2009年11月25日
旅日記(2)クミココンサート@津田沼

11月19日 午後5時
初めての街、津田沼もやっぱり雨が降っていた。寒い。でもコンサートホールは駅からほんの2,3分。きれいなショッピングモールの中にある。始まる前に軽く腹ごしらえ、と、そのビルにあったカフェに入るが、これが失敗。さほど大きな店でもないのに、オーダーしたものが待てどくらせどやってこない。オナカスイタ。ようやく運ばれてきたクロワッサンサンドはほんの1,2分で食べられてしまうような頼りなさ。でもまぁいいか。また夜更けてから呑んで食べることになるのだから。
ビルの中をうろうろ迷いつつ、ようやく6時すぎに会場へ。今年の5月にも、大宮ソニックシティで埼玉の「いのちの電話コンサート」があったけれど、今回の主催は「千葉県いのちの電話協会」。この「いのちの電話」はすべてボランティアによって運営されているという。ホールロビーではチャリティバザーも開催されていて、会場の受付も案内係もボランティアのご婦人方。プログラムのセットリストも手書きで、まさに手作りのコンサートという感じ。頭が下がるような思いで、席に着く。
さて内容はというと、もちろん「いのち」を唄った歌が続く。が、この日はクミコにとって今年最後のソロ・コンサートでもある。そのせいなのか(という思いこみからか)、彼女の表情がいつにも増して明るく見える。歌声ものびやかで力強く、MCも絶好調。客席の拍手や笑い声も大きくて、休憩時間には「楽しい」という言葉があちこちで飛び交っていた。後ろの席にいた20代の女性二人は「凛々しくてカッコイイ」と熱っぽく語りあっていた。
それでもやはり、この日の客席には、過去に(あるいは今現在も)大変な思いをされた方がいらっしゃるのだろう。聴きながら涙を流している方も大勢いたし、あたしの隣の席の女性は何度も何度もハンカチで頬を拭っていた。しまいにハンカチはぐしょぐしょになり、バッグからティッシュを取り出して、それを目頭に押しあてていた。いったい何があったのだろう。声も出さずに静かに泣きつづける彼女の哀しみの気配に、こちらまで胸が痛くなってくる。
そんなふうに隣の女性の胸の内を思いはかっていたからだろうか、二部のオープニングの「ともだち」が心に沁みた。ほら、ともだちだ、というクミコの言葉が心強くて嬉しかった。見れば、隣の女性も頷きながら聴いている。「わたしは青空」ではまた涙をぬぐっていたけれど、「十年」では爪先でリズムをとり、次のMCではからだを揺らして笑っていた。そして始まった、「百万本のバラ」。
何度も書いているけれど、クミコの「百万本のバラ」は狂気を孕んだ哀しみの歌だ。愛に溺れ愛に酔い、完全に「いってしまっている」男の歌。こういう歌はクミコの真骨頂でもあるのだけれど、大きなコンサートで歌うのはなかなか難しい。どうしても「万人向け」ではないような気がするし、ましてや「いのち」のコンサートでこれをやっていいものか、とさえ思うような激しい歌なのだ。が、悲痛な叫びにも似た歌声が途切れ、演奏が終わったとたん、拍手が津波のように押しよせた。隣の女性も身を乗りだすようにして、懸命に手を叩いていた。鳴りやまぬ拍手は、クミコの「あー、つかれた」という言葉でようやく笑い声に変わったのだった。
全身全霊で唄う歌には、やはり誰もが心を震わせるものなのだ。抱えている問題や痛みや哀しみも吹っ飛んで、歌の世界に連れさられる。ほんのいっときでも現実から離れ、時空をこえて飛んでいける。その興奮と高揚感がからだの奥に火を灯し、どこかから力が湧いてくる。そんな中で聴いたアカペラの「友よ」は素晴らしいものだった。暗闇の向こうに、本当に光が見えるような気がした。隣の女性はもう泣いていなかった。びしょぬれのハンカチをぐっと握りしめたまま、食い入るようにクミコを観ていた。その言葉を忘れまいとするかのように、何度もちいさく肯いていた。
幕がおり、友人たちと笑顔で言い合う。今年一番だったかも、と。もちろんコンサートのたびに「今日は良かった凄かった」と思うのだけど、でも今年最後のコンサートで「今年一番」と思えるのは幸せなことだ。本当に来て良かった。そう思いながらホールを出ると、すでにクミコはロビーに出ていた。その前に握手会の列が長く長く続いていた。
さて。大満足して、ほっとひと息。
喉が渇いた。お腹がすいた。どこで何を食べようか。
外に出ると雨はやんでいた。
火照った頬に冷たい夜気が心地好い。
クミコ公式サイト「茶目子劇場」
http://www.puerta-ds.com/kumiko/
「千葉いのちの電話」
http://www.chiba-inochi.jp/
「いのち」のコンサートで「百万本のバラ」。一見そぐわないように思う人もいるだろうけれど、そんなことは全くなかった。誰もが歌の世界に入り込み、肌を粟立て、きっちり受け入れていた。そう考えると「万人向け」とか「一般受け」という言葉はあまり意味のないものなのかも、とも思ったり。イイモノはイイ。それに尽きるのかも。
ということで、次は「浅草」。
って、いったい何回続くんだろう(汗)
2009年11月24日
旅日記(1)浅草ビューホテル

11月19日
京都に住む友人が仕事で大船に来るというので、お昼前に大船へ。気象情報では「曇り一時雨」だったのに、既に本降り。冷たい雨。時間もあまりないので駅からすぐの喫茶店でランチ。積もる話しも色々あれど、あっという間に時は過ぎ、彼女は仕事へ、あたし達はこれから「旅」へ。
東海道線で東京まで行き、山手線で秋葉原、つくばエクスプレスに乗り換えて、浅草。秋葉原から浅草まで乗っている時間は短いのだけれど、つくばエクスプレスは南千住までは地下深く潜って走るものだから、駅のエスカレーターがとにかく多い。秋葉原駅と浅草駅で計7つ。しかもかなりの急勾配で、なんだかくらくらしてしまった。それでもホテルは駅から地下通路で繋がっているので、雨の時はありがたい。
東京で暮らしていたとき、時々都内のホテルに泊まりに行った。GWやお盆の東京は車が少なくなるから道は空いているし、空気も少しはきれいになる。ホテルというのは非日常な空間だ。移動する距離は短くても、「旅」気分は味わえる。今ほどホテルの数も多くなかったので、その頃あったシティホテルはほとんど制覇したかもしれない。家から車で5分の距離にあるホテルに泊まりに行った時は、近すぎてさすがに笑ってしまったけれど、でもホテルの部屋の窓から見おろす街は、いつもとどこか違ってみえた。

そうやって泊まり歩くうち、自然に「お気に入り」のホテルが決まってくる。そのひとつが、この浅草ビューホテル。隅田川の花火もここから見たし、暮れにとまって羽子板市に行ったことも。その頃は上層階に和室と大浴場があったので、温泉気分でくつろぐこともできたのだった。
それから十数年。最近は外資系のゴージャスなホテルが増えているから、それに比べると、ここはもう古いタイプのホテルになってしまったのだと実感する。華やかさ煌びやかさは影を潜め、といって東京に昔からある老舗ホテルのような重々しさもない。それでも部屋に入ったとたん、ああ良い部屋だな、とやっぱり思う。ゆったりとした空間に落ち着いた調度品がしっとりと馴染んでいて、ホテルというのは、きらきら新しいばかりが良いわけじゃない、と改めて思う。少し古びたくらいのほうが、居心地が好い。
窓から一望する東京の街。向こうにドデンと突き出ているスカイツリーはまだ200mほどの高さだというから、びっくりする。完成したらどれほど大きなものになるのだろう。どこまでも連なるビルの海原。その中で、目の前に見える浅草の町は、まるで箱庭みたいだ。浅草寺のこんもりと繁った木々はわずかに色づき、花やしきのネオンが雨に滲んで光っている。ロック座が大きなビルになった時には違和感があったけれど、でもそれ以降、浅草はさほど変わりがないように見える。まるで古いジオラマをそっと置いたかのように。
気象予報では「曇り一時雨」だったのに、雨はいよいよ本降りで、それもまぁ仕方がないか、と思う。なにしろ今夜は自他共に認める雨女・クミコのコンサートなのだから、とうに覚悟はできている。寒くないようにしっかり身支度をして、さて、そろそろ津田沼へ。

というわけで。なにかと盛り沢山の「旅」だったゆえ、全部書くとものすごく長くなってしまうので、いくつかに分けることに致しました。しばしおつきあいくださいませ。ね。
実は津田沼のコンサートに行くことを決めたとき、夜遅く帰ってくるのも大変だから、どうせならどこか温泉にでも、と思ったのでした。が、近場で温泉というのはなかなかなくて。そんな時、たまたま目に止まったのが、浅草ビューホテルの「開業24周年謝恩プライス」という文字(なんかハンパな数字ではありますが)。なんと日にち限定で、ツインが一泊10000円(2名でも3名でも)。安い。そういえば浅草もずいぶん行ってない。谷中あたりにも行きたいし。と、急遽「下町散歩」の旅となったのでありました。
浅草ビューホテルは古いとはいえ、れっきとしたシティホテル。部屋も広くて居心地も良いし、しかもこのお値段。オススメです。
http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/570/570.html
2009年11月23日
「旅」そして「手紙」

旅、というほどのことではないけれど、
旅、のようなものをした。
旅程を書くとするならば。
11月19日 大船→浅草→津田沼→浅草
11月20日 浅草→日暮里→谷中→根津→浅草
で、21日に帰ってきたのだった。
これだけ見ると、どういう旅なんだ?と思われるかもしれないけれど、
確かにその通りで、どこから書きはじめていいのやら。
クミコのコンサートあり、久々のトウキョウ散歩あり。
写真を整理するだけでも時間がかかって、なかなか取りかかれない。
でもまぁ、ぼちぼち、ひとつずつ、書いていくことにいたします。
で。今日はお知らせだけ。
「ブッククロッシング・ジャパン」のメルマガにて連載中の「コラムクロッシング」。
メルマガ編集長と同テーマでコラムのやり取りをするというもので、
今月のテーマは「手紙」。
メルマガのコラムにしちゃ長いような気もしますが、
編集長はいつもOKを出してくださるので、お言葉に甘えて(笑)
ちょっとノスタルジックな手紙の話しを。
読んでみてくださいね。
http://bit.ly/79hku9






