エアレスタイヤが製品化

1801-Michelin-Tweel_AA

建設通信新聞(4/23付け)に『エアレスタイヤを日本市場へ』という記事があった。
日本ミシュランタイヤは2019年に、スキッドステアローダー用のエアレスタイヤ「MICHELIN X TWEEL SSL」を日本市場に投入する。建設や道路舗装工事、農業などの作業現場で活躍するタイヤで、優れた乗り心地により作業者の疲労を低減するほか、パンクの心配がないため、休車時間短縮による生産性も向上する。

タイヤとホイールが一体化しているため、面倒なホイールへの組み替え作業がなく、空気充填や空気圧管理も不要な「ノー・メンテナンス」が特徴の一つ。またタイヤ素材に使っている高強度ポリ樹脂スポークで荷重を支え、衝撃を吸収し、作業者の快適性を確保する。パンクによる作業中断がない「ノー・ダウンタイム」も売りだ。

この製品は、12年から米国とカナダで販売を開始。18年の欧州、ロシアでの発売に続き、19年に日本へ導入する。エアレスラジアルタイヤの日本市場での製品化は始めて。

エアレスタイヤは建設用重機に使われるのだろうか。普通の乗用車に使うことはできないのか。できないとすれば、その理由はなんだろうか。上の記事を読む限りは乗用車にも十分使えそうだけど。
54495fe42b167

一方、日本のタイヤメーカーでもエアレスタイヤの研究はされているようだ。ブリヂストンは自転車用のエアレスタイヤを2019年にも販売するという。
eyecatch-7

乗用車に普及するには、もっとデザインにも工夫が必要かもしれない・・・









ビルディングレコーダー(地震時の変位計測)

建設通信新聞(4/11付け)に『地震時に変位計測、迅速通知』という記事があった。
三井住友建設と免制震デバイスは、建物構造安全性情報提供サービス「ビルディングレコーダー」を開発し、事業展開を開始した。地震時に建物の水平変位を計測し、建物管理者に構造的な安全性の情報を時速に通知して、円滑な初動対応を支援する。事業継続の取り組みを支援するサービスとして、積極的に展開していく方針だ。

サービスの具体的な流れは、始めに対象建物の設計情報(構造種別・階高・剛性など)に基づき、荷重と変形の関係を解析し、構造的な安全性の「判定基準」を設定する。続いて、上階床スラブ下面の構造体に可視光カメラを設置し、下階床スラブ上面の構造体に設定したターゲットを常時撮影する。撮影した画像を解析することで「層間変位」(建物の揺れ幅)を計算する。クラウドサーバー上で判定基準と層間変位を解析し、本震と同規模震度の余震に対する建物の構造的な安全性を評価し、建物管理者に情報をメールで通知する。
180410_02

特徴として、常時撮影するため、地震の揺れが収まった状況ではわからない最大変位(建物の最大揺れ幅)を被災後の建物の傾きを把握することができる。また、クラウドサーバー上で解析し、メールで通知するため、建物管理者は被災建物内部に立ち入ることなく迅速に安全性を確認することができる。

建物の地震時の応答(揺れ)を観測する方法はヘルスモニタリング技術の一つといえる。通常は加速度センサーを使うことが多いものの、この提案は層間変形を直接測るところに特徴がある。建物の損傷は層間変形で評価することが多い。計測された加速度を積分して変位を求めることはできるものの、建物の特性情報に正確さが求められる。特に建物が損傷し、非線形領域に入った場合にはさらに不確実性が伴う。そういう意味で直接層間変形を測定するやり方は優位性があるといえる。

では、その計測精度はどの程度なのだろうか。
この「ビルディングレコーダー」と同じかどうかわからないものの、三井住友建設の山田哲也氏が「地震時建物変位計測システムの防災上の活用方法に関する提案」(地域安全学会論文集,No.29,2016.11)という論文を書かれている。その中で、層間変形角の精度としては、1万分の1〜5千分の1で、最大層間変形角は50分の1と書かれている。大破・倒壊というのは外観からも明かなので、判断がわかりにくい中破レベル(層間変形角100分の1程度)での活用を想定している、という。

こうしたシステムを使ってヘルスモニタリングが行われれば、防災上でもBCPの観点からも有効だろう。このシステムを戸建て住宅に設置するには価格面でも難しいだろう。そうなると、加速度センサーで、それも建物内の1カ所の測定で、住宅の被災度を判定できるようなシステムができないものだろうか・・・








浴室シェルターで災害に備える

shelterbath

朝日新聞(4/19付け)に『災害時 浴室がシェルター』という記事があった。
大地震などの災害に備え、市販のシステムバスをシェルター化する新方式を北九州市小倉南区の1級建築士、田代豪さんが開発した。被災時の避難場所となり、生活用水も確保でき、田代さんは「有事に備え、少しでも役に立てれば」と話している。

箱形のシステムバスを、金属のフレームで補強してシェルター化する仕組みはこれまでもあった。田代さんは、バスの天井裏に出来る60〜70センチの隙間に着目。この空間に樹脂製の水道管約200メートルをらせん状に収納し、約60リットルの貯水槽とした。地震などで断水しても、家族4人が1週間ほど過ごせる水量を確保できるという。

この水道管は、屋外の水道と屋内の混合栓をつないでおり、水が滞留することはなく、災害時に逆流しないシステムなども備えている。余ったスペースに防災グッズも備蓄できる。

田代さんは10年ほど前に着想したが、特許取得の難しさなどもあり実現しなかった。だが、2011年に東日本大震災が起こり、宮城県石巻市の仮設住宅の建設にボランティアで参加。2年前には熊本地震も発生した。田代さんの会社では住宅リフォームを手がけており、「大地震で何らかの影響を受ける旧耐震基準(1981年5月までの建築)の建物がまだ、3棟に1棟あると言われる。知恵を絞り、被害を少なくできれば」と改めて思い立った。

昨夏に特許を出願し、今年1月、「シェルター型システムバス及び剛性フレーム」として登録された。金属枠は理論上、100トン級の負荷にも耐えられるといい、被災時に避難所での集団生活が苦手な人などは、風呂のふたの上で寝るなどして過ごすこともできる。
AS20180416003795_commL

小倉北区の大園和昭さんは築約50年の木造住宅をリフォームし、バスをシェルター化した。地震のあるトルコで10年以上過ごした経験があり、妻の祥子さんは「断水や停電で水に困った経験が忘れられない。いざという時、逃げ込む場所があるのも安心」と話す。

シェルター化の費用は約50万円。問い合わせはモーベリーホーム

住宅全体を耐震補強するのは費用や期間の面から敬遠されがちであるため、たとえば寝室だけを補強するという事例はあった。また、床が落ちてきても寝ている人を守る耐震ベッドというものも商品化されている。

浴室を耐震化し、水も備蓄できるシステムは、被災後の生活を支援するという面では従来の耐震ベッドよりも役に立ちそうだ。大地震時に人命を守り、被災後の生活を助けることができるアイデアは他にもあるのではないだろうか。

こうした取り組みが広がことで、被災者を少なくし、被災生活を少しでも楽に過ごせることに繋がることに期待したい。









「他人ごと」を「自分ごと」に

P1080820

『まんがで知る教師の学び3 学校と社会の幸福論』(さくら社)を読んだ。著者は、前田康裕・熊本大学教職大学院准教授で、昨春まで教頭を務めた向山小学校での体験に基づいている。

朝日新聞(3/13付けの夕刊)に『教頭先生、避難所で学んだ』という記事で本書が紹介されていた。
突然の大地震で学校は避難所に。ただでさえ忙しい教頭が、地域との関わりから学んだこととはーー。熊本市立向山(こうざん)小学校の前教頭が、熊本地震の体験をもとに自ら漫画を描き、出版した。働き方改革につながるヒントも盛り込まれている。

舞台は、熊本のある小学校。大磯賀史(おおいそがし)教頭は、保護者のクレーム対応や施設管理に忙殺されている。そこに起きたのが4月14日夜と16日未明の大地震。学校に駆けつけると、1千人を超す人や車がどんどん押し寄せてきた。困り果てていると校区の自治会の人たちがやってきて、テントを建て始めた。

「市役所は何をやっているんだ」といらだつ教頭を「だれかのせいにした瞬間に思考はストップします」とたしなめ、てきぱきと避難所を運営する。その姿を見た教員らは、「力を合わせてよりよい未来をつくる」との視点で教育課程を見直す。すると、子どもの意識も変わっていくーー。
(略)
熊本地震では多くの学校が避難所になった。うまく機能しない所もあったが、向山小では校区の人たちが一致団結して避難所を運営した。その様子を目の当たりにして、前田さんは「行政サービスを受けるだけの『お客さま』では、まちはできない」と痛感した。地域のことを「他人ごと」ではなく「自分ごと」と考えるようになり、自らの生き方も変わったという。

「教員の多忙化も、文部科学省や教育委員会のせいにしては解決できない。教育を学校だけに任せず、みんなが『自分ごと』として考えれば、よりよい社会ができる」。
(以下略)

本書の最後にある「解説8」では次のように書かれている。
熊本に「できるしこ」という言葉があります。「自分でできる範囲で」という意味です。教育に関わる様々な問題に関しては、他人に責任を求めるのではなく、全ての人びとが自分のできる範囲で協力して動き出せば、解決の方向に導かれていくのだと思います。我々が創ろうとする未来は、他人に責任を求めて攻撃する「他責社会」ではないはずです。他人のがんばりに感謝し応援する「感謝社会」であれば、全ての人びとがその社会にできるしこ参画することができるのではないでしょうか。

災害時や避難生活などにおいて、地域における住民のつながりが重要となる。これから人口が減少してく日本社会において、地域のまちづくりや共同体としての連携を深めていくことが求められるのではないだろうか。そうした核の一つとして「学校」があるのだろう。

教師という仕事は忙しいし大変だけど、やりがいがあるということを本書を通して理解してもらえるといい、と思った。










建築を楽しむ教科書−伝統建築編

BRUTUS180201_2

「建築を楽しむ教科書」の第二弾。
今回はわが国の伝統建築(神社仏閣が中心)が、建築家のコメントともに紹介されている。たとえば、法隆寺は藤森照信氏が、如庵は隈研吾氏が解説している。伝統建築は荘厳で美しい。これらの建築を現代建築の目線から見直しみると、むしろカッコいいという言葉が当てはまるという。

PEN_no448_2

一方、上の雑誌では「一度は訪れたい! 奇跡の建築」として、各国の名建築を紹介している。この特集でも法隆寺が取り上げられているが、こちらは隈研吾氏が解説している。建築史に出てくるような名建築だけでなく、新しい建築も取り上げられている。

建築を学ぶ学生には、こうした建築を実際に見てほしい、と思う。
自分も機会があれば、ぜひ訪ねてみたい!









にぎらずにできる携帯おにぎり

尾西食品の非常食(長期保存食)をいただいてみました。
アレルギー物質を含まないクッキーやひだまりパンなどいろいろな種類がありますが、今回は「携帯おにぎり」
P1080814_2

鮭、わかめ、五目おこわの3種類から、今回は鮭で挑戦しました。
最初に開封して脱酸素剤を取り出し、ピンクのラインが引いてあるところまでお湯(約70ミリリットル)を注ぎます。
P1080817_2

そして、チャックをしっかり閉めてから、袋を振ります。しっかり振った方が具材が均等に混ざるようです。15分ほど待って、袋の上部を水平に切り取り、片側の三角形部分も切り取ります。水でもできますが60分くらいかかるそうです。
P1080818_2

両側の三角形部分を切り取ると、おにぎりのできあがり!
P1080819_2

ちょっと水気が多かったですが(お湯の量がちょっと多かったかな)、ちゃんと三角形のおにぎりになってました!

この携帯おにぎりは、5年間常温保存が可能です。上で紹介したように手を汚さずに作って食べることが出来、衛生的です。放っておくだけで三角形のおにぎりができるなんて、ちょっと感動です。

昔、日本では「干し飯(ほしいい)」という非常食がありました。炊いたお米を軽く水にさらして、天日で乾燥させたものです。保存期間も長く、戦国時代には軍事用の携帯食にも使われていました。

携帯おにぎりは、まさに現代版「干し飯」といえるのではないでしょうか。

災害時のために非常食を備蓄している場合もあると思いますが、備蓄しておくだけでなく一度くらいは実際に作ってみた方がいいでしょう。そうすると美味しく作るためのコツもわかるでしょうし、地域の交流にもつながると思います。









新阿蘇大橋 地震に強く

gifuNews
日経新聞(4/17付け夕刊)に『新阿蘇大橋 地震に強く』という記事があった。
熊本地震で崩落した熊本県南阿蘇村の阿蘇大橋の下流側で架け替え工事が進む新たな橋について、国は、大きな地震で周辺の地盤がずれた場合、橋脚と橋桁の接合部がすぐに外れ、衝撃を抑える構造を導入することを決めた。2度目の激震「本震」発生から2年。関係者は「地盤がずれる前提で橋を造るのは珍しい」としている。

阿蘇大橋は阿蘇地域を流れる黒川に架かり、国道325号の一部として南阿蘇村中心部と熊本市方面を結んでいた。本震で土砂崩れが起き、周辺では阿蘇市の大学生、大和晃さんが犠牲となった。新たな橋は国直轄事業として崩落箇所から南約600メートル下流で建設が進められ、2020年度の開通を目指す。

国土交通省九州地方整備局によると、橋脚6本のうち、活断層の推定位置に近い右岸側から3本目と4本目は橋桁との接合部の強度を弱め、最大震度7を2度観測した熊本地震と同程度の揺れが発生すると外れる構造にする。丁字形をした橋脚の上部の幅を当初予定より広げ、外れた橋桁は橋脚がそのまま受け止め、橋の機能を維持する。

橋の長さは605メートルとしていたが、工事で出た土砂を右岸側に盛るため、525メートルに短縮することになった。

西日本新聞では、阿蘇大橋の直下に活断層があった可能性を指摘し、「アーチ橋は固い地盤の上に造られるが、地盤が動くと致命的な力を受ける。橋は断層を避けるべきで、もし架ける場合は構造に考慮が必要だ」という識者のコメントを掲載している。
nishinihonNews

工事が進められている新阿蘇大橋の下にも活断層があると考え、橋脚と橋桁がずれる構造を導入することにしたのだろう。一種の免震構造ともいえるが、どれくらいのズレ量まで対応できるのだろうか。橋に直交するズレであれば、ずれることで免震的な効果は得られそうだけど、橋の長さ方向に断層のズレが生じた場合はどうなるのだろうか。新阿蘇大橋はアーチ橋ではないので、大丈夫ということだろうか。

いずれにしろ新阿蘇大橋が開通することで、被災地へのアクセスがよくなり、早期の復興につながることを期待したい。







一斉スタートのリスク

週刊東洋経済(4/14号)の「経済を見る眼」に英スタンフォード大の苅谷剛彦氏が『一斉スタートのリスク』と題して寄稿している。
日本では4月になると、新入生は新しい学校や大学へ、新入社員は職場へ一斉に参入する。こうした年度の切り替えが一斉に行われることのない英国で暮らしていると、年度はじめが新しいさまざまな出来事の一斉スタートとなる日本の現場に目を見張ってしまう。

一斉に始まるだけではない。新入生や新入社員の場合、そのほとんどが同じ年齢の者で構成される。大学の新入生のほとんどは高校を卒業したばかりの若者であり、新入社員も3月に学校や大学を卒業したての若者である。しかも入試や採用の過程で選抜が行われ、それをかいくぐった若者たちだ。能力やその他の特徴の面でも同質化した集団が新入生や新入社員となる。そのため同期や年次意識も醸成されやすい。

一斉と同質性の組み合わせは確かに集団管理にとって効率がよい。大学では新入生に一斉にガイダンスを行い、職場では新入社員に一斉に研修が行われる。集団と時間を効率的に管理するうえで、同質性と結びついた一斉スタートは日本社会に溶け込んでいる。

だが、その効率性はいくつかの犠牲の上に成り立っている。決まり切った一斉のスケジュールから外れるとペナルティが科される。浪人や第二新卒の年限は限られ、それを超えると一斉スタートのルートには戻りにくい。現役進学や新卒就職が望まれるのはそのためだ。企業の新卒一括採用が大学教育に与える影響はつとに指摘されるところである。新卒就職での成功が重視され、そこから外れることはリスクが高いと信じられているからだ。

さらに一斉システムが作り出す同質性は集団の圧力を高め、集団から外れる恐怖心を生む。それゆえ、一斉に、整然と行われる入学式や就職までの管理された時間から外れることが避けられ、留学や学び直しが躊躇される。入学や就職の前にギャップイヤーと呼ばれる「すき間の時間」を過ごすことが広く社会で認められる英国との違いだ。

英国では、大学進学や就職の前にさまざまな経験を積む時間が許される。一度働いた後での学び直しやその後の転職は当たり前で、それが多様な経験を個人に与える。多様な経験を積むことから個人を遠ざける日本とは大きな違いだ。

最大の問題は、一斉システムが個性的な人たちを目立たせてしまうことにある。一斉に行われる就職面接でも突出した個性や経験の持ち主は敬遠される。新入社員が同じようなスーツ姿で街を行く様は、同調集団の見本のようだ。同期や先輩の顔色を見ながら、空気を読む能力や忖度(そんたく)の技術が育まれる。

財界トップがいくら個性や創造性、主体性の育成を教育に求めても、現場はそのように動かない。グローバル人材が必要だという政府や財界の要望も、留学をためらわせる新卒一括採用の前では色あせる。一斉スタートはそのギャップを象徴する。非正規雇用や転職が増えても、一斉システムは揺るぎない。突出した個性や才能を持つ人々、多様な経験を求める人々は、その外でリスクと向き合いながら生きるしかない。

文科省の高大接続改革では、大学入試において、学力・知識だけでなく、思考力・判断力・表現力、そして主体的に学ぶ態度も評価することが求められようとしている。問題は入試という公平性が特に求められる場面で、思考力や表現力そして主体性といった点をどうしたら評価できるかという点だ。入試制度も英米と日本ではずいぶん異なっているし、就職(採用)の仕方も違っている。

moss

英語に、”A rolling stone gathers no moss.”という諺がある。
「転がる石に苔はつかない」ということだが、解釈は英米で異なっている。

転がっていく石に苔がつかないように、仕事や住居などを色々と変えたりしていると、いつまでも技術が身につかなかったり、落ち着かなかったりする。我慢強く身を落ち着けて取り組みなさいという意味で、英国の解釈はこちらだという。日本の諺の「石の上にも3年」に相当する。

一方、米国では、転がる石のように常に活動していれば、苔などつかないでいつも新鮮でいられるという意味で理解されているという。日本語での同義語で「流水は腐らず」という諺に近い。

英米の解釈の違いは、苔を良いもの、あるいは悪いものと考えるかの違いだろう。

日本の一斉スタートのやり方にも良い点・悪い点があるだろう。これまでの日本では一斉方式で成功したきたといえる。ただ、これからの変化に一斉方式で太刀打ちできるのかどうか。このシステムを変えるのはものすごく大変そうだから、変わらないかもしれない。

まっ、苔むすまで一斉システムを固持していたら、そのうち世界がそれに習う、なんてことになるかも・・・?










大地震!トイレ逆流に注意

Foodnavi70

朝日新聞(4/16付けの夕刊)に『大地震!トイレ逆流ご注意』という記事があった。
大地震の際、排水管が壊れた水洗トイレを使うと、逆流してあふれる危険性があるが、十分に知られていない。そんな調査結果を、NPO法人「日本トイレ研究所」(トイレ研)がまとめた。トイレ研は「平常時から災害用トイレを備蓄してほしい」と呼びかけている。

3月末〜4月、東京と大阪に住む成人男女計2千人から、インターネットで回答を得た。逆流すると室内が汚れるなど衛生面の問題がある。しかし、44%の人は大地震で起きうる逆流の危険性を認識していなかった。その傾向は若い世代ほど顕著で、60代以上31%に対し、20代は56%の人が知らなかった。

また、建物が危険でない場合、自宅で避難生活をしたいと回答した人は67%。このうち、自宅のトイレが使えない場合に「避難所や公衆トイレを利用する」と答えた人は44%いたが、「備蓄している災害用トイレを使う」とした人は16%にとどまった。耐震性の強いマンションの住民らは、避難所で生活しないと想定されているが、こうした人も公的なトイレを使う意向をもつことがわかった。

トイレ研の加藤篤代表理事は「災害用トイレの備蓄について啓発が必要だ。そのうえで、避難所のトイレについては、自宅避難者も利用することを想定した備えをするべきだ」と話す。

トイレは、災害時に避難生活をする上では非常に重要な問題だ。トイレの衛生上の問題もあるし、トイレに行く回数を減らすために水分の摂取を控えることで健康上の問題につながるケースもある。避難所での生活をできるだけ快適にするためにも、備えが大切だ。

NHKで「スフィア基準」というものが紹介されていた。登山家の野口健氏が、「スフィア基準はもともと地域紛争による難民問題に対応するために作られた基準なので災害時と事情が違うとは思うが、日本の避難所は1人当たりの面積も狭く、プライベートも確保できない。海外の専門家に「ソマリアの難民キャンプより状況が悪い」と言われても仕方がないのでは」などと説明していた。彼は熊本地震のときに被災者のためにテント村をつくっていた。

「スフィア・ハンドブック」(日本語版第3版)はこちらから入手(PDF)できる。「スフィア・ハンドブック」は、人道対応における計画・実行・モニタリング・評価のために作られている。支援活動を行う際に最低限満たさなければならない基準とそれを可能にするポイントが書かれている。

トイレの問題だけでなく、長期化する避難生活のためにも避難所や仮設住宅のあり方を考えていかないといけないのではないだろうか。









50メートル先のひび割れ検出

建設通信新聞(4/6付け)に『50メートル先のひび割れ検出』という記事があった。
大林組は、富士フイルムが開発したAI(人工知能)画像診断技術を使い、特殊高性能カメラで撮影した土木構造物の画像からコンクリート表面のひび割れ幅と長さを自動検出する手法を確立した(プレスリリース)。最大50メートル程度離れた場所の撮影でも0.1ミリのひび割れ検出が可能で、近接目視点検に比べ4分の1の作業時間でほぼ同等の成果を得ることができる。当面はコンクリート構造物の初期点検に活用する。
news20180405_1_01

ひび割れの自動検出システムは数多く開発されているが、検出率に加え、ひび割れ幅の計測精度が低く、目視点検に比べて見劣りするケースが多かった。大規模構造物の場合、撮影枚数も多くなり、高所作業車やドローンの活用が必要になるなどコスト負担も大きかった。

新手法は、検出精度を大幅に引き上げた。ベースとなる富士フイルムの画像解析技術は医療分野で毛細血管レベルの検出が可能な上、撮影カメラは素子サイズが大きく色の階調も多いため、ひび割れ検出との相性が良い。

試験では幅0.05ミリ以上のひび割れを100%検出し、近接目視との適合率は90%以上という結果を得た。撮影した社員はクラウド上にアップロードした後、数分でひび割れを検出するため、作業時間も大幅に短縮し、目視点検の4分の1を実現する。撮影範囲も広く、撮影枚数も従来の5分の1程度に低減できる効果も大きい。

高性能カメラを使うことで、レンズの焦点距離が従来と同程度の場合、対象物までの距離が従来の2倍ほどでも検出可能。最大50メートル程度でひび割れ幅0.1ミリにも対応できるため、画像による検出が難しかった高架橋の床版や河川の橋脚でも地上から撮影した画像で検出できる。トンネル内部のような暗い場所や曲面でも対応するという。

大林組が開発した新手法というのは、富士フィルムの『社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」』を使っている。このソフト「ひびみっけ」は誰でも有償で利用できるようだ。金額は、写真1枚(WEBサイトでは1shotとなっている)あたり400円〜となってる。高いのか安いのか皆目見当がつかないが、記事にあるような精度でひび割れが検出できれば有効な方法なのかもしれない。

でも、大林組が画像診断ソフトを開発した訳ではないようだ。この新手法とは特殊高性能カメラを使うことが独自技術ということになのか。高性能カメラと「ひびみっけ」を組み合わせることで、より効率よくひび割れを見つけることができるということなのかな。




熊本地震から2年

2016年熊本地震の本震から2年が経過した。
日経新聞では4月13日から15日まで『途上の再建』と題して記事を掲載している。まだ仮設住宅などでの避難生活を続ける人は約3万8000人に上る。仮設住宅で暮らしている人たちのなかには、まだ次の住まいが見つかっていない人も多い。

一方で、建物被害が多かった益城町での復興計画を巡っては戸惑いも広がっているという。
行政主導の復興事業が議論を招くケースもある。益城町では震災後、町の大動脈の県道の4車線化や土地区画整理の計画が相次いで打ち出され、移転を求められた住民に戸惑いが広がる。
mashikimati

「ただ出て行けってことですか?」――。
県道沿いで営んでいた商店が全壊した矢野好治さんは3月下旬、県担当者の説明に耳を疑った。4車線化の拡幅で立ち退きが必要とは聞かされていたが、代替地は用意されず、営業補償もないことが分かったからだ。

明治期から先祖代々守り続けてきた店。昨年3月、4車線化に国の認可が下りたため建築制限がかかり、建て直しも断念した。「店を再建できなかったのも4車線化のせいなのに。近くの病院も転出すると聞いた。将来、この地域はどうなってしまうのか」。県によると、道路沿線の243人の地権者のうち、3月末までに契約したのはわずか17人にとどまる。

町中心部の約28ヘクタールの区画整理も、昨年12月に「住民の理解が得られていない」などとして町の審議会がいったん否決する異例の経過をたどった。4車線化や区画整理に慎重な立場の住民団体の前川賢夫さんは「必要な事業なら反対はしたくないが、住民の声は置き去り。誰のための復興なのか、もう一度考えてほしい」と訴えている。

本来、優先度が低いはずの事業が復興名目で行われていないだろうか。行政は住民の声に耳を傾け、必要に応じて計画を見直すことも必要だと思う。加えて、この地域では国交省の調査で活断層があるということが判明している。活断層のことを考えた町の将来像をどう描いていくのかも気になるところだ。












「阿蘇西原新聞」が創刊

朝日新聞(4/13付け)の「ひと」欄に、ウェブで「阿蘇西原新聞」を創刊した川野まみさんが紹介されていた。
熊本地震から2年。「被災地の外の人に『もう復興したよね』と言われるが、被害のひどい店や人は再建途中。注目してほしいのはこれからなのに」。昨年末にウェブ上で「阿蘇西原新聞」を創刊し、熊本県西原村から情報発信を続けている。

移住して2年で新居が被災。公務員の夫は災害対応で戻れず、乳飲み子の次女ら子供3人と小学校に避難した。「新住民の自分に炊事もさせないくらい大事にされ、恩返ししたい」と思った。

新興住宅地内の街路は私道。村の予算では直せないと言われ、募金を呼びかけたのをきっかけに復興支援サイトを立ち上げた。その縁で、東京の地域情報をウェブ配信する「恵比寿新聞」の高橋賢次編集長と出会う。「伝える側になってみては」と勧められ、高橋さんが運営する「地域密着新聞ネットワーク」の支援で創刊した。

熊本市の短大を卒業後に地域情報誌で働いた経験を生かし、再建したり、その途上だったりする人々の思いや、防災グッズを完備したのに家具が倒れて取り出せなかった自らの失敗談などを織り交ぜる。明るさと行動力で急速に人脈を広げ、新聞を読んだ見知らぬ人から「あの店に行ったよ」と声をかけられるようにもなった。

「ハンバーグのパン粉のようなつなぎ役になりたい」。いつか取材した人を集めて語り合いたいと思っている。

熊本地震から2年か。
まだ3万8000人が仮住まいをしている。復興はまだこれからという感じかもしれない。

ただ、復興は建物を建てたら終わりではない。建物が建てば外観上は復興したように見えるかもしれない。それに加え、住民の交流など地域のコミュニティを再生することも大事だ。記事にあるように地域の「つなぎ役」が求められよう。









「測量野帳」もうすぐ60周年

fig1_1

建設通信新聞(4/9付け)に『もうすぐ60周年「測量野帳」』という記事があった。
測量野帳といえば、現場監督の必需品として知られるが、実は数年前から文具業界でも大ブームが起きている。建設業や研究者といった「硬派な職種」が使うアイテムであり、なおかつ300円程度の入手しやすい価格、日常の小さな出来事やスケッチを書き留めるのに適したサイズ、といった条件が、文房具ファンの心に火をつけた。

「7年ほど前から『ヤチョラー』と呼ばれるファンが現れ、自分なりにカスタマイズしたり、使い方を共有したりするうちに、じわじわとブームが広がった」と、コクヨハクの会場に立つ白石良男広告宣伝ユニット長は話す。
(略)
測量野帳は、測量法の制定をきっかけに測量業務が増えた現場の要望を反映し、1959年から販売を開始。それ以降、デザイン変更もなく、50年が経過した今も当時の面影がそのまま残されている。
(略)
昭和の時代から、建設業界で使われてきた測量野帳は、堅牢かつ丈夫な“現場の逸品”である。建設業のドラマチックな歴史とともに、いまでは文房具ファンにも愛されている。

コクヨでは、「100人、100の野帳」というサイトで使い方も紹介している。

測量もいまではデジタル化されたりして、野帳を使う機会も減っているのではないか。しかし、現場作業では、すぐにメモを残すことができる野帳はやっぱり重宝するだろう。いたるところでデジタル化が進んでいるものの、野帳という”アナログ”は残っていくと思う。

デジタルとアナログをうまく使い分けていくことも、これからの時代は大切なスキルだろう。









「霞ヶ関ビル」50周年

霞ヶ関ビルは1968年4月12日に完成したので、ちょうど50周年となる。霞が関ビルは地上36階建て、高さ147メートル。60年代前半に建築基準法などが改正されるまで高さ31メートルを超える建物は禁止されており、当時100メートルを超える建物は日本になかった。

日経新聞では、霞ヶ関ビルは技術革新のゆりかごだったと伝えている。
プロジェクトは技術革新のゆりかごになった。当時の国内のビルは鉄筋コンクリートの柱と壁で地震の揺れに備える「剛構造」。高くなるほど建物は重くなり高層化が難しい。そこで取り入れたのが「柔構造」だ。ヒントになったのが関東大震災に耐えた東京・上野の寛永寺の五重塔。柳がしなるように、「心柱(しんばしら)」と呼ぶ柱と木組みが揺れを吸収・分散していた。

東大教授としてこの分野を研究してきた武藤清氏が鹿島副社長に迎えられ、設計に反映した。例えば柱やはりは鉄骨とし、コンクリートで重く固めず軽量化した。

これだけではない。コンピューターを使った設計、断面がHの形をした「大型H形鋼」の採用、工場生産部材を現場で組み立て工期を短くするプレハブ工法、壁と柱の間に切れ目を入れ地震での変形を抑えるスリット工法……。霞が関ビルが先駆けとなった工法や技術は多い。

朝日新聞では、今も霞ヶ関ビルに学ぶことがあるという。
完成して2年後の70年、高さでは世界貿易センタービル(東京都港区、152メートル)に抜かれた。その後も、西新宿に200メートルを超えるビル群が建てられたり、2014年には300メートルのあべのハルカス(大阪市)が開業したり。現在、霞が関ビルは高さでは日本の上位100位にも入らない。東京駅前では390メートルのビル建設計画も進む。

それでも、「今も霞が関ビルに学ぶ必要がある」と話すのは、高層建築の歴史に詳しい高崎経済大の大澤昭彦准教授(都市計画)。「霞が関ビルは新しい都市の姿を作ろうと建てられた。今後の超高層ビルも経済性を追求するだけでなく、社会にどんな影響を与えたいのか示すべきだ」

一方、世界を見渡してみると、300メートルを超える超高層建物が建設されている。高さ200メートル以上の超高層ビルが2018年には約230棟が完成する見込みだという。このうちの6割を中国が占めている。都市の人口増が背景にあるようだが、バブル現象のようにならなければいいが。

WEFは、”There is a global race to build even taller skyscrapers”として中国やアラブ首長国連邦(UAE)などでの超高層ビルの現状を伝えている。中国やUAEでは600メートルを超える建物が建設されている。サウジアラビアでは1000メートルの超高層ビルも建設中だ。

さて、超高層ビルはどこまで高くなるのだろうか、そしていつまで続くのだろうか・・・
buildingsweb

上の絵のなかでは、日本にある建造物としては、姫路城(8、中央下)と大平和記念塔(42、左下)が描かれている。残念ながら、霞ヶ関ビルは入っていない。









正解のない問題、どう考える?

どう解く

朝日新聞(3/17付け)に『正解のない問題、どう考える?』として絵本の紹介がされていた。
ついていいウソといけないウソ、どう違うの? 大人も悩むこんな13の難問を考える絵本ができました。4月から小学校で道徳が正式に教科になるのに向け、タイトルは「答えのない道徳の問題 どう解く?」。各界の著名人のヒントも参考に、「常識」は脇に置いて親子で話し合ってみませんか。

問いは「うそ」のほか「ゆめ」「かぞく」など。例えば「べんきょう」では、「どうしてお母さんは勉強をおしつけてくるの?」などと正解のない内容となっている。

それぞれの問いには、著名人が「考えるためのヒント」を寄せた。「べんきょう」の問いには、将棋で永世七冠を達成した羽生善治さんが「目に見えるもの、見えないもの(中略)お母さんは世界のたくさんのことを知ってほしいのです」と答えた。

「蝶々(チョウチョウ)を殺して、ネコを殺しちゃいけないのは、どうして」という「いのち」についての問いにコメントした旭山動物園の坂東元(げん)園長は「○か×か二者択一のように物事が判断されることは多い。常識に疑問を持ち、多様な考え方に気づくと、新たなものの見方ができ、生きる力になる」と考えて参加したという。

この絵本を作ったのは仕事仲間の男性3人。コピーライターの山崎博司さんが文を、デザイナーの二沢平治仁さんと木村洋さんが絵を担当した。構想を立てた3年前は、全員に子どもが生まれたころだった。

山崎さんは「子どものいじめや虐待のニュースが目についた。世界情勢も混沌としている。子どものことを考えると、いまの世界が心配になった」と振り返る。そんな世界を生きる子どもたちに伝えたいと思ったのが「多様な視点」だ。

「答えは一つでなく立場で変わりうること、そして相手の立場で考えることの大切さを知ってほしかった」

二沢平さんは「いまは子どもも大量の情報を受け取り、対応するスピードを求められてしまう。だからこそ、自分がどう思い、どんな答えを出せるか『考える力』をつけてほしい」と話す。

3人の構想をもとに、ポプラ社が「ともだち」「いじめ」「うそ」の問いを追加。小学生24人と親たちが出した意見も著名人のヒントとともに載せた。ポプラ社の花立健・幼児編集部長は「この絵本では、子どもと大人が同じ地平に立って考えを深めたり対話したりできる。子どもの方が柔軟で、実は根本的なことを指摘したりするんですよね。大人も一緒に考えてみてほしい」と呼びかける。

「べんきょう」での問いは、以下のとおり。
   「人が嫌がることはしちゃダメ!」ってお母さんは言う。
   どうしてお母さんは、ボクの嫌いな勉強をおしつけてくるんだろう?

「せんそう」の項目では
   ケンカすると、いつも先生に怒られる。
   国と国のケンカは、どうして怒られないんだろう?
という問いがたてられている。

こうした問いに対する答え(考え方)はいろいろだろう。絵本の後ろについている「考えるヒント」がまた親子などで意見を交わすときの参考になる。正解のない問いを考えていくことは、まさに道徳とか哲学だろう。こうした絵本を使って、子どもたちが答えのない問題を考えるということは、すごく大切なことだ。

良く出来た絵本だと思う。
大学生にも読ませたいくらいだ・・・









地震波1000波を使った統合地震シミュレーション

日経BP『想定地震動は1000種類、安全を瞬時に「見える化」』という記事があった。
自治体などの事前復興計画には、広範囲での被害想定ができるシミュレーションが有効だ。東京大学地震研究所の堀宗朗教授らが開発している「統合地震シミュレーター(IES)」は、スーパーコンピューター「京(けい)」で、1000パターンの地震動に対して25万棟以上の構造物がそれぞれどのくらい揺れるかを数時間から1日程度で計算し、可視化する[図1]。
06
[図1]地震動の生成過程、建物の応答など複数の解析を統合する統合地震シミュレーション(IES)。1000ケースの地震に対するシミュレーションで得られた各構造物の揺れやすさを可視化(出所:堀宗朗・東京大学教授)

過去の地震動と建物倒壊率の関係から導かれた被害関数による被害想定に比べ、1000パターンの地震動に対するシミュレーションは信頼度が高い。東日本大震災で被災した都市のシミュレーションを行ったところ、被害関数による推定より実際の被害状況に近い結果が出ている。

これまでシミュレーションを適用した都市に対して、結果に基づき推定した被害総額を提示している事例もある。耐震補強などの対策をとった場合に、被害推定総額がどのくらい下がるかなどの対策の効果を検証する計算方法も示している。IESを使えば自治体は確信を持って対策を推進できるだろう。

IESは、都市のデジタルデータからつくった仮想現実都市、断層から地表までの地震動の生成過程を解析する地震動シミュレーター、建築物の構造種別に応答解析するシミュレーター、避難過程のシミュレーターなどのシミュレーション結果を統合して震災の過程を予測する。

IESによるシミュレーションは、都市全体だけでなく、土木構造物や建築物を個別に扱うこともできる。東京都なら1mメッシュ単位の精度だが、超高層ビルや原子力発電所など個別の構造物の場合は数cm単位の精度で結果が得られる。

堀教授は「IESの今後の課題は、物理的な地盤や建物の揺れだけでなく、経済や交通などの社会科学的な影響まで含めた地震災害の全過程をシミュレーションすることだ」と語る。

地震が発生した直後、建築関係者が最初に心配するのは建築物やインフラの被害状況だ。防災科学技術研究所の「災害情報収集システムおよびリアルタイム被害推定システム」は、震度3以上の地震が発生すると自動的に計算を始め、10分ほどで建物の被害状況を推定する。

まずK-NET・KiK-netが観測した地震動、気象庁や自治体が提供する地震動を基に地震動分布を作成する。次に、過去の地震動と建物倒壊率から導かれた被害関数から建物全壊棟数分布を計算する。

全国の建物の構造分類と築年数などの情報を持つモデルを作成しており、いつ、どこで地震が起こっても自動で推定図が作成できる[図2]。

07
[図2]2016年4月16日未明に発生した熊本地震本震の地震動に対する推定図。250mメッシュごとの建物被害棟数分布を地震発生から11分17秒後にシステムが自動で作成した(出所:防災科学技術研究所)

防災科学技術研究所レジリエント防災・減災研究推進センター藤原広行センター長によると、2016年4月の熊本地震は、試験的にリアルタイム被害推定システムを動かし始めた直後に発生した。システムは地震発生から10分で推定図を作成した。翌日、研究員が印刷した推定図を関係機関に配った。地震発生から1カ月経過しても、この推定図を掲示して使っていたという。推定図は実際より大きく被害を示したが、初動の対応に大いに役立った。

藤原センター長は、「今後の課題は建物情報の更新方法を検討することと、作成された推定図を関係者にリアルタイムで共有する仕組みづくりだ。各府省庁だけでなく、民間企業や市町村がクラウドにアクセスするだけで推定図を見られる環境を目指している」と語る。

被災地の状況をできるだけ早く把握するために、AIが航空写真から個々の建物被害を分析する技術の開発も進んでいる。最終的に80%ほどの精度が期待できるという。発災直後はリアルタイム被害推定を活用し、その1週間後には航空写真解析による被害状況マップが発表されるようになるかもしれない。
(以下省略)

統合地震シミュレーターは、すごいですね。1000種類の地震波を使って都市の建物の被害状況などを計算できるなんて。ところで、1000パターンの地震動ってどうやって生成しているのでしょうか。逆にいうとそれだけ地震波にはバラツキがあるということなのかも。1000波の地震波がどういう特性をもっているのかとても興味がある。また、都市の建物の構造特性(剛性や耐力)をどのように推定されているのだろうか。とても興味がある。

こうした被害が想定されるのであれば、被害が大きな建物を事前に特定して、耐震補強などを強く勧めるなんてことはできないのか。精度良くシミュレーションできるのあれば、事前防災に役立てる方が有益ではないだろうか。

震災が起きたときに、どの程度の被害が発生しているのかを早く知ることは被害を最小限にとどめるためには有効だ。発災後10分で被害マップができるのもスゴイ。被害の推定図はなかなかの精度をもっているとのことだが、熊本地震の被害をどの程度推定できていたのだろうか。特に、益城町での戸建て住宅の被害推定の精度を知りたいところだ。

被害推定は、K-NETなどの地震データを活用しているとのことだが、熊本地震のとき阿蘇にあった免震病院の応答は、K-NET一の宮の記録を使っては説明できない。たかだか免震病院とK-NET観測点は3.5kmしか離れていないが、地震動入力はだいぶ違ったようだ。今後は。観測記録の精度、密度もさらに高めていくことも必要ではないだろうか。

加えて、建物内での地震観測ももっと拡大する必要がある。そうしないと、いくらシミュレーションができたとしても、それを検証するデータがなければ、シミュレーションで終わってしまう。地表面だけでなく建物内での地震観測を拡大していく努力が必要だろう。









はじめての研究レポート作成術

P1080805

沼崎一郎著『はじめての研究レポート作成術』(岩波ジュニア新書)を読んだ。

岩波ジュニア新書がどの程度の学年を想定しているのかは分からないものの、これは大学生が読んでもいいような内容をできるだけ分かりやすく解説している。レポート作成のテクニカルな部分は類書も多いが、本書ではグーグルドライブ(Google Drive)やグーグルスカラー(Google Scholar)を使って研究資料を蓄積したり、検索する方法を紹介している。

本書の最初には、「研究」とは何か?、勉強と研究の違いは?、事実と意見の区別などが説明されている。さらに研究の公正さ(Research Integrity)についても次のように説明されている。
勇気を出して困難な問題にチャレンジし、
研究対象者や関係者を人間として尊重しつつ研究を進め、
強固な意志をもって集められるだけの資料を集め、
わかったことをすべて正直に示し、
謙虚に成果を発表し、
できたことできなかったことをきちんと反省し、再び勇気を出して次ぎの一歩を踏み出す

さらに、クリティカル・シンキング(Critical Thinking)、すなわち批判的に考えるということについては、
 〔切鬚帽佑┐
 ⇒性的に考える
 J亳にとらわれない
 ぞ攀鬚亡陲鼎い胴佑┐
ことが、批判的に考えるためのルールと説明されている。

こうしたことが、高校教育でなされていれば、大学に入ってからの学びやゼミの活動にも大いに役立つのは間違いない、な。










地震国における震災軽減の根本策

shindo

『科学』(4月号)に石橋克彦氏が『「発生予測型」南海トラフ地震対策の問題点』と題して寄稿している。その最後に、「地震国における震災軽減の根本策」として次のように書かれている。
日本列島における地震防災の基本は、どこでも大地震が突然発生することを前提として、家屋や構造物を丈夫にし、延焼火災が起きないようにし、軟弱地盤や山地・丘陵などでの被害を減らすために無理な土地利用を抑制し、都市の過密化と国土の荒廃を防ぎ、津波から避難しやすいようにしておくなど、既存の知識・技術を最大限に活用して社会を地震に強くしておく(地震と共存できる体質にする)ことだろう。地震や強震動の予測も活用したほうがよいが、第一義ではなくて、あくまでも緊急的、補助的なものと考えたほうがよい。

さらに、南海トラフ巨大地震と複数の内陸大地震(ことによると首都直下地震も)が連鎖する「超広域大震災の時代」に対処する最大の目標は、人命の損失を最小限に抑えることは当然として、被災者がそれぞれの生活の場で1日も早く平穏な暮らしを取り戻せるようにすることだろう。しかし、「顔の見えない他者」に地球規模で無際限に依存することを良しとする現代日本の社会は、震災から各地域が自立的に立ち直ることを非常に困難にしている。今からそのような社会経済構造を根本的に変革しておくことこそが最善の地震対策なのではないか。そしてそれこそが平常時にも、人や地域の格差を極力減らして大多数の国民が穏やかに暮らせることにつながるのではないだろうか。

南海トラフ巨大地震が今世紀中頃に起こるとすると、その頃には日本の人口減少・高齢化はさらに加速し、消滅自治体が増えて国土がますます荒廃するとともに外国人居住者が増大し、多くの分野で人材が不足するなど、いま考えている戦術的な地震対策が成り立たなくなるおそれも強い。長期的視点に立って震災軽減策を練り直す必要があるだろうし、地震発生予測にもとづく防災対応を検討する際にも問題になってくるかもしれない。

最後に、地震科学全体が震災軽減のための防災行政に直接的に組み込まれすぎているのではないか、知的探究としての地震研究をもっと主張してもよいのではないか、ということを述べておきたい。

地震科学には災害科学としての側面があるし、強震動研究などは実学(工学)的性格も強いが、多くの地震研究は「人間が生かされている大自然の一部である地震と地球をよりよく知とうとする知的営み」という自然科学である。ところが阪神・淡路大震災以降、そのような基礎研究にまで地震防災行政の過度の依存とコントロールが及び、地震科学の側も行政への直接的奉仕を強めてきたように思える。地震科学が、無理な国土利用や都市集中のための「用心棒」の一人にさせられている感すらある。

非常に深刻な問題だが、主体的研究姿勢を少しでも取り戻し、その研究成果を人びとに伝えることによって過酷な大自然と共存していける社会の醸成(基礎体力の涵養)に貢献することを、学界全体でもっと考えるべきではないだろうか。

石橋氏は、南海トラフ地震が偏重されすぎているのではないかという。日本列島はどこでも大地震が起こるのであり、南海トラフ地震災害より先に別の地域で大震災が生じる可能性が低くないという。とくに、日本列島の大局的な地震発生の仕組みからみて、北海道から九州までの内陸や日本海沿岸で南海トラフ巨大地震に先行する大地震が起こりうるとして、その震災対策を求めている。

どこで、大地震が起きるかは誰にもわからない。しかし、いつかはどこかで地震は起き、大きな被害をもたらす可能性もある。石橋氏も書いているとおり、長期的視点で社会経済構造を見直していくことも必要だろう。









正しいコピペのすすめ

P1080804

宮武久佳著『正しいコピペのすすめ』(岩波ジュニア新書)を読んだ。

コピペとは「コピー・アンド・ペースト」の略で、インターネットとパソコンなどのデジタルデバイスの普及で、誰でも簡単にコピペできる時代になった。大学でもレポート課題を出すと、学生はインターネットで検索して、課題の答えや参考資料を探すのは当たり前となった。そうやって検索することは問題ではないものの、検索で得られた文章や図をそのまま自分のレポートに貼り付ける(ペースト)することには問題がある。

著作権を侵害しているかもしれないし、ペーストしたものをあたかも自分のオリジナルだと主張することは盗作と言われても仕方がない。

この書籍のサブタイトルには「模倣、創造、著作権と私たち」とある。模倣(コピー)することは創造にもつながる。我々は何か新しいモノや技術などを創造するときには、既存のモノや技術をいろいろと点検して、新しいモノや技術の付加価値を考えていくのだから。

本書の最後には、「コピペ時代を生きるための12カ条」が示されている。
1 コンテンツ(作品)を作る人は偉いと知ろう。
2 絵や音楽、小説などコンテンツを作るのは苦しい。コピーするのは簡単だ。しかし、フリーライド(ただ乗り)はいけない。
3 コンテンツを使うときは、作った人の許可を取る。
4 他人の顔や姿には「肖像権」がある。人を写真撮影する時は、要注意。
5 ソーシャルメディアに投稿する前にひと呼吸しよう。不正なコピペをしていないだろうか。
6 「似ている、似ていない」の議論は本当に重要かどうか、考えよう。
7 ネット時代、「どうせコピペはばれない」はない。必ずばれる。
8 アイデアは著作権の対象ではない。他人のアイデアにもっと耳を傾けよう。
9 パブリックドメインになった古典を活用しよう。著作権の心配はゼロ。しかもたいてい無料だ。
10 「コピー=悪」は間違い。人間はコピーする動物だ。しかし、著作権ルールを守ろう。
11 コンテンツは大事だが、実体験も大事だ。体験はコピーできない。
12 著作権はみんなのもの。ルール形成、ルール修正、意見を出し合おう。

新しいコンテンツを創造するためにも、著作権を守りつつ、コピペをうまく活用していくことも大事だろう。









日本の親「子の将来不安」

日経新聞(3/20付け)に『日本の親「子の将来不安」 29カ国で最も悲観的』という記事があった。
英国の教育団体「バーキー財団」は、世界29カ国で実施した子供の教育に関する親の意識調査結果を発表した。子供の将来を楽観視していると回答した日本の親は28%で、調査対象国の平均60%を大きく下回り、最低となった。

楽観視している親の割合が最も高かったのはペルーで83%。発展途上国の順位が高い傾向にあるが、フィンランドが73%、米国が68%で平均を上回っている。フランス、韓国、ドイツ、イタリアは30%台だった。
VARKEY

子供の勉強を手伝う時間について親に尋ねたところ、ゼロと答えた割合は平均23%に対し、日本は45%と突出。学習塾などの存在も一因とみられるが、手伝わない理由を複数回答可で質問すると、45%が「時間がない」と答え、40%が「教えるのに十分な知識がない」と回答した。

学校教育の質について「良い」と評価した親の割合は、日本は61%で下から4番目。「悪い」との回答は7%で、ウガンダ(14%)、ポーランドとロシアとドイツ(8%)に次いで高かった。
VARKEY2

学校を選ぶ際に重視する点で「教師の質」と回答した人の割合は、日本が19%で最低。日本では「環境」や「交通の便」が重視される傾向が見られた。

財団は2017年12月から今年1月、欧米、アジア、中南米、アフリカの2万7千人以上を対象に調査を実施した。

学校教育の質が「良い」と評価した割合が日本より低いのはドイツ、ロシア、韓国となっている。お国柄という面もありそうだけど、学校教育に親が何を求めているのかが違うのかもしれない。

楽観視している親の割合が少ないのは、日本の将来の先行きに不安があるからだろうか。経済はなんとなく順調なようだけど、将来への不安から貯蓄に回している家庭も多いのではないだろうか。将来への不安を減らしていくことも必要だが、少子化や高齢化が進む日本では難しい?









Archives
Recent Comments
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

講義中・・・
著書など
研究室のマスコット
「アイソレータ・マン」。頭部は積層ゴムで、胸にはダンパーのマークでエネルギー充填
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
  • ライブドアブログ