2009年05月08日

途中で投げ出した春樹

昨日は夜に庭の企画ミーティングがありました
プロデューサーが企画の詰まっていないところを指摘しては
おもしろくなる気がしない
と言っていたのですが
自分はもっとおもしろくならなさそうな企画ばっかり提案してました
踊らないダンスとか言ってました

というのを村上春樹風に書くとこうなる



日が暮れかかったころ
僕たちはリヴァーウォークにあるスターバックスに集まった
窓ごしから北村という男がすでに座っているのが見えた

僕が着いたころにはもう
イマイと呼ばれる青年も麻衣子さんも来ていた

いらっしゃいませ
ご注文をどうぞ
と店員は言った

「コーヒーが飲みたいことはわかっているんだ
僕は熱いコーヒーが飲みたい
だけど僕はここに来るまでにすでにもう三杯ものコーヒーを飲んでいる
ブラックでね
だからいまは何か気分のすっきりするようなものが飲みたいのだけれど」
と僕がいうと
店員は少しだけ考えて
「これであなたの気分が少しでも落ち着くといいけど」
とカフェアメリカーノを勧めてくれた

僕は100円硬貨を3枚と引き換えに
手にぴったりと収まるサイズの
ショート・カフェアメリカーノを受け取った


席に着くと僕たちはこれまでに起こったことと
これから起こるであろうことを話した

「まだうまく話せないんだけど
少しでも君たちに伝わってくれればいいと思う」
僕はひとことひとこと言葉を選びながら
旅のこと
方舟のこと
移動するマーケットのこと
手紙のことなどを話した

北村という男が口を開いた
「いいかい
君たちはこれから果てしない旅に出ることになる
人生という名のね
そのためには羅針盤が必要だ
羅針盤が必要なんだ
行く先をはっきりと示す羅針盤が必要なんだ
目を閉じて深呼吸をしてごらん
コーヒーを飲んで
少しだけ落ち着いて考えるんだ

僕たちはまだ深い森の中にいる
どこに行ったらいいのかもわからない

だけど答えはすでに僕たちの中にある
どこに行ったらいいのか
ほんとうはわかっているんだ
いいかい
答えはすでに僕たちの中にあるんだ
僕たちは羅針盤を持たなくちゃいけない」

僕たちは羅針盤を持たなくちゃいけない
僕たちはまず僕たちがいまどこにいるのかを知らなきゃいけない
そして
どこを目指すのかをはっきりと確かめなきゃいけない

「モーツァルトは好きかい?」
北村という男は訊いた
店内では交響曲第38番ニ長調『プラハ』が流れていた
「たぶんね
好きだと思う」
僕は少しだけうなずいた

「踊ろう」
北村という男は立ち上がると奇妙なツイストを踊り始めた
「うまく踊れなくても踊るんだ
最後のときまで」

僕たちはひどく不器用に
だけどとても丁寧に踊った
やわらかい女性器に包まれているような感触がして
僕はふいに驚くほど激しく射精してしまう
何回も何回も

「気にしなくていいのよ
生理的な現象なんだから」
麻衣子さんは何事もなかったかのように
近くにあるティッシュを取り出すと
硬くなったペニ


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この記事へのコメント
これはすごい!
名作だ!
Posted by みずき at 2009年05月08日 22:57
私も、これには感動しました!
名作です!
Posted by 佐月 at 2009年05月08日 23:21
実名出したので告訴します。
Posted by ワシ at 2009年05月09日 09:09
告訴かあ
フィクションなのになあ
(「気にしなくていいのよ生理的な現象なんだから」以外)

死刑はいやだなあ
死刑だけはやめてくれよー
Posted by み at 2009年05月09日 13:42