2013年03月19日

角川映画の良心 映画「となり町戦争」4

もう5年前になる2008年8月に、三崎亜記の「となり町戦争」を読みました。その時、私は感想文で以下のようなコメントを書いていました。

すでに本書は角川映画になっています。香西さん役は原田知世、主人公は江口洋介。原田知世は10年前位なら良かったのですが、私が監督だったら香西さん役は長谷川京子、主人公は筒井道隆をキャスティングしたいです。テレビでドラマ化しないかしら。。。。


確かに5年前の原作を読んだ時は、香西さん役=原田知世というのはちょっと違和感がありました。
この違和感は正解だったのでしょうか?今週、初めてこの映画を見る機会がありました。

となり町戦争

【ストーリー】
戦争という「業務」で繋がれた“僕”と“香西さん”
次第に現れる戦争の本当の姿と、リアルに芽生える恋のゆくえ・・・
「舞坂町はとなり町・森見町と戦争を始めます。開戦日5月7日。」
ある日届いた、となり町との戦争のお知らせ。
偵察業務に就かされた“僕”は、業務遂行のために、対森見町戦争推進室の“香西さん”と夫婦生活を始める。
戦時にもかかわらず、町は平穏を崩さない。
かろうじて戦争状態と分かるのは、日々のニュースで発表される戦死者の数だけ。
だが、戦争は淡々とした日常生活を静かに侵食していき、“僕”は、知らず知らずのうちに、その戦争の中心にいたのだ…。

【キャスト】
江口洋介
原田知世
瑛太
菅田俊
飯田孝男
余貴美子
岩松了
小林麻子

【スタッフ】
監督・脚本:渡辺謙作 『ラブドガン』『ソースの子壜~重松清「愛妻日記」より~』
脚本:菊崎隆志
原作:三崎亜記 (集英社刊)
撮影:柴主高秀 『どろろ』『蟲師』『輪廻』
音楽:Sin 『バックダンサーズ!』
主題歌:「明日晴れたら」中島有紀


結論から言うと原田知世さん、ごめんなさい。(_O_)
完全に原作の香西さんになっていました。ちょっと大人の真面目な公務員役が大変マッチしていてびっくりしました。私より年上なのに、この女優さんは全然年をとりません。潤んだ視線の演技が上手い。

また、主人公の江口洋介を始めとして、香西さん弟役の瑛太、町役場の「戦争室長」である女上司 余貴美子など、出演している役者がどれも演技が上手くて原作の雰囲気を上手に伝えていました。

この映画は、全くドンパチが無いので、原作を読まずに初めから映画を見た人は「地味で退屈だなー」と思ったかも知れません。

<以下ネタバレあり>

しかし、知らない間にどんどん戦争に引き込まれていく一市民の恐ろしさがジワジワ伝わってきて個人的にはとても恐かったです。市民説明会で、弟役の瑛太が「戦争に反対もしないで何も言わないのも責任なんだ」というようなセリフがありましたが、それがとても印象的でした。

また、主人公(江口)が勤める小さな旅行代理店で仲が良かった同僚女性がある日突然戦争に巻き込まれて亡くなるシーンがリアルでした。私もこの年になると、前日まで仲の良かった同僚がある日突然亡くなった事があるので胸が痛みました。

それから、主人公の上司は、どこかの政情不安な国(アフリカか中東か?)の女性と国際結婚して、内乱に巻き込まれて帰国するという設定です。この風采の上がらないオジサンが非常に良い味を出してます。最後に森見町の傭兵になって、江口に「君は人を殺したことがないだろう?」と問いかけるシーンがゾクゾクしました。両町が休戦となって夕日を見ながら「僕には子供がいたんだよ」と語りかけるシーンも、奥さんとその子供の運命を暗示していてGood。

本作品は、舞坂町の特別偵察兵に任命される江口洋介と対森見町戦争室公務員の香西さんの甘いラブストーリーにもなっていて、「社会派映画なのに恋愛映画」、というとても変則的でユニークな仕上がりになっています。もう5年も前に原作を読んだのでラストを覚えていないんですが、映画と原作ではちょっと違っているような気がします。

また、舞坂町と森見町という架空の舞台が日本の美しい田舎町を表現していてとてもノスタルジックになりました。(尾道を描いた「さびしんぼう」のような感じ。そういえば大林監督の尾道三部作の「時をかける少女」が原田知世の初主演映画だった!)
映画を見てて、「あー、こんな田舎に行ってみたいなー。ここどこだろう?長野が岐阜あたりか?」と思ってましたが、最後のエンドロールを見たら四国の愛媛県でした。山城があったり、いつか行ってみたい!

唯一難点をあげるとすると、前半に出てくるコミカルな効果音。あれは完全に要らない!
ですが、地味な映画ながら角川映画の良心を見た気がしました。若い人にもオススメします。

是非、どこかのテレビ局でドラマ化して欲しいですね。今なら嵐の二宮和也君と香西さんには本仮屋ユイカさんあたりに演じてもらいたい!!



原作はこちら

  
Posted by miliken at 18:03Comments(0)TrackBack(0)