(五日間留まったボーダナート ソナム氏の銀工芸作品 曼荼羅アート)
翌日は、ツアー仲間と最後の日でした。ヒマラヤのご来光を拝んだ満足感を胸にナガルコットの山を降り
再びカトマンズ市内へ。パタンのゴールデン・テンプルを参拝したり、ボーダナートの巨大な目玉ストゥ
ーパをお参りしました。そしてカトマンズ空港で林氏と共にツアー・メンバーの方々を見送りました。
和気藹々と愉しい旅でしたので、とても名残惜しいものがありました。
ツアー期間を延長したのは、ネット・ショップの買い付けをじっくりとするためでした。
それから五日余りボーダナートに投宿することになります。まず林氏の旧友であるアーティストさんと
コンタクトをとり彼のアパートに泊めていただくことになりました。銀工芸職人のソナムさんです。
シャカ族の方ですが、ネパールではシャカ族の多くがソナム氏のように仏教美術の巧の技を代々受け継い
でいるのです。ソナム氏は、林氏とひさしぶりの再会と言うこともあって歓待してくれました。
まず、ご自宅兼工房に案内してくれました。そして数々の彼の作品を見せてくれました。主にお寺で使う
仏教法具や寺院装飾の銀工芸作品です。供物などの仏器、水瓶、法具の数々は緻密で繊細な銀彫刻は、
細やかな巧みの技が駆使された優美なものです。
工房は、金床やふいご、焼きなましの炉など工程に分けた様々な作業場があります。お父様・弟さんの三
人で数々の名品をお寺関係に納めているとのこと。昔ながらの加治屋さんそのものの製作現場です。
思わず作品に見入りました。そして、シャカ族のご身内の曼荼羅アート工房も案内してくれました。こち
らも鮮やかで深遠なチベット曼荼羅の製作現場です。所長さんが製作工程などをガイドしてくれます。
ヨーロッパから技能習得のために画家さんの女性が曼荼羅を描いていました。岩絵の具という染料を使
うそうです。そんなふうにソナム氏から心づくしの歓待を受け、まるでツアーの後編が始まったようなあ
りがたさを覚えました。