
週刊東洋経済誌(12/2号)の特集は『外国人材が来ない!』。
日本では労働力不足が叫ばれており、農業や漁業、建設業、製造業などで多くの技能実習生が、3K業務を担っている。しかし実習生は「労働力」として位置づけられていない。技能実習制度の趣旨は、アジア新興国の若者に3年間、日本の技術や知識を学んでもらうこと。国際貢献が目的であり、労働力(人材)の確保ではない、とされている。
しかし、こうした技能実習制度は、建前と本音が乖離しており、その乖離を小さくする制度改正が行われることになっている。外国人労働者の人権を守りながら、産業の現場をどう支えていくかを考えないといけない。それがうまくいかないと、日本に外国人労働者が来なくなる。
記事の中では、東南アジアと日本の経済力の比較がされていた。「東南アジアには産業がなく生活水準は低い」「日本に出稼ぎに行きたい人はまだたくさんいる」という考えは捨てた方がよさそうだ。
タイ国内に193店舗展開しているやよい軒の「味噌かつ煮定食」は916円、同48店舗の大戸屋の「鶏と野菜の黒酢あん定食」は1298円、同51店舗のCoCo壱番屋の「フライドチキンカレー」は855円、同158店舗のスシローの「天然インド鮪6貫盛り」は1465円となっており、いずれも日本と同価格もしくは割高となっている。また、日本のマクドナルドのビッグマック価格は、中国、タイ、ベトナムを下回っている、という。
インド、タイにおける管理職への昇進年齢は日本のそれと比べて課長で約8歳、部長で約11歳も若い。経済産業省の「未来人材ビジョン」(22年5月)で公表された給与の比較を見てみても、日本企業の部長の平均年収(1700万円)は米国やシンガポール(3000万円)の半分近くで、タイ企業(約2000万円)よりも低い。
記事では、外国人労働者の賃金アップや外国人労働者の子ども達の教育の充実などが欠かせないとあるが、まずは日本人の給与をあげていく必要があるのでは・・・