離婚コラム

いわゆる有責配偶者からの離婚請求

いわゆる有責配偶者からの離婚請求が信義則に反し認められないとの最高裁判例は広く知られており、不倫したら離婚は認められないと考える方が多いようです。
調停委員もそうで、有責の場合、調停が不成立になっても訴訟できないのではないかと言う調停委員がいたので、
「いや、もちろん訴訟します」と答えました。

最高裁の判例はその事例に則して判断したに過ぎず、実際、有責配偶者からの離婚請求を認める判決は多数あります。
離婚を認める基準として、有責主義と破綻主義というのがありますが、現代の裁判所は実質的に破綻主義なのではないかと思います。
実質的というのは本当は破綻主義で判断しているのに有責主義を取り入れているかのようなレトリックを使うからです。実際は破綻しているかどうかで判断しているのです。
破綻主義なのに有責配偶者からの離婚請求を認めないというのは本質的に論理矛盾しています。
なぜ破綻しているのに離婚を認めないかというと、平たく言えば離婚を認めると相手方がかわいそうだからです。しかし、有責だという一点で必ず相手方がかわいそうかというとそうではない場合も多いと思います。

裁判所自らがその矛盾に切り込んだ判決が東京高裁平成26年6月12日判決です。
裁判所の判断としていわく、

これまでそのような有責配偶者からの離婚請求が否定されてきた実質的な理由の一つには,一家の収入を支えている夫が,妻以外の女性と不倫や不貞の関係に及んで別居状態となり,そのような身勝手な夫からの離婚請求をそのまま認めてしまうことは,残された妻子が安定的な収入を断たれて経済的に不安定な状態に追い込まれてしまい,著しく社会正義に反する結果となるため,そのような事態を回避するという目的があったものと解されるから,仮に,形式的には有責配偶者からの離婚請求であっても,実質的にそのような著しく社会正義に反するような結果がもたらされる場合でなければ,その離婚請求をどうしても否定しなければならないものではないというべきである。

この判決では別居期間1年半で有責配偶者である妻からの離婚請求を認めました。

判決のこの部分を読むと、もう妻からの請求の場合有責かどうかは関係ないように読めます。
不倫のペナルティとして破綻した婚姻に身分的に縛り付けるというのは前近代的であり、もうそこは慰謝料で金銭解決すべきなのではないでしょうか。
裁判所もそう考えているように読めます。
ちなみに静岡家裁の控訴裁判所は東京高裁です。

家裁レベルでこの判決を持ち出すと、裁判官にこの判決では夫側にも破綻原因があると認定されているからそのまま当てはまらない、などと判決の傍論を持ち出して抵抗されたりしますが・・・
高裁より家裁の裁判官の方がおしなべて保守的です。
まあ妻側だから有責でも必ず離婚が認められるとまではいえません。
裁判所も正面から妻側からの場合ならOKとは言えないでしょう。
そこは裁判所が総合的に判断して離婚を認めたといえるような材料を与える必要があります。

しかし、私は不倫したから別居してから提訴まで5年とか10年とか待たないといけないというのはナンセンスだと思います。
そもそも別居期間は婚姻破綻の認定基準であるとすれば、妻の不倫を夫が責め立てている状況ではむしろ短い期間で破綻が認められるはずです。
ましてや調停の申立を待つ必要は全くないと思います。
多くは調停や和解で解決するからという理由もありますが、もう判決を絶対的におそれる状況でもなくなったのではないかと思います。
 

I'm So Happy I Can't Stop Cryingの動画

先にコラムで触れたスティングの

I'm So Happy I Can't Stop Cryingの動画がありました

 なお、公式ですので著作権の問題はありません・・・

全くの蛇足ですが、私は司法修習の集合修習のとき寮に入っていたのですが、司法研修所の寮の前には大きな公園があって、日曜日にはこの曲に出てくる

The park is full of Sunday fathers 

というような状況になります

日曜日には授業がないのですが、二回試験の前なので寮にこもって勉強している合間に気分転換に公園をぶらつくとなんとも孤独な気持ちになるわけです

そんな日々を乗り越えて弁護士をやっております


 

養育費算定、見直し検討 最高裁司法研修所

最高裁司法研修所が現在裁判所で広く用いられている養育費・婚姻費用の簡易算定方式の見直しを検討しているという報道がありました。(産経新聞平成30年8月28日)

来年3月29日までが研究期間で5月には報告書をまとめるという具体的な話です。

これまで裁判所の算定式で算出される額が低すぎるという議論は相当されてきましたが、やっと最高裁が動いたということで、検討の結果増えることはあっても減ることはないと思います。

そうなると実務的には2つの問題が出てきます。
1つ目は新しい算定式が採用されるまでの間低くしか算出されない現在の算定式で決めるべきなのかという問題です。
2つ目は新しい算定式が採用された場合これまでの算定式で決めた養育費・婚姻費用をどうするかという問題です。

前者はそもそも新しい算定式がどうなるかわからないので、新しい算定式を前提に計算することはできないが、明らかに低くなる現在の計算式で決めてしまってよいか悩ましい問題が発生します。
来年の5月というのはもう1年ないわけで、それまでの間事件を引っ張るかどうかという場面も5月が近づくにつれ出てこようかと思います。

後者については裁判所がどう扱うのかよくわかりません。
法律であれば施行日を基準にするが、これは法律ではないものが法律のように取り扱われてきたものです。
また、婚姻費用・養育費は継続的に発生するということも問題を複雑にすると思います。
観測報道が出たばかりであり、まだこのことについて論考した論文等は見ないのですが、研究の必要があると思います。
 

面会交流事件の代理人の仕事

弁護士が扱う事件というのは何かを請求し、あるいは請求される事件というのが多いと思います。
請求する側であればできるだけ請求を満たすように、請求される側であればできるだけ請求に応じなくてよいようにするのが仕事です。
多くの場合が金銭請求ですから、お金は多く貰った方がいいに決まっているし、払わされる方だったらできるだけ払わないで済んだ方がいいに決まっています。

面会交流事件でも同じ事がいえるでしょうか。
面会は会う方ならできるだけ会った方がよい、会わせる方ならできるだけ会わせない方がいい、といえるでしょうか。
そうではないと思います。

金銭請求なら金自体が目的と言っていいと思いますが、面会の目的は非監護親と子どもとの良好な関係を継続する、ということにあると思います。
できるだけ会ったら関係は良好になるでしょうか。
人間関係の本質として、毎日顔を合わせていたら必ず仲良くなるかと言われればそうではないと思います。
ましてや、会いたくないのに無理矢理呼ばれて会う、あるいは現在の生活を犠牲にして会う、というのでは関係が良好になるどころか悪化してしまうでしょう。
他方、会わせる方も非監護親と子どもとの良好な関係という目的自体には大半の場合(DV等のケースを除けば)反対しないと思います。

これをどう折り合わせるのかというのが面会交流事件の代理人の仕事であって、金銭請求とは違うアプローチが必要だと思います。

金銭請求であれば負けた方がどんなに悔しく思っても金を取れば事件としては終わりです。
場合によっては強制執行によって強制的に取り立てることもあるでしょう。

しかし、面会交流事件においては、定期的に会うということが何年も続くのですから、双方が納得した上で行われるということが一番よいと思います。
どのようにしたらお互いが納得できるのかというと、信頼関係だと思います。
面会交流というのは結局のところ両親間の信頼関係が醸成できるかどうかということにかかっているのであって、信頼関係があれば自ずとどの程度が適当か落ち着くところに落ち着きますし、なければ会わせろ会わせないという問題になってしまいます。

私は妻側しかやりませんので、多くの場合会わせる方ですが、逆側から見ていて頭ごなしに権利だから会わせろというようなアプローチは逆効果であると思います。
面会交流事件を請求権的にやるとそうなってしまいがちですが、面会交流は人間関係そのものという特殊な法益を目的にした事件だということを考慮に入れてやるべき事件ではないかと思っています。




 

モラハラで離婚したいという場合について

モラハラは近年広く知られるようになり、夫がモラハラではないか、モラハラで離婚できるか、というご相談がよくあります。
実際夫がいい人であれば離婚したくなる場合は少ないわけで、離婚したくなる夫というのは多かれ少なかれモラハラ傾向があると思います。

しかし、私は離婚原因としてモラハラを取り上げる実益がある場合は極めて少ないと思っています。
世の中のイメージと違って大半の離婚は相手方に有責事由のない単なる婚姻破綻が原因です。
訴訟でもそうですから、モラハラかどうかが決定的な意味を持つというのは当方に有責事由があって相手方のモラハラを主張する場合か別居期間が極端に短い場合ぐらいではないかと思います。
まあ訴訟では離婚原因を網羅的に主張しますから、当然その一つとしてモラハラは主張します。
しかし、それで大きく結果が左右される場合というのは限定的ではないかと思います。

とくに調停においては夫がモラハラ、というレッテル貼りはあまり有益でない場合が多いと思います。
モラハラの人は自分ではモラハラだと思っていない場合がほとんどであるので、モラハラであるかどうかという不毛な論争に労力を費やすことになってしまうからです。
それは夫側にとっては自分の名誉を守る争いになってしまい、自分はモラハラではないから絶対に離婚には応じない、となってしまいます。
そこはあえて追求せず結果を求める方が有益な場合が多いと思います。

他方、モラハラの人には特有の話法があり、それに対する対応方法というのはあります。
モラハラの人が相手の場合、本人で対応していると疲弊してしまい、疲れるのでもう相手の言うとおりでいいや、となってしまうこともあると思います。
職業秘密になるのでここでは詳しく書きませんが、弁護士に対応を任せていただくことで、モラハラの人が相手でも妥当な解決を導くことはできると考えています。


 
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