働き方

信州のパン屋さん

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日経新聞(2/17付けの夕刊)に『信州のパン屋さん』と題してエッセイストの玉村豊男氏が書いている。
信州の田舎にも、パン屋さんが増えている。たいがいは若い夫婦で、いくら探してもわからないような辺鄙(へんぴ)な場所に、古民家を改装するなどした小さな店を構え、個性的な天然酵母の手づくりパンを売る。

人通りの多い町中で営業しても、食パンか菓子パンくらいしか買わない一般客は立ち寄らないから、それでいいのだろう。実際、パン好きのグループがわざわざツアーを組んで、グーグルで探しながら隠れ家のようなパン屋さんを訪ね歩いている。

そういうパン屋さんのパンはおいしいので、私もよく買いに行くのだが、行ってみると休んでいることが多い。それも不定期に、勝手に休む。後で聞いてみると、天気がいいので夫婦で遊びに行ったとか、子供の行事があったからとか、私的な都合でよく休むのだ。

パン職人は、朝から夜まで休みがないので、昔は「カマドの前で寝るのがあたりまえ」といわれた職業だった。いまでも、一人で店をやっている都会のパン屋さんの中には、早朝から深夜まで働きづめで、睡眠時間は3時間もない、という人が実際にいる。

その点、信州の小さなパン屋さんは、とりあえず暮らせるだけのパンが売れれば、それ以上は稼ごうとしないで、夫婦や子供との生活を優先するようだ。買いに行って店が閉まっているとガッカリするが、そういう仕事のしかたが自由にできる若い世代が、ある意味では羨ましい。

50歳になる前に会社を辞め、ブドウを育ててワインをつくれるなら大借金も厭(いと)わない、というワイングロワーに、暮らせるだけのおカネがあればよい、と考えるパン職人。田舎は都会よりずっと進んでいる。

僕が住んでいる地域にも、美味しいと評判のパン屋さんはある。でも、行っても売り切れてしまっていたりすることもあるし、営業時間が短いところもある。普通の企業だったら、売れるのならたくさんつくって売りまくるということになるのかもしれないけれど、個人や家族で営業していると自ずと限界がでてくる。

でも、売れる商品をどんどんつくれば、それがずっと売れ続けるとは限らない。なかなか買えないけど、美味しいということで価値を生んでいると思う。そうした価値を見いだし、生み出して行ければ、豊かな生活をおくることができるのだろう。

いま、働き方改革が叫ばれているが、働き方なんて人それぞれではないだろうか。そうした個々の働き方を尊重できる社会になればと思う。

働き方改革、楽しくないのはなぜだろう。

サイボウズ株式会社が、創業20周年を記念して、人気アニメ『紙兎ロペ』原作者・内山勇士氏による、働き方改革をテーマにしたアニメ『アリキリ』を公開している。
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日本社会における働き方改革の必要性が昨年頃から強く叫ばれる中で、生活スタイルは人それぞれのはずなのに、会社から求められる成果は変わらず、残業時間だけが規制されるなど、画一的な制度改革に対する現場の不満の声は高まる一方に見受けられます。 サイボウズは2005年に離職率が28%に達したことを機に、ひとりひとりが幸せに働くことができる環境作りに挑戦してまいりました。『100人いれば100通りの働き方』をポリシーとして働き方改革に取り組んできた企業として、世の中で働き方改革が一般的になったいま、どうすれば働くことが喜ばしく、楽しいものになるのか、皆さまと一緒に考えていきたいという想いから、記念すべき20周年の節目に働き方改革をテーマとしたアニメを制作いたしました。

創業20周年記念アニメ特設サイトでは、3つのアニメが公開されている。
  テーマ:「働き方改革、楽しくないのはなぜだろう。」
  第1話:残業編
  第2話:女性活躍編
  第3話:イクメン編

特に、いいな!と思ったのは、「女性活躍編」。女王アリに社外取締役になって欲しいという電話が他の企業からあったという話で、私たち(アリの世界)はとうの昔から女性活躍だったわよ、男性諸君もしっかり活躍してね、というところがよかった。


このアニメで働き方改革は誰のためにやっているのか、何を目指しているのか、というところを考えてもらうきっかけになるといいけど・・・

建設職人基本法

朝日新聞(8/18付け)の社説に『建設現場 新法てこに処遇改善を』という記事があった。
大手建設会社でつくる日本建設業連合会は、9月にも残業時間に上限規制を設ける。

建設業界は、政府が3月にまとめた「働き方改革実行計画」に伴う残業時間の上限導入を、東京五輪向けの工事などを理由に5年間、猶予された。しかし、新国立競技場の工事に従事した建設会社員が今春に自殺し、両親が違法な長時間労働だったとして労災申請したのを受け、自主規制に乗り出す。

大手が一歩を踏み出す格好だが、中小を含む建設業界を見渡せば、解決すべき課題が山積みになっている。まず、低賃金と長時間労働の常態化だ。公共工事の人件費の基準額を引き上げて賃金の底上げを図っているが、まだ製造業の工場労働者に及ばない。週休2日の確保も不十分だ。

社会保険の加入率も低い。国交省が2014年に民間工事を調べたところ、2次、3次下請けの作業員の厚生年金保険加入率は5割前後だった。一方で、建設現場では事故死が多く、年間約400人が亡くなっている。業界団体によれば、建設労働者10万人あたりの死亡率は英国の5倍、ドイツの3倍というデータもある。

こうした現状の改善をめざす法律が今春、施行された。

通称「建設職人基本法」(建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律(平成 28 年法律第 111 号)平成29年3月16日施行)で、全会一致による議員立法だ。
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この新法には二つの特徴がある。
一つは、安全と健康の確保を民間工事にも厳しく求めた点だ。
請負契約の中で災害補償の保険料を含む経費を明示することや、適切な工期を確保することなどを促している。対応を迫られる元請け企業は、経費の上積みが必要になりそうだ。それが元請けの責任だと自覚すべきだろう。

二つめは、これまでの労働法制では保護されなかった「一人親方」も対象にしたことだ。
大工や左官などで、全国に約50万人いるといわれる。「けがと弁当は自分持ち」という気風が残るうえ、下請けの末端で働く人が多く、待遇改善を求めにくい実情がある。新法を機に、保険加入率の向上や安全教育の徹底が期待されている。

ただ、法律には罰則規定がない。政府は法に基づく基本計画を6月に閣議決定し、請負代金や工期を適正に設定することを掲げたが、業者にどこまで徹底できるかは未知数だ。計画の実現を図るには、工事現場により近い自治体との連携が欠かせない。都道府県別に毎年、保険加入率や事故率を比較するなど、できる工夫を重ねてほしい。

この法律に基づいて、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本計画が平成29年6月9日に閣議決定された。
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この策定された基本計画によって建設作業者や親方などの働く環境が改善されることを期待したい。職人の働き方が改善されることは、建設会社の働き方の改善につながることも期待される。ただそのためには、工期が延びたり、工事費が高くなることに対する発注者の理解が必要だが・・・

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「アイソレータ・マン」。頭部は積層ゴムで、胸にはダンパーのマークでエネルギー充填
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
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