中学受験問題「JY22」とは?

JY22

開成中学校の入試問題に関する記事があった。
開成中学校の入学試験には、JR山手線の駅名表示が問題として出題された。問題用紙には、駅ホームに掲げられた駅名表示の写真。黒い文字で「JY22目黒」とあり、問題は次のように続く。

《図は、2016年8月から導入されている首都圏における駅名表示のイメージです。「目黒」の文字の横に「JY22」という表示がみられます。この表示のなかで「JY」が表しているものを具体的に答えなさい》

この数字とアルファベットの組み合わせは、「駅ナンバリング」。JR東日本広報部によると、昨年8月から276駅を対象に順次導入中だ。増え続ける訪日外国人客らのため、駅に固有のアルファベットや番号をつけている。首都圏など79駅では駅ナンバリングを記した駅名表示への掛け替えは3月までに終了、その他駅でも着々と進んでいる。
(略)
駅ナンバリングを出題した狙いを開成中学・高校の社会科分科長、吉野修司先生が説明する。

「いわゆる知識を覚えるだけではなくて、世の中や普段の生活で起きていることをいろいろな面から知ってほしい。あれ、これ何かな? 様子が変わっているな、どういうことなんだろう? 番号をつけることで何が改善されるのだろう? と、だんだん深く考える人になってほしい」「教科書、資料集、参考書に載っていることをそのまま覚えるのではなく、さまざまなことの因果関係や関連性をとらえることができてほしい」と。

答えは、ご存じのとおり、JがJR、Yが山手線。
ちなみに、JKは京浜東北線、JAは埼京線となっている。

入試問題にはどういう生徒に入学して欲しいかが現れる(はず)。大学もこれまでと違う入試が求められようとしている。

木でつくる−現代木造建築ガイド−

『東京人』という雑誌がある。
8月号の特集は『「木」でつくる』ということで、東京の木造建築の紹介がなされていたり、設計者のインタビューなどもある。
東京人8月号

このなかで、建築家の坂 茂氏は「制約がある材料だからこそ面白い」と述べている。
木で建てられるものは、できるだけ木で建てようと心がけています。
木で建築をつくる理由には、昔から木が好きだったということに加えて、木がもっている材料としての弱さに、逆に魅力を感じているということもあります。木は鉄に比べると弱いし、いろいろと制約が多いですが、その制約のなかでいかに設計できるかを考えることに、自分は関心があります。

鉄のような何でもつくれてしまう材料からは、独自の建築はなかなか生まれません。紙を建築材料として使うことにも長年、取り組んできましたが、それと同様で弱い材料だからこそ、その弱さをデザインに生かすことで、それまでにない建築がつくれるのです。

難しいとは思っていません。建築というのは条件があるからこそ面白い。お金や土地が自由にあったとしても、それだとかえって良い建築は生まれにくいものです。課題を自ら提起しながら、それを解いていくのがすぐれた建築家だと思います。

さて、木造建築がこれからどのように発展していくのだろうか。単なる流行で終わらないように、さらに木造の技術を高めていくことも必要だろう。

工学教育、対応力・適応力を磨け

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日経新聞(7/20付け)に『工学教育、対応力・適応力を磨け』と題して理化学研究所理事長の松本紘氏が寄稿している。
工学教育改革を文部科学省が進めている。未来への投資として将来の産業構造に沿う人材育成をするという。「大学における工学系教育の在り方について(中間まとめ)」について

工学系人材が経済成長に寄与できることは何か。今までにない新しいものを作り出す「創新力」において他にない。ただし、工学教育の緊迫した課題として日本のIT(情報技術)人材の不足を一刻も早く補うことも必要である。

しかし、例えば情報系分野でも、大学で学んだ知識が最先端であるのは2、3年だけだ。その先に求められるのは、人と人をつないで新しいシステムやモノや考え方を創成する工学だ。そのためにはまず機械、電気電子、土木、応用化学といった幅広い工学を理解してほしい力学、熱力学、流体力学、電磁気学、電子回路、構造力学、化学、物理、数学と言った専門基礎を幅広く身につけることだ。

さらに生命科学、情報等の新しい分野の基礎リテラシーも持ってほしい。この博識こそ、多様な対応力・適応力の源である。筆者が理事長を務める理化学研究所でも優秀な人は適応力があり、新しい分野でも十分活躍する基盤を持つ。企業でも同様だ。

しかし、学問の細分化が進んだ大学では教員組織である学科が縦割りになっているため、学生が総合的に学べていない。少人数教員の学科に入学時から配属された学生は、非常に狭い領域の専門基礎に特化した専門科目しか選べず、しかも研究室では卒業論文のための狭い研究に絞られるこれでは企業が大学に期待することとは違う

これを改革するには、様々な専門基礎教育を実施する教員を工学部全体から集め、学生に対して必要な教育プログラムを提供することだ。こうすると学部学生は幅広い工学の中から狭い専門へ緩やかに移行することができる。学部のうちは、主専攻、副専攻を中心に他学科の基本科目も複数専門とすることがいいと思う。

専門基礎を増やした学部は密な学習の期間となり、こうして培われた対応力・適応力が、将来の創造性を開花させる。こうすると4年間で研究には接せないが、先端的な研究室への配属や研究経験は大学院に回し、大学院修士まで含めた6年一貫制教育を採用すべきだと考える。

高等教育への期待は、社会で活躍するための高度人材であり、「硬度」人材ではない。学生が高度人材になるための教育を国や産業界が責任を持って行ってほしい。

「大学における工学系教育の在り方について(中間まとめ)」(PDF)では、工学教育における学部・大学院の教育体制の改革がうたわれている。主な施策としては、
  ・学科ごとの縦割り構造の抜本的見直し
  ・学士・修士の6年一貫制など教育年限の柔軟化
  ・主たる専門に加えた副専門分野の修得
  ・工学基礎教育の強化
  ・情報科学技術の工学共通基礎教育強化と先端情報人材教育強化
  ・産学共同教育体制の構築
などが掲げられている。

さらに今後の予定として、具体的な制度改正等について、本年度中を目途に検討しつつ、来年度から順次実施し、平成31年度からの本格実施を目指すとなっている。

これほどの改革があと2年ほどで実施できるだろうか。ただ、東工大はこうした動きを先取りした教育改革を昨年度からスタートさせている。学部と大学院が統一された「学院」というものを設置し、2年生からは、これまでの学科ではなく「系」に分かれていくという。

多くの大学にとって東工大のように改革がスムーズにいくとは思えない。しかし、縦割り構造の見直しや、主専攻に加え副専攻の修得などは必要性が高いと思っている。どこの大学でも同じだと思うが、工学部の学科に入学したら、別の学科に移ることは容易ではない。入試のときに、学科選択を誤った学生は、学ぶ意欲が低下し、最悪の場合、退学するというケースもある。

まずは教員の意識を改革していかないといけないだろう。

次世代型建築生産システム

建設通信新聞(7/13付け)に『ロボットとBIM連携/清水建設「シミズスマートサイト」』という記事があった。
清水建設は、AI(人工知能)を搭載したロボットとBIMが連携した次世代型建築生産システム「Shimz Smart Site(シミズスマートサイト)」を開発した。BIMを核とした情報化施工で自律型ロボットと人間が協力し、建築工事現場の生産性向上、苦渋・反復作業の軽減、検査・管理業務の効率化を図る。揚重・搬送など3作業で7割以上の省人化が試算されている。
スマートサイト

同社では1980年代から自動施工の研究を開始し、90年代には「現場を工場のように」を目指した全天候自動施工システムを開発した。ただ、当時は機械の使用、維持、保管の手間が課題となり、全国的な展開には結びつかなかった。今回のシステムでは機械を「仲間(Buddy)」と位置付け、「自分で考え、働き、感覚と知恵を持つロボット」を開発の目標に掲げた。

シミズスマートサイトはブームを伸縮して作業半径を調整する水平スライドクレーン「Exter」、溶接トーチを操る柱溶接ロボット「Robo−Welder」、天井や床材を2本の腕で施工する多能工ロボット「Robo−Buddy」、水平・垂直搬送ロボット「Robo−Carrier」で構成する。各ロボットは「職長」にあたる統合管理システムの作業指示に基いて現場を移動し、自分と対象物の位置やBIM情報などを認識して自律的に稼働する。

同システムを30階建て、基準床面積3000屬旅眩悒咼襪謀用した場合、省人化の効果は揚重・搬送作業で75%(2700人工)、天井・床施工で78%(2100人工)、柱溶接作業で79%(1150人工)の削減を見込み、2−3現場の転用で減価償却できる。

既に同システムを構成するロボット・建機の適用現場も決定しており、来年早々には関西で同システム全体を適用した高層ビル建設工事に着手する。適用現場では、基礎工事終了後に建物全体を全天候軽量屋根「全天候カバー」で覆い、内部に設置したExterが鉄骨の柱・梁を吊り込む。Robo−Welderが柱を溶接して躯体工事を進め、下層階からはRobo−Buddyが最終工程の天井・床を仕上げていくほか、搬入した資材はRobo−Carrierを核とする水平・垂直搬送ロボットが夜間に作業階へ搬送・仮置きする。

2019年まで実証を続け、同年後半からの本格的な展開を目指す。印藤正裕常務執行役員生産技術本部長は「i−Constructionは土木が主体だが、(本システムは)建築の世界でもそうした生産性向上に取り組むための挑戦だ」と開発の狙いを語った。

いよいよ建設現場にも本格的なロボットの導入となるのだろうか。人手不足や長時間労働の解消にもつながるだろうか。ずいぶん前に、機械工学の教授が、本学の校舎建設現場を見て言った言葉が忘れられない。
『建築工事って、前近代的やね〜』
人手による作業が大半だということを見ての指摘だと思われるが、いよいよこうした意見に反論ができるようになる、かな。。。

熊本の免震病院の見学

先日、熊本にできた新しい免震病院の完成見学会に参加する機会を得た。
この建物は、くまもとアートポリス事業のプロジェクトとして計画された初めての病院建築である。
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建物の規模は6階建てで、延床面積は約15000平方メートル、病床数は166である。1階と2階は受付、検査室など、3階は医局と手術室など、そして4階と5階に病棟が設けられている。外観は特徴的であるものの、各階から緑を見ることができるように計画されている。病室にも工夫がされていて、4人部屋(下の写真)でも各ベッドの横に窓を設けるなどの工夫がされている。こうした病室の構成が特徴的な外観を構成する要素ともなっている。
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この建物の構造はブレース付き鉄骨造で、基礎免震構造が採用されている。使われている免震支承は球面すべり支承である。見学会で設計者は、コンパクトな支承であり、基礎を小さくできること、高さも低いので基礎をそれほど深くしなくていい、鋼製なのでつぶれることはない、などとその利点を説明された。
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地震時のフロアレスポンスがどうなっているのかについては、構造設計者に聞く機会がなかった。球面すべり支承は初期剛性が”剛”なので、それによる加速度応答がどの程度になっているのかに興味がある。病院という特性を反映して、加速度応答などを制御されているとは思うが。

この建物の可動変位は55cmと説明があった。エキスパンションジョイントは建物の周囲に設置されている。建物のエントランス部分は病棟が迫り出したところが屋根のようになっていて、これを支える鉄骨柱がある。この鉄骨柱の下には免震基礎があり、エキスパンションもこの周囲に設置されている。もしここでエキスパンションをまたぐように車が停車しているときに、地震がきたら・・・
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何か注意喚起をする掲示板などが必要だろう。

避難いらずの建物

日経新聞(7/10付け)の「首都直下地震 減災に挑む(下)」のなかで、『避難いらずの建物へ』という記事があった。
防災科学技術研究所の兵庫耐震工学研究センターで、首都直下地震をにらんだ新たな研究の用意が進む。2018年にも大型震動台「E―ディフェンス」を使い、地震の揺れに強い建物の設計を探る。調べるのは「非構造部材」と呼ばれる部分の耐震性能だ。

建物を支える柱やはり、床などを構造体と呼ぶのに対し、非構造部材は天井材や外装材、ドアなどのことを指す。従来、建物の耐震性能を高める際は、まず前者の柱やはりなどを中心に強化するのが一般的だった。

E―ディフェンスの実験では実物大のビルなどの建物を震動台の上に置き、人工的に地震の揺れを起こして、天井材や外装材など非構造部材の耐震性などを検証する。センサーを活用してデータを集め、天井の崩落などによる被害の推定や抑制に役立てる。梶原浩一センター長は「揺れと損傷の関係などを科学的に実証したい」と意気込む。政府は避難所の安全性判断などに生かす考えだ。

非構造部材の重要性が増したのは近年の地震被害の教訓からだ。11年の東日本大震災では、学校の体育館などを含めて天井材が崩落する事例が多発。死傷者も出た。建物が倒壊しなくても、こうした被害を無視できないとの認識が広がった。

16年の熊本地震の犠牲者は200人を超えたが、そのうち建物の下敷きになるなどして亡くなった人は50人。大半は避難生活で体調を崩すなどして命を落とす「災害関連死」だ。高齢者にとって、震災後に自宅を利用できなくなる影響は大きい。かつては建物の倒壊による死を防ぐことが最優先だったが、それで十分とはいえない。

工学院大学の久田嘉章教授は「いま求められているのは『避難の必要のない建物』だ」と指摘する。建物を継続して使えるようにする発想が重要という。

特に首都圏は人口が密集しており、地震の後、建物が続けて使えないと避難者が増えて大きな混乱につながりかねない。手薄な非構造部材の対策強化は欠かせない。
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建物の骨組(構造体)に被害がない、もしくは軽微な被害であったとしても、天井や壁などの非構造部材に大きな被害があれば、建物を使い続けるとか、避難所にするという判断は難しくなる。ましてや建築の専門家でなければ。

久田教授が指摘しているように、避難する必要のない家というのが一つの解決方法だろう。しかし、それを実現するには、より高い耐震性を求めていくことが必要だろう。さらに耐震性向上だけでなく、非常用の水や食料などの確保なども欠かせない。

日本建築学会では、『逃げないですむ建物とまちをつくる―大都市を襲う地震等の自然災害とその対策―』という書籍を2015年に刊行している。ここの示されていることが具体的に実践されていくことが、これからの減災には必要ではないだろうか。
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寒天でゴルフボール

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日経新聞(7/8付けの夕刊紙)に龍谷大学農学部教授の伏木 亨氏が『寒天でゴルフボール』と題して寄稿している。
寒天は、テングサやオゴノリなど紅藻類の海藻に含まれるヌルヌルの成分を乾燥して作る。水ようかんやところてんなど、用途は広い。海外にはとんでもない紅藻があるらしい。長野県のある寒天メーカーは世界中の紅藻を探索し、それを原料に驚くべき寒天製品を実用化している。

例えば、表面に食用インキで印刷ができる寒天の薄い袋。カップラーメンの具材を入れれば、袋ごと熱湯に投入できる。ゴミがでない。

秀逸なのは、寒天で作ったゴルフボールだ。固めるとカチンカチンになる寒天ができる紅藻がある。硬い寒天をボール状に成型して床に落とすと、懐かしい”スーパーボール”のように跳ね上がる。落とした寒天が腰まで飛び上がってきたら誰でも驚く。大学の食品加工の実習で学生に見せたら騒然となった。寒天の調合を変えてゴルフボール規格の反発力を持たせれば、立派な寒天ゴルフボールになる。

そんなもの一体だれが使うのか、という疑問はもっともである。私もメーカーの担当者にそっと尋ねたのだが、答えがふるっている。

「外洋線でクルーズに出たら、一面の海原に向かってティーショットをぶっ放してみたい衝動にかられるでしょう。暇だし」。なるほど、わかる気がする。

「これは寒天だから、海で分解されます。海を汚さないゴルフボールです」。エコだったのである。海上でゴルフをしたがるオヤジの精神はともかくとして、そのフォローの心は見事である。

「海で生まれ、海に帰る」。既成概念にとらわれない、なかなか粋な製品ではないか。

自然の力には我々が知らない部分がまだまだあるということだろう。紅藻にもいろいろな種類があり多様な製品ができるとすれば、ほかの植物にもきっといろいろな能力があるかもしれない。

そうした力を人類が活用することができれば、もっとエコな生活につなげることができるのではないだろうか。

成長可能性都市ランキング

産経ニュース(7/5付け)に『成長可能性都市ランク、1位は福岡市』という記事があった。
野村総合研究所(NRI)は、国内100都市を対象にした「成長可能性都市ランキング」を発表した。将来的に産業を生み出し、経済発展のポテンシャルが最も大きいのは福岡市、2位が鹿児島市だった。
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同ランキングは、都市雇用圏の人口規模などを考慮して全国から100都市を選定。各都市の企業数や平均地価、人件費といった統計データだけでなく、住民へのアンケートから得られた情緒的な要素、例えば、居住環境は快適かどうか、街に活気があるかどうかなども指標化して分析した。具体的には、風土、基盤、環境に関する6つの視点と、それにひもづく131の指標を用いて評価した。

産業創発力の現状と将来の可能性の差分が大きい都市のポテンシャルランキングは、1位が福岡市、2位が鹿児島市、3位がつくば市だった。福岡市は多様性に対する寛容度が高く、新たなことに挑戦する気質があること、イノベーションが起こりやすい風土があるため、将来の産業を担う企業が登場する可能性があるとする。

鹿児島市は、現状は主要企業や高度な人材などビジネスの集積がないものの、地域の共助精神やコミュニティーの成熟、外部人材の受け入れに前向きである点などが評価された。
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現在の実績および将来のポテンシャルを含めた総合的なランキングでは、1位が東京23区、2位が福岡市、3位が京都市、4位が大阪市、5位が鹿児島市となっている。そのほかの都市で10位以内にランクインしたのは、福岡県久留米市、熊本市、宮崎市、那覇市などがあり、九州の地域が多い。

福岡だけでなく、九州の各地にはまだまだ成長できる潜在力があるということのようだ。この評価にあるように、福岡市をはじめそのほかの地域が成長していくことを期待したい。

建築施工もARで?

建設ITワールド『鴻池組が東大のビル現場でARによる施工管理』という記事があった。
鴻池組は、東京大学本郷キャンパスでAR(拡張現実)技術を使った実証実験を行った。マイクロソフトのAR用デバイス「HoloLens」と、インフォマティクスのARソフト「GyroEye Holo」を使い、工事現場に実寸大のCAD図面やBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルを重ねて表示して、どのような施工管理が行えるのかを調べたのだ。

東京大学本郷キャンパスで建設中の理1号館の4階フロアは、図書館となる部分だ。この空間をバーチャルリアリティー(VR)用のゴーグルのようなものを着けて見回しているのは、この建物の施工を担当する鴻池組の小野孝所長だった。
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小野氏の目には、施工中の現場風景にピッタリと重なるように表示されたCAD図面が見えているのだ。
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「現場にある軽量鉄骨の角をHoloLensで見ると、CAD図面の角とピッタリ合っていることがわかりました」と小野所長は語る。

小野所長が着用しているのは「Microsoft HoloLens」というAR(拡張現実感)用のデバイスだ。VR用のヘッドマウントディスプレーと似ているが、Windows10で動くCPUを搭載しており、独立して動作するホログラフィックコンピューターである点が異なる。

タブレット端末のように、左右両眼用のカメラや様々なセンサー、通信機能を搭載しているほか、周囲の壁や柱、床などの3D形状をリアルタイムで計測できる「デプスセンサー」という3Dスキャナー機能も搭載しているのが特徴だ。
(略)
小野所長は、現場を歩き回りながらCAD図面と現場を突き合わせながら、メジャーで所々の寸法を測った。時々、首を上下左右に振って、CAD図面が現場に追従するかどうかを確かめたりもした。

その後、小野所長は「スリーブやコアなどの位置や、鉄筋本数などの数量を確認する業務には、十分に使えそうだ」と語った。
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こうした技術が施工現場に導入され、施工の効率化や品質の向上につながっていくといいな。BIM図面の投影も近い将来には実用化されるという。施工精度や効率化には繋がりそうだけど、だんだんと人間が介在する余地がなくなっていくような。。。

基礎の凹凸で耐震性向上

建設通信新聞(7/10付け)に『基礎の凹凸で耐震性向上』という記事があった。
竹中工務店は、液状化対策技術との組み合わせで耐震性に優れた建物の地下構造を実現する「ソイルクラベット工法」を、名古屋市の超高層建物に初採用した。

通常、地震により建物が横に揺れた時の力(水平力)はすべて建物を支える杭に伝わる。「ソイルクラベット工法」は基礎底面に凹凸部を設けて摩擦抵抗を増大させることで、「TOFT工法」により構築した改良体へ地震時の水平力を負担させる工法となっている。地震時に基礎底面の滑りを防ぎ、杭に作用する水平力を低減することが可能なため、杭径を小さくしたり、杭の耐震安全性を向上させることができる。
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「ソイルクラベット工法」は、セメント系固化材を混合・攪拌して格子状の改良体を築く液状化対策工法「TOFT工法」との組み合わせで活用する工法となっている。建物の荷重や地震の水平力、ソイルセメントの強度などから間隔や深さを決めた溝を改良体に設けることで地震時に基礎底面の滑りを防止し、杭にかかる水平力を改良体に負担させるため、杭径の小径化や杭の耐震安全性向上につながる。

適用したのは同社が設計施工を手がけた名古屋のささしまライブ24地区「グローバルゲート」で、名古屋駅南に位置する再開発エリアのシンボルプロジェクト。名古屋プリンスホテルスカイタワー(地下2階、地上37階建て、約170m)、大和ハウス名古屋ビル(地下2階、地上18階建て、高さ約88m)の2つの高層棟と、その間をつなぐ低層棟(地下2階、地上6階建て)から構成され、延べ床面積は約15万7540平方メートル。

3棟とも建物重量が異なるが止水性を考慮し、地下一体の建物として計画した。建物重量の大きい名古屋プリンスホテルスカイタワーはパイルド・ラフト基礎(直接基礎+杭基礎)、低層棟・大和ハウス名古屋ビルは直接基礎を採用し、液状化防止のためTOFT工法を基礎全体に適用した。

TOFT工法により構築された格子状改良体には破砕用重機で深さ400ミリの溝を2000ミリ間隔で設けた。このソイルクラベット工法の採用により地震時の基礎底面の滑りを防止するほか、杭の損傷や基礎全体の偏心を抑え、異種基礎を実現するとともに高い耐震安全性を確保した。さらに杭基礎での設計と比べ基礎工事で約3割のコストを低減した。

地盤の改良体で地震力を負担することで、杭のせん断力負担や変形を抑えようという考え方は理解できる。この工法の実用化に至るには、それなりの実験もされているのだろうし、2012年には日本建築センターで評定も取得しているとのことで、効果も検証されていると思われる。

しかし、こうした大規模な建築に適用するのは初めてということであれば、ぜひ地震観測をしてほしい。南海トラフで地震で起きれば、名古屋でも相当大きく揺すられるだろう。そうしたときにこの工法が適切に働いたのかどうかを確認してほしい。こうした検証の積み重ねが、新技術の信頼性を高めることになるし、さらなる技術の発展にもつながると思う。

米国流・免震構造の設計手法?

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日経アーキテクチュア『断層近くの病院守る! 米国流・免震構造の設計手法』という記事があった。
アメリカ大陸西岸ロサンゼルスから車で東へ1時間、人口2万人程度の小さな街、ロマリンダ市で、「ロマリンダ大学メディカル・センター・プロジェクト」が進行中だ。延べ面積9万7000平方メートル、地下2階・地上17階建て、病床数600床を超える巨大病院は、2014年の計画開始から3年の月日を経てようやく設計を終え、21年の開業を目指して現場に入ったばかりだ。

災害時にも機能維持が求められる病院プロジェクトでは、近年免震構造の採用が一般的である。最先端の医療技術の提供を目指す本病院でも、巨大地震への対策として免震構造が採用されている。筆者自身が関わったこのプロジェクトを例に、日米での免震構造の設計手法の違いを紹介したい。
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まず、免震装置の違いがある。日本では天然ゴム系積層ゴムや鉛プラグ入り積層ゴムなど、ゴム系の免震装置が主流である。一方、米国では、振り子支承が入れ子構造となっているTFPと呼ばれる装置が主流である。このプロジェクトでも、126台ものTFPが使用されている。

TFPは、4面ある滑り面のうち内側の振り子支承の上下滑り面の摩擦係数だけが同一で、摩擦係数が3種類あることからTriple Friction Pendulum(TFP)と呼ばれる。
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TFPには次のようなメリットがある。
(1)周期が建物質量の影響を受けない
(2)免震層の偏心が生じにくい
(3)セルフ・センタリング機能がある
  <曲面の曲率によるけど、残留変形が残る可能性はある>
(4)フェイル・セーフ機能が免震装置自体に組み込まれている
(5)滑り面の半径が2種類あるため要求性能に応じた調整が可能

一方で、いくつかの問題点もある。
(1)上下面の平行度が高い精度で求められる(柱頭免震には不向き)
(2)スティック・スリップ現象(滑りに伴い摩擦係数が不連続に変化する現象) が見られる
  <フロアレスポンスへの影響はどうなのだろう?、上下加速度応答も気になる>
(3)1社しか製造会社が存在しない
(4)引き抜き抵抗能力がない
(5)実績がゴム支承ほど多くはない

コストはゴム系装置とほぼ同等であり、今後、日本での使用も期待される免震装置である。
<日本で使えるようにするには大臣認定が必要>

次に、設計用入力地震動における違いがある。
日本の法規では、再現期間約50年を想定した「稀に発生する地震」(レベル1、供用期間50年の間で起こる確率63.6%)、および再現期間約500年を想定した「極めて稀に発生する地震」(レベル2、供用期間50年の間で起こる確率10%)に対する検討が求められており、免震構造を採用した建物においても当然これらの地震を検討対象とする。

一方、米国の法規(ASCE7-10)では、免震層上部・免震層下部の構造体については、日本と同様、再現期間43年を想定したService Level Earthquake(SLE、レベル1)、および再現期間475年を想定したDesign Basis Earthquake(DBE、レベル2)に対する検討のみでOKとされているが、免震装置サイズおよび免震クリアランスの設定においては、再現期間2475年を想定したMaximum Considered Earthquake(MCE、レベル3、供用期間50年の間で起こる確率2%)に対する検討を要求している。このプロジェクトにおいても、免震装置および地下構造はMCEに対して設計を行った。

これは、免震構造を採用するくらい重要度の高い建物であれば、仮に50年間の供用期間で2%しか起こらない地震であっても、「想定外でした」で済ませてはいけない、という設計思想の表れでもあると言える。

設計用応答スペクトルの大小もあり、単純に日本で米国と同様のレベル3地震動を導入できないことは百も承知ではあるが、設計思想としてどこまでを自分の「想定内」にするのかは非常に重要であろう。 

3つ目に、解析手法においても大きな差がある。
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入力地震動や解析手法の違いは、これまでの日本と米国の構造技術の発展の違いなどを反映しているもので、どっちが優れているとかは言えない。たとえば、解析手法においては、串団子モデルとフル立体解析の違いとか、地震応答解析結果で、日本では最大応答を包絡するようにするが、米国では7種類の地震波で応答解析をすれば平均値を使っていい、などの違いがある。

ただ、入力地震動については、米国ではMCEレベル(50年で2%の発生確率)での検討が必要であるため、より大きな応答変形、クリアランスが求められる。これが米国において免震構造が流行らない理由の一つともれている。しかし、日本でも長周期地震動などの検討が求められるようになり、応答変形でいえば、レベル3に近づいている(あるいは超えている)のかもしれない。

免震装置については、日本では設計者の要求に応えて多様な装置が開発されている。そのため建物の用途や免震効果にあわせて最適な免震装置を組み合わせることができる。こうした免震装置の多様性は他国では見られない。

いずれにしても、どんな免震性能を持たせたいのか、免震構造の終局状態はどうなるのか。こうした点を設計者自身が検討をしていくことが必要なんじゃないだろうか。

20世紀を築いた構造家たち

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小澤雄樹著『20世紀を築いた構造家たち』(オーム社)という本を読んだ。

本書では、20世紀における建築技術の爆発的な発展を支え、「名作」と呼ばれる建築作品の実現に不可欠な役割を果たしながら、普段、建築家の影に隠れて見過ごされがちな構造家の存在に焦点が当てられている。世界中から「20世紀を代表する構造家16人」を取り上げ、その生い立ちや主要作品を紹介することで構造家の果たした役割やその設計思想を垣間みることができる建築構造史となっている。

取り上げられている構造家は、次のとおり。
ロベール・マイヤール(1872−1940)
ピエール・ルイジ・ネルヴィ(1891−1979)
エドワルド・トロハ(1899−1961)
ハインツ・イスラー(1926−2009)
フライ・オットー(1925−)
ヨルグ・シュライヒ(1934−)
ポール・ワイドリンガー(1914−1999)
ファズラー・カーン(1929−1982)
レスリー・E・ロバートソン(1928−)
フェリックス・キャンデラ(1910−1997)
エラディオ・ディエステ(1917−2000)
坪井善勝(1907−1990)
木村俊彦(1926−2009)
川口 衞(1932−)
オブ・アラップ(1895−1988)
ピーター・ライス(1935−1992)

不自由で、難しいものと思われがちな構造分野だが、技術面や素材などさまざまな制約と格闘しながら、革新的な作品を生み出した彼らの創造力のヒミツの一端が解き明かされる。20世紀を代表する構造家を、作品の構造的仕組みや仕掛けではなく、むしろその生い立ちや作品ができるまでの流れ、作品の変遷に見られる構造家の思想や人となりに焦点が当てられている。

「あとがき」で著者は、以下のように書いている。
筆者がこの本をまとめた理由は二つある。
一つは、構造家の「人間性」を伝えたかったこと。
川口衞は「構造設計は、構造に関するあらゆる知識、感性、経験を駆使して行う、全人格的な創作活動である」と語っている。この言葉は、構造家が個々の作品に「いかに全身全霊をかけて取り組んでいるか」を示すと同時に、それらを設計する際のプレッシャーや未知への恐れ、設計者としての葛藤がどれほど大きいかを示唆している。
(略)
もう一つの動機は、若い構造家志望の人たちに「憧れ」の対象を与えたかったこと。
筆者は現在、構造を教えているが、一昔前は建築学科に入ってくる学生はほぼ100パーセントが「建築家」志望であり、それに夢破れた学生が「構造」など他の分野に流れてくる、というのが実情であった。しかし、最近この傾向が少し変わってきたように感じている。震災などの影響からか、入学時から「構造をやりたい」「構造に一番興味があります」という学生が増えてきたのである。それはそれで喜ばしいことではあるが、一方で、このような学生は内向的というか、視線がやや内向きであるように感じる。これはエンジニア志向の学生の一般的性向なのかもしれないが、具体的な「憧れ」の対象を持ちづらい面もあるのではないか、と感じるのである。そもそも構造の勉強は好きでありながら、「構造家」という存在自体をしらない学生も少なくない。

構造が得意で好きな学生も、本書で取り上げられているような構造家を知らないことも多い。建築構造や技術の歴史を知ることは重要だと思う。構造は力学などの計算だけでなく、創造的な行為であることを知ってほしい。建築を学ぶ大学生には、ぜひ読んで欲しい本だ。

「6強で倒壊」なお257棟

日経新聞(7/8付け)に『「6強で倒壊」なお257棟 公立校耐震化率、98%台』という記事があった。
文部科学省は7日、全国の公立学校の耐震状況について調査結果を発表した。小中学校の校舎や体育館のうち、震度6強で倒壊する危険性が高い建物が257棟あった。これらを含む「耐震性がない建物」は1399棟あり、耐震化の進捗率は前年比0.7ポイント増の98.8%となった。

福島第1原子力発電所事故の影響が大きい福島県の7町村を除き、全国の公立小中学校の11万6671棟を4月1日時点で調査した。

耐震性がない1399棟の内訳は、震度6強の地震で倒壊の危険性が高い建物が257棟、倒壊の危険性がある建物744棟、診断をしていない建物が398棟。いずれも前年度の調査から3〜4割減少した。自治体などで、全学校の耐震化を終えた割合は87%だった。

国は2015年度までに、すべての公立学校を耐震化するとの目標を掲げていた。同省によると、統廃合を控えていたり、財政的な問題から工事できなかったりするケースがあるという。文科省は近く、耐震化を終えていない教育委員会に早期の対策を促す通知を出す方針。

熊本地震により文教施設518棟の被災度判定がなされている。その報告書から被害概要を抜粋する。P1080594
調査対象の多くが新耐震(1982年以降建設)であるか、あるいは旧耐震であっても、耐震診断・補強により新耐震相当の耐震性が確保されていたものであった。これらの学校施設においては、倒壊や崩壊といった大きな被害は発生していない。

一方、鉄筋コンクリート造建物で耐震化が未完了であった学校施設においては、柱のせん断破壊や軸崩壊など、構造体に甚大な被害が生じたものもあった。また、校舎の非構造部材については全体としては軽微な被害のものが多かったが、最上階のホール天井の脱落など、一部では大きな被害もあった。

鉄骨造建物(主に屋内運動場)においては、鉛直ブレースの破断や柱脚・定着部の破壊など、構造部材の破壊により大破や中破と判定されたものがあった。また、内外壁や天井、窓ガラスの落下や破損の被害も見られ、一部には大規模脱落したものもあった。

熊本地震では新耐震の有効性が確認され、耐震改修の効果があったと思われる。しかし、一部では大破や中破と判断される被害も出ており、こうした被害を減らしていくことが今度も求められる。倒壊を防ぐというだけでなく、損傷を抑制するといった損傷制御の考えも重要となるのではないだろうか。

自主ゼミに単位?

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日経新聞(6/28付け)に『自主ゼミに単位』という記事があった。

麗沢大は学生が自主的に行う研究活動を「自主企画ゼミ」として大学の教育課程に位置づけ、半期ごとに2単位を認定している。自主ゼミをやっている教室の後ろで、担当教員で外国語学部講師の内尾太一さんが学生の議論を見守っていた。「研究を自分たちだけで進める責任感からか、高い意欲を感じる。普段の講義以上に熱が入っているのでは」。

内尾さんの役割は研究の進捗状況を把握し、学生の求めに応じて助言することや、学生が海外に行く際の安全の確保など。あくまでサポート役に徹するという。自主ゼミは多くの大学でみられるものの、非公式な勉強会であるため単位は普通は得られない。麗沢大が単位認定を始めたのは、自発的に課題を考え解決する力を伸ばすことが狙いだという。

岡山大学では、一定の成績を収めている学生のみ単位付与の自主ゼミに参加できる。1年生を終えた時点で募集する際、38単位以上を取得しかつ、テストの平均点が78点以上という基準を設定。志望理由書などの内容も含めて審査するという。能力と意欲がある学生をさらに伸ばすため、学生独自の広い視野の中で設定したテーマで研究を経験してもらう場として自主ゼミを活用している。

一方で、研究活動の成果に応じて事後的に経費の助成をしているのは大阪市立大学の文学部と大学院文学研究科。教員と学生、大学などが出資してつくる研究支援団体「教育促進支援機構」が、年度ごとに学生の申し込みを受けて審査する。

対象となるのは同学部と同研究科の有志を中心に3人以上が参加し、年に3回以上集まって研究をした団体。学部外の学生や学外の有志を含んだ団体も認められるため、通常のゼミでは交流が難しい、学校内外の幅広い人材を巻き込んでの研究の後押しにもなる。

1年間の研究成果に対し、内容が支援に値すると判断すれば、資料の購入やコピーにかかった経費の一部を支給する。上限金額は年度によって変わり、16年度は1万円。ユニークなテーマの研究を志望する学生たちが応募するという。

自習や自主ゼミというと、「成果が分からない」「中には遊んでいる人もいるのでは?」という疑念があるし、活動のレベルも個人差があるだろう。それでも積極的に自主ゼミを取ってほしいと願うのは、それだけ「能動的に動く力」が求められているからだろう。

これからの時代、「言われたことをただやる」人はAIなどに淘汰され、自ら気づき、考え、行動に移せる人がより重宝されるはず。自ら考え、積極的に行動できる人材を育てるためにも、大学はもっと学生の自主性を伸ばしていかないといけない。

リクルート進学総研の小林浩所長は「教員が一方的に研究手法を示す通常のゼミに比べ、自分たちで方針を決める自主ゼミは学生の意欲をより引き出しやすい。今後の大学教育で求められるだろう」と評価している。「進め方は学生に任せながらも、教員が参考意見として助言を与えるなど継続的にサポートすることが大事だ」と指摘。

最近、大学でもアクティブ・ラーニング(能動的学習)が求められている。いかに学生の意欲や自主性を引き出すかが重要となっている。本学の中央図書館にはラーニング・コモンズが用意され、学生たちがディスカッションや論文・レポート作成などができるオープンスペースがある。普通、図書館ではディスカッションなどはできないが、こうした施設や環境を用意することも必要だと思う。

僕は建築系サークルの顧問をしている。活動は学生の自主性に任せていて、上級生が活動のプログラムを考えている。こうした活動は自主ゼミに近いと思っている。こうした活動を活性化させることも必要だと思っているが、あまり口を出すと自主性を損なうかもしれない。このあたりの距離感が難しいと感じている。

教員もアクティブ・ラーニングへの取り組みが必要なのではないか。

建築を楽しむ教科書

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「ブルータス」(No.850 )では、『建築を楽しむ教科書』と題した特集がされている。
建築をもっと身近に楽しむための教科書を作りました。日本の建築家28人に話を聞き、名建築235件を紹介。旅行のついでに気になっていた建築を観に行ったり、銀座や表参道など有名建築が密集しているエリアを意識して歩いたり。建築について知ると、日常がもっと楽しくなります。この一冊を持って、いざ、建築を巡る旅へ。

安藤忠雄氏や伊東豊雄氏のインタビュー記事もある。またわが国を代表する建築家の紹介もあり、この1冊で建築の入門書となるかもしれない。ということで、さっそく買って建築学科の新入生に紹介したのだが、なんか反応はイマイチ・・・

建築って、教養だよね。

ペット鎧とスイカドレス

朝日新聞に、犬や猫に着せられるペット用鎧(よろい)が話題という記事があった。
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作ったのは福岡市南区のシルクスクリーン印刷会社「スタッフ」。精密機械の梱包などに使う発泡樹脂に、リアルに重々しい印刷をほどこした。約100グラムと軽量。フェイスブックで、今年5月末に赤い鎧を着たシバイヌの写真が拡散されると、海外のニュースも取り上げた。手作業で作るため、木村英司社長(61)は「猫の手も犬の手も借りたいが、海外の人に喜んでもらえてありがたい」と話す。価格は猫用は1万4千〜1万6千円程度。犬は体格に応じて要相談。

一方で、ハフィントンポストには「スイカドレス」が人気という記事も。夏でスイカを食べる機会も多いだろうから、こうしたこともやりやすい?
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それにしてもSNSの威力は絶大だ。

七夕と竹建築

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今日は七夕だが、九州北部は雨が降り続いており、星を見ることはできそうにない。

七夕伝説のおこりは中国。もともとは、中国の織女(しょくじょ)牽牛(けんぎゅう)の伝説と、裁縫の上達を願う乞巧奠(きこうでん)の行事とが混ざりあって伝わったものといわれている。

本来、織女と牽牛は働き者だったが、夫婦になってからは仕事をせずに遊んでばかりいたので、1年に1日のデート以外は仕事、仕事の毎日を強制されるということになった。昔の農民が「仕事、仕事」の毎日を哀れむために作ったのが七夕伝説の最初なのではないかともいわれている。日本へは遣唐使などによってもたらされ、日本に従来からあった棚機津女(たなばたつめ)の信仰とが混ざってできたとされている。

非常にロマンチックではあるが、天の川をはさんだ織姫(ベガ)と彦星(アルタイル)の二つの星の距離は約16光年もある。これは光の速さで16年もかかる移動距離であり、年に一度に会うと言う宇宙のロマンも人間の世界では不可能か。光は秒速約30万キロであるから1光年は約9兆4600億キロメートル(!)。これのさらに16倍の距離・・・

七夕といえば竹や笹がつきものだ。
日経アーキテクチャ『竹構造に挑むヴォ・チョン・ギア氏の水上ホール』という記事があった。
ベトナムの設計事務所、ヴォ・チョン・ギア・アーキテクツは、2006年ごろから、竹を構造に用いた建築に取り組んできた。近年は国内外の数々の建築賞を受賞している。同事務所のヴォ・チョン・ギア代表は東京大学大学院に留学し、内藤廣氏のもとで学んだ経験を持つ。

ギア代表は、竹を使った独自の工法を次々と編み出している。施工が簡単で安く、それでいて美しい建築を実現してきた。15年4月に竣工した「セン・ビレッジ・コミュニティー・センター」も、その一例だ。
センビレッジコミュニティーセンター

セン・ビレッジ・コミュニティー・センターは、ホーチミン市の中心地から約20キロ離れた新興住宅地の真ん中に立つ施設だ。このセンターは、竹を主構造とする市民のためのホールだ。水盤に浮かぶ傘型屋根というシルエットが印象深い。屋根の直径は約30m。深い軒が南国のまぶしい日光を遮り、濃い陰影を生み出す。

最近は木造建築が注目されているが、わが国にもたくさんある竹を用いた建築というのはできないものか。竹のしなやかさを活かすことができればと思うのだが。

地形データを用いた詳細な活断層図

『科学』(5月号)に広島大学の後藤英昭氏が『熊本地震と活断層』というエッセーを書かれていた。
地震による被害発生の場所という観点では、活断層の分布している場所の近くは相対的に地震災害が大きくなる場所であることが熊本地震でもあらためて認識できました。地表地震断層によるズレや揺れで大きな被害が生じた益城町の市街地がその典型でしょう。その他にも、熊本地震では熊本市街地や阿蘇外輪山などで活断層に沿って小さなズレが出現しました。熊本市街地は布田川断層からは離れているにもかかわらず、比較的大きな被害が生じました。市街地を横切る活断層が布田川断層の活動に誘発されてわずかにズレたことも要因のひとつと考えられています。

益城町市街地や熊本市街地の活断層は、地震後に知られるようになったものです。航空レーザー測量によって得られた数値標高モデル(Digital Elevation Model, DEM)と呼ばれる地形データの分析で認識できるようになったのです。このデータは住宅やビルなどの人工構造物を取り払った地表のみの情報としたもので、これまで用いられてきた航空機から撮影された空中写真ではよく見えない都市部や樹林下の山間部などで新たな情報をもたらしてくれます。

これまでは、鳥のように空から「地域」を俯瞰して地形発達を読み解いてきましたが、DEMにより人間や動植物の活動を取り除いて透視をするように「地表のみ」に注目して観察するようになったとも言えます。しかも、縮尺から考えれば、鳥や航空機からの高さのみならず、成層圏や宇宙に達する高さからの俯瞰とも言えます。

活断層発見の時代は終わったといわれた時期もありましたが、近年、益城町や熊本市街地のようにDEMを用いることで活断層が発見されることは少なくありません。益城町や熊本市の市街地の活断層が、地震前にわかっていれば、被害の様子は違っていたかもしれません。

どうやって人工物を取り除いているのか把握していないが、こういうデータが使えるとは知らなかった。著者による『数値標高モデルのステレオ画像を用いた活断層地形判読』(Vol.7, 2012)が日本地理学会の電子ジャーナルにある。ここでは、京都や名古屋などのDEMが紹介され、これまで知られていなかった断層があるのではないかと指摘されている。
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こうした研究で未知の活断層が発見され、防災に役立つことを期待したい。
なお著者のホームページにも多くの情報が掲載されている。

日本列島の誕生に新説?

朝日新聞(6/30付け)に『日本列島の誕生に新説 フィリピン海プレートが関与か』という記事があった。
300万年前から、海底の隆起などで日本列島が形作られた地殻の変動は、フィリピン海プレートが大きく関わったとする新たな説を、産業技術総合研究所が29日、発表した。内陸型地震の仕組み解明などにつながるという。
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これまで本州は、日本列島の東側にある太平洋プレートが、年に約10センチずつ西に移動して、日本海溝で陸側のプレートの下に沈み込む際の力に押され、東西に圧縮されて形成されたと考えられていた。

産総研の高橋雅紀研究主幹(地質学)は、太平洋プレートと、日本列島の南側にあり、年3〜4センチ北西に動くフィリピン海プレートの移動量のずれに着目。模型を使ってプレートの動きを調べた結果、二つのプレートのずれを埋めるため、日本海溝が年1〜2センチずつ陸側に動いていると見られることがわかった。

この影響で、東西の固い地殻によって関東甲信越―東北周辺が圧縮され、山が形成されたり、内陸型地震につながったりしていると考えられるという。

高橋さんは今後、この新説をもとにして、中越地震や北海道南西沖地震など日本海側で発生した地震や地殻変動の解明につなげたいとしている。

日本列島は、下の画像に示されているように東西方向に圧縮されている(国土地理院、倍率は40万倍)。
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こうした地殻変動は、日本列島の風景を生み出すと同時に、地震災害といった負の自然現象ももたらしている。地殻が東西に短縮すると、地殻には歪みエネルギーが蓄積される。そして、地殻の強度を超えると地殻は破壊され、逆断層や横ずれ断層が動くことによって歪みエネルギーが解消され地震が発生することになる。

こうした自然現象を模型を使って思考実験した研究というのはユニークだと思う。日本列島がどのように形成されてきたのかを知ることで、地震発生のメカニズムの解明に近づくことを期待したい。一方で、地震はいつどこで起きるかわからない。日本列島に住む我々は、日頃から震災への備えを怠らないことが求められる。

つり天井の重さ5分の1で落下しにくく

日経産業新聞(6/30付け)に『鹿島、つり天井の重さ5分の1 落下しにくく』という記事があった。
鹿島は大型の建物に使う超軽量のつり天井を開発した。石こうボード製の従来品より重さを約5分の1に抑えたうえ、独自の施工方法で地震などでも落下しにくくした。つり天井は天井裏の配管などを覆って建物内部の見た目などを良くするが、東日本大震災では落下被害が相次いだ。新しい天井は震災後の安全基準にも対応しており、商業施設などの新設・改修向けに売り込む。

つり天井は天井裏のコンクリート部分からハンガーなどでつり下げる。天井裏にある空調や照明などの設備を守ったり、直接見えなくしたりできるため、商業施設や工場など多くの大型施設で利用されている。しかし、東日本大震災で落下被害が相次いだため、国土交通省は2013年に建築基準法施行令を改正。脱落すると人に重大な危害を加える恐れのある天井を「特定天井」と位置づけ、基準に基づいた安全性の確認を義務づけた。

鹿島が新たに開発した「セーフティ・ダイア−K」と呼ぶつり天井は、帝人が開発した軽量な天井材「かるてん」を使う。かるてんはポリエステル不織布をガラス繊維ではさんだ構造。1平方メートルあたり700グラムと石こうボードの約10分の1の軽さだ。

さらに、つり天井をつるすのに必要な下地材の部材数を減らし、効率よく結合できる新たな施工法も開発した。下地材は「かるてん」を据え付けるための「野縁(のぶち)」と、梁などからつるためのワイヤーをつけてる「野縁受け」で構成する。野縁は90センチメートル間隔となり使用量を削減できるうえ、軽量化につながる。全体では1平方メートルあたり2キログラム以下となり、「特定天井」に該当しないつり天井になるという。

鹿島の実験では、国が定めた4倍の振動を加えても大きな破壊や脱落はなかったという。従来のつり天井は地震による揺れで石こうボードが壁にあたるなどして破損し、落下していた。新システムは破損しにくいうえ、仮に脱落しても軽いため危険性は小さい。

震災が起きると、学校の体育館や公共施設などが避難所となり、そこに多くの人が身を寄せる。しかし、体育館などの天井が落ちていると、避難所として利用できなくなってしまう。昨年4月におきた熊本地震では、最大で約18万人もの人たちが避難した。しかし、熊本県内の指定避難所70か所が被害を受け、閉鎖や一部閉鎖の措置が取られていた。そのうち約9割は、建物本体の耐震化と比べ、対策が遅れがちな天井や照明などの「非構造部材」の損傷が原因だったという。

避難所として使われる学校の体育館などは、高い耐震性を持たせることが必要ではないだろうか。構造体は大丈夫であったとしても、「非構造部材」が損傷するなどすれば、施設の使用ができないと判断されがちだ。天井を含めた非構造部材の耐震化もすすめていく必要がある。
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長野県北部地震での学校体育館の被害より>

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講義中・・・
著書など
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
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