離婚コラム

誓約書で不倫慰謝料を定めた場合

不倫が一度バレて次やったら何百万払う、というような誓約書を作っている場合と言うのは時々見かけます。
私が相談を受けたらそんな約束はしない方が良いと助言しますが、当事者間で作ってしまっている場合というのはよくあるのではないかと思います。
そのような約束に法的拘束力はあるでしょうか。
契約は自由という原則からすると、ありなような気もしてしまいます。
このような約束は民法上は損害賠償額の予定(民法420条)にあたるのではないかと思います。
仮に裁判になったとして違約の事実が認定されれば誓約した通りの支払いが命じられるかというと、私は疑問です。
裁判所は実損がない場合の損害賠償について極めて抑制的です。
損害賠償とは損失を填補するものであるという原則があるからです。
損害賠償額の予定の本来の趣旨は、実損がある場合に、その評価についての立証の手間を省くというものであったのではないかと思います。
不倫慰謝料には基本的に実損がありません。精神的苦痛を金銭に見積もればいくら、というのを裁判官が心証で定めた額が全てという場合が多いでしょう。
おそらく、裁判官が誓約書があるという理由で自分の心証以上に高い損害賠償を命じるということはないのではないでしょうか。

私も受けてみたら誓約書があったという事件を担当したことがありましたが、訴訟では裁判官はだからどうだということではなく自分の心証で金額を決めていました。原告がとくに主張しなかったということもありましたが、仮に主張していても一蹴されていたのではないかという気がします。 

電話会議による調停

家事調停では管轄の関係で当事者の住所が遠方の場合、電話会議によって進めることができます。裁判所が必要性を認めることが前提です(あまり近いと来てくださいと言われるでしょう)が、最近裁判所は積極的に電話会議を採用してくれると感じています。
当方が電話の場合の具体的なやり方は事務所に依頼者様に来ていただき、同席の上で裁判所からかかってきた電話をスピーカーホンに転送し、やりとりをするという形になります。
なお、離婚事件の成立の際には裁判所に行く必要があるのと、場合によっては裁判所が直接話したいので来て欲しいと言われることもあることはご留意いただく必要があります。 


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当事務所で使用しているスピーカーホン

面会交流を拒否したい場合について

こちらが監護親で面会交流を求められているが、断りたいという相談はよくあります。
断りたい理由は様々で、子どもが拒否しているとか、夫や元夫ともう関わりたくないとか、ご事情はいろいろあると思います。

昨今の裁判所は面会交流至上主義になっていると言ってもよく、面会交流に消極的な態度を示すと、調停委員も裁判官も子どもにとって非監護親との交流も必要であるという原則論を言われます。

確かに審判になったとして、面会交流を拒否できる場合はDV等限定的な場合に限られるというのは見通しとして押さえておかなければなりません。

しかし、面会交流調停の中で面会を拒否したい理由が解消されていくことはよくあります。
たとえば夫と関わりたくない、という理由であればそもそもの夫婦の葛藤状態が解消されていない、ということが原因であったりします。
面会交流を求めるのであれば、そこを解消しないと円滑な面会を続けていくのは困難であると主張し、夫に態度を改めて貰う場合もあります。

このように進めていくと、面会交流の調停は時間がかかります。
2,3回では終わらず、5,6回やることはざらだと思います。
調停をやりながら試験的に面会することで問題点をフィードバックし、お互いが納得できるようになることもあります。
面会を求める側のすぐ会いたい、という気持ちもわからなくはないのですが、監護親が拒否したい理由を解消していった結果、面会の内容に合意する方が求める側にとっても長期的によい結果になるのではないかと思っています。 

いわゆる有責配偶者からの離婚請求

いわゆる有責配偶者からの離婚請求が信義則に反し認められないとの最高裁判例は広く知られており、不倫したら離婚は認められないと考える方が多いようです。
調停委員もそうで、有責の場合、調停が不成立になっても訴訟できないのではないかと言う調停委員がいたので、
「いや、もちろん訴訟します」と答えました。

最高裁の判例はその事例に則して判断したに過ぎず、実際、有責配偶者からの離婚請求を認める判決は多数あります。
離婚を認める基準として、有責主義と破綻主義というのがありますが、現代の裁判所は実質的に破綻主義なのではないかと思います。
実質的というのは本当は破綻主義で判断しているのに有責主義を取り入れているかのようなレトリックを使うからです。実際は破綻しているかどうかで判断しているのです。
破綻主義なのに有責配偶者からの離婚請求を認めないというのは本質的に論理矛盾しています。
なぜ破綻しているのに離婚を認めないかというと、離婚を認めると社会正義に反する、平たく言えば離婚を認めると相手方がかわいそうだからです。しかし、有責だという一点で必ず相手方がかわいそうかというとそうではない場合も多いと思います。

裁判所自らがその矛盾に切り込んだ判決が東京高裁平成26年6月12日判決です。
裁判所の判断としていわく、

これまでそのような有責配偶者からの離婚請求が否定されてきた実質的な理由の一つには,一家の収入を支えている夫が,妻以外の女性と不倫や不貞の関係に及んで別居状態となり,そのような身勝手な夫からの離婚請求をそのまま認めてしまうことは,残された妻子が安定的な収入を断たれて経済的に不安定な状態に追い込まれてしまい,著しく社会正義に反する結果となるため,そのような事態を回避するという目的があったものと解されるから,仮に,形式的には有責配偶者からの離婚請求であっても,実質的にそのような著しく社会正義に反するような結果がもたらされる場合でなければ,その離婚請求をどうしても否定しなければならないものではないというべきである。

この判決では別居期間1年半で有責配偶者である妻からの離婚請求を認めました。

判決のこの部分を読むと、もう妻からの請求の場合有責かどうかは関係ないように読めます。
不倫のペナルティとして破綻した婚姻に身分的に縛り付けるというのは前近代的であり、もうそこは慰謝料で金銭解決すべきなのではないでしょうか。
裁判所もそう考えているように読めます。
ちなみに静岡家裁の控訴裁判所は東京高裁です。

家裁レベルでこの判決を持ち出すと、裁判官にこの判決では夫側にも破綻原因があると認定されているからそのまま当てはまらない、などと判決の傍論を持ち出して抵抗されたりしますが・・・
高裁より家裁の裁判官の方がおしなべて保守的です。
まあ妻側だから有責でも必ず離婚が認められるとまではいえません。
裁判所も正面から妻側からの場合ならOKとは言えないでしょう。
そこは裁判所が総合的に判断して離婚を認めたといえるような材料を与える必要があります。

しかし、私は不倫したから別居してから提訴まで5年とか10年とか待たないといけないというのはナンセンスだと思います。
そもそも別居期間は婚姻破綻の認定基準であるとすれば、妻の不倫を夫が責め立てている状況ではむしろ短い期間で破綻が認められるはずです。
ましてや調停の申立を待つ必要は全くないと思います。
多くは調停や和解で解決するからという理由もありますが、もう判決を絶対的におそれる状況でもなくなったのではないかと思います。
 

I'm So Happy I Can't Stop Cryingの動画

先にコラムで触れたスティングの

I'm So Happy I Can't Stop Cryingの動画がありました

 なお、公式ですので著作権の問題はありません・・・

全くの蛇足ですが、私は司法修習の集合修習のとき寮に入っていたのですが、司法研修所の寮の前には大きな公園があって、日曜日にはこの曲に出てくる

The park is full of Sunday fathers 

というような状況になります

日曜日には授業がないのですが、二回試験の前なので寮にこもって勉強している合間に気分転換に公園をぶらつくとなんとも孤独な気持ちになるわけです

そんな日々を乗り越えて弁護士をやっております


 
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