長周期地震対策を強化

日経新聞(6/25付け)に『長周期地震対策を強化 高層ビル「南海トラフ」に備え』という記事があった。
国土交通省は、南海トラフ巨大地震に伴う長周期地震動により超高層ビルに被害が出る可能性が高いとして、太平洋側の大都市圏を中心とする11都府県を対策強化地域に指定すると関係自治体に通知した。2017年4月以降に申請する高さ60メートル超(おおむね20階以上)の新築物件について、1秒間の揺れ幅が最大で現行基準の2倍となる160センチの長周期地震動に耐えられる設計を義務付ける。

ゆっくりとした大きな揺れの長周期地震動に備え、超高層ビルやタワーマンションの安全性を高める狙い。ただ、不動産業界などからは建設コストの増加につながるとの懸念も出ている。

対策を強化するのは、東京地域(東京、埼玉、千葉、神奈川)、静岡地域(静岡、山梨、愛知)、中部地域(愛知、岐阜、三重)、大阪地域(大阪、兵庫)。愛知は2地域にまたがっている。マグニチュード9級の地震が起きた場合、超高層ビルが2〜3メートルの横揺れに見舞われると想定されている。

強化地域で超高層ビルなどを新築する場合、南海トラフ地震の揺れを想定して設計。揺れ幅のほか、約60秒としていた揺れの継続時間を最長約500秒に厳しくする。家具の転倒や移動を防ぐ装置を設置することなども求める。

各地域で評価すべき長周期地震動については、建築研究所でデータが公開されている。地震動波形を国が提供するというのは初めてのことではないだろうか。平成28年熊本地震では阿蘇(k-net一の宮)で周期3秒付近にピークをもつ長周期地震動が観測されている。今後は、危険度が高い活断層での地震動も国が提供する?

下図は提供されている地震動の速度波形。最大速度のレベルはそれほどでもないけれど、建物が共振することで応答が大きくなるのだろう。
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ところで、同じ紙面に「長周期地震、自治体も住民に注意喚起」というのがあった。
既存のタワーマンションや高層オフィスビルでは、大半に大型ゴムやばねなどを使って地震の揺れを吸収する免震装置が設置されている。柱や外壁に免震用機器を取り付けることで影響を抑える技術もあり「既存建物の耐震性能をさらに高めることも可能」(関係者)という。

下線部分は、おそらく制振ダンパーのことを言っているのだと思うが、関係者とは誰だろう。免震・制振構造については詳しくないようだ。

免震構造であっても長周期地震動の影響は受けるわけで、免震建物の設計のときにも建物高さに関わらず考慮しなければいけなくなるのだろうか。免震構造を設計する場合、大きな地震動を考慮すればするほど、それより小さな地震動に対しては免震効果が発揮されにくくなる。幅広いレベルの地震動に対して免震効果を発揮できる新たなデバイス(装置)の開発も求められる。

ハザードマップの活かし方

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鈴木康弘編『防災・減災につなげるハザードマップの活かし方』を読んだ。

ハザードマップをつくる目的には、「災害から逃れる」「事前対策を計画する」「災害を具体的に知る」の3つの要素がある。ハザードとは、一般に「損失を引き起こす事故の潜在力」「事故(天変地異)の脅威」などと訳される。誰も住んでいない場所には「リスク」はないけれど、「ハザード」はある、といえる。

十分な知識がないと、防災にとってハザードマップは逆効果になってしまうこともある。ハザードマップを信用しすぎて、津波避難が遅れたり、避難しなかったこともあった。自治体が作った完成品を渡すのではなく、未完成な状態のマップを住民に提供して、住民の手で完成させたり、マップの読み解き方を知る勉強会の開催が重要となる。

一般的にハザードマップは印刷物で配布されることが多い。これだと情報の更新が大変だが、最近ではWeb−GISを用いた「eコミマップ」というツールも公開されている。こうしたツールを使うことで、地域の防災情報を幅広く収集、統合、整理する媒体となる可能性がある。さらには、火山砂防の分野ではリアルタイムハザードマップの検討がされているという。噴火が起きたら、何が起き、どこまで影響範囲があるのかをリアルタイムに知ることができれば防災上有効だろう。これにGPS機能をつければ、避難経路も瞬時に示すことも可能になるかもしれない。さらに火山だけでなく各種災害の統合型防災マップをリアルタイムで提供できるようになるかもしれない。

ハザードマップから情報を読み取るには、土地の自然的性質、地域の社会的性質などについての知識も求められる。そのためには、学校教育でも、社会教育でも、災害に関する正しい知識の習得にもっと力を入れるべきだ。高校教育でいえば、土地の自然的性質、地域の社会的性質、地域調査の手法などを学ぶ「地理」と、災害のもととなる自然現象を扱う「地学」が重要となる。しかし、高校教育で、「地理」「地学」を学ぶ生徒は少ない。

日本は政界でも有数の災害危険国であり、ここで生活する上では「地理」「地学」の知識は必須だろう。
大学入試では、これらこそ必修科目にすべきでは?

検証 熊本大地震

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日経BP社から『検証 熊本大地震』という雑誌が出ている。

内容は日経アーキテクチュア、日経ホームビルダー、日経コンストラクションの各誌に掲載された記事を集約したものとなっている。その中で、和田章・東工大名誉教授が次のように述べられている。
人々は壊れる建築を怖がり、避難所や車に逃げている。某病院では大きく揺れた後、事前の耐震診断の数値が悪かったこともあり、使えそうな病院から入院患者全員を別の病院に搬送した。耐震性の低い既存建築の耐震性向上は経済的に難しいことがあっても必ず進めねばならない。

我が国の研究者・技術者は、1968年十勝沖地震、1978年宮城県沖地震、1995年兵庫県南部地震などの大きな痛手を受け、諸外国との技術交流もあり、この50年間に耐震技術を向上させてきた。これらの研究成果として免震構造や制振構造があり、国内外で1990年ごろから多くの建築に使われている。
(略)
大きな自然災害に途方に暮れることなく、より良い技術を開発し健全に普及しなければならない。

建築が人々から嫌われるようになってはいけない。信頼される建築であるためには、何が必要なのかを考えていくことが求めらる。

被災した建物の耐震性能をどう伝える?

地震発生後には大きく分けて3つの調査が行われる。
震災直後には「応急危険度判定」、震災後しばらくすると「被害認定調査」が始まる。さらには復旧を目指す「被災度区分判定」も行われる。

応急危険度判定は、市町村が地震の発生直後に実施する。余震による2次被害を防ぐために実施されるもので、緑色の「調査済」、黄色の「要注意」、赤色の「危険」の紙を貼っていく。今回の熊本地震において、1回目の地震では建物に損傷が見られなかったので、家に戻った人たちもいた。その後の2回目の地震で家が倒壊した事例もある。応急危険度判定で「調査済」(緑色)を張貼る場合には、建物が一見健全だと思われても、特に古い建物であれば、慎重な対応が求められる。

被害認定調査は、被害の程度を判定して「罹災(りさい)証明」を交付するために実施される。「全壊」「半壊」など被害の程度により、再建支援のための融資など決める判断基準となる。

被災度区分判定では、地震の被害を受けた既存住宅が復旧で継続使用できるかどうかを判断をする調査となっている。木造住宅の被災度判定には、〃亳該蚤臍愆嵎儼然僂ら求める方法、損傷率、損傷状況から求める方法の2つがある。いずれの方法でも、最後に補修・補強の要否の判定が示されるようになっている。調査方法はなかなか複雑で判定方法を事前に熟読しないとむつかしい。
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さらには、学術的な調査として研究者や学会関係者が調査に入ることも多い。被災者にとっては自分たちが何の調査を受けているのか、それがわからずに、何度も訪れる調査員は被災者のストレスになっているかもしれない。それぞれの調査がどういう意味をもっているのかを今一度整理をして、被災者に伝える、あるいは防災訓練などの場で説明をしておくことも必要だろう。

被災した建物の耐震性能をどう伝えていけばいいのだろうか。
「この住宅がもう一度、震度7の地震に襲われても大丈夫ですか?」
こうした質問に対して的確に回答できる?

高い耐震性をもつ住宅が損をする?

日経アーキテクチュアに、東京大学生産技術研究所の腰原幹雄教授へのインタビュー記事があった。
――大規模地震が連続した熊本地震を受けて、改めて新築木造住宅での耐震性能の向上が意識されています。
1981年6月以降の新耐震基準では震度6強〜7の大規模地震で倒壊せずに建物内の人命を守ることを主眼に置いています。これからは大規模地震が発生しても、余震が収まった後に復旧させて恒久的に住める住宅を検討する必要があると思います。

現在でも、住宅性能表示制度における耐震等級3(壁量が現行基準の1.5倍)などの高い基準で新築をつくるハウスメーカーが増えています。こうした等級に「等級4」や「等級5」といったもう一段高い基準を設けても良いのではないでしょうか。

ただ、初期投資を大きくして耐震性能の高い住宅を建てた場合、震災の後に問題が生じることがあります。住宅への損傷が少ないため、復旧の際に受け取れる補助金などが少なくなるのです。

お金をかけて堅固な住宅を建てた方が損をするという制度は矛盾をはらんでいます。私は補助金などは被災地域に平等に交付すべきだと考えています。補助金が同額なら、耐震性能の向上に初期投資をしていなかった住宅の家主は、被災後に復旧に掛かる費用をより多く負担をすることになる。

もっとも、震災直後にまずは救援が大切になるため、被害が激しい地域に資金が振り向けられるのは感情的に仕方ありません。ただ、震災後にも住み慣れた土地に暮し続ける選択を、どこまで個人の判断で準備、決意できるかという仕組みは考えておく必要があります。

――国やハウスメーカーだけではなく、住宅を購入する側の意識改革も必要になりますね。
耐震性能は大きな地震があった後しばらくは意識されますが、平常時には住宅を売る際のセールスポイントになりにくい。ハウスメーカーの方針で耐震等級3の新築を販売しても、耐震等級2や1に比べて価格が大幅に上乗せできるわけではないのです。

中古住宅についてもそうです。築年数や外装・内装の手入れについての商品価値が注目され、リノベーション後の耐震性能は忘れ去られる。住宅を買う際には見栄えだけに目を奪われてはいけません。

木造住宅では構造用合板の釘打ちの間隔を現在の15cmから10cmにするといった施工時の工夫で耐震性能が大幅に向上します。新築や改修で地震に強い住宅をつくり、震災後も復旧して恒久的に住み続けるといった基準づくりが必要な時代になります。

建築基準法では人命を第一に考える「人的損失」の観点でルールを決めています。ただ、地震の規模は同じでも発生する場所が都市と地方では、被害の大きさが異なる。将来には都市での大規模地震も想定されています。

人命に加えて「経済的損失」も考慮に入れた基準が必要になるでしょう。圧倒的に住居の戸数が多い都市で住宅の倒壊が広がれば、経済的な被害は国力に影響を与えるからです。

建築基準法が経済的損失まで考慮に入れた基準に改めるなら、目標性能を改善しなければなりません。

先行投資をして高い耐震性をもつ住宅をつくったら、震災で被害が少なくて「損」をするということは避けるべきだろう。震災がなくても、高い耐震性をもつ住宅を建てるという方向に誘導する政策が必要ではないか。税金を減免するとかいうのは一番分かりやすいが。。。

野村総合研究所は、2016〜2030年度までの新設住宅着工戸数を予測している。設住宅着工戸数は、2020年度には約70万戸、2015年度には約67万戸、2030年度には約54万戸となる見込みで、現状の約6割になるとしている。今後は住宅を長く使い続ける必要も出てくる。そうした場合の耐震性を確保するための改修などへの支援策も必要ではないだろうか。
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地震断層の保存

朝日新聞(6/9付け)に『地震伝える「証拠」 断層の保存を』という記事があった。
熊本地震で地面に表れた断層の保存を求める動きが、研究者の間で出ている。地震や災害の貴重な「証拠」として研究に役立つうえ、地震の脅威を後世に伝えられるとの理由からだ。ただ、地震への不安を抱く被災者や、復旧に追われる地元自治体の心情的な理解や協力が欠かせず、調整が始まっている。

「地表に表れた断層は、地震の性質、災害との関連を知るための証拠として科学的に貴重で、防災を考える上でも貴重」。日本活断層学会は5月下旬、熊本県益城町に、地表に表れたずれた断層の保存を要望した。同月9日付で県にも同町と南阿蘇村の断層計3カ所の保存を要望していた。要望では「被害に遭われた方々の心中を察すればこの時期に要望することに躊躇も覚える」としつつ、早期の対応を望んでいる。

県に要望書を出した時点の会長だった岡田篤正・京都大名誉教授は「人の手が入ったり、雨風にさらされたりすると断層は消えてしまう。保存の意義を受け止めてもらえれば」と語る。

益城町教育委員会は県教委の担当者や研究者らと、保存要望があった断層を確認。町教委の担当者は「保存する方向で検討している」とした上で、「理解を得るために、研究者に断層の価値について土地の所有者に説明してもらう必要がある」と話す。所有者との協議は今後本格化させるという。

震災遺構とは性質が異なっているが、保存された断層をみて震災のことを思い出して嫌だという人もいるだろうし、震災の教訓を後世に伝え防災教育に役立ててもらう必要があるという人たちもいるだろう。どちらが正しいということは簡単には言えない。まずは地域の方々の理解が必要だろう。

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野島断層保存館の池本啓二課長は「記憶は風化するが、断層を見れば思い出してもらえる。自然の力を感じ、防災意識を高めてもらえれば」と語っている。しかし、保存した断層を見に来てくれる人たちがいないことには始まらない。まずは保存した断層を防災教育の一環として活用する方策も考えておくことが必要だろう。

こういうことをいうと不謹慎だと言われそうだが、熊本や阿蘇の観光に来た人たちにも寄ってもらえるような「断層の見せ方」というものがあってもいいのではないだろうか。

活断層の評価 限界露呈

朝日新聞(6/9付け)に『活断層の評価 限界露呈』という記事があった。
熊本地震は、国が約20年にわたり進めてきた活断層の評価や地震への備えに課題を突きつけた。知られていた活断層でも実際の地下構造は複雑で、事前評価と異なる場所に断層のずれが起き、被害をもたらしたとみられている。想定より小さな地震の後に続く地震の予測にも限界があり、警戒をどう呼びかけるのか手探りが続く。

「阪神大震災以降の活断層評価と対策の妥当性が厳しく問われるべきだ」。5月下旬に千葉市であった地球惑星科学連合大会では、熊本地震の最新報告と今後の検証課題が語られた。

1995年の阪神大震災を活断層がもたらしたことから、国は主要活断層帯の調査を進めてきた。その後起きた大きな地震の多くはほかの活断層や未知の断層が震源だったが、今回は主要活断層として警戒されていた布田川(ふたがわ)断層帯・日奈久(ひなぐ)断層帯で起きた。

国の地震調査委員会はこの断層帯を6区間に分けて地震を想定。4月14日のマグニチュード(M)6.5の地震で主に動いたとされた高野―白旗区間はM6.8程度、16日のM7.3の布田川区間はM7.0程度を想定していた。

「ほぼ想定規模だった」との声もあるが、実態は複雑だ。地震は連鎖し、断層も想定より長かった。九州大などの余震の精密観測では地下で複数の断層が並行し、区間をまたいで複雑に破壊が進んでいたという。九大の清水洋教授は「余震の広がり方が、従来のパターンに当てはまらない。地下が複雑で見通しはわからない」と説明する。

国土地理院の地殻変動の解析では、北部の断層の地下の傾きはほかの部分とは逆の南東向きという。地表に現れた断層のずれも複数が並行するなど単純でなく、離れた熊本市街でもずれが報告された。

建物被害との関係で注目されているのが分岐断層。布田川区間の北側に枝分かれし、熊本県益城町の中心部に至ることが地表のずれから判明した。被害はこの末端部の東西の帯状の範囲に集中する。

川瀬博・京都大教授は、地盤の揺れやすさの違いや建物の古さなどでは説明できないとして「断層運動の影響が考えられる。被害分布、地殻変動などと合わせた分析が必要」と指摘した。
(以下省略)

地震から2ヶ月がたった益城町では倒壊した住宅の片付けも一部では始まっているものの、まだ手つかずの住宅も多い。一方で、秋津川沿いの住宅では震災の被害は外観だけからはみられない。
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日本建築学会九州支部の災害調査委員会では、熊本地震の被害調査を行っている。木造住宅の被害要因としては、
 〃設年代が古い(旧耐震基準に基づいて建設)
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などがあげられよう。益城町で大きな被害が集中しているのは県道28号線と秋津川にはさまれた地域であり、ここは秋津川の低地から台地になる段丘面に位置している。また、益城町の市街化の過程をみれば、最初に宅地が建設されていったところでもある。都市化のプロセス、土地の造成方法なども建物被害に影響を与えたものと思われる。

甚大な被害は、さまざまな要因が重なった結果かもしれない。どこまで分析できるかわからないものの、将来の震災のための教訓が得られるように努力したい。

阿蘇神社を動画視聴で支援

朝日新聞(6/9付け夕刊紙)に『阿蘇神社再建、動画で支援』という記事があった。
熊本地震で国の重要文化財の楼門が倒壊した阿蘇神社の復興を支援しようと、地元有志らが動画を作った。神社の現状や、地域住民の神社への思いを紹介している。動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信され、1回の視聴で0.1円程度が神社に寄付されるという。

阿蘇神社は日本三大楼門でもある楼門や神殿などの計7棟が壊れた。文化財に指定されていない拝殿の再建費用は、全額を神社が負担しなければならない。再建するには10年、約20億円かかる見込みとされる。
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「阿蘇神社に守られた」。
参道商店街の時計店の2代目、宮川幸二さんは動画で語った。震度6弱の本震でも商店街の被害はほとんどなく、店内に50ほどある壁掛け時計は一つも落ちなかったという。創業65年。神社目当ての外国人旅行者も増え、商店街の発展は神社なしにはなかったと思う。「再建には時間も金もかかり、神社の力だけでは難しい。少しでも助けになれば」

動画を見た時に表示される広告の収入から、10回につき1円程度が中島さんを通じて神社に寄付される計算だ。阿蘇神社の権禰宜(ごんねぎ)、内村泰彰さんは「文字では分かりにくい被害状況を動画で分かりやすく伝えてくれている。寄付はありがたい」と話す。

動画はフェイスブック上にある神社のホームページから視聴できる。映像を作成した中島さんは「見た人に話題にしてもらい、再建を早められれば。被害を風化させないために継続して動画を配信したい」と話している。



熊本県益城町にある木山神宮の社殿も倒壊している。指定文化財でないために、復旧のための公的支援が受けられないという。
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文化財の中には国等から支援を受けることができないものも多い。そうした歴史的建物を継承していくためにも、こうした取り組みは使えるのではないだろうか。日本では、寄付文化が根付いているとは言えないが、多くの方が協力してくれればと思う。

活断層リスク 警鐘届かず

日経新聞(6/6付け)に『活断層リスク 警鐘届かず』という記事があった。
熊本地震では被災者の多くが「九州で大きな地震が起きるとは思っていなかった」と証言した。一方で、政府の地震調査委員会や研究者の一部は以前から「九州中部は活断層が集中し、地震のリスクが高い」と指摘していた。国や研究者らの警報はなぜ住民に届かなかったのか。

一連の地震は日奈久断層帯と布田川断層帯の一部がずれて起きた。地震調査委は2013年、過去の文献や発掘調査などから今後30年間の地震発生確率を試算。日奈久断層帯の中南部は「マグニチュード(M)7級が最大6〜16%で起きる」とし、全国の活断層の中でも「高い」とした。

調査委は同時に、布田川断層帯を含め九州中部の活断層による地震を広域で検討し「M6.8以上が30年間に起きる確率は18〜27%」と公表。「断層帯の細かな区間ごとにみると外れもあるが、ほぼ予測通りに起きた」と見る研究者が多く、見通しが的中した形だ。

調査委の警告は、自治体の地域防災計画にはある程度反映されていた。熊本市が昨年改定した地域防災計画では日奈久・布田川断層帯がずれるパターンの地震を想定。一部で震度6強〜7になり、揺れによる建物の全半壊は6千棟弱、死者最大89人と予測していた。

しかし、こうしたリスク情報が住民に浸透していたとは言い難い。それを裏付けるのが住宅などの耐震補強の遅れだ。

1981年改定の新耐震基準を満たす住宅の割合(耐震化率)をみると、熊本県は76%(13年度推計)で、全国平均の82%を下回る。多くの建物が倒れた益城町は63%(11年度)。県内に耐震改修を補助する制度がない市町村も多かった。

住民に防災対策を促すうえで何が欠けていたのか。明治大の中林一樹特任教授は「国がいくら情報発信しても、自治体が地震防災に消極的では限界がある。自治体が地震対策の重要性を認識し、耐震補強の意義などを分かりやすく伝える必要がある」と指摘する。

ひとつの手段が活断層の情報開示だ。
徳島県は13年、同県を東西に横切る中央構造線断層帯を対象に、活断層上にホテルや病院などの建築を規制する条例を施行した。活断層の位置を示す詳細な地図も公表した。神奈川県横須賀市も市内を横切る三浦半島断層群の位置を示した地図やパンフレットを配り、宅地開発などの際に利用を呼びかけている。
「活断層が集まり連鎖地震が起きやすい断層帯の情報も行政が開示し、防災上重要な建物は頑丈につくるなどの配慮が要る。活断層は市町村をまたぐので都道府県レベルで対策を進めることが望ましい」(中林教授)

しかし、こうした例は一部にとどまっている。活断層の情報開示は地価下落などの風評被害をもたらすとされ、二の足を踏む自治体が多かった。名古屋大減災連携研究センターの鈴木康弘教授は「風評を避けるのではなく、地域のリスクを見据えて対策に向き合うことが、今後の地震対策で欠かせない」と指摘する。

国土地理院では、下図に示す地域において都市圏断層図を提供している。活断層の位置だけでなく、地質に関する情報も提供されている。
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我々が住んでいる街の地面を掘り下げていくと最後は固い岩の層にぶつかるが、この岩の中にはたくさんの割れ目がある。通常、この割れ目はお互いしっかりかみ合っているが、ここに「大きな力」が加えられると、割れ目が再び壊れてずれる。この壊れてずれる現象を「断層」活動といい、そのずれた衝撃が震動として地面に伝わったものが地震となる。また地下深部で地震を発生させた断層を「震源断層」、地震時に断層のずれが地表まで到達して地表にずれが生じたものを「地表地震断層」と呼んでいる。

そして「断層」のうち、特に数十万年前以降に繰り返し活動し、将来も活動すると考えられる断層のことを「活断層」と呼んでいる。現在、日本では2千以上もの「活断層」が見つかっているそうだが、地下に隠れていて地表に現れていない「活断層」もたくさんある。

国土地理院では「地表における活断層の位置と形状」を詳細に調査して、「都市圏活断層図」として公開している。都市圏活断層図に示されている活断層線の位置は、空中写真から判読された活断層の位置を2万5千分1地形図の上に表示したものであるため、拡大しても2万5千分の1の精度を越えることはない。また、それぞれの活断層がいつ動くか、言い換えれば、この次に地震が起こるのはいつなのかについては、この図からは分からない。

それでも、自分の住んでいる地域の近くに「活断層」があるのか、どんな地質なのかを知るには便利だろう。

くまモンの復興シンボル

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熊本県の復興に向けたシンボルマークが発表された。

スローガンは「がんばるけん! くまもとけん!」で、復興の旗振り役を務めるくまモンが、「心を一つに頑張ろう!」と県民に呼びかける姿をイメージしたという。

シンボルマークは、熊本地震からの復興に向けて、くまモンの生みの親で熊本県出身の放送作家、小山薫堂さんとクリエイティブディレクターの水野学さんが考案。熊本県の蒲島知事は、「いつもとは違うりりしい表情のくまモンです。全国にアピールして地震で厳しい経営環境にある企業を支援していきたい」と語った。

益城町の360度動画

ハフィントンポストに、音楽プロデューサーである北川義樹さんが撮影した益城町の360度動画が公開されている。映像は益城町木山から県道28号線を西に向かい、左折して南に向かう車載カメラからの映像となっている。定点撮影した映像も公開されている。すべて最も被害が甚大だった益城町木山地区周辺とのこと。



北川さんが、映像を通じて伝えたいことは。。。
募金で集まった金額なども十分ではないと聞きます。まずは「まだこんなにひどいんだね」と知ってほしい。そして、募金などの次のアクションにつなげたいと思いました。最近は北海道でも地震がありましたが、震災っていつどこに来るのかわからない。いつ誰が被災者になるかわからない。目に見えづらい被災地を見てもらって、自分ごととして捉えてみんなで助け合ってオールジャパンで解決していく、そういう状況が作れればいいなと思います。

まずは多くの人たちに現状を知ってもらうことが必要だろう。マスメディアによる震災報道が減っているなか、地道な情報発信が欠かせないと思われる。

サンフランシスコの地震発生確率72%!

アメリカの地質調査所(USGS)からサンフランシスコ・ベイエリアの地震危険度の関する新たな情報が公開された。これによると、今後30年間にマグニチュード6.7以上の地震が発生する確率は、72%だという。マグニチュード7.5以上の地震の発生確率は20%となっている。なお、この発生確率は未知の断層も含めた値だという(どうやって計算したかはわからないが)。このため被害を抑制し、回復力を高めるための取り組みが必要だとしている。

この地震危険度を示すパンフレット(全6ページ)はカラフルな図が大きく示されており、非常にわかりやすい。また、その説明もわかりやすい文章になっている(と思う)。下は、1ページ目と2ページ目で、1ページ目には断層が示され、個々の断層の地震発生確率も示されている。2ページ目にはベイエリアでの過去の地震発生の状況と解説がある。
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3ページ目には、これまでの地震の震源がプロットされており、断層との関係が示されていたり、その後のページでは過去の地震での揺れの強さなども示されている。
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日本にも同様のパンフレットはあるものの、学術的な厳密さを求めたり、詳細なデータを示したがったりして、インパクトが弱いように思う。市民にどんな情報を伝えて理解してもらうのかを考える必要がありそうだ。

それにしても、72%という確率は高い。

連鎖地震、「次」への課題、解けず

日経新聞(5/23付け)に『「次」への課題、解けず』という記事があり、このなかで、尾池和夫・元京大学長へのインタビューがあった。
地震学者である尾池和夫・元京都大学学長は「今後も西日本で内陸地震が続発する恐れがある」と警鐘を鳴らす。

――熊本地震と南海トラフ地震の関連性を指摘しています。
「南海トラフ地震は約100年間隔で繰り返し、発生の50年ほど前から西日本で内陸地震が増える傾向がある。前回の地震からの経過年数を考えれば、次の南海トラフ地震の可能性のピークは2030年代後半〜40年代とみられ、西日本は1995年の阪神大震災で地震の活動期に入った。2000年の鳥取県西部、2005年の福岡県西方沖地震などに続き、熊本地震が起きたことには驚きはない」

――どんなメカニズムが考えられますか。
「日本の南側はフィリピン海プレートが北西方向に押し寄せ、東側は太平洋プレートが西に押し寄せている。西日本の地殻は東西に圧縮力が働く。南海トラフ地震が近づくにつれ地殻のひずみが増し、活断層がずれやすくなる」

――今後も続発する恐れはありますか。
「昭和東南海(1944年)・南海地震(1946年)やそれ以前のサイクルでは、活動期にM7前後の内陸地震が多ければ7、8回は起きていた。このような経験則に照らせば、次の南海トラフ地震の前に、2、3回起きる可能性がある」

――警戒が必要な地域はどこですか。
「政府の地震調査委員会は中央構造線断層帯の東端の和歌山県北部や奈良盆地東縁断層帯などを要注意としている。ただ未知の活断層がずれることもあり、地域を特定して予測するのは難しい」

――どう備えますか。
「直下型地震では建物の被害が活断層近くに集中する。地震の発生確率がよく分かっていない活断層でも、自治体が住民らに情報を周知し、耐震補強を促すべきだ」

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「死角突く建物被害との戦い」では、「1995年の阪神・淡路大震災以降の21年間で、多くの大規模地震が発生している。熊本地震の住宅被害は5月末時点で11万棟を超えた。2011年の東日本大震災、阪神・淡路大震災に次ぐ、住宅の全壊被害を出している。地震動の繰り返しや地震地域係数の問題など様々な論点が指摘されているが、日本全国、地震に無縁なところはないと改めて気付かされる」とある。

南海トラフ地震は必ず起きる。その際の被害を軽減するためには、耐震補強が重要であることは以前からも指摘されている。耐震化がなぜもっと増えないのか、このあたりの検証も必要ではないだろうか。やはり、地震の危険性を十分伝え切れていない、認識してもらえていないということだろうか・・・。

誰でも自分は大丈夫だと思っている?

日本最古のおにぎり

朝日新聞(6/12付け)の天声人語に『日本最古のおにぎり』というのがあった。
まもなく熊本地震から2カ月を迎える。被災直後、現地のスーパーやコンビニで水とともにまっ先に売り切れたのは、おにぎりだった。炊き出しが始まって最初に配られたのもおにぎりだ。被災地で何より頼れる非常食だろう。

日本のおにぎり史は2千年前にさかのぼる。各地の弥生時代の遺跡から炭化した米の塊が出土する。石川県鹿西(ろくせい)町(現中能登町)では1987年に三角形の塊が見つかった。地元は「日本最古級のおにぎり」と呼ぶ。鹿西町の鹿(ろく)と米の字をなす十と八にちなみ、6月18日がおにぎりの日とされた。

現物を石川県埋蔵文化財センターで拝見した。黒くなければそのままかじれそうな二等辺三角形。正式には、ちまき状炭化米塊と呼ぶ。

「土中からカツンという感触が来て二つに割れた。興奮しました」。竪穴住居跡から掘り出した栃木英道・金沢城調査研究所副所長(59)は話す。炉のそばでなく外縁部だったことから、日常の食品ではなく魔よけの品と推定する。

ちまきかおにぎりか、食用か魔よけかの議論は筆者の手にあまる。だが三角形に握り固めたコメが2千年前から私たちの身近にあったことには素朴な感慨を覚える。

「私にバナナかおにぎりの差し入れを」。熊本地震の直後、現地から政府にせがんだ情けない副大臣がいた。同じころ対照的なふるまいを避難所で見た。おにぎりを受け取る際、両手を合わせ頭をたれるおばあさんたちの姿だ。命をつなぐおにぎりに感謝する古来の祈りのように見えた。

写真は毎日新聞(4月16日)に掲載されたもので、炊き出しに長い列ができていた。
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当初は支援物資が十分行き渡らなかった地域もあったようだが、温かいご飯を食べることができるのは被災者にとってはありがたいことだろう。熊本地震から2ヶ月が過ぎる。被災地ではようやく復興へ向けて動き出したという段階だ。被災地への支援もまだまだ必要だが、今回の地震の教訓を踏まえた防災対策も検討されるべきだろう。

耐震等級と被害の関係は

日経アーキテクチュア(6月9日号)の特集『揺らぐ木造住宅の耐震性』の中で、五十田 博・京都大学生存圏研究所教授の談話が掲載されていた。
現行の建築基準法に沿って建てられた木造住宅でも倒壊が出たことは重く捉えるべきだ。しかし、建基法を改正するかどうかは、中長期的な視点で慎重に考えたほうがいい。今回の地震動が、現行基準が想定している地震動より大きかったかは今後詳細な検討が必要だ。しかし、仮に今回の地震動が現行基準の想定より1〜2割増しだったとしても、それに対応して現行基準のレベルを引き上げても、将来もっと大きな地震がきたら、また基準の見直しを議論することになる。これまでもそれを繰り返してきた。それでは、抜本的な解決につながらない。

それよりも、構造設計に関する基礎的な設計の不備をなくす必要を感じた
今回、全壊で傾斜などの大きな被害があった建物の状況を見る限り、総じて様々な設計上の配慮不足や施工のミスが見られた。住宅の品質を守るためには、壁や筋交いの配置などの基本を具体的に示す、設計マニュアルをつくるべきではないだろうか。

壁量を増やすことのメリットを建て主に伝える工夫も必要だ。我々の壁量調査では、住宅の耐震性能によって、被害の大きさが違うことが見えてきた。2000年基準ぎりぎりで建てた住宅は、前震で強度が6〜7割程度まで下がり、建基法を満たさないレベルまで耐震性能が低下した状態で本震を受けて、大きな被害になったと考えられる。これに対して、2000年基準を上回る壁量を確保したものは、前震後も本震後も耐震性能がさほど変わらなかったと推測される。

品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)には、壁量を現行基準の約1.25倍にする耐震等級2と、約1.5倍にする耐震等級3が規定されているが、現状では各等級で被害がどの程度軽減するかを示した資料がない。各等級がどの程度の安全性を備えているのか、建て主に分かりやすく説明できるようになれば、最低基準ぎりぎりの住宅ではなく、余裕のある耐震性能を求める建て主も増えるのではないか。

前震で耐震強度が6〜7割程度低下したということは、強度が建基法を上回るためには、2000年基準の約1.5倍の強度が必要だったということだろうか。耐震等級3の建物であれば、2回連続の大地震でも建物の被害は小さくできた、と言えるのだろうか。ということは、耐震等級3では足りないのではないか。耐震等級5くらいまでつくった方がいいのではないだろうか。

五十田教授も指摘されているが、耐震等級2と3の住宅が大地震を受けたとき、どの程度の被害がでるのだろうか。そうした情報とともに、建設コストとの関係を建て主に示すことが必要になるのではないだろうか。


『被害発生確率を用いた耐震等級の説明の有効性』(日本地震工学会論文集 第 7 巻、第 6 号、2007)で示されたアンケート結果は興味深い(PDF)。対象は横浜市周辺に住む30代、40代の759人。
本研究のアンケート調査は品確法が施行されてから 6 年後に行われたが,品確法を知っていると答えた人は全体の10%にも満たず、また、耐震等級を知っていると答えた人も全体の6%程度であった。

正確な建物被害リスクの情報を与えると、高い耐震性能の住宅を選択する人が少なくなるのではとの懸念が考えうる。しかし、等級2、等級3の被害発生確率の低減率や建設費用の増加率の情報を提供したことで、逆に高い耐震性能の住宅を選択する人が多くなったことが確認された。高い地震発生リスクのバイアスを緩和しても高い耐震性能の住宅の選好性が変わらないという知見は、今後の地震発生リスクコミュニケーションを推進する上でも非常に重要といえる。

この論文のなかでも、より高い耐震等級の設定が望まれるとしている。いずれにしても、耐震構造に関する正しい知識を知ってもらうことが必要だろう。

日本の住宅の耐震性

木耐協のサイトに「巨大地震への意識と工事実施の関係」という調査データがある(PDF)。

木耐協で実施した耐震診断結果の集計と災害に対する意識調査が示されている。診断は平成18年〜平成27年までに実施されたもので、昭和25年〜平成12年までに着工された木造在来工法2階建て以下が含まれている。その結果の一部が下記のようになっている。

耐震性能

この結果、76%の住宅が「倒壊する可能性が高い」という結果になっている。倒壊しない割合はたった8%弱である。新耐震以降の比較的新しい住宅でも倒壊しない割合は14%ほどでしかない。この結果が日本の木造住宅の平均像であるとすれば、益城町での倒壊率は特段高いということにはならない。

耐震補強工事をしていない場合でも、自分が巨大地震にあうと思っていると回答した割合は約60%となっている。災害を自分のこととして意識することが大切だ。次の震災に備えて、こうした現状をなんとかしないとダメだろう。

この調査を熊本地震の後に実施したら、回答は変わるだろうか・・・

熊本城、石垣費用350億円超?

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JIJI.COM『崩落の石垣、本格撤去=熊本城、費用350億円超』という記事があった。写真は熊本城の石垣の被害で5月4日に撮影したもの。
熊本地震で甚大な被害を受けた熊本城の復旧に向け、崩落した石垣の本格的な撤去作業が7日、始まった。熊本市は崩落した石垣50カ所のうち、道路や民有地などに石材が落ちた4カ所の撤去や、1本の石の柱で支えられている「飯田丸五階櫓(やぐら)」の倒壊防止など、緊急性の高い工事を約3カ月かけて実施する。

市によると、熊本城の石垣約7万9000平方メートルのうち、約3割に当たる約2万3600平方メートルで石垣が緩むなどの被害があり、積み直しが必要という。崩落した石垣は約8000平方メートルに上る。

文化庁によると、石垣1平方メートル当たりの修復費用は約150万円とされ、石垣だけで約350億円が必要な計算になる。櫓などの建造物を含めると、全体の費用はさらに膨らむ。

熊本地震で甚大な被害を受けた熊本城が江戸時代以降、地震などの自然災害でたびたび損傷し、修理を繰り返してきたことが、熊本市の熊本城調査研究セン ターと、熊本大文学部付属永青文庫研究センターの文献調査で5日、分かった(参照サイト)。

両センター職員は「並大抵でない人々の努力で、今の熊本城の姿がある」と指摘 している。今回の熊本地震では、国重要文化財13棟が被災し石垣は53カ所が崩壊するなど、日本城郭史においても類を見ない被害とされる。

「熊本城の歴史は被災と修理の繰り返しだ」と・・・

熊本地震・益城町の現状

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『今の熊本・益城町の姿に思うこと』と題して写真が投稿されている。
地域によって被害が大きかった場所、復旧が進んだ場所、さまざまにあるのでしょう。

Twitterでこの写真を見たなかには、「こんな様子であれば、まだ熊本への旅行は控えたほうが良いのでしょうか?」というコメントを寄せている人も。NOFさんは、「震災前と同じように営業している所もあり、熊本としては今こそ観光に来てほしいのでは」と返信しています。

「熊本だから」とひとくくりにはできないのだと思い知らされる写真でした。

実際にボランティアに赴くことはできなくても、募金をしたり、積極的に現地の生産物を買ったりと支援の方法はさまざまにあります。

被災地が元気を取り戻し、心から笑い合えるときが遠くない日にやってくるように。今どういう状況なのか、私たちが関心を寄せて支援をしていくことが大事なのではないでしょうか。

地震発生からまもなく2ヶ月となる。仮設住宅への入居も始まったようではあるが、被害を受けた住宅の片付けなどはまだまだこれからだろう。メディアで熊本地震のことを取り上げる機会がめっきり減っているなかで、関心をなくさないことが大切なのだろう。

木造住宅に構造計算は不要?

日経アーキテクチュア(6月9日号)に『揺らぐ木造住宅の耐震性』という特集がある。その中で、繰り返される住宅被害の教訓が紹介されている。
木造住宅は手入れが行き届いて外面がきれいでも、築年数が古い建物が少なくない。躯体の劣化度合いをプロが診断して耐震補強を施すべき住宅は、国内にまだ多く存在する。

81年以降の新耐震基準でも安心はできない。日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の嶋田章技術担当は「壁の配置バランスが初めて規定されたのは2000年基準から。81年から2000年までの木造住宅には、バランスの悪さで耐震性が不十分な建物もある」と指摘する。

特に西日本では、採光や暑さ対策から南面の開口を広く採る間取りが目立つ。こうした構造は揺れで躯体にねじれが発生しやすく、大規模地震で倒壊するリスクがある。

しかし、一般的な2階建て以下の木造住宅は構造的に弱い部分が精緻に把握できない。3階建ての木造住宅は、自治体に建築確認申請書を提出する際に構造計算書を添付する義務がある。一方、2階建ての木造住宅は構造計算書の提出が免除されている(4号特例)。

嶋田技術担当は「申請は不要でも、1階部分に開口の広い部屋を設ける場合などは、構造計算書を作成した方がよい。ただ数十万円の費用が設計に上乗せされるため、工務店などは建て主に対して勧めにくいのが現状だ」と言う。

大きな木造住宅をリフォームして2世帯住宅などに改修する場合にも注意が必要だ。リフォームでは確認申請が不要なケースが多い。リビングの壁や柱を取り払ったり、玄関を広い吹き抜けにしたりするなど、住空間の快適性ばかりを優先する改修によって、木造住宅の耐震性能は著しく低下する。だからこそ、リフォームの際には耐震補強を検討することが望ましい。

写真は、南阿蘇村で倒壊した学生アパート(5月8日撮影)。外観は新しそうだが、構造体は古いようだ(構造骨組をつなぐ金物などは使われていない)。
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建築基準法施行令には1階の壁量バランスについては規定があるものの、上下階で壁の位置をそろえるなど垂直方向の壁配置については規定がない、そうだ。構造設計や構造計画の面からみれば、2階もしくは3階の壁で負担したせん断力(水平力)をその下の階に伝達することが必要で、壁(筋交い)の縦方向の配置は耐震的にも非常に重要である。それが規定されていないというのは何かおかしくないか。

そもそも規定されていなくても、構造設計上配慮されるべき点ではないだろうか。木造住宅にも、構造設計者(エンジニア)が関与する必要があるのではないだろうか。

プライド守る支援が大切

朝日新聞(6/4付け)の「私の視点」欄に兵庫県宝塚市長の中川智子氏が『プライド守る支援が大切』と題して寄稿されている。
拝啓 蒲島邦夫熊本県知事 様
4月14日に始まった大地震により犠牲となられた方々、けがをされた方、今なお苦難の中におられる皆様に心より哀悼の意を表し、衷心よりお見舞い申し上げます。

何より被災自治体の職員の皆さん、リーダーとしての知事の日々を思う時、ねぎらいの言葉だけではなく、具体的な、かつて被災者であった者としての提言をさせていただきたくペンをとりました。

あの日から50日余り、すでに仮設住宅の建設も進んでいます。避難所から仮設住宅への移居で壊れていくのはコミュニティーです。熊本にはかつて5年暮らしましたので、コミュニティー、特に自助の精神が強い土地柄であると承知しています。

仮設住宅建設にかかる費用は、建設費と撤去費用等合算しますと約500万円(1軒あたり)要すると言われています。この度の地震では戸建て住宅の被害が多いですから、自宅の敷地内に仮住宅(プレハブなど)を建てることもできると思います。仮住まいを必要とされる方に、仮設住宅か自らの敷地での仮住まいかを選択できるようにしていただきたいと存じます。従来のご近所づき合いで復興の一歩を進めることができるからです。

阪神・淡路大震災では、仮設住宅退去以後、県外に出られた方も少なからずおられました。復興住宅は20年の期限付きで、現在、退去を迫られ裁判が起きています。21年経て、今なお「住み家」を失った方々の苦しみが続いています。同じ轍を踏まないでいただきたいのです。

鳥取県西部地震の際、同県では仮設住宅を大量に作るのを控えて住宅再建を補助するという考えから、住宅復興補助制度(県費200万円、市町村100万円の合計300万円)が作られました。迅速な決断に、住民から「あのお金は希望をもらったと受け止めました」という言葉を伺いました。大事なことは「光」が見える具体的な復興策です。

21年前、ボランティア活動をしながら学んだのは、被災者の自立のために一番大切なのは「一人ひとりのプライドを守ることだ」ということでした。行政だけでは成し得ません。ボランティア団体との情報共有や、仕事の分担を通して、丁寧でスピーディーな対応が求められます。

できることなら、九州各県の連携で被災自治体それぞれにペアとなる自治体を決めて継続的に支援する「カウンターパート方式」を長期間続け、乗り切っていただきたい。

被災地の苦難はこれから長く続きます。こんなときは遠慮せず「迷惑をかけ合おう」。そしていつか「恩返しを」。奮闘を祈ります。
敬具

日経アーキテクチュア『「アートポリスは無駄ではなかった」、伊東氏語る』という記事があった。熊本県ではアートポリス事業を行ってきている。さまざまな公共建築がコンペで選ばれた建築家によって建設されている。最近は少々下火になってきてはいるものの、自治体としてユニークな取り組みをしてきている。そうした取り組みが、熊本地震の仮設住宅などの建設にあたっても活かされたようだ。

写真は移築された「みんなの家」。
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仮設住宅では家族のプライバシーの確保と同時に、地域コミュニティーの持続が求められる。コミュニティーを持続するための方策を専門家と連携して検討することも有効だろう。こうした活動に建築界がもっとかかわっていくこもとも必要だろう。

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講義中・・・
著書など
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
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