第17回日米+NZの構造設計WSに参加する(2)

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日本・米国・ニュージーランドの構造設計者や研究者ら約60名が参加するワークショップが始まりました。日本からは約20名が参加しています。

ニュージーランドのクライストチャーチの状況に関する発表がありました。これまでクライストチャーチでは鉄筋コンクリート構造(RC造)の建物がほとんどでしたが、建て替えられている建物は鉄骨造になっているそうです。これはRC造の建物の地震被害が大きかったこと、施工期間が短くて済むことなどが理由のようです。

建て替えられいる建物では、制振構造(座屈拘束ブレース)や免震構造を採用した例も増えているとのこと(制振建物と免震建物はそれぞれ11棟)。これは、より高い耐震性が求めてられているということでしょう。

日本でも大きな地震が起きると、免震建物が増えますが、その後は徐々に減っていきます。これは震災の記憶が薄くなるからなのかもしれませんが、より高い耐震性をもつ建物(免震・制振を含め)がもっと増えていくように努力する必要がありますね。









第17回日米+NZの構造設計WSに参加する

第17回目となる日米+ニュージーランドの構造設計に関するワークショップに参加しています。今回の会場は、ニュージーランドのクイーンズタウンです(前回のワークショップは日本の奈良で開催でした)。

ニュージーランドには何度か来ていますが、クイーンズタウンは初めてです。小さな町ですが、雪が残る山々に囲まれ自然が豊かです。といっても、観光はできていませんが・・・
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クイーンズタウンには大きな湖(ニュージーランドで3番目の大きさ)があります。ワカティプ湖というそうです。これは氷河によって削られた谷に水が溜まって形成された湖です。

初日の会議の後の夕食は、ケーブルカーで上った山の上のレストランで開催されました。夜の8時過ぎまで明るく、山々を見ながら食事をとることができました。
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防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン

防災拠点の機能継続
国交省から今年の5月に『防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン』が示された。
このガイドラインの位置づけは、次のとおりとなっている。
本ガイドラインは、建築主、設計者、管理者が防災拠点建築物の機能継続を図る際の参考となるよう、企画、設計、運用の各段階における基本的な考え方を示すものである。本ガイドラインの各項目の記載事項を実際の設計との対応関係を確認するために活用することは有効である。

ガイドラインでは、「機能継続に係わる目標」に続いて、建築計画、構造計画(構造体、非構造部材)、設備計画などの設計について記述されている。そのなかの「構造体の耐震設計」では次のように書かれている(抜粋)。
<本文>
(2) 対象建築物について、大地震時における機能継続に支障となる損傷を防止するため、構造体の変形をできるだけ抑えることが望ましい。対象建築物が大地震時に機能継続に支障となる損傷に至らないことを、構造体の変形量等を用いて検証することとし、大地震時の応答値をできるだけ確からしく評価できる構造方法や構造計算方法を採用する。

強度・剛性等のばらつきや解析精度に起因する変動に対して設計の信頼性を高めるとともに、構造計算で直接想定しない事象に対しても一定の安全性を確保するため、余力の確保を考慮した設計とする。

<解説>
(変形量を抑えることの趣旨)
(2-1) 大地震時の構造体の変形については、できるだけ抑えることが望ましい。大地震時に構造体が大きく変形することは、非構造部材や建築設備に、対象建築物の機能継続に支障となる損傷を生じることにつながる。また、構造部材が塑性化する際の挙動については、弾性範囲内の挙動と比較して設計段階での予測がより困難となる。大地震時の構造体の変形をできるだけ抑えることにより、変形量の算定などの精度が高まり、設計の信頼性が高まることが期待される。

(変形量の算出にあたっての留意事項)
(2-4) 変形量については、時刻歴応答解析によると、ある程度精度よく算出することが可能である。
(2-5) 限界耐力計算による場合は、応答変形の算定精度が確保されるよう、建築物が整形で、高次モードの影響等ができるだけ少ない建築物に適用することが考えられる。
(2-6) 中低層の建築物については、地震力を十分に割り増すとともに、非構造部材等の追従性も踏まえ、十分に余裕を持った保有水平耐力計算により、個別に変形量を算定せずに機能継続性を検証することも考えられる。この場合も、整形な建築物に適用する等、計算結果の確からしさが確保される条件に配慮する。
(2-7) 中低層の壁式 RC 造等、一般的に大地震時の変形が小さく非構造部材や建築設備への影響が小さい建築物については、個別に変形量を算定せずに機能継続性の検証を行うことも考えられる。

(免震建築物等における留意事項)
(2-9) 建築物の変形・損傷を低減し、大地震後に建築物の機能継続を図るためには、免震構造を採用することも有効である。免震構造を採用する場合、建築物の応答は作用する地震動の特性によって左右され、入力する大地震動が設計用地震動と比較してレベルや卓越周期が異なる場合に、設計上の想定とは異なり、免震支承やダンパーの限界を超える変位等が発生するおそれがあることから、免震層の設計にあたっては余裕の確保を検討する。

具体的には、免震支承やダンパーについて可動域や減衰力、配置に余裕のある設計とするほか、免震
層周囲のクリアランスの確保、一定の大地震動に対して、免震層の限界変位を超えた場合でも上部構造の構造耐力上主要な部分を弾性範囲内として剛性をできるだけ高めるなどの措置が有効と考えられる。

なぜか、構造体の耐震設計では「変形量」に着目しているものの、耐震構造に関しての留意事項は書かれていない。一方、免震構造については、入力地震動のことや余裕のある設計を求めるなど、耐震構造とは扱いが違っている。(変形量を抑えることが耐震設計の留意事項なのかな)

機能継続にあたっては、変形量はもとより加速度応答も重要な指標となる。しかし、加速度応答について書かれているのは、「機能継続に係わる目標」の解説文『(2-4) 大地震時の対象建築物の機能継続に係る目標設定を行うにあたり、室内の使用継続性の目安として、床応答加速度について目標水準を設定することも考えられる』だけである。

機能継続ということであれば、免震構造の採用が有力であると思われるが、「免震」という言葉が出てくるのは、この解説のところだけとなっている。しかし、「防災拠点等となる建築物の機能継続に係る事例集」では、7例の庁舎で4つが免震構造であり、病院は3例とも免震構造となっている。

もっと免震構造を前面に出したガイドラインにしてもよかったんじゃない?









北海道胆振東部地震と石狩低地東縁断層帯の複雑な関係

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「科学」(11月号)の巻頭エッセイで名古屋大学の鈴木康弘教授が、『北海道胆振東部地震と石狩低地東縁断層帯の複雑な関係』と題して寄稿されている。
平成30年北海道胆振東部地震は異例ずくめであり、地震現象に関して知識の限界があることを思い知った。

震源の深さは37km、地震の規模はM6.7(いずれも暫定値)とされた。熊本地震M7.3に比べるとエネルギーでは8分の1程度で、しかも震源は約3倍深いにもかかわらず、厚真町では震度7に達した。なぜこのように地表が強く揺れたのか? 揺れが増幅された原因について今後議論されることになるが、それ以前に、地震そのものについても疑問が多い。

震源付近に位置する断層帯(石狩低地東縁断層帯)との関係も議論を要する。一般に内陸における地震発生層は通常は深度15km程度までであるが、石狩低地東縁においてはこれより深く、地震本部の長期評価では25kmまでとされていた。その意味は明確にはわかっていないが、今回はさらに深かった。そのため通常の活断層による地震ではないという見方もある。

「地図上に示される震源の位置(震央)は石狩低地東縁活断層帯のラインより東にずれるため、この地震は活断層によるものではない」という報道があったが、それは誤りである。この断層の面は東に傾いているため、震源がこの断層面上にあるとすれば、深ければ深いほど地表の断層のラインより東にずれることは自然である。しかもこの断層はかなりの低角だと考えられていたため、東へ大きくずれないといけない。今回、注目されたことは、むしろあまりずれていないということであった。

余震活動は、本震発生直後は30kmより深い場所のみと見られたが、その後、15km付近でも起こっていることがわかった。それらをつなぐと東へ高角に傾く断層面が見え、その地上延長は石狩低地東縁断層帯の活断層のラインとほぼ一致した。これは何を意味するのだろうか? こうした高角の断層活動は、石狩低地東縁断層は低角であるとする従来の考えとは合致しないため、政府の地震調査委員会でも議論された。その評価文に活断層との関係は明記されていないが、委員個人の否定的意見が反映されたためか、調査委員会は活断層とは無関係の「未知の断層」と判断したという報道が目立った(その後、9月11日、活断層との関係を否定できないとして「地震本部は見解を修正した」と報道された)

そもそも石狩低地東縁断層帯は、数千万年以上前に千島弧と東日本弧が衝突して生じた大規模な衝上断層群の一部であると考えられている。そのため他の活断層と比べて、はるかに複雑な地下構造を有している可能性が高い。その前提に立てば、今回の地震は、低角モデルに合わないために石狩低地東縁断層帯「が」か活動して起きたものと断定することは難しいものの、断層構造の複雑性も考慮して、石狩低地東縁断層帯「で」起きたものと理解することが、少なくとも現時点では適切であろう。

被害は局地的に激甚で、41名(厚真町で36名:消防庁10月5日時点)もの方がお亡くなりになった。とくに強く揺れた範囲は、地震本部が公開していた石狩低地東縁断層帯による予測震度の図に示されていた。当該活断層(石狩低地東縁断層帯の南部)が本格的に活動するとM7.7が予測されている。こうした事実は、活断層帯「で」起きた地震だと位置づけることにより、防災上、重い意味をもってくる。

震度7を記録した地震は、1995年兵庫県南部地震、2004新潟県中越地震、2011年東北地方太平洋沖地震、2016年熊本地震、そして今回の北海道胆振東部地震となっている。23年間に5回起きていることになる。同じ震度7といっても、その被害の様相は大きく異なっている。

どこで、どんな地震が起きるのかは、はっきりしない。やっぱり、災害の危険度を知り、備えをしていくしかないのかもしれない。








日本の住宅市場の特異性(下)

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日経新聞(10/29付け)に吉田二郎・ペンシルベニア州立大学准教授が『日本の住宅市場の特異性(下)−「使い捨て」の悪循環脱却を−』と題して寄稿している。
日本では住宅を使い捨てにしているらしい――。

筆者の推計によると、戸建て住宅の建物部分の平均経年減価率は、東京で年5.8%、東京以外で6.7%だ。築後20年を経ても25〜30%の建物価値は残る計算で、95%が失われるには40〜50年かかる。ただ、この減価率は、米国の1.8%に比べれば圧倒的に大きい。米国で建物価値の95%が失われるには165年かかる。

しかも、日本の商業用建物の減価率は住宅よりもさらに大きく、東京で10.8%、東京以外で9.8%に達する。建物価値の95%が失われるのに30年もかからない計算になる。米国の商業用建物の減価率は用途により0.4〜3.4%なので、やはり日本の大きな減価率が際立つ。

住宅に限らず建物全般について使い捨てと言われても仕方ない状況だが、なぜだろうか。よく耳にするのが、日本の建物は木造で、石やレンガでできている「欧米」とは違う、という3匹の子豚のような話だ。しかし実は米国の住宅はほとんどが木造で、それでも経年減価率は低い。

日本は高温多湿で木造建物の物理的寿命はどうしても短くなる、というのもよく耳にする理由だ。しかし、年間平均湿度は東京の62%、大阪の65%に対し、より気温の高いアトランタは67%、ニューオーリンズとヒューストンでは74%に達する。これらの都市で日本のように建て替えが頻繁なわけではない。

日本では建物の法定耐用年数が木造住宅で22年なので、人の認識もそれに引きずられている、という理由も眉唾ものだ。米国の賃貸住宅の法定耐用年数は27.5年で、日本の年数と大差ない。

では、より妥当な理由は何だろうか。
第1は、戦後の急速な生活スタイルの変化だ。宿泊、店舗、事務所、住宅と、どの用途でも求められる性能や規模は70年の間に大きく変わった。日本で既存不動産の利用価値が減少したのとは対照的に、欧米では大きな変化は起きなかった。

第2が、耐震技術の進歩の速さだ。特に日本では10〜20年に一度、大地震に伴って建築基準法の耐震基準が改正されてきた。十勝沖地震後の1971年の改正、宮城県沖地震後の81年の改正(新耐震基準の導入)、阪神大震災後の2000年の改正などだ。耐震基準を強化すれば国内の建築物の多くが「既存不適格」となる。にわかに違反建築物とはならないが、増改築や用途変更の際に新基準に適合させなくてはならない。

増改築や用途変更を計画しても、大幅な耐震改修をするのであればいっそ建て替えをとなり、早めの取り壊しが進む。国土交通省によると、08年に耐震性のなかった住宅のうち、5年間で改修されたものが25万戸に対し、建て替えられたものは約4倍の105万戸だった。これが建物寿命が短い理由の一つだ。

改築時の耐震化規制の適用は、意図せざる結果も生んでいる。相当数の建築物がほとんど手を付けられずに使われ続けるのだ。13年時点の耐震化率は82%で、耐震性のない住宅が900万戸ほど存在する。これらの建物は品質を維持する補修もせず、激しく劣化していくことが多い。

つまり、既存不適格建築物は、建て替えられるか、逆にほとんど手を加えられないのが一般的で、いずれにしても減価率の推計値が大きくなる。法改正で既存不適格建築物の取り扱いも次第に合理化されてきているが、根本的な構図は変わっていない。

結果として日本の不動産市場は「悪い均衡」に陥っている。品質を維持する改修が不足した物件が売りに出ていること(逆選択)を懸念して、買い手は中古物件を敬遠するか、将来の改修・建て替え費用を織り込んで大きく値引いて購入する。高値での売却が無理なのを見越して、所有者は必要な維持管理をしない。頻繁な建て替えは経済資源の浪費が多く、不動産所有者の金銭的負担は全体として大きくなる。生産者も新築に重点を置くため改修が割高になる

対照的に「良い均衡」では、建物の所有者が十分に維持管理し、長期間使用する。良好な建物の状態と長寿命を前提に、資産市場で中古物件が活発に取引され、値引きが小さい。経済資源が浪費されず、また高い再売却価値が期待できるため、維持管理費用を考慮しても所有者の金銭的負担は全体として小さくなる。改修工事が頻繁なので改修費用も割安になる。

どうすれば悪い均衡から抜け出すことができるだろうか。標準的な経済学が示すのは、まず売り手が品質に関して信用に足るシグナルをだすことだ。18年4月から、中古住宅の劣化や不具合を調べる「建物状況調査」について、そのあっせんの有無を宅地建物取引業者との媒介契約に記載するようになったのは第一歩だ。しかし調査自体が義務化されたわけではない。

米国の標準売買契約では、有資格者による調査結果を条件に最終的な売買がされる。調査はカビ、害虫から電気、空調、上下水、土壌、基礎、構造、屋根、法規制まで及ぶ。信頼に足る建物状況調査を標準とすることで逆選択リスクを減じ、良い均衡への道筋を作ることができる。

過去の維持管理、改修の契約記録を保存しておくのも有効だ。所有者が紙の記録を保存し続けるのは現実的ではないので、不動産登記から維持管理記録まですべて電子的にブロックチェーン(分散型台帳)化し、公開していくのがよい。実際、ドバイの国土省は不動産登記にブロックチェーンを利用し始めた。日本では、まず維持管理に関して新技術を用いた新たな記録制度を作るのが効果的だ。

維持管理の電子記録に加えて、売買時に標準化した建物状況調査の結果を公開し、そのうえで既存不適格建築物の改修の程度については不動産所有者の自己責任に任せてはどうか。現在のように100%理想的な改築か、逆に何もしないかの選択ではなく、0〜100%の間で連続的に改修の程度を選択し、その結果が価格に反映されるようにすれば、全体としてストックの耐震化と品質向上が進み、市場の流動性も高まる。それが、不動産の使い捨てから脱却するための道筋であろう。

自動車は車検があり、検査の記録が残されているし、エンジンをかけて試乗してみれば車の状態を把握しやすい。だから、中古車を安心して買うことができるのだろう。住宅でも、自動車並みとは言わないまでも、建物の修繕の記録や状況調査の結果などが残されていれば、購入者も安心できるのではないだろうか。

既存不適格にしても、まったく耐震改修をしないよりは、した方がいい。それが完全に現行基準に合致していなくても。建物の維持管理の記録や建物の状態をきちんと評価できるプロや仕組みを整えることが大事だろう。建物を建てるときに、耐震基準ぎりぎりではなく、耐震性の余裕をもたせた建物としておくことも既存不適格にしない一つの方法ではないだろうか。











日本の住宅市場の特異性(上)

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日経新聞(10/26付け)に『日本の住宅市場の特異性(上)−強い私権、空き家対策阻む、将来の国への帰属検討を−』と題して独協大学教授の倉橋透氏が寄稿している。
欧州の事例を基に日本の空き家対策を考える場合、まず大前提となるのは、需要の有無を明らかにすることである。イングランドのインナーシティーでは空き家の再利用が、デンマークの地方部では除去が強く意識されている。地域だけでなく建物の物理的な状況にもよるが、再利用か除去かを決めるのは、健全な形での需要の有無である。

空き家を除去する場合には、除去費用をどうするかが問題になる。日本でも空き家対策特措法で、倒壊などの危険がある空き家については自治体が行政代執行で除去できるが、費用を所有者に請求しても回収できない例も多い。筆者は、住宅の所有者が建築時などに除去費用を第三者機関に信託しておくべきだと考える。たとえ所有者が破産しても除去費用を保全できるからである。また、多数の空き家を除去した後の地域づくりのビジョンも必要である。

日本の都市計画法や建築基準法は新規開発や新築に主たる焦点が当たり、形成された市街地や建築物を管理する思想が相対的に薄かったように思われる。またイングランドの空き家管理命令のような強制力のある制度がない根本には、日本の土地所有権の絶対性(私権の強さ)があるといえる。いずれも戦後から高度成長期に生まれ、また強化された法制度や価値観であり、人口減の今の日本社会にはそぐわなくなってきている

都市内に空き家が多数存在することで、空間が無駄に占拠され、必要な施設を建設できずにいる。都市生活の利便性や快適性が損なわれ、都市の生産性も低下する。都市にはその時代にふさわしい土地の利用方法があり、これからは土地のリサイクルが必要である。1989年に制定された土地基本法には「土地については、公共の福祉を優先させるものとする」とあるが、その精神が日々の現実に反映されているとは言い難い

今後は土地所有権を相対化する方向で議論が進められることを期待したい。イングランドでは土地を完全に所有するフリーホールドのほか、土地所有者から十年、百年単位で賃借する「リースホールド」が存在する。加えて新規の開発や建築への厳しい規制も存在する。

日本でも、私権の制限に加え、百年単位の日本版リースホールドを、国が率先して相続放棄地に設定し普及を図るべきではないか。また、国などに帰属する土地を増やすことも検討すべきである。最終的な帰属先を明確にすることで、空き家敷地の再利用など土地のリサイクルが可能になり、所有者不明の土地の問題解決にも役立つと思われる。

人口が減って高齢化する日本社会において空き家問題は大きな課題となってきている。土地の利用ともあわせて考えていかないといけない課題だ。記事のなかにある『新規開発や新築に主たる焦点が当たり、形成された市街地や建築物を管理する思想が相対的に薄かった』という指摘は、わが国の住宅の耐用年数にも表れていると思う。欧米に比べて、住宅が使われる年数は短い。

そういえば、住宅をスクラップアンドビルド(フロー)するのではなく良質な住宅をストックしていく社会へ転換していくと言われたのはずいぶん前のことだったと記憶している。日本はそうした社会に向かっているのだろうか・・・










「免震偽装、再び」

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日経アーキテクチュア(11/8号)で『免震偽装、再び』と題して特集が組まれています。

内容としては、すでに公表されているデータなどを用いて記事が書かれています。特集の最後には僕のコメントも掲載されています。すでにこのブログで紹介しているものと同じで、第三者機関での性能検査を求めるものです。

第三者機関での試験をするようになれば、時間や手間(追加費用)がかかるという指摘もあります。しかし、これまでのようにメーカーの試験装置で性能検査をすることで、不正を見抜くことはできるでしょうか。もう二度と(すでに2回目が起きてしまいしましたが)「免震偽装」ということを起こさないためにも、抜本的な変革が必要ではないでしょうか。

メディアのなかには、この問題を正しくとらえていないものもあるようです。しかし、NHKの「時論公論」(10/18)で紹介されている「ダンパー データ改ざん 問題の本質は」という記事は良く問題の本質をとらえていて、一般の方にも分かりやすく書かれています。それにしてもスバル自動車や日立化成における不正と取り上げ方が違うことか・・・









構造家と建築家のコラボレーション

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建設通信新聞(10/12付け)に日本大学名誉教授の斎藤公男先生のインタビュー記事があった。その中で「アーキニアリング・デザイン」という考え方が紹介されている。
建築は”織物”だ。技術という強靱な縦の糸に、感性という横の糸が融合して建築という布がつくられている。大きな資産となる建築をつくるということは、社会に対して責任を持つということでもある。師事した坪井善勝先生と、丹下健三先生の両研究室が国立代々木競技場で協働した際に参画する機会に恵まれた。何をどうつくるかのかという基本構想段階から構造家が建築家と対等な関係で議論し、安全性とデザインを融合させてプロジェクトを進めることが最も大事だ。同じように技術がどれほど進歩しても根本にあるのは人の考える力であり、気力や情熱、体力が欠かせない。アーキニアリング・デザインフォーラム(A-Forum)で若い世代に伝えていきたいことでもある。

自分の事務所を持たなかったのは、何よりも教育が好きだったからだ。教授になることよりも教育・研究・設計という3つのリングをうまく結合させることに力を注いだ。自分にとっての事務所は、設計事務所やゼネコン、メーカーのエンジニアとの協働の場であり、そこに学生も参加させた。最後まで現場を見届けることも心がけてきた。

また、「アーキテクツマガジン」のインタビューでは、最後に次のようにも述べられている。
僕はね、今でもザハの新国立競技場案が突然に白紙撤回されたのが残念でならないのです。結果違うかたちになったとしても、日本の財布なり制約条件のなかで魅力的なものをつくる議論すらできなかったことが悔しい。何らかのかたちで実現していたら新しい空気が流れて、業界はもっと活性化したと思います。

今の建築基準法に象徴されるような大きな足かせは、いろんな面で若い人の力を失わせる。昨今の中国の馬力を見ていると、危機感を覚えます。法律をはじめとする問題は様々あって、全部急激かつ根本から変えるのは無理でしょうが、できるところから取り組んでいきたいですね。業界をもっと元気にしていくために、僕が授かってきた経験や力が役立つのであれば、こんなにうれしいことはないですから。

建設通信新聞の記事では最後に「建築設計界の中で議論ができない状況が生まれている。建築学会は中立でありフラットな存在だが、問題を風化させないため、もう少し社会的なメッセージを高めてもいいのではないか」と述べている。

いま建築の設計界で斎藤先生がいうような建築家と構造家のコラボレーション(対応な議論を含め)というのは、どれくらいできているのだろうか。建築界は3K、談合、そして改ざんとかいうことでしかマスメディアでは取り上げてくれない。もっと学会をはじめいろいろなところで情報を発信していくことが大切だと思う。

特に建築学会は中立な立場で、積極的な情報をタイミングを失わずに発してもらいたい。

ところで、日本建築構造技術者協会(略称JSCA)の前身は、『構造家懇談会』(1981年設立)でした。1989年にJSCAとなりましたが、「構造家」という言葉はその名称から消えましたね。











CLTを使った高層マンション

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日経クロステック『CLTを使った高層マンション』という記事があった。
「泉区高森2丁目プロジェクト」(仮称)は、泉パークタウン内のアウトレットモールにほど近い三菱地所所有の土地に建設している。10階建て、総戸数39戸の賃貸マンションだ。18年3月に着工し、19年2月の完成を予定している。

「本プロジェクトは、社内における新事業提案制度に基づいて、若手4人のメンバーで提案を行い実施に結びつけたものだ」と三菱地所住宅業務企画部CLTユニット主事の海老澤渉氏は説明する。この背景には、職人不足による工事費の高騰や工期の長期化などがあり、今後さらに状況が厳しくなると想定されていることから、「近年、関心が高まっているCLTなどの木質部材に着目した」(海老澤氏)。

構造は、CLTによる木造と鉄骨造(S造)の混合構造だ。地上10階建て、高さ33.7m。CLTを採用した建物としては、国内で最も高い。設計・施工者は竹中工務店。7〜10階は1時間耐火、1〜6階は2時間耐火が求められた。木造部材については、CLTの床を4〜100階で用い、竹中工務店が開発した「燃エンウッド」の柱を2〜10階で使った。
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CLT床については、厚さ210mmのCLTパネルの上に、振動音対策などのために厚さ800mmのトップコンクリートを、さらにその上に耐火被覆としてせっこう系のSLプラスターを厚さ60mmで覆った。また、CLTの下部には強化せっこうボード(厚さ15mm×3枚)、ケイ酸カルシウム版(厚さ15mm×1枚)を耐火被覆として設けた。全体の厚さは410mmだ。2時間の耐火構造部材として大臣認定を取得した。
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気になるコストや工期についてはどうだろうか。

竹中工務店木造・木質建築推進本部副部長の小林道和氏は、単純な比較は難しいとしながらも「10階建ての賃貸マンションをRC造で計画した場合と比較して、コストは約3割高くなっている」と説明する。2時間耐火を実現する耐火被覆を行うことがコストアップにつながる。ただし、重量についてはRC造との比較で3〜5割軽いため、杭をなくして地盤改良で建物を支えることができるようになり、木造化によるコスト減の効果があるという。

小林氏は「CLT活用に当たって、コストの合理化は重要な課題だ」と話す。

一方、工期については「RC造の標準的な建て方では14カ月が見込まれるが、このプロジェクトでは11カ月と、約3カ月の工期短縮を実現している」(小林氏)。建物の軽量化で杭基礎を地盤改良にできたことや、在来のRC造床では1フロア当たり3〜4日かかるところを、CLT床であれば半日となることなどが工期短縮に寄与している。

集合住宅ならではの課題として、上下階の音の問題もある。海老澤氏は「今回採用したCLT床は全体で410mmの厚さとなる。入居後に音を計測したり、実際に居住者がどう感じるかなどを調査したりする」と話す。また三菱地所では、木材の使用が住宅の付加価値として入居者にどのように評価されるかを、アンケートなどを通して調査する予定だ。

CLTを使った建物は増えているようだ。松尾建設(佐賀)の事務所棟は鉄骨造6階であり、2〜5階の床をCLTの2時間耐火構造とするなどの先行事例もある。事務所と違って、マンションであれば床の音の問題も出てくる。CLT床がどのような効果を発揮するのか期待したい。ただ、このマンションでは、完成後はCLTはほとんど見えなくなるという。せっかく木質材料を使うのであれば、耐火などの問題で難しいのだろうが、住んでいる人には見せたい、かな。

こうした新しい構法を使う場合には、ぜひ地震計を置いてほしい。
地震時の応答を計測することで、構造計算の妥当性やCLT部材の特性などを確認することができるのだから。










未来のニーズ

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建設通信新聞(10/16付け)の「建設論評」欄に『未来のニーズ』という記事があった。
ことしのノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑氏は、基礎研究振興の必要性について何度も述べている。基礎研究とは、自然現象やその他の現象について正しく理解し、あるいはその先を予測するために、科学的理論の向上を目指した科学研究である。それは高度な科学的考察を必要とする半面、目先の利益に直結することは望めず、即効性のある大きな成果を生み出すわけでもない。未来のために知恵や知識を蓄え続ける地味な作業といってもよい。

そして今回、基礎研究によって発見されたPD−1が、癌を克服する成果に結びつき、ノーベル賞の受賞となった。とはいえ、成果に結びつかない研究も多々あるに違いない。一見無駄とも思えるその努力がなければ、数少ない成果に結びつけることができないのもまた事実である。

建設業界においては、かつて超超高層ビルの提案を大手ゼネコンが競っていた時期があった。海底都市や宇宙エレベーター、火星での生活など、夢のような提案が次々と発表された。未来を見据えた研究や検討は、基礎研究とまでは言えないものの、知恵や知識の蓄積に役立ったはずであり、それはまさに未来への視線だった。

そして現在、建設業界は技術の蓄積や工法の発達、それを支える工事用機材の充実や情報技術の導入によって、社会のニーズに応える十分な体制が整っている。どのような難題にも対応できる技術力や知恵や知識を持っているかのようである。

ただ、それは現実のニーズだけを見据えているからであり、未来のニーズに対応しているわけではない。さらに言えば、一見現実離れしているような、それでいて本質的な課題にもっと目を向けるべきではないだろうか。

例えば、鉄筋コンクリートが発明されてから約1世紀半。鉄筋とコンクリート双方の長所を生かし、高強度で柔軟性のある構造材としてもてはやされてきた。ただ、鉄筋や型枠の組み立て、コンクリートの打設、さらに型枠の解体と決して簡単な作業ではない。これに代わる建材や工法がもう出てきても良いのではないだろうか。

超高層の唯一の構造である鉄骨造の継ぎ手は高力ボルト摩擦接合から進化していない。それ以上の技術を考える必要はないのだろうか。あるいは、鉄骨に代わる構造材は夢のままで置いておくのだろうか。

もっと身近な課題では、決して飛ぶことがなく補修が容易な瓦に代わる次世代の屋根材。カメレオンのように、保護色機能を持った外壁補修材。さらに自己修復型の仕上げ材や防水材。

数え上げればきりがないけれど、常識的な価値観を飛び越えると、ニーズはとめどなく出てくる。それを非常識と払いのけるのは簡単ではあるが、それこそが未来のニーズたり得るのである。現実に満足し安住することなく未来を目指す。ノーベル賞のインセンティブを生かしたいものである。

鉄筋コンクリート構造や鉄骨構造で使う素材(材料)が実用化されて1世紀以上が経過する。コンクリートや鋼材の性能向上は目指されており、初期の頃に比べれば性能は大幅に向上している。しかし、それは現状の技術の延長線でしかない。

新しい技術といえば、免震構造はまだ誕生から30年ほどしか経っていない。もっと技術開発の余地があるはずだ。いまKYB問題などを抱えてはいるものの、さらなる技術革新が期待される分野でもある(はず)。免震技術をさらに進歩させ、本当の意味での「免震(地震を免れる)」、地震の揺れからの解放を実現したいものだ。

「地震フリー建物」の実現を目指していきたい・・・









加速する脱プラスチック

週刊東洋経済誌(11/3号)に『加速するプラスチック』という特集があった。

プラスチックゴミによる海洋汚染が世界的な大問題となっている。2050年には海中のプラスチックの重量が魚のそれを超える、という衝撃的な予測を英国のエレン・マッカーサー財団が報告している。ポイ捨てなどで投棄されたプラスチック廃棄物は最終的に海洋に流出しており、何の対策も講じない場合には「25年までに魚3トンにつき1トンの比率まで増え、50年には魚よりもプラスチックゴミのほうが多くなる」と。
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欧州の政治、経済、文化に大きな影響力を持つフランスの思想家、ジャック・アタリ氏。同氏は近著「海の歴史」(プレジデント社刊)の中で、「海を破壊し始めた人類は、海によって滅びるだろう」と警鐘を鳴らす。海洋汚染問題へ日本はどう対応するべきか、として寄稿されている。
海は、人間が必要となるすべての飲料水と酸素の半分、そして人間が摂取する動物性タンパク質の5分の1を供給する。気候を制御するのも海だ。海がなければ、気温は少なくとも35度は上昇するだろう。海には鉱物やエネルギーなどあらゆる資源が手つかずの状態で眠る。また、海はモノとデータの輸送だけでなくイノベーションや創造性が生み出される場でもある。

ところが、海の状態はますます悪くなっている。現代人の行動は、環境に配慮しなかった5万年前の狩猟採集民族よりも劣悪である。われわれ人類は漁業資源を破壊し、海にはプラスチックなどのゴミを垂れ流している。これらのゴミは急速なペースで海に堆積している。そして地球温暖化が原因で海水の温度と海面水位は上昇している。海中の酸素は減り、生物種は危機に瀕している。人類は海を破壊する前に自分たち自身を破壊させてしまうだろう。

では、海を救うにはどうしたらよいのだろうか。現在の生産方式、消費形態、生活様式、社会構造を根本的に見直さなければならないだろう。各自の可能な範囲で、自然を破壊するおそれのある原料が利用されている製品は買わないなど、日常生活を見直すべきだ。企業は一貫したエコ概念を持って、自分たちが生み出すゴミがリサイクルされることを前提にした生産活動に従事し、プラスッチの利用を減らす必要がある。新たな法令の施工や行政指導があるのを待っているようではいけない。

また各国政府は、使い捨てのプラスチックの量を減らす法規制と租税措置を打ち出すべきだ。たとえばアイルランドでは、2002年にポリ袋の価格を50%近く引き上げたことにより、17年にはポリ袋の利用量は91%も減少している。

こうした規制こそが新たなイノベーションを促すことになる。使いすてのプラスチック製品を減らすには、複合的な政策を打ち出す必要がある。

たとえば、石油の利用に課税し、すべての製品に関してリサイクルを強く推進するフランスのCITEO(循環型経済モデルを提唱するコンサルティング企業)の取り組みがモデルになるだろう。このような資金調達の仕組みやイノベーションの推進か必要なのだ。

私はこれらの活動を、将来世代の利益に資する「ポジティブなスタートアップ」と呼んでいる。イノベーションのカギとなるのは、新たな素材の開発やバイオミメティクス(生物模倣:自然のシステムや生物からヒントを得て考案された科学技術)だろう。

日本は、リサイクルできないプラスチック製品の利用をやめるために、消費と生産の形態を大きく変えなければならない。これは海に依存する日本のような国にとって死活問題となる。特に、海洋汚染の漁業への影響は深刻だ。(海洋国家である)日本は世界最先端のモデルになれるはず。海洋汚染問題への取り組みは将来的に大きな市場になるため、日本にとってビジネスチャンスにもなるだろう。

僕が子どもの頃、ジュースなどはすべてガラス瓶に入っていた。飲み終わった瓶をお店に返すと5円とか10円が戻ってきた。瓶はリユースされていたのだ。ペットボトルにも、何かそうした仕組みを取り入れられないのだろうか。テレビで放送されていたけど、東南アジアのどこかの国ではペットボトル5本でバスに2時間乗車できるそうだ。

コンビニのレジ袋の有料化について議論が始まっているようだけど、環境問題についてもっと真剣に取り組む必要があるだろう。魚よりプラスチックごみの方が多くなるなんて、おかしい。









野菜ジュースは予防にいい?

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日経新聞(10/24付けの夕刊)に東京大学病院准教授の中川恵一氏が『野菜ジュースは予防にいい?』として書いている。
野菜や果物は心筋梗塞や脳卒中の危険を減らすほか、がんの予防にも有効です。特に食道がんのリスクはほぼ確実に下がりますし、胃がんでもその可能性があります。しかし野菜や果物の摂取量は減少傾向にあり、問題です。では、忙しい私たちでも手軽に飲める野菜ジュースやフルーツジュースでも、野菜や果物と同じような効果が得られるのでしょうか?

2013年に日本人研究者が発表した大規模な観察研究では、果物をとっている人ほど糖尿病のリスクが低下していました。糖尿病はがん全体のリスクを約2割高めます。膵臓や肝臓のがんは約2倍に高まりますから、果物をとればがんのリスクも減るものと思われます。

この研究では特にブルーベリーが有効でしたが、興味深いことに、フルーツジュースをたくさん飲んでいる人では糖尿病の頻度が高くなっていました。別の研究でも、毎日フルーツジュースをコップ1杯飲むと、糖尿病のリスクが7%高くなることが分かっています。果物をジュースに加工する際に不溶性の食物繊維などが取り除かれてしまうためかと推測されます。

野菜ジュースでも、がんを予防する効果は野菜そのものを食べるほどは期待できない可能性があります。なお、野菜の摂取は生野菜である必要はなく、野菜いためでも野菜スープでも構いません

果物に含まれる果糖は血糖値を上昇させますが、果物をまるごと食べれば血糖値はそれほど上がりません。最近ブームの「糖質制限ダイエット」でも果糖は嫌われ者のようですが、加工していない果物にはダイエット効果があることが証明されています。

緑黄色野菜や果物に多く含まれるβカロテンをサプリメントとして服用すると、肺がんのリスクがかえって上昇することが明らかになっています。さらに、βカロテンは心筋梗塞の死亡率も高めることが分かりました。

クルミなどのナッツ類はがんを防ぎ、健康にプラスですが、ナッツ類に多く含まれるビタミンEのサプリメントを取りすぎると逆に死亡率が上昇します。日本人は食品に含まれる成分に惑わされがちですが、実は、有益な食品そのものを食べることが一番なのです。

○○に良い、△△に効果的な食品がテレビ等で紹介されると食べなくちゃという気持ちになる人も多いかもしれない。これまでもいろいろな食材が紹介されていて、それらを全部食べるなんてことはできない。だからサプリメントで、ということになるのだろう。

でも、記事で指摘されているように、いろいろなものをバランス良く食べることが大事なんだと思う。もちろん、その食品がどのようにつくられたのか、含まれている添加物などに注意することも大事だろう。

野菜ジュースは、少しは健康に良いと思っていたけど、それほど期待しない方がいいのかな。









「免震材料及び制震部材に関する外部有識者委員会」の設置

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国土交通省は、免震材料及び制震部材に関する外部有識者委員会を設置し、11月9日に第一回目の委員会を開催するとしている。
建築物に係る免震材料及び制振部材に係る不正事案を受け、専門的見地から、不正事案に係る原因究明結果の検証を行うとともに、再発防止策等について検討し、国土交通省に対して提言を行っていただくことを目的として、学識経験者からなる「免震材料及び制振部材に関する外部有識者委員会」を設置する。

実は、2015年に発生した東洋ゴム工業による高減衰積層ゴムなどの性能偽装のときにも「免震材料に関する第三者委員会」を設置し、報告書(PDF)が2015年7月に提出されている。報告書では、不正事案に係わる判明事実と発生原因などが示された後、第三者委員会としての提言が述べられている。提言のなかにある「免震材料について講ずべき対応」として、次のような取り組みを求めるとされている。

イ 認定段階のチェック(指定性能評価機関等による審査の強化)
 指定性能評価機関の評価員等が、工場等の生産現場において、製品の性能試験への立ち会いや、品質管理体制の審査を実地に行うことが必要である。
 品質管理体制の審査については、次の点について強化すべきである。
 ・適切な知識・経験がある品質管理責任者が製造部門から独立して選任されていること。
 ・品質管理責任者が製品のデータを確認し、出荷の承認を行うなど責任をもった品質管理体制が構築されていること。
 ・工事施工者等に対し製品検査などを通じて、工事施工者等が確認可能な方法も含めて必要な情報を提供し、「見える化」を行う計画となっていること。
 ・実際の製造・検査工程と社内規格との整合が図られ、出荷時に行われている全数検査のデータをはじめ必要なデータの保存が行われているなど、外部も含めた監査に対応できる品質管理に関する計画となっていること。
 ・工程や作業内容について、外部を含めた監査を行う第三者に対する「見える化」が行われるよう、所要のデータ補正も含めた性能検査の詳細について工程や作業標準に記載されていること。
 ・申請者が ISO9001 の認証を取得している場合は、上記工程等が ISO9001 の認証の前提となる文書として位置付けられていること。
 新規開発の製品について大臣認定を取得する場合、製造体制が整備される前の申請となる。このため、製造体制が確立する前は、免震材料の性能を含め建築物単位で構造安全性に係る大臣認定の取得が必要であることとし、製造体制が確立し一定の製造実績を有した後に建築材料としての大臣認定の取得を可能とする仕組みや、認定段階で製造体制の整備計画を提出させて条件付きで大臣認定を行い、製品出荷段階での国等による補完的なチェックにおいて必要な確認を行う仕組みも、考えられる。
 なお、認定段階の性能試験への立ち会いについては、既に大臣認定より品質が確認された製品の部分的な仕様の変更を行う場合などについては、簡略化するなど実情に応じた方法の採用を考慮することが必要である。

ロ 製品出荷段階のチェック(工事施工者等による性能確認・ISO9001 の認証機関による品質管理体制の確認)
 工事施工者等による性能確認や ISO9001 の認証機関による品質管理体制の確認の実効性が確保されるよう、上記イの「見える化」の取組みにより必要な情報が提供される仕組みを構築することが必要である。
 具体的には、工事施工者、工事監理者に対し次の措置を講ずるよう促すべきである。
 ・工事施工者に対し、製品出荷時の性能検査への立ち会いを求め、「見える化」された情報に即して検査が行われていること、また、所要のデータ補正が行われていることの確認。
 ・工事監理者に対し、工事施工者による受入検査の実施状況の確認。
 また、ISO9001 の認証を受けている大臣認定取得事業者に対し、ISO9001 の認証機関によるサーベイランスを通じた品質管理体制の確認などを活用することを要請することが考えられる。

ハ 製品出荷段階のチェック(国等による補完的なチェックの強化)
 国土交通省は、工場等の生産現場において、製品の性能、品質管理体制についてサンプル調査を行うべきである。
 製品の性能についての調査は、例えば、あらかじめ一定期間の製品検査の予定を提出させたうえで、製品検査が行われる日に事業者が実施する製品検査へ立ち会うことや、製品検査以外に定期的に行われる限界性能及び各種依存性に関する試験への立ち会いや当該結果の報告徴収により、検査の実施状況、所要のデータ補正の状況、検査結果の品質基準値への適合性などについて調査を行うことが考えられる。
 サンプル調査の実施対象の選定に当たっては、ISO9001 の認証機関によるサーベイランス等が行われていないものに重点を置くなど、適切な補完となるよう留意することが必要である。
また、調査は専門的な能力が要求されるため、原則として指定性能評価機関等の専門的な能力を有する者に国土交通省が調査を委託し、当該調査において疑念が持たれた企業、又は製品に関する疑念情報の通報があった企業等に対しては、専門家等の協力を得つつ建築基準法に基づき国土交通省が直接立入検査を実施することが適当である。

こうした提言をうけて、認定段階のチェックはされている。また製品出荷段階でのチェックはそれまでも行われていた。ただ、不正は見抜けなかったので「見える化」が大事だということになっているものの、オイルダンパーでは東洋ゴムの問題が発生してからも不正を長年続けてきていた。

いくら専門家であっても「見える化」が巧妙に細工されていれば見破ることは難しいのではないか。国などが補完的にチェックする場合でも同じだろう。加えて、現状では主として国内メーカーを対象としているものの、海外メーカーが多く参入してくるような事態になれば、提言されている内容だけで本当に大丈夫だろうか。

やはり、第三者機関に試験装置を設置して、メーカーの外で性能を確認するしかないのではないか。
そこで、続発する不正事案をうけて、「再発防止に向けて、国は第三者機関に実大試験装置を設置し、免震装置の抜き取り試験や定期的な性能確認試験を実施できるようにすべきだ」といった主旨が有識者委員会から提言されることを期待したい。









免震オイルダンパーを用いた建物の安全性検証について

KYBなどが製造した免震用オイルダンパーが大臣認定などに適合していない問題を受けて、国土交通省は安全性検証の方法を通知している。

検証方法は、建築性能基準推進協会のHPに掲載されている(免震ダンパー向けのPDF)。

KYBなどが提供するデータに基づいて、設計者や施工者が構造安全性の検証をすることになる。国土交通省は年内に安全性検証を終えるように指示をしているようだ。安全性検証では、オイルダンパーの減衰力の最大値と最小値を使って、地震時の建物応答を計算することになっている。

一般的に免震オイルダンパーの性能は下図のような荷重(抵抗力)と速度の関係で示される。
オイルダンパー荷重-速度関係

オイルダンパーは、ピストンの速度に比例して抵抗力(減衰力)が生じる。ただ、ある速度(リリーフ速度)を超えると、抵抗力の上昇が鈍くなるようになっている。これは、低速度領域のまま高速度領域に入ると抵抗力が大きくなりすぎて、免震効果が損なわれることを避けるためである。このようにオイルダンパーは、速度に応じて抵抗力を調整することが必要となる。

この抵抗力を調整するために、調圧弁(オイルの圧力に応じて弁が開閉する)がいくつも付けられている。この調圧弁の調整がうまくいかないと、所定の性能がでないことになる。これらは精度良く製作できるから、正しく組み立てれば所定の性能を確保しやすいと思っていたが、上図のような特性を出すには、熟練の技術が必要だという。上の図をよくみると、速度が50cm/sでは○印(試験測定値)が基準値よりも低めになっていて、速度100cm/sでは基準値よりも高めになっている。ピストンの速度に応じて、特性を基準値±15%に納めるのは微妙な調整が必要なようだ。

そうなると、こうした難しい調整が求められる装置の特性を±15%以内に納めること自体に無理があったのではないだろうか。特性のばらつきはメーカーの申請で、±20%でも±30%でもよかったはず。メーカーとしては、このように大きなばらつきは許容できなかったのか、それとも他メーカーとの競合があったのか。

オイルダンパーの性能が書き換えられた可能性が高いのは、2003年からとKYBは報告している。気になるのは、2000年にオイルダンパーの生産を相模工場から岐阜南工場に移管している。このとき、オイルダンパーの製造技術はきとんと継承されていたのだろうか。

いずれにしても、不適合なオイルダンパーが使われている建物の安全性が確認され、所有者や居住者の方々にひとまず安心してほしい。その後は、取り替えをどうするかというまた難しい問題が控えている。











学校教育、もっと自由に

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日経新聞(10/30付け)の「私見卓見」欄に若宮和男氏が『学校教育、もっと自由に』と題して寄稿している。
「#就活をもっと自由に」。
ある企業の問いかけを機にツイッターで議論が起こった。その時しか着ないスーツを着て、その時しか履かない黒い革靴をはき、街は見分けがつかない女子であふれる。同じ違和感は「お受験」でも感じる。小さな子供が同じ格好をした親御さんと塾に通う。「個性を伸ばす」とうたう私立幼稚園でかくも似た格好ばかりになるのはなぜか。

就活とお受験には二つ共通点がある。
1つは面接での選抜だ。受ける側は「第一印象」という極めて曖昧な評価を気にし「少しでも減点要素をなくそう」として画一に向かっていく。日本の教育は減点主義で、人との違いは減点対象になりやすい。それを避けたいと思うあまり、突っ込まれる要素を減らそうとする。

もう1つは固定性。
就活もお受験も「入り口」でその後の人生の多くが決まってしまう、終身雇用的な感覚だ。いい会社に「受かれ」ば勝ち組、有名私立に「受かれ」ば人生は安泰。画一的な服を着てお受験で選抜され、終身雇用のように入り口が決まったら人生が決まる。そういう社会はやっぱり少し閉塞的だ。

「一度入った会社で一生勤め上げる」という人は減った。転職も当たり前、複数の会社で働くケースも増える。自分の会社でも「全員複業」という形で働き方を変えるチャレンジをしているが、そういう柔軟な環境になると企業は選ぶ側ではなく選び選ばれる関係になる。従業員に魅力的であろうと常に努力する。

終身雇用が壊れていくように、教育も今のままではいけないのではないか。日本の教育は一度入ったらそのルートを変えるのは難しい。終身雇用と似て「入り口」のお受験でその後の学生生活、人生の前半部分が決まってしまう。

本来学びは「どこで学ぶか」でなく「何を学ぶか」「何を伸ばすか」の方が大事なはず。子供のその時々の適性や段階に合わせて色々な学校の教育を選べる。そんな風に教育も自由になってほしい。

かつて大企業で働いていた頃、何度か新卒のメンターをしたが、「もっと自由でいい」「個性を出して」と言ってもなかなか変わらないのは、根っこの教育のせいも大きいと感じた。だから親の僕らも社会をつくる社会人として、受験の列に並ぶだけでなく、教育をつくり直していくべきではないか。教育を社会とどう接続するか。「当たり前」にしばられず、新しい教育のあり方を考えていきたい。

受験(入試)や就活など、何かへの入り口で評価されることが多い。例えば、企業が学生を採用する時、大学での学業成績や何を学んだかなどはあまり問われない。学生が一番成長する4年生を見ずに、採用選考を進めているのが現状だ。大学に入るときの学力(偏差値)が卒業するまで維持されている(あるいは伸びている)と思っているのだろうか。もちろん難関の入試を突破したのだろうから、地頭はいいのかもしれない。でも、4年間の大学生活で学生は大きく成長するのだ。

元厚生労働事務次官だった村木厚子氏が、自分の母校(市立土佐中学校・高等学校)のことや将来の仕事について書いている(日経産業新聞(10/30付け))。その中で、「成長するって、自分なりの道を探すプロセスなんですよね。自分に合ったこと、自分に好きなこと、自分がなんとかやれることを迷いながら探していく。周りはそれを時々、横から手助けしたり励ましたりしてあげるということなのかな」と述べている。

日本の学校は、レールがきちんと引いてあって、それに乗ればいいようになっていて、自分で考えなくちゃいけない部分が少ないのかもしれない。ある意味、楽だけど。たまには立ち止まったり、レールを外れてみたりできるといいな、と思う。

教育が変わるためには、社会や産業界も変わらないといけない。










40歳定年制

日経新聞(10/26付け)の「大機小機」欄に『40歳定年制に賛成』という記事があった。
安倍晋三首相が「生涯現役社会」を掲げ、その目標に向けた政策の検討が始まった。長寿化で仕事への能力も意欲も高い高齢者が増えている以上、彼らが活躍できる社会をつくるのは当然だ。働いて制度を支える側の人数が増えれば、社会保障の持続性も高まる。

実は人手不足が深刻化する中、高齢者の就業率は既に急速に高まりつつある。今のところ短時間・低賃金労働が中心のため、高齢者の能力をより生かす仕組みが求められている。だが、筆者の懸念はここで定年年齢の70歳への引き上げといった安易な選択がなされることだ。

筆者が社会に出た頃、企業の定年は55歳が普通だったが、今では10年伸びた。この間、企業のビジネスモデルは著しく不安定化したから、学卒後40年の雇用保障は極めて厳しい。企業収益が史上最高でも賃金がさっぱり上がらない背景には、この日本的雇用に特有の負担の重さがあるのだと思う。70歳定年にすれば、事態はさらに悪化するに違いない。

むしろこの際、東大の柳川範之教授が提唱する40歳定年制を真剣に検討すべきではないか。
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入社後20年程度で退職するならば、企業は今より高い初任給を払えるだろうから、外資系に比べて日本企業の魅力を高められる。何がしかの退職金も支給するだろう。働き手は退職金を元手に再教育を受けるのだ。20歳前後までに得た知識・能力だけで、その後の50年を生きていくというのはずうずうし過ぎる。

そして再教育を受けた個人は第2の職場を探すのだが、その場合、新しい働き方は職務を明確に定めたジョブ型になるだろう。最初の20年で一定のジョブを身に付けているはずだし、再教育の機会に磨きをかけられるからだ。ジョブ型の雇用ならば、欧米のように定年自体が不要になる。

筆者は従来、日本的雇用の限界を指摘してジョブ型雇用への転換を訴えてきた。しかし、職業教育を欠いた日本の大学が変わらないと、新卒時からのジョブ型雇用は難しい。ならば、今では必須となった働き手の再教育を組み込んだハイブリッド型の仕組みとして40歳定年制に賛成したい。

世の経営者諸兄、生涯現役社会を実現するためにも40歳定年制を検討されてはいかがだろうか。

新卒採用でも、横並び意識が抜けない日本企業に、終身雇用制をやめて40歳定年制を打ち出す企業が現れるだろうか。結局は、国の政策として実施するか、今の制度が破綻するまで変わらないかもしれない。

しかし、指摘されているように、20歳前後で身につけた知識やスキルで定年まで対応できるとは思えない。リカレント教育の重要性も指摘されているものの、なかなか会社を辞めて(あるいは仕事と両立して)まで大学に通う意味が見当たらないため、リカレント教育も増えていない。

リカレント教育で身につけた知識やスキルがあれば、こんな再就職ができるとか、現在の会社でのポジションが変わるといった具体的なことが明示されないと動機付けにならないだろう。一方で、大学側でのリカレント教育体制も構築する必要があるだろう。

40歳で退職しなくても、新しい知識やスキルを身につけるための休暇が取れるような制度を取り入れるのもいいかもしれない。大学にはサバティカルという制度があり、1年間大学から離れて、休養したり新しい研究テーマの準備をすることができる。こうした制度を民間企業でも取り入れたらどうか。

いずれにしても、人材が固定化されるのではなく、自身の能力にあわせて仕事や会社を変わることがもう少し自由にできてもいいのではないだろうか。もっというなら、大学ももう少し自由に移れる制度にできないものか。やっぱり入学してみたら、思っていたことと違ったということはよくあること。そうした学生に対応できる制度があってもいい。しかし、現行では入試が大学ごとに学部・学科別に行われており、大学や学部を変わることは簡単ではない。入り口ではなく、出口で評価する仕組みが必要だけど、こちらもなかなか変わりそうにない・・・








不正免震ダンパー用いた物件の仮使用認める

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日経日経 xTECH『不正免震ダンパー用いた工事中物件、国交省が条件付きで仮使用認める通知』という記事があった。
免震・制振ダンパーの検査データ改ざん問題で、国土交通省は完了検査前の建築物についての対応方針を特定行政庁や指定確認検査機関へ通知したことが、日経 xTECH/日経アーキテクチュアの取材で分かった。通知は10月23日付。大臣認定に適合しないダンパーや、適合するか確認できないダンパーが使われた建築物では、特定行政庁のみが仮使用認定できる、とする内容だ。

大臣認定に適合しないオイルダンパーが使われた建築物は、建築基準法違反に該当する。今回の問題では免震建物がこれに当たる。適合するか確認できないダンパーを使った場合も含め、工事中の新築建築物なら交換が済むまで検査済み証を交付できない。国交省はメーカーによる交換作業が長期化する恐れがあると見て、今回の通知を実施した。

通知は、今回の法違反があっても「特定行政庁が安全上、防火上および避難上支障がないと認めた場合には、特定行政庁による仮使用認定は可能」との判断を示した。一方、「指定確認検査機関による仮使用認定はできない」と注意を促した。2014年の建基法改正により、指定確認検査機関でも仮使用認定ができるようになったが、認定基準の告示247号は「建築基準関連規定への適合が必要」と制限しているためだ。

特定行政庁による仮使用を認める判断要件は、カヤバシステムマシナリーや親会社のKYBが実施している安全性検証だ。国交省は2社に対し、年内をめどに対象建築物の設計者などと協力して構造安全性の検証を実施し、第三者機関の確認を受けるよう指示している。今回の通知は、検証で安全が確認できたものについては「地震時における構造安全性について、支障がないものとして取り扱って差し支えない」とした。

国交省は今回の通知でこのほか、「大臣認定仕様に適合、顧客契約に不適合である免震オイルダンパーが用いられた建築物」について、構造計算により安全性が確かめられたなら法違反に当たらず、完了検査を実施したうえで検査済み証の交付が可能だとした。

対象は新築物件だけ?
すでに建っている免震建物に使われている不適合オイルダンパーは交換するという立場は保持しているようだ(国交省としては当然か)。しかし、安全性が確認されれば、すでに建っている免震建物についても、「地震時における構造安全性について、支障がないものとして取り扱って差し支えない」と宣言できないものか。

安全性に問題がなく、免震効果にも影響が少ないとなったら、不適合なオイルダンパーを再認定するなどで法令違反とならない道もあっていいのではないだろうか。

不適合なダンパーが使われた制振建物は法令違反にならず、免震建物だけが法令違反となるのは、なんか納得がいかない。安全性に問題がなければ、法令違反には当たらないと言えないものだろうか。もちろん所有者が交換したいと考えていれば、交換すべきことは言うまでもない。









「非認知能力」の大切さ

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『「学力」の経済学』を書いた慶應義塾大学総合政策学部の中室牧子さんが『非認知能力の大切さ』について答えている。
「非認知能力」は文字通り「認知能力」以外の力ですから、非常に幅広い概念です。私は『「学力」の経済学』の中では、過去の研究を参考に、9つに整理しました。近年、こうした非認知能力のいくつかが賃金や昇格などと相関があることを示した研究があり、注目を集めています。これは直観的にもよく理解できることで、たとえどんなに学力が高かったとしても、モチベーションが低かったり、自制心や粘り強さに欠ける人が社会的に成功することは難しいということなのではないでしょうか。そうした「非認知能力」の中でも、私は子どもの人生の成功に長期にわたって因果効果を持ち、教育やトレーニングによって伸ばせるという観点から「自制心」と「GRIT(やり抜く力)」に注目しています。

近年は「非認知能力は高ければ高いほうがいい」という誤解もあるようですが、それは必ずしも正しくありません。また、先ほどから能力という言葉を使ってはいますが、「非認知能力」は、「能力」と翻訳する向きもありますが、どちらかといえば経験や教育によって習得する「技能」に近い概念です。このため、どのような能力を獲得するかによって教育やトレーニングは違ってくるでしょう。例えば自制心を養うのであれば、先生に「イスの背もたれに背を付けないよう意識をしなさい」といわれ、それを真面目に実行した学生の成績が向上した、という研究が参考になるかもしれません。これは背筋を伸ばしたことが成績に影響したというより、一般的には継続しにくいことを意識してやり続けたことで自制心が養われ、成績の向上につながったと考えられています。

これは友人や教員と共に過ごす「高校」という環境が「非認知能力」を身に着けるうえで重要な役割を担ったからだと考えられます。この発見をもとに、ヘックマン教授は、非認知能力とは「Taught by somebody」、誰かに教わるものだと述べています。「読み・書き・そろばん」であれば独学で習得することもできるでしょうが、非認知能力を独学で身に着けるのはむずかしいということなのでしょう。つまり「非認知能力」の獲得には子どもらが過ごす「環境」がとても重要で、子どもにとっては家庭や学校が「非認知能力」に大きな影響を与えるといえるのではないでしょうか。

最近はAO入試などで学力だけでなく大学で何をしたいか、高校時代の実績などを評価する入試制度も多くなってきた。しかし、多くの大学入試では、筆記試験などで学力が問われるのが一般的だ。

大学入学時に学力が高かった学生も、学生生活をどう過ごすかによって、学力が低下することもある。逆に、学力はそれほど高くなくても、大学でがんばれば、学力を大きく伸ばすこともできる。そういう意味では、高校時代をどう過ごしてきたのか、やる気といった「非認知能力」が大きく関与しているように思う。









ドイツで学ぶ×働く「二元制」大学広がる

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<ドイツのハイデルブルク大学の図書館>

日経新聞(10/24付け)に『ドイツの学生、企業が育てる、学ぶ×働く「二元制」大学広がる』という記事があった。
ドイツの大学が変身している。国際的な競争力の強化を進めるため、国をあげて、製造業のデジタル化を急ぎ、高度な知識を持った人材を大量に育成しようとしている。これまで以上に産学官の連携を強めて、「二元制大学」など、実学志向の新たな高等教育が広がりつつある

ドイツでは、ここ十数年ほど、さまざまな大学改革が進んできたが、政府主導のデジタル化計画「インダストリー4.0」が始まったことで、改革に大きく弾みがついている。この計画はIT(情報技術)などの先端技術を使って、産業界全体の高度化を進めようというもの。産学官が共同でさまざまなプログラムを進めており、教育や研究などの分野でも、デジタル化に向けた人材育成を促している。

ここにきて、注目されているのが、二元制学修課程(デュアルシステム)。学生が企業で働きながら職業学校に通い資格を得る伝統的な教育のしくみだ。中学修了後などに進むのが一般的で、大学教育とは別のコースという位置づけだった。ここ数年、専門大学や総合大学などの高等教育機関がこぞって導入しはじめており、専門的なデジタル人材の育成にも、活用できるとの期待も高まっている。

学生はダイムラー、ドイツ銀行などの大企業や中小企業で職業訓練を積みつつ、大学などに通う。給与と学位と職業資格が得られる利点がある。2006年に608だった二元制学修の数は、16年には1592に急拡大。約4万3500人だった学生数も10万人を超えるまでに膨らんでいる。
(略)
これまでもドイツ企業は、大学との連携に積極的だったが、デジタル化に向け、関係強化に取り組んでいる。二元制でパートナー企業として職業訓練の場を提供すれば、熟練した人材や技術者をすぐに確保できる利点がある。そこで深めた関係を研究、開発などにも生かす企業も多い。
(略)
先端分野での技術革新や起業などを促す役割も担っている。アーヘン工科大、ミュンヘン工科大などからは、人工知能(AI)を使った自動運転や電気自動車などの分野で、大学発のベンチャー企業が相次いで生まれているという。
(略)
ドイツでは長く、大学は教養教育の場であるとの「フンボルトの理念」に基づき、学校間に差はないと考えられてきた。しかし、グローバル化による国際的な競争の激化で、職業教育の場としての役割が強まり、大学間の競争も激化するなど様変わりしている。

日本では、大学生の就職・採用活動の時期について検討され、これまでどおり採用時期は3年生の3月からと従来のシステムを踏襲する見込みだ。新卒一括採用の流れは当面変わりそうにない。入社してきた新卒生を企業で教育・研修をして、一人前の技術者などにするということを続けるということになるのだろう。

しかし、欧米の大学では、長期のインターンシップに行って実際の仕事をしながら知識やスキルを身につけることが多い。逆にそうしたことをしていないと採用されないという現実があるのかもしれないが。企業や社会は、大学教育に何を求めているのだろうか。就職したらすぐに仕事ができるようなスキルが必要だということになれば、大学の教育も変わるだろう。

いずれにしても、就職・採用の時期という問題だけでなく、大学教育に何を求めるのかといった点についても議論してもらいたいものだ。それは個々の大学が考えることだ、と言われるかもしれないけれど。









NHKクローズアップ現代+で取り上げられる

NHKクローズアップ現代+(10/25放送)で、『激震!ダンパーのデータ改ざん〜広がる影響 再開発・五輪は〜』という内容が放送されました。

番組のなかで、今後の検査体制のあり方について専門家の意見として登場させていただきました(写真パネルですが)。ただ、「外部の目で検査を」というだけでは、私の意図が十分伝わっていないのではないかと思います。

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番組の時間の制約のなかで、くわしく説明する時間が取れなかったかもしれません。
そこで、少し補足をさせていただきます(すでにブログで書いていることですが)。

「外部の目」というのは、第三者がメーカーでの性能試験に立ち会うということではありません。試験データを自動で修正するような不正が行われていれば、第三者が立ち会っても見抜くことはできないでしょう。そのため、メーカーの外部(第三者)の試験装置で製品の性能試験をするという意味です。

外部の試験装置で性能試験を実施するのは、設計者が任意に指定した製品であり、事前にメーカーが合格品を指定することはできないようにします。抜き取り試験や定期試験を外部で実施することで、不正があれば、早期に見つけることもできるでしょう。

そのためには、大型の試験装置が必要となります。
残念ながら、世界を見渡せば、こうした試験装置がないのは日本だけなのです。。。









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著書など
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「アイソレータ・マン」。頭部は積層ゴムで、胸にはダンパーのマークでエネルギー充填
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
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