世界の多くのマーケットで毒物とされているのに、日本では大きな顔をしているマーガリン。そして、マーガリンと同種のものにショートニング*があります。

shorteningショートニングは値段が安いので、いろいろな加工食品に使われます。クッキー、クラッカー、パン、ケーキ、チョコレート、コーヒーに入れるフレッシュ、アイスクリーム、レトルトカレー、インスタントラーメンなどです。ほとんどの人は一日に一回くらいは自然に存在しない脂肪酸−トランス型脂肪酸を取り入れています。  

ある研究では、フライドポテト一人前に8グラムのトランス型脂肪酸が含まれているそうです。

20世紀はじめには人間の体内に存在しなかったトランス型脂肪酸ですが、今では、日本人の皮下脂肪中の約4%に達しているそうです。  また、缶入りの紅花油やコーン油などの植物油も、それが高温で処理されている場合、その一部はトランス型脂肪酸に変性するので、植物油自身も危険なのです。

fried_potatoマーガリンを加熱料理に使用するのは、トランス型脂肪酸を一層増加させることになり危険きわまりない行為です。  

アメリカでは1992年、ニューヨークタイムズに、「マーガリンは、飽和脂肪酸と同じようにコレステロール値を高くし、心臓病の原因になりうる」という、アメリカ農務省の見解が発表されました。  

フィンランドでの調査もあります。1200人を対照に15年間追跡調査を行った疫学研究によると、ソフトマーガリンを多量にとったグループは、とらなかったグループと比較すると、死亡率で1.4倍、心臓病で2.4倍になったのです。  

また、最近出てきたものに、不飽和脂肪酸のアンバランスの問題があります。不飽和脂肪酸は青魚や亜麻仁油に含まれるオメガ3系**と、リノール酸や紅花油など市販の植物油に多いオメガ6系***に分けられます。

本来ならば、この摂取比率は一対一が適当なのですが、揚げ物やドレッシングでリノール酸を取りすぎ、オメガ6系の比率が、オメガ3系の十倍から百倍という異常な比率になっており、アレルギーや心臓病の原因になっているのではないかといわれています。 

このように現代人の食生活は、毒物の体内への進入だけでなく、栄養素間に大きなアンバランスが起こっているのです。このアンバランスを正常に戻す食事を心がけるというのは大変なことです。また、食事だけで栄養素が十分に取れるものではありません。バランスをとり、健康な生活をするにはどうしたら良いのでしょうか。

予防医学では、例えば、たばこは吸うな、酒は飲むなと「してはいけない」ことをいろいろといっております。もちろfried_potato01んこれは守らねばいけませんが、もっと大事なことは、自分自身の「健康プログラム」を作り、積極的に参加することです。

「健康プログラム」とは、正しい食生活を心がけ、体内に毒性の食べ物を入れないようし、不足している栄養を補給し、適度の運動をすることなどを基本としたものです。

*ショートニング:食用加工あぶらの一種。もとラードの代用品としてつくられました。

**オメガ3系:必須脂肪酸の一つで、オメガ3の脂肪酸は脳の機能、免疫機能、幼児や青少年の発育にも関係していると見られています。これが不足すると、アレルギー性の皮膚疾患、耳、鼻、のどなどの慢性的感染症にかかりやすくなります。最近の研究では妊娠中のオメガ3の不足は、生まれた子供の発育に影響するとされています。青魚、亜麻仁油などに多く含まれています。

***オメガ6系:必須脂肪酸のひとつで、必要な脂肪酸なのですが、リノール酸、紅花油など市販の植物油に含まれているため、現代人は非常に多く取る機会に恵まれています。むしろ取りすぎることにより、オメガ3系とのバランスが崩れ(一対一が望ましい)問題になっていることは本文に書いた通りです。



(参考資料)

ショートニング  (フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
マーガリン・ショートニングは日本以外では禁止または制限
日本マーガリン工業界ホームページ --マーガリンで豊かな生活を!
マーガリン・精製油・オメガ6系リノール酸の恐怖