地震予知

地震「予知前提」見直しへ

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この図は「鯰絵」と言われるもので、安政地震のあとに多く描かれている。鯰絵には鹿島大明神と要石、そして大鯰がモチーフとして描かれることが多い。この図は、建物を壊したり、仕事を奪われたので地震を起こした鯰を懲らしめているという構図。ただ、左の上に描かれている一団は、鳶や大工さんとなっていて、彼らは鯰を懲らしめにきているのではない・・・(実は鯰を助けにきている)

地震の発生については科学的な解明が少しずつ進んでいるところだと思うが、朝日新聞(8/25付け)に『地震「予知前提」を転換』という記事があった。
東海地震の予知を前提とした「大規模地震対策特別措置法」(大震法)の仕組みが約40年ぶりに見直される。予知は困難だとして、新たに現実的な防災、減災対策に取り組むよう切り替える。国の中央防災会議の作業部会が25日、最終報告を取りまとめる方針。

大震法は1978年、国が唯一予知できるとした東海地震に対応するため作られた。観測網で前兆を捉えると、首相が「警戒宣言」を出す。被害を抑えるため、現在は8都県157市町村で鉄道やバスの運休、学校の休校などの応急対策が取られる。

だが、研究が進むほど、地震の予知は難しいことがはっきりしてきた。2013年には別の部会が「確度の高い予測は難しい」との見解をまとめている。こうした流れを受け、中央防災会議の作業部会は昨年9月から、東海地震を含む「南海トラフ巨大地震」の防災対応について議論を開始。東海地震の予知を前提とした大震法についても、現在の科学的な知見を踏まえ、再検討を始めた。

作業部会はこれまで6回の会合で、「予知は困難」との方向で議論を進めている。25日にもまとまる見通しの最終報告には、「大震法は予知を前提にしているが、前提が変わったため、現行の防災対応は見直す必要がある」などの内容を盛り込む方針だ。また、首相の警戒宣言の発令についても、事実上棚上げにする見通しだ。

一方、現在まで培った地震の観測技術や評価手法は今後の防災対策に活用できるとして、予知を前提とせず、対象を南海トラフ全域まで広げる。その上で常時観測の強化や事前の避難計画作成など、各地域や住民の特性を踏まえた防災対策を予め整備するよう国や自治体に求める。

大震法は、静岡県沖の駿河湾や遠州灘を震源域とし、マグニチュード8クラスと想定される「東海地震」の防災対策について手順を定めた法律。現在は静岡、愛知、三重など8都県157市町村が「地震防災対策強化地域」に指定されている。

2011年に東日本大震災がおきたり、南海トラフで巨大地震が起きることが予想されていたりする現状を考えれば、大震法を見直すのは遅すぎたくらいかもしれない。今年の建築学会の全国大会でも熊本地震の発生メカニズムや観測地震動に関する研究が発表されていた。そういう意味では、地震の発生メカニズムなどに関する知見はずいぶんと蓄積してきていると思う。

ただ、研究して知見が蓄積されてきても、地震がどういうメカニズムで起きるかを予想することは難しい。研究者によっても見解が分かれていたりするし、研究手法にも限界があるだろう。まさに研究すればするほど、わからないことがでてくるという状況ではないだろうか。

国が警戒宣言を出すにしても、「空振り」を前提(?)としておかないと出せないのではないか。いずれにしても地震対策は建物の耐震化などが基本であることに変わりはない。防災訓練も警戒宣言を前提にしたものから「突発型」で訓練をすることも必要ではないだろうか。

政府は地震予知できぬと認めて

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朝日新聞(5/18付けの夕刊紙)に『政府は地震予知できぬと認めて』という記事があった。
日本政府は地震予知ができないことを認めるべきだ――。
こう題した論考が英科学誌ネイチャーSeismology: Japan must admit it can't predict quakes)に18日、掲載された。東日本大震災から6年を経ても、科学的根拠が乏しい地震予知や長期予測に頼っているとして、防災政策を改めるよう促している。

筆者は米国生まれで、今年3月で東京大教授を退職した地震学者のロバート・ゲラーさん。1984年に来日して以来、日本の地震研究が地震の予知に偏っていることに疑問を抱いてきた。

論考では、東海地震に備えた大規模地震対策特別措置法(大震法、1978年施行)が、地震の前兆現象の観測を前提にしていることや、南海トラフ地震などの大地震が周期的に起こるという考えに基づき、発生する確率を算出していることについて、いずれも「科学的根拠はない」と指摘している。

一方で、東日本大震災を起こした地震は「想定外」だとして、現在も予知や予測に基づいた政策を続けていることは不適切だと批判した。

ゲラーさんは「政府は国民に正確な直前予知ができないことを伝え、堅実な科学研究に基づいた地震対策をすべきだ。ネイチャー誌も、東日本大震災後に改善の兆しが見られない日本の地震学の状況を憂慮して論評の場を提供してくれたのではないか」と話している。

地震が起きるメカニズムや、起きたときに地面がどう揺れるのか、熊本地震のような活断層地震で長周期地震動が発生するのはなぜか、など耐震設計を行う上で必要なことについて、もっと研究を推進してもらえると嬉しい。

もっと地震学(理学)と工学の連携が必要ではないだろうか。
建物側の研究者や設計者は、地震学の成果として予測された強震動をつかって建物の応答予測をしたり、設計しないといけない状態になってきている。「想定外」とならないために、予測される地震動はだんだんと大きくなっているように思う。

大きめに予測しておけば、想定外とは言われないかもしれないが、もし予測が外れた場合は誰が責任をとるのだろうか? 過大な地震動で設計したおかげで、安全にはなったかもしれないが、建設費が増えたとすれば・・・
 
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講義中・・・
著書など
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
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