しかし、自分の母校のクラスメートを無差別に乱射した二人の心理状況はあまり追及しませんでした。

本書は、生徒、先生合わせて13人を殺害し、最後は仲良く並んで自殺したエリックとディランの「心の闇」を、膨大な資料と共に解説しており、分厚い本にも関わらず一気に読ませます。

まず、良く言われたのが、二人は「スポーツも勉強も苦手ないじめられっ子」「退廃的な音楽が影響した」「特定の人種を憎んでいた」「徒党を組んでトレンチコート・マフィアというグループを作っていた」「高校の貴族階級・運動選手(=ジョック)を憎んでいた」などなど。

しかし、これらはどれも当時のマスコミのミスリードだったことがわかります。そして、この二人は同じような性格ではなく、むしろ正反対のパーソナリティだったようです。エリック・ハリスは、何と若い時からサイコパスという反社会的な人格障害で、大量殺人をずっと妄想していたそうです。そのために、だいぶ前からパイプ爆弾を自作して、人気の無い山野で実験を繰り返していました。

一方、相方のディラン・クレボルドは、自殺願望を持ち続け、鬱病を患っていたそうです。冷酷で人の心情を感じないエリックに影響されて、あのような惨劇に参加してしまいました。

エリックは1年も前から克明な日記をつけていた事に驚かされます。そこには恐ろしい大量殺人計画が記されており、ガスボンベ爆弾やパイプ爆弾も計画通り作動していたら数百人単位の犠牲者が出た可能性があったそうです。

エリックとディランには、それぞれ立派な両親がいて、家庭も中流以上の恵まれた生活を送っていたそうです。子供を持つ身となった私は、こういう子供を持ってしまった両親の心境に同情してしまいました。日本だと世間の目に耐えられずに父親が自殺してしまう例がありますが、犯人の片方の両親は今も地元に住んでいるそうです。

米国では銃が簡単に手に入ったり、通学には高校生が車で来たり、キリスト教の各宗派が事件後に信者獲得に動き出すなど、いろいろ日米の文化や生活習慣の違いが興味深かったです。また、地元の郡警察署が早くから二人の問題行動を察知していたのに、何もせず、事件後は隠ぺい工作していたという事実も衝撃でした。

日本でも、一定の割合でサイコパスがいるはずなので、いかに早期に社会がその人物を発見して、犯罪を未然に防ぐかが重要だと思いました。


  
Posted by miliken at 18:02Comments(1)TrackBack(0)