柳川喜郎前御嵩町長が住民投票条例について講演 (1)名古屋友禅黒紋付協同組合のみなさんが市長表敬

2010年02月18日

柳川喜郎前御嵩町長が住民投票条例について講演 (2)

まず、「住民投票条例」について記載したい。

「住民投票条例」は、自治体の重要な問題について住民による直接投票を行うことを定める条例だ。条例制定をする自治体が相次いでいる背景には、地域の重要問題に関して住民の意思を直接問い、自治体の運営に反映させていく気運が高まっていることがある。

次に、柳川喜郎前御嵩町長の講演の概要をまとめたい。

御嵩町では、木曽川流域に建設が計画された民間の産業廃棄物処分場をめぐり、御嵩町民を二分する議論や対立があった。この問題の結論を導き出すひとつの手法として、住民投票を実施した。結果は、80%の町民が反対し、建設計画は中止に追い込まれた。

その後、全国で400回程度住民投票は行なわれているが、その90%以上は市町村合併の是非を問うもの。残りは、産廃施設などの迷惑施設の是非を問うものとなっている。

また、住民や市長の発議によって実施が可能な常設型の住民投票条例は、高浜市が全国第1号で、現在40市町村で制定されている。

住民投票条例制定の動きが全国的に高まっている背景には、
○民主主義の原点は間接民主主義ではなく直接民主主義
○価値観が多様化
○市長の公約の一つ一つに住民が賛成しているわけではなく、中には、民意を確認する必要のあるものもある。
○イデオロギーの対立の時代ではない。
○時代のスピードが速くなっている。
○市長と議会とねじれがあった場合に民意を確認
○地方主権時代には住民投票は有効
○政治と金の問題でしらけている住民に、直接、民意を問うことで再び政治に信頼が戻る。

住民投票をする場合の注意
○何でもかんでも住民投票はダメ。その地域にとって重大な問題で行なうべき。特に、住民の意見が分かれるときなど。
○選挙と同時に行なえば、費用は軽減できる。
○やるからには、住民に十分な説明と判断材料の提供が必要。説明もなく実施するような住民投票ならやらないほうがいい。

<感想>
常設型の住民投票条例の制定には、私は基本的に賛成だ。しかし、賛否の判断材料となる住民への説明など、実際は困難なことがある。
また、減税に賛成か反対かなど、その反作用の部分の説明が困難な場合もあり、住民の正しい判断ができるだけの情報提供のあり方にも不安は正直ある。
今回の議会で、自民党は「住民投票条例案」を提案したが、可決の可能性もでてきた。条例案の提案にいたるまで十分な議論が行なわれたとはいえず、やや拙速な面も否定できないが、委員会で各党が十分に意見をたたかわせ、名古屋モデルの住民投票条例の模索をしたい。


minami758 at 00:03│Comments(8)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by JRC   2010年02月18日 06:54
御嵩町長襲撃事件は当時自分が近くで仕事をする機会があったので記憶していますが、未だに犯人は不明なのですね。また横井先生までが襲撃されたことについては全く知りませんでした。これについての闇は深いんでしょうね・・・。
住民投票は選挙と同時に行うというのは米国でも州議会選挙なんかで一般的です。たいてい設問が5つくらい用意されていて、それぞれ賛成派、反対派がテレビやラジオなどのコマーシャルで「設問3番目にNoを!」なんてやっています。内容は些細なこと?が多く、「公立学校でのjunk food(ジュースとかガムとかチョコレートとか)の販売禁止」とか「少量の大麻の所持を合法化」とか、確かに意見が分かれそうな内容が多いですね。
2. Posted by 今井   2010年02月18日 08:08
5 名古屋モデルの住民投票条例
私は賛成です。混迷する河村市政、住民投票にかけるべき問題は意外とたくさんあるのかもしれませんね。
3. Posted by 今井   2010年02月18日 12:22
5 先日 先生から頂いた名刺のバーコードに、携帯からアクセスして見ました。先生の全アクセスポイントや住所まで出てきます。画期的な名刺ですね〜!これからのIT時代これぐらいの先新性は当然ですね〜。どっかの市長はPCさえ自分では、扱えないのに…住基ネット離脱。まあ、いっとれ-いっとれ!携帯からのコメントでした。
明日から、おもいっきり頑張ってください。


4. Posted by 東郷先生のBlogより。 1 今井   2010年02月18日 20:39
5 2010/2/18「住民投票条例」  
自民党市議団主催の勉強会で元岐阜県御岳町長の柳川喜郎氏に「住民投票条例」についての講演をいただいた。柳川氏は、河村サポーターズの代表を務める。現在、議会改革を争点に住民投票条例を行うことを模索し、場合によっては議会のリコール署名を集めるという。また河村チルドレンとして市議選の候補者を公募し、多数擁立を目指す。

そもそも住民投票とは、自治体において二分するような争点がある場合、是非を問うため実施される(法的拘束力はない)。1996年新潟県巻町(現新潟市)の巻原原発をめぐるものが、日本初である。同年、沖縄県で日米地位協定をめぐって行なわれた。翌年には、岐阜県御岳町で産廃施設をめぐって実施された。この問題では、当時、柳川町長が銃撃されるという事件となった。その後は、平成の大合併など合併をめぐる住民投票が400近い自治体で実施されている。今回、自民党提案で住民投票条例を制定するよう主張。今後、協議していく事になる。
5. Posted by 東郷先生のBlogより。2 今井   2010年02月18日 20:42
5 さて事情通によると昨年、議会解散(リコール)騒動が勃発したが、河村市長いわく「寒いで(選挙)やめとこうか。ワシは自転車のらなあかんし・・・」というのが真相という。どうも寒いのは苦手らしい。
<東郷先生。最後のくだりは、面白すぎ!(大笑い)>
 東郷先生も明日から、頑張ってください。
6. Posted by 横井利明   2010年02月18日 23:00
5 JRCさん、アメリカの住民投票の題材は結構身近な話題なんですね。その結果を何にいかすのかも興味があります。発議は市長でしょうか。住民でしょうか。
今井さんがおっしゃるように住民投票の題材は、河村市長である限りかなりあるでしょうね。
7. Posted by JRC   2010年02月19日 02:46
citizen's initiativeというくらいなので住民発議なんだと思いますが、何人集めればよいのか、議員発議もあるのかとかは州や市町村によってまったく違うみたいなのでよくわかりません。
米国で面白いのは教育委員みたいなのにも選挙があるんですね。自治意識は日本より明らかに高いですね。河村市長が目指すもののモデルなんでしょう。
8. Posted by 横井利明   2010年02月20日 00:55
5 日本では官僚組織がしっかりしていて、「お上」に任せておけば大丈夫という他力本願的なところがあったのでしょうか。
しかし、今後は、国も地方自治体も資金が枯渇し、人も減る時代。地方分権もますます進む中で、今の状態では、立ち行かないことも事実でしょう。私も一度アメリカの住民自治を視察したくなってきました。

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