昆虫サイボーグ

朝日新聞(8/7付け)の「科学の扉」欄に『昆虫サイボーグ登場』という記事があった。
飛行する昆虫をドローンのように自由に操縦する。そんな「昆虫サイボーグ」を作ることに成功したという論文が昨年3月、米科学誌に掲載された。

開発したのはシンガポール南洋理工大の佐藤裕崇・助教授ら。カブトムシと同じ甲虫のオオツノカナブンの背中に、無線の受信機を組み込んだ電子回路(約1平方センチ)や小型の充電式電池を載せた。無線で指令を送ると、目や羽の根元の近くに埋め込んだ計6本の電極を通じて神経が刺激される。連続で飛べるのは約30分だ。

飛び始めと飛行停止は、光の方向へ飛ぶ甲虫の習性を利用し、目の近くの神経を刺激する。左右の方向転換は、羽の折りたたみなどを担う筋肉の神経に刺激を与える。

このカナブンが背負って飛べるのは体重の3割にあたる3グラム程度まで。電子装置の小型軽量化が進み、安価で入手できるようになったことも実現を後押しした。

佐藤さんによると、電極を埋め込んでも昆虫の寿命は通常と変わらない。「温度や位置情報のセンサーを載せて大量に被災地に放つことで、人間などが入れないがれきのすき間から、温度の違いを頼りに生存者を見つけるのに役立てられるのでは」と期待する。
(以下省略)

将来、災害現場で何千もの昆虫サイボーグを一斉に放って、被害状況の確認、行方不明者などの捜査などが行われる日がくるのだろうか・・・。さらには、原発などの人の踏み込めない場所の偵察、潜伏しているテロリストや犯罪者の特定なんてこともできるようになるのだろうか。使い方によっては便利さよりも・・・

昆虫サイボーグの研究が盛んになったのは、アメリカ防総省国防高等研究事業局(DARPA)が2006年に公募した研究計画HI-MEMS(Hybrid Insect Micro-Electro-Mechanical Systems)によると言われている。2009年にカリフォルニア大学バークレー校の研究グループは、生きたカブト虫の脳と筋肉に6つの電極を接続し、無線回路、マイクロコントローラ、バッテリーに信号を送る回路を組み込んだモジュールを取り付け無線制御することに成功している。
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昆虫サイボーグは、生きた昆虫を改造して、自在に操られる。こうした行為は、倫理に違反しないのだろうか。

日本建築学会大会は無事終了

1年前から準備してきた日本建築学会の九州大会は無事に終了しました。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

大会テーマは、『みんなとけんちく』
スタッフのユニホームにも、福岡大学のカラー(エンジ色)を背景にテーマを入れました。

大会の運営では、多くの学生に協力していただきました。
1年生から4年生までの学生、総勢180名が毎日朝7時30分に集合し、大会が終わる夕方まで働いてもらいました。
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なお、九州大会の歴史は、以下のようです。
1952年 九州大学
1961年 九州大学
1972年 九州大学
1981年 九州産業大学
1989年 熊本大学
1998年 九州産業大学
2007年 福岡大学
2016年 福岡大学

いまでは大会は年1回ですが、年に2回やっていた時期もあるようです。最近の大会では6000題以上の研究発表が行われますが、1952年の九州大会では145題の発表だったようです。さて、次回(2025年)の九州大会は、どこで開催されるのでしょう・・・

熊本地震で被災した文化財再生への提言

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日本建築士会連合会、日本建築学会、日本建築家協会などでつくる熊本地震被災文化財建造物復旧支援委員会(委員長:後藤治・工学院大学常務理事)らは、4月の熊本地震で被災した文化財建造物の再生に向けた提言(PDF)をまとめた。

今回の熊本地震では、国指定以外の文化財建造物にも甚大な被害が発生している。熊本城に代表される重要文化財建造物等の国指定の建造物についての一日も早い復旧が望まれることはもちろんではあるが、国指定以外のものは公的な助成措置がないものも多く滅失の危機に瀕している。それらを失うことは、文化財を失うというだけでなく、地域の歴史ある風景を失うことにつながるとして、下記の4点を提言している。

1 復興基金を活用した事業支援を行うこと
平成16年新潟県中越地震、平成19年能登半島地震と同様に、被災した文化財建造物のうち公的な位置付けがあるものについては、その復旧費用の75%を復興基金を使って助成する。

2 文化財建造物が集中する地区を重要伝統的建造物群保存地区に選定して支援を行うこと
熊本県内では熊本市川尻地区、宇城市松合地区・小川地区、天草市牛深地区等において、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定することで、文化財建造物と歴史ある風景を失わないようにする。

3 「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」(以下、歴史まちづくり法という)を用いた支援を行うこと
熊本県内では、山鹿市のほか、熊本市古町・新町地区、大津町江藤家住宅(重要文化財)周辺地区において、地区内の歴史的建造物を歴史的風致形成建造物に指定することで、国の支援での再生を目指す。

4 文化財建造物の再生にヘリテージマネージャーを活用すること
上記の1〜3の支援にあたって、その担い手として被害調査に関与したヘリテージマネージャーを活用するよう提言する。 このことは、文化財の価値を適正に守ることにつながるだけでなく、地域の新たな雇用を生み、経済の再生にも寄与するものと考えられる。

現在までの調査では、国の重要文化財79棟中18棟(22%)が、登録有形文化財155棟中56棟(36%)が、県の指定文化財79棟中28棟(35%)が被害を受けているという。市町村の指定文化財でも2割以上が被害を受けている。

指定されていない文化財もできるだけ復旧できるような仕組みができあがるといいのだが。

木+コンクリート構造

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米SOM(Skidmore, Owings & Merrill)とオレゴン州立大学が、木材とコンクリートの合成構造の実験をして、十分な性能を得たという。

SOMは高層建物を木造でつくるというプロジェクト(Timber Tower Research project)を2013年から実施している(ASCEの論文過去のエントリー)。木材を主要構造体として使うためには、コンクリートと木材の接合方法が問題となっていた。彼らは、Concrete Jointed Timber Frameという新しいシステムを考案したという。

実験では、Cross-Laminate Timber(CLT) の上に薄くコンクリートを打設した11メートル×2.5メートルの試験体を使った。この実験では、設計基準で求められる強度の約8倍の強さを発揮したとか。この結果から、梁とスラブを最小断面で剛に接合できるという。

ただ、高層建物に使うには、遮音性や耐火性の問題は残っているかもしれない。

実験映像などはこちらから。

地震が地震を呼ぶ

日経新聞(7/31付け)に『地震が地震を呼ぶ』という記事があった。
熊本地震では、布田川断層帯と日奈久断層帯と呼ぶ2つの活断層の一部が震源となった。4月14日夜にマグニチュード(M)6.5の前震が起き、16日未明にM7.3の本震が発生した。その後、熊本県の阿蘇地方や大分県中部でも大きな揺れを観測した。小さな余震も含め2000回近い関連地震を引き起こした。
(略)
東北大学の遠田晋次教授は熊本地震によって周辺の活断層にかかる力がどう変化したかを解析した。まだ大きな地震が起きていない日奈久断層帯の南西部や布田川断層帯の西部などで地震が起きやすくなる方向に変化した。解析結果どおりに地震活動が活発になった地域もある。

「大気圧の数分の1から10分の1の力の変化でも影響が及ぶ」と遠田教授は話す。蓄積したひずみが限界に近かった断層で力が変化すると「最後の一押し」となって地震を引き起こすことがある。
(略)
熊本地震では、本震の後に震源断層の近くで大きな地殻変動が観測された。布田川断層帯の南にある観測点が南西に1メートル近く動き、北側の観測点は逆に北東に70センチメートル以上移動した。こうした大地の変動が周辺の地震活動にも何らかの影響を与えたとみられる。

5年前の東日本大震災に伴う地殻変動は巨大だった。震源に近い宮城県の牡鹿半島の観測点は地震発生の前後で南東に5メートル以上動いた。北海道から中部までの広い範囲で地下の力のかかり方が変化し、長野県北部(M6.7)や静岡県東部(M6.4)など多くの地震を誘発した。

東日本大震災などの海溝型地震に比べると、内陸型の地震は規模は小さいが、地震の連動や連鎖は起こりうる。1596年には現在の愛媛県や大分県、近畿地方で、数日間に大地震が立て続けに起きたとされる。1992年の米国のランダース地震は3時間後に40キロメートル離れた場所で別の地震を誘発した。連鎖地震は国内外で確認されている。
(略)
東北大の遠田教授は「中部地方や近畿地方では網目状に活断層が存在し、いったん地震が起きると、周囲への影響が心配だ」」と懸念する。活断層が密集する地帯は首都圏などにも広がっている。こうした地域は活断層が複雑に発達して地盤ももろく、地震による力の変化の影響を受けやすい。九州のような火山の多い地域では、地震が連動・連鎖しやすいという報告もある。解明するにはより研究を進める必要がある。

米国エネルギー省のNational Energy Research Scientific Computing Center (NERSC)では地球内部の3次元映像化を行ったという。NERSCの地震学者たちは、過去20年間に起こった273の大地震を調べ、地震波が地球内部をどのように駆け巡ったかを明らかにした。そのデータをスーパーコンピュータで処理し、可視化した。

緑色の小さなポッチはハワイやタヒチ、サモアといった島を示している。その下にウジャウジャと広がっている赤や黄色の部分は、海底にあるマグマやマグマが固まりかけた高温岩体とのこと。
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こうした手法で地殻(地震を起こす部分)のCTスキャンはできないのだろうか。
地震を起こす断層帯のより詳細な構造がわかれば、将来発生する地震のことがもっとわかるのではないだろうか・・・

活断層のどこかで地震が発生する確率は96.5%

日経新聞(8/16付け)に『活断層帯の長期評価、地震リスク4段階に』という記事があった。
政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は、全国の活断層帯の長期評価について、30年以内に大きな地震が起きるリスクを「Sランク(高い)」「Aランク(やや高い)」「Zランク」「Xランク(不明)」の4段階に分けて公表する見直し案をまとめた。マグニチュード(M)7以上の地震を起こす主要活断層帯の少なくとも3割が最高の「S」に該当する見通し。

従来は30年以内の地震発生確率を数値で示し、「高い」「やや高い」などの補足情報を付けて公表していた。断層は数千年単位で動くため短期間では数値が小さくなりがちで「リスクが低い」との誤った印象を与えることがあった。4月の熊本地震を起こした断層帯についても事前の評価内容が伝わりにくかったとの批判があり、より分かりやすい表現への見直しを進めていた。
(以下省略)

地震本部の部会に提出された資料「活断層長期評価の表記見直しについて(案)」では、見直しのイメージが下の図のように示されている。確率の数値は示さずに、ランクだけを表記するようにしている。
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これで、活断層のことが理解してもらえるといいが・・・

この資料のなかに、(参考)として次のような説明がある。
1890年以降に発生したM6.8程度以上の地震(は28あり、)これら28地震のうち、活断層によるものは22(主要な活断層は11、それ以外が11)であり、全体の8割近くを占める。これら活断層地震は、過去125年間に平均して6年に一度程度の頻度で起きている。

我が国の主要な活断層のどこかで今後30年以内に地震が発生する確率を試算してみると約96.5%となる。実際、主要活断層において、過去30年間だけでも5回発生していることと整合的であって、「近くにある活断層が活動して大地震が起きるかもしれない」と考えて、対策を取ることには十分な合理性があると理解できよう。

逆に、確率の値が小さいからといって対策を取らずに、大地震が発生すると命を失う可能性もあることに十分留意すべきである。ここでいう対策とは建物(居室の一部なども含む)の耐震化・免震化、家具や什器の固定、水・食料の備蓄等である。

M7程度の地震が今後30年間に活断層で発生する確率は、全国でみると96.5%!
こちらの数値をもっとアピールした方がいいのではないだろうか。

印刷会社が家を建てたなら

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<凸版印刷のプレスリリース>

日経産業新聞(8/19付け)に『建装材で光る床や話す壁』という記事があった。
凸版印刷が建築資材を軸に快適な住まいづくりを提案する事業に乗り出した。床や壁に使う化粧材や壁紙を使い、人びとの健康改善や省エネにつながる仕組み作りを始める。国内の建材市場は中期的な人口減を背景に頭打ちが見込まれる。社内で培ってきたIT(情報技術)などを組み合わせて新たな市場を開拓する。

7月末、都内で開催中の住宅展示会(House Vision 2)を訪れた。凸版印刷のブースに、丸太をくりぬいたようなモデルハウスがあった。中に足を踏み入れると、木目調の床に白い光の矢印が現れて進行方向を表示する。もう一歩進むと、今度は壁にメッセージが浮かび上がった。

「木目の家」は実は板張りではない。木目は全てフォルム状の化粧シートに印刷されたものだ。化粧シートの内部には振動センサーや発光ダイオードライトを組み込んでいる。床を踏むとセンサーが反応し、化粧板越しに矢印やメッセージを光で表示する。

奥の椅子に座ると、壁から「あなたのストレス度は5段階中4です」との声が聞こえてきた。続けて「疲れすぎていませんか、音楽を流します」と、穏やかな音楽が流れ始めた。椅子の内部にある生体センサーが心拍数や呼吸数を感知。壁の化粧シート内にはスピーカーが設置してある。

凸版印刷が提案した未来の住宅は、内部の人を快適にすることがコンセプトだ。電機業界なおもセンサーや通信技術を組み合わせて類似の提案をするが、凸版印刷の場合は機器を全て床や壁の中に埋め込むため、生活空間を邪魔しない。使い手が意識しないことを利点に打ち出す。
(以下省略)

未来の住宅は、しゃべったり、健康診断してくれたりするのか・・・
家も「電化製品」になるのかな。

健康、省エネも大事だけど、耐震性、経年劣化も自己診断できるようなセンサーも組み込んでほしいものだ。

House Visionも気になる。8月28日まで開催中。
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災害に対するFEMAの対応

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米ルイジアナ州が記録的な豪雨による洪水に見舞われて、多くの人たちが避難している。

災害で被災した住民に対するFEMAの対応がわかりやすい。まず、避難所から自宅に戻る時の注意事項が下のように示されている。家に戻るときには長靴にゴム手袋などを身につけること、電気・ガスは点検が終わるまで使わないこと、保険のために写真を撮っておくことなど。
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また、ガレキや電気製品などの搬出方法も紹介されている。歩道が広いから家の前に置いておけば回収してくれるようだ。また、ガレキ(debris)の分別についても示されている。
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こうした図を使った災害時の説明は、米国はうまいな〜と思う。日本でも洪水の後は家の片付けが非常に大変だ。ガレキを家の前に出しておけば回収してくれるというのは助かる。これも広い歩道(道路)があるおかげかな・・・

日本非常食大賞

企業向けの防災グッズやサービスが一同に会する、オフィス防災EXPO。東京ビッグサイトで開催されたこのイベント内で、最も優れた非常食を決める「日本災害食大賞」の記念すべき第一回が催された。

災害時の非常食というと、美味しいというよりは、最低限の空腹を満たすものという印象だが、今の非常食は美味しさも機能性もこだわり抜かれているものばかりだという。今回は「美味しさ部門」「機能性部門」「新製品部門」の3つの部門に分かれて審査が行われた。詳細はみんなのBCPで。

「美味しさ部門」
1位:「IZAMESHI Deli 名古屋コーチン入りつくねと野菜の和風煮」 杉田エース株式会社
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2位:「レトルト 軟骨ソーキの煮付」 株式会社沖縄ホーメル
3位:「温めずにおいしいカレー」 ハウス食品株式会社

「機能性部門」
1位:「超長期12年保存水」 株式会社ユニーク総合防災
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2位:「やさしくラクケア 黒蜜きなこプリン」 ハウス食品株式会社
3位:「野菜の保存食セット」 カゴメ株式会社

「新製品部門」
1位:「しっかり、まんぞく。非常食セット3日分」 ファシル株式会社
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2位:「非常食Aセット」 石井食品株式会社
3位:「そのまま美食ご飯シリーズ やわらか五目ご飯」 日本フードマテリアル株式会社

最近の非常食はどれもバリエーションに富んでいる。非常食はただ保存していればいい、というわけではなく、入れ替えていく必要がある。これを実践するためにも、日常的に美味しく食べられる食品でることが求められる。価格は気になるところだが・・・

こうした取り組みをもっと広めることも必要だろう。

南海トラフ全域断層調査

日経新聞(8/16付けの夕刊紙)に『南海トラフ全域断層調査』という記事があった。
文部科学省は、巨大地震の発生が懸念される南海トラフ全域で、海底の断層調査に着手する。南海トラフでは東側から東海、東南海、南海の3つの地震が想定されているが、最悪の場合、3つが連動してマグニチュード(M)9級の巨大地震になる恐れがある。2017年度から新たな調査船を用いて震源域の境界を重点的に調べ、連動する確率を予測して震災被害の軽減につなげる狙いだ。

南海トラフは東海沖から四国沖まで続く全長約700キロメートルの海底の溝で、M8級の地震が100〜200年周期で起きている。これまで想定される3つの地震の震源域をそれぞれ調査してきた。

だが東日本大震災では複数の震源域が連動し想定外の巨大地震となった。今回の調査では、これまで空白になっていた震源域の境界を重点的に調査して、断層の広がりを調べる。どこかで地震が起きたときにほかの震源域が連動して動き、巨大地震となる確率を推定するのが狙いだ。

南海地震の震源域の西側には日向灘地震の想定震源域があり、その境界も合わせて調べる。

調査には海洋研究開発機構のほか防災科学技術研究所や海上保安庁などが参加する。今年3月に就航した海洋研究開発機構の新調査船「かいめい」を用いて、南海トラフの海底に音波を照射し、その反射波を検出。海底下にある断層の広がりを立体的に捉える。

南海トラフ巨大地震について、政府は今後30年以内に3つの震源域(東海・東南海・南海地震)のどれかでM8以上の地震が起きる確率を60〜70%としているが、連動して動く確率は推定できていない。もし連動するとM9.1の巨大地震となり、避難者は最大で950万人、被害額は約220兆円に上ると試算している。

調査によって地震が連動する確率がより正確に計算できるようになるのはいいかもしれない。新調査船によって、正確な地殻構造がわかれば、将来の地震の予測にも有効活用できるだろう。ただ、地震は断層の破壊現象であり、どこで、どのように破壊が進行するかによって起きる地震にも違いがでる。この調査で、断層の壊れやすいところ、壊れにくいところまでわかるといいのだが・・・

ちなみに、調査船「かいめい」は、全長100メートル、建造費は270億円らしい。
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月面基地向けコンクリート

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日経新聞(8/10付け)に『三菱マテ、月面基地向けコンクリート JAXAと共同研究』という記事があった。
三菱マテリアルは宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、将来の月面基地の建設資材に使えるコンクリートの共同研究を始めた。月面の土壌からコンクリートのブロックを製造できるようにする。資源開発や宇宙観測のため2030年代に月面に有人基地を建設する構想があり、建物や道路などのインフラ部分に使うことを想定している。

月の土壌に多く含まれるガラス成分を使って製造する。砂にガラス成分と水などを加え、加熱すると粒子同士がくっついて「固化体」と呼ぶ固まった状態になるという、古代ローマで考案された技術を応用。固化体をつくるための加熱時間や最適な温度などを探る。

宇宙空間に物資を打ち上げるには1キログラムあたり1億円程度かかるとの見方もあり、人類が月面で活動するには現地で調達できる原料の活用が不可欠という。

資材1トンあたりの製造に110キロの水を使用し、このうち製造後に50キロ分の水を回収することを目指す。加熱には太陽光を利用する計画で、炉のコンセプトをIHIなどが研究する。開発した技術は地球上で建設資材として活用する考え。

畑中菜穂子氏の「ルナ・コンクリート」によれば、
ルナ・コンクリートはISRU(In-Situ Resource Utilization、現地材料利用)によって製造できる材料のひとつであり、月面における住居、外部環境からの遮蔽壁、基礎などの建設材料としての利用が期待されている。期待される理由は、コンクリートが宇宙放射線/高温度差/微小重力/隕石の衝突などの厳しい月面環境下に耐えうる材料であること、また鉄やアルミニウムに比べ少ないエネルギーで製造できること、成形が容易で大構造物の建設が可能であること、などである。

地球上の建築物に求められる条件とまったく異なる環境下で建築物をつくるという難しさがある。ところで、月には地震がないと思っていたが、地震はあるようだ。NASAが設置した地震計で記録が得られているとか。さすがにマグニチュードは小さいようだが・・・

地球でおきるから「地震」なら、月で起きるのは「月震」

月の内部構造などに興味がある方は下記をどうぞ。
https://www.wakusei.jp/book/pp/2011/2011-1/2011-1-004.pdf


公共施設「木造」で

日経新聞(8/13付け夕刊)に『公共施設「木造」で』 という記事があった。
木造の公共施設が増えている。林野庁によると、はりや柱など主要な構造物に木材を使った公共施設が1割を超えた。2015年には山形県南陽市に世界最大の木造音楽ホールが完成するなど、木をふんだんに使った施設が登場。地元木材を活用する動きも目立つ。

同庁が庁舎や学校、医療・福祉施設など公共建築の「木造率」(床面積ベース)を10年度から調べている。13年度までは全体の8〜9%だったが、14年度に初めて10.4%に達し昨年度もこの割合は高まったもようだ。

空襲火災の反省から政府は1950年に木造の公共施設を事実上禁じ、鉄骨や鉄筋コンクリートが定着した。しかし10年に林業活性化へ公共施設で木材利用を促す法律を施行し、再び脚光を浴びている。

森林面積が6割を占める山形県南陽市の新施設はスギやカラマツなど使用した丸太のおよそ半分が地元木材だ。約1400席を有し「世界最大の木造コンサートホール」としてギネス世界記録にも認定されている。

岩手県住田町は約12億円を投じて14年に庁舎を新設。スギの集成材など部材の7割を町内で調達した。昨年完成した静岡県の草薙総合運動場体育館「このはなアリーナ」も日本三大人工美林と呼ばれる高強度・高品質の「天竜杉」を使う。

高度経済成長期に集中して植林した人工林が伐採の「適齢期」を迎えているのも追い風だ。竹中工務店は東京都江東区で3層構造で燃焼を抑える木材を使った小・中学校の建設を始めるなど、都心にも広がっている。

南陽市文化会館に使われている部材は、結構大きい。またブレースもたくさん入っている。
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木材を鉄やコンクリートと比べるときに、よく使われるのが、比強度。同じ重さに対する強さで比較すれば、木材が鉄やコンクリートよりも断然強いという結果になる。木材は軽くて強いと言われる。

通常、曲げ強度は材料のヤング率に断面二次モーメントを掛けた曲げ剛性で評価する。ヤング率の比較で言えば、鉄は木の約20倍強い。そのため、同じ曲げ剛性を得るには、その分木材の断面を大きくする必要がある。木材の接合部は、鋼材などで固めないとダメなんでしょうかね。

南陽市文化会館建設の記録は下記でみることができる。


自然を真似た革新的技術

WEF”5 ways cutting-edge technology copies nature”という記事があった。

記事では、ロボット蜂や自己治癒コンクリートなど5つの革新的技術が紹介されている。
これらの技術は、自然からデザインや機能を模倣することで、人類が抱えている課題を解決できるかもしれない。これらは、バイオミメティクス(biomimetics) と呼ばれ、自然界の優れた機能や形状を模倣し、工学・医療分野に応用していこうというもの。 ハスの葉の撥水効果、サメ肌の流体抵抗の低減効果、ヤモリの指の粘着力などが材料開発などで実用化されている。

自己治癒コンクリートについては、こちらで紹介している。自然に発生したひび割れなどの補修を行うことができるようだ。


また、東京大学生産技術研究所でも自己治癒コンクリートの研究は行われているようだ。
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http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000000890.html

こうした技術を活用すれば、骨折した骨が元に戻るように、地震で大きなひび割れができた柱や壁なども元のように戻ってくれないだろうか。ただ、鉄筋が塑性化していたりすると、元に戻すのは無理か。

地震によってできた亀裂を自己治癒できるようになると素晴らしいのだが・・・

あーあ

『もうチョットのとき、日本語の「あーあ」は冷たいよね』
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(朝日新聞 8月13日掲載)

テレビはオリンピックで盛り上がっている。
日本が取得したメダルの数が連日報道され、メダリストの喜びのインタビューも多い。一方で、メダルに手が届かなかった選手たちのコメントに「申し訳ありませんでした」というのが気になる。

精一杯やったんだし、オリンピックに出場することだけでもスゴイことだと思うのだけど。応援してくれた方々への感謝の気持ちだとも思えるが、何か日本の「空気」というものがあるような・・・

遊園地などでアトラクションに並ぶときには、何時間でも不平も言わず並ぶけど、飛行機に搭乗するときに荷物の収納などで手間取っていると、「何をやっているんだっ」的な雰囲気を醸し出す人がいる。大きな荷物を収納しようとしている女性、自分の座席がわからずに戸惑っている人などに対して、冷たい視線で眺めていたり。

「あーあ」という気持ちもわかるが、その後は彼ら・彼女らの努力をたたえよう!

探し続けた息子

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お盆です。
朝日新聞(8/13付け)の天声人語の記事から。
わが子に注ぐ思いはかくも深いものか。熊本地震でただひとり行方不明だった大和晃(やまとひかる)さんらしき遺体が見つかった。自力で捜索を続けたご両親の執念に胸が熱くなった。

警察や消防による連日の捜索は5月1日にひとまず中断された。父の卓也さん(58)、母の忍さん(49)は捜し続けた。勤めを休み、双眼鏡を抱えて川沿いをくまなく歩いた。

「私のこの手で晃を抱きしめるまでは諦められないんです」と忍さん。夫妻は雨の日も河川敷に衣類やタイヤ、金属片がないか目を凝らした。足場の悪い川辺には、山岳愛好家の助けを借りて命綱を結んで降り立った。

晃さんの愛車を見つけたのは先月24日。大きな岩に挟まれ、素手では動かせなかった。忍さんは「寒かろうに」とTシャツと水筒を供えて去った。再訪した日は、折りためていた千羽鶴を杭に結び、「もうすぐ連れて帰るばい」と短冊を添えた。

おととい、遺体が車の運転席から引き上げられた。4月の本震からずっと、シートベルトを着けたまま崩落現場に眠っていたかと思うと、両親でなくとも駆け寄っていたわりの言葉をかけたくなる。

思えば「行方不明」とはむごい言葉である。見つけられずに苦しむ家族の胸をいつまでもさいなむ。「本人に会うまでは区切りがつかない」「きちんとこの手で弔いたい」。目を東日本に転じれば、被災地ではいまも2500人余の行方がわからぬままだという。愛する家族との再会を果たせずにお盆を迎える人たちの心痛を改めて思う。

熊本地震から4ヶ月がたつ。
家が大きな被害を受けていれば再建はどうするか、すでにローンを抱えていれば二重ローンも難しい。仕事と住まいは本当に大切なものだとわかる。より安全で安心できる家づくりを推進していくことが求められている。

ポケモンGOで防災

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朝日新聞(8/10付け)に「ポケモンGO」について読者からの投稿「防災に活用すれば命救う道具」が掲載されていた。「ポケモンGO」では、ポケモン探しに夢中になって危険だとか、迷惑だとか、そういう報道もなされている。
せっかく多くの人がポケモンGOに夢中になっているのだから、これを防災に活用できないだろうか。

ポケモンGOの面白さは、自分のいる場所がゲームの舞台で、画面上の地図を見てポケモンを探せることにある。そこで、例えば1日のある時間帯だけポケモンGOの中で地震が起きる設定を選べるようにするのだ。

ポケモンは安全な場所に逃げる。
捕まえるには、どこにいつかを考えないといけなくなる。近くの公園や津波が来ない高台などだ。避難場所を日頃から考えるクセをつけることができるのではないか。

そうなれば、ポケモンGOで近所の公園などを「発見」する人もいるだろう。自分なりの防災マップを作れば、避難経路を覚えられるし、災害時に慌てず逃げられる。危険性が指摘されるスマホゲームも、工夫次第で命を救う道具になる。

災害対策ベンチャーのポケットシェルターは、緊急地震速報に合わせてスマートフォンの画面に最寄りの避難所への経路を示す地図を表示する独自技術を開発し、特許を取得した。米グーグルなどのスマホ用地図アプリに組み込めるため、特許のライセンス販売を検討している。「ポケモンGO」の画面に避難所への経路を表示できるように、任天堂などとの交渉も検討する、という。(サンケイビズより)

投稿記事にあるように「ポケモンGO」を防災に活用できるようになるといいのだが。

建物と人の生活を守る震災対策

工学院大学の久田 嘉章教授が、『建物と人の生活を守る震災対策(その3:2016年熊本地震の教訓と対策例)』と題して「NHKそなえる防災」のコラムに書かれている。
活断層帯の地震による地表地震断層の出現位置についても教訓を得ました。図1は公表されていた活断層と実際に出現した地表亀裂の位置を示しています。前者は単純な数本の線なのに対し、後者は広い帯状の地域に分散しています(注:地表亀裂は断層だけでなく、地滑りなども含む)。日本のような複雑な地質・地形の場所では正確な活断層位置を特定することは困難であり、想定の活断層を含む幅広い地域を対策の対象にする必要があります。
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活断層の近くには建物を建てないことが望ましいのですが、その発生確率は一般に低く、正確な断層の出現位置を予測することは極めて困難です。どうしても建築する場合、その危険性を十分に認識したうえで、以下の対策が必要だと思います。

まず、土砂崩れや地滑り、液状化など対象地の地盤災害の可能性を調べましょう。建物の対策では、地域係数を1、耐震等級は2以上など最低基準である建築基準法より高い耐震性能を確保し、信頼に足る実績のある業者によって施工管理されれば、ほとんどの場合、倒壊するような大被害は避けられます。

さらに、断層のずれによる建物の変形・傾斜や、震源近くにおける強い揺れが襲う可能性があり、家具等の転倒防止など室内の安全対策も必須です。最後に、仮に大きな被害が出た場合の対応策として、近隣住民と連携した初期消火と救援救護の訓練を日頃から行うことも重要です。熊本地震では西原村・大切畑地区では多数の建物が倒壊する被害が出ましたが、下敷きになった全ての住民が、近隣住民どうしで互いに協力し合い、速やかに助け出しています。

まず被害を出さないための対策として、建物の耐震性能の向上策と、十分な備蓄により「避難する必要のない建物」を目指していただきたいと思います。写真2は新築の在来木造建築の例です。構造躯体として、基礎は十分な鉄筋量で補強したべた基礎(底板一面が鉄筋コンクリートになっている基礎)とし、基礎・柱・はり・筋違等の構造部材を金物でしっかりと補強し、さらに構造用合板で建物全体を一体化しています。

この結果、大きな費用をかけずに高い耐震性(耐震等級3)を確保しています。次に室内の安全対策として新しい家具は全て作り付けとし、転倒する家具類をなくしました。古い桐たんすは、普段は人のいないウォークインクロゼットに置き、厚い板の下地材にしっかりと固定しました。その他、1週間分の水・食糧等の備蓄スペースを確保し、非常用・トイレ用の雨水タンクを設置、さらに約10年の間隔で保守管理を行うための点検口を設けています。
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家を新築する場合には、どのような耐震性にするかは選びやすい。しかし、防災上はすでに建っている建物の耐震性を高めることも重要だ。建物の維持管理、メンテナンスを定期的に行えるような仕組みづくりも欠かせない。

水と火の国くまもと

週刊ダイヤモンド誌(7/2号)に「勝手にケンミン創生計画」というのがあり、そこでブランド総合研究所代表の田中章雄氏が「熊本」について書いていた。
熊本県は、川が折れ曲がって入り組んだ場所にあったことから、かつては「隈本」という地名だったが、「隈」の字が「畏(おそれる」の字を含むため「武将が居城する名にふさわしくない」と、加藤清正が「熊本」に変えたという(九州にクマは生息していない)。

加藤清正が中世城郭の様式を取り込んで築造したのが日本三名城の一つとされる熊本城。下部では緩やかな勾配のものが、上部にいくに従って垂直に近くなる「武者返し」と呼ばれる形状の石垣を多用している。

熊本県としての特徴は、「水」と「火」の国であることだ。

熊本市と周辺の11市町村は、水道水源の全てを地下水で賄っている。この地下水にはカルシウムやカリウムなどのミネラル成分、ケイ素などがバランスよく含まれている。つまり、水道水でありながら天然のミネラルウォーターであるというわけだ。それ故に熊本市は「水の都」と呼ばれている。

「火」については、県北東部に位置する阿蘇山は外輪山が南北25キロメートル、東西18キロメートルという世界最大級のカルデラ地形で、世界ジオパークにも認定されている。火口に徒歩1分という所まで自家用車で行くことができ、乗馬やキャンプなども楽しめる。周辺には黒川温泉などの温泉も多く、国内外からの観光客にも人気だ。

また、阿蘇に広がる牧場で作られた牛乳や乳製品なども特産品として知名度が高い。

記事では、東日本大震災で被災した地域では、一時的に観光意欲や居住意欲に影響があったものの、元に戻ってきていることを踏まえ、熊本県の魅力度やイメージは決して低下しないだろうとしている。一時的に観光客が減少しても、魅力が低下しなければ客足はもどる、とも。
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ちなみに、「くまモン」の人気度は絶大で、熊本を代表する地域資源になっているという。

権力と地震

『科学』(8月号)に、東京大学の三枝暁子・准教授が『地震と権力−文禄の大地震をめぐって−』と題して寄稿している。
東日本大震災の発生から5年がたった今年4月、九州地方を再び大地震が襲い、6月現在もその余震が続いている。「地震大国」とよばれる日本の災害史研究の重要性がいっそう増しつつあることを痛感する一方、国政の動向も注視する必要を感じている。

歴史をさかのぼれば、16世紀末に2度の大地震(天正13年(1585)と文禄5年(1596))が日本列島を襲っているが、このとき出現したものは豊臣秀吉の天下統一、そして朝鮮出兵・キリシタン弾圧であった。(略)2度の大地震が、関白となった秀吉の京都改造期をはさんで起こっていることをふまえると、災害史と政治史の相関関係を探ることが重要であると考える。
(略)
文禄の大地震が発生してから2年たった慶長3年(1598)8月に、秀吉は亡くなり、その死を契機に朝鮮からの撤兵が開始された。文禄の大地震は、いわば秀吉の最晩年期に発生した地震であったといえる。しかし、地震直後から、第二次朝鮮出兵やキリシタン弾圧が行われるなど、その政治は、被災下の民衆の救済よりはむしろ、伏見城という自らの拠点の再整備と、対外強硬政策に重点がおかれていたように見受けられる。

そもそも地震で倒壊する前の伏見城が、第一次朝鮮出兵の収束のため派遣されてくる朝鮮講話使節の舞台づくりとしての意義をもっていたこと、その伏見城が「天下支配の象徴」であったがゆえに急ぎ再建せざるを得なかったことが、高橋康夫氏によって指摘されている。

高橋氏はまた、大地震が伏見城に担わされていた「重大な政治的社会的意義を明確に実現した、一大契機であったともいえるのではなかろうか」と述べている。伏見城の築造と朝鮮出兵が、諸大名の財政負担を膨大なものとし、百姓の過重な年貢負担をもたらしたとの西山氏の指摘もふまえるならば、文禄の大地震は、権力のもつ志向性および権力そのものの行使をいっそう際立たせる結果をもたらしたといえよう。

そしてその発動は、必ずしも民衆にとっての復興を意味しなかった。それが過去の話と言い切れるのか、現代日本の政治情勢をみながら考え続けている。

文禄の大地震では、京都のみならず、大阪・兵庫に至るまで広範囲に被災した。地震発生時、伏見城は倒壊したが、地震発生の翌日には、伏見城を再建するための準備が始められたとのこと。しかし、被災地の復興は、基本的に民衆の手によってなされていった、という。

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現代は、この当時よりはましだと思いたいが、「地震の原因はわかっとる。琵琶湖の大ナマズのせいじゃ!」と秀吉は言ったとか・・・
(出典:http://www.hazardlab.jp/think/news/detail/8/7/874.html

8秒免震?

日本免震構造協会の機関誌「MENSHIN」(No.93)に明治大学の平石久廣教授が『免震構造の応答と長周期地震動に対する課題』と題して寄稿されている。

まず建物の変形とベースシア係数の関係が次式で示されている。
disp-Cb

この式は、大地震時の告示スペクトルを、第二種地盤を想定して地盤増幅(約2倍に増幅)させてものを建物への地震入力として想定している。建物は1自由度系に縮約したものを考えている。

詳細は下記の文献を参照。
平石久廣ほか「鉄筋コンクリート造建築物の地震応答と耐震性能評価に関する研究」
日本建築学会構造系論文集、第613号、2007年3月


一般的な耐震構造では代表高さの変位は、建物のほぼ2/3程度の高さにおける水平変位となる。免震構造では免震層の変位に相当する。建物の強度と変形はトレードオフの関係にあることがわかる。この式からベースシア係数を0.2とすると、免震層の応答変形を50cm程度にとどめるためには、Fh=0.6、減衰定数にして0.15程度が必要になる、という。

長周期地震動に対応するためには、
  1)建物の強度を強く、または許容する変形を大きくする
  2)減衰を大きくする
  3)8秒を超えるような固有周期とする
という方法が示されている。

地震動のスペクトルが、たとえば1.5倍になったとすれば、変形と強度の積に求められる値は2.25倍となり、強度もしくは変形だけでこの要求を満たすことは困難だろう。減衰定数を25%ほどに高めることができれば対応できそうだが、1)の強度と変形の効果も含めて対応するのが現実的とされている。

3)は、現在提示されている長周期地震動のスペクトルでは周期8秒あたりから告示のスペクトルとほとんど変わらなくなるということからの提案。周期は次式で表されるので、周期を8秒とし、最大応答時の免震層のベースシア係数を0.1程度とすれば、免震層に必要な変形は1.5mとなる。
Period-Cb

さすがにこれは大きすぎるので、ベースシア係数を0.05まで小さくできたとしたら、応答変形は80cm程度となる。これらは、いずれも概算によるものとされているが、免震建物の応答の本質をつかんでいると思われる。地震動の応答スペクトルが与えられれば、こうした方法で免震建物の応答の概算を求めることができそうだ。ただ、応答スペクトルが同じでも、地震動の振幅特性や位相特性によって応答は大きく変わる。このあたりは地震応答解析をしてみないとわからない。

ただ、非常に極端ではあるが、免震構造の性能は、免震層の変形能力で表すことができるのかもしれない。

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講義中・・・
著書など
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
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