夢と希望に燃える337名の皆さん、ご成人誠におめでとう御座います。晴れの成人式を心からお祝い申し上げます。また蔭になり日向になって愛情を注ぎ、慈しまれた、ご両親やご家族皆さんのお喜びは如何ばかりかと拝察し、お祝い申し上げます。 さて新成人の皆さんは、今や法律的にも国家の一員としての権利と義務が与えられると同時に、独立した成人として国家や社会に対し責任ある行動が求められます。
皆さんの中には、既に社会人として実社会で活躍されている人もあれば、勉学に専念されている皆さんもおります。いずれにしても、民主主義社会の基盤である選挙権を得て、将来への夢を抱き、大きな希望に燃えていることと思います。先ずは、我が国を担う成人として、豊かな教養と健全な精神を研き、プラス思考の社会人になって下さい。教養は単なる教育だけでは身に付きません。それは学歴や知識だけでなく、本人の努力と経験によって身に付くものです。今後は知性を磨き、身体を鍛錬し、豊かな心を育むために益々精進して、堂々たる人生を歩んで下さい。
自由を意味する英単語に、FreedomとLibertyがあります。
Freedomは何でも有りの自由を意味しますが、Libertyは努力して勝ち取ることの自由を意味します。今の世相は何か自由の在り方を履き違えて、何でも有りのFreedomが横行しているような気がします。このような中で成人者の皆さんは、大きな夢と目標、更には理想を掲げて、どうかLibertyの自由を持って存分に活躍されることを期待します。
我が国の民主主義は、人間に例えれば還暦を過ぎましたが、今だ太平洋戦争の傷跡は完全には消えず、幾多の変遷を経て今日に至っております。それだけに私達は、日本が「坂の上の雲」を掴もうとした近代史を、今こそ正しく学びたいと思います。そして、戦争の真実を知り、国としての責任をはたし、史実に基づいた歴史観を持って、関係各国と堂々と渡り合う時代を構築したいものです。そのためには国権の最高機関である国会も、国民の幸せと日本国の存亡を賭けて、我が国がはたす役割と進むべき道筋を示すべきであると思います。
憲法に定める民主主義の基本理念は、主権在民、基本的人権の尊重であり、その原則は多数決であります。今日までは、この原則で主権者の意思を決める「議会制民主主義」に、何ら疑問を持ちませんでした。しかし、マスコミ報道で現今の国会審議等を知る時に、政局に渦巻く論争に終始し、国民の負託に応えた審議がなされているか、甚だ疑問に思います。後期高齢者医療制度や定額給付金等、ましてや、金融危機から円高・株安となり、雇用の悪化が各地で深刻化する中で、政治の対応は余りにも遅く、これでは国会の権能が発揮されているとは言えません。
「民信なくば立たず」と言いますが、国民の信頼がなくして国は成り立ちません。信頼とは信義であり、信義とは約束した事を実行することであります。従って、100年に一度の経済危機といわれる今日、政局論争は一時棚上げして、先ずは与野党が真摯に議論できる体制を築くべきであります。そして、雇用対策は勿論のこと、国民が安心して暮らせる年金制度改正等を行い、併せて組織の改変と時代が求める政策を立案して、政治への信頼回復をして欲しいものであります。
今年のNHK大河ドラマは、火坂雅志氏・原作の「天地人」であります。このドラマは、利を捨て「義と愛」を貫いた、上杉家の武将・直江兼続が主人公の物語です。直江兼継公は、兜の前立てに「愛」の一字を掲げ、常に己を捨て、上杉家の繁栄と藩民の幸せのために、その生涯を捧げた武将であります。兼続公は上杉謙信の薫陶を受けて、謙信の後継者である景勝を支えた家臣で軍師であり、才気煥発にして風貌豊かな戦国時代のヒーローでもあります。
何時の時代も、組織のトップの出処進退で、それまでに築き上げてきた実績や信頼を失うことがあります。上杉家は天下分け目の「関が原の戦い」で、勝者である徳川家康に刃向かい、領地を120万石から30万石に減らされます。しかし、兼継公は敗戦の責任から逃れることなく、上杉家の再建に着手します。そして、その再建の手法は、希望で離れる家臣以外は整理せずに、卓越した企画力と指導力で殖産興業に努め、上杉家の再生を図りました。しかし兼継公は、米沢藩の基礎を築いた最高の功労者にも拘わらず、自身の死後は直江家が断絶するように仕向けます。その責任の取り方は、余りにも見事しか言いようがありません。このドラマ「天地人」には、わが町の三国峠・清水峠、そして名胡桃城が登場します。この機会に、今の世に欠けている「義と愛」を改めて学び、更には我が町の歴史や文化を再認識して、利根川源流の町づくりに参加されることを期待します。
新成人の皆さんには、輝かしい未来があります。そこには、皆さんのエネルギーに期待する社会があり、世界があります。これからは真の「義と愛」を育み、自分の幸せだけでなく、常に他を思いやり、己の義務と責任を果たし、誇りを持って人生を切り開いて下さい。加えて、故郷みなかみ町が更に発展する原動力になることを熱望します。
平成21年1月11日
みなかみ町長 鈴木 和雄


