地震工学

日本における地震工学の発展

耐震工学研究会は、1999年から毎年数回の研究会を東京で開催している任意団体です。耐震設計に関する情報交換や勉強会を通じて、耐震設計の課題などについて議論しています。堅苦しい団体ではありませんで、耐震問題に関する”サロン”を提供したいと考えて発足しました(まだ十分ではないかもしれませんが)

第95回の研究会では、東北大学名誉教授の柴田明徳先生をお招きし、『日本における地震工学の発展』と題してご講演をいただきました。

地震は人間にとって不思議な自然の現象であり、また多くの災厄を人間の社会に与えてきた。科学の時代になり、地震現象の理解(地震学)と共に、地震災害の解明とその防止(地震工学)のための探究が始まった。建物を中心に、これまでの様々な地震災害と、多くの優れた先人たちによる地震工学の発展の過程を話していただきました。地震工学は過去の災害の経験に学び、それを克服しながら進歩してきています。しかし、社会の巨大化、複雑化により、これまでになかった困難な課題も新たに発生しています。私達ひとりひとりが過去を振り返り、その記憶を心にとどめ、将来に備えることが必要である、と解説いただきました。

柴田先生から、講演の概要とパワーポイントのスライド(いずれもPDF)をご提供いただいています。
ご興味がある方は、EeNiXのホームページからダウンロードができます。

ところで、柴田先生の名著『最新 耐震構造解析』で勉強された方も多いのではないでしょうか。いまは第3版となっています。昔この本で勉強された方が、本を研究会に持参されサインをお願いする場面もありました。
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ご講演の最後のスライドには、ここ100年くらいの建築物の大きさが示されていたのが印象的でした。たかだか100年の間に建築物はすごく巨大化してきました。地震被害からの経験を踏まえて、新しい構造技術や設計手法などが開発されてきています。過去の先人がどのようなことを考えていたのかを知ることは大切なことではないでしょうか。
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Next Generation of Low Damage and Resilient Structures

ニュージーランド地震工学会議では、昨年の熊本地震の建物被害について報告することにしていたが、急遽日本の免震構造の状況についても報告することになった。
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この会議のテーマは、"Next Generation of Low Damage and Resilient Structures"。いかに地震被害・損傷を小さくすることができるか、そしてレジリエントな(回復力が高い)建物をつくっていくか、ということがパネルディスカッションで議論されていた。被害を小さくするには、免震構造や制振構造が有効であることは認識されている。しかし、コストがアップしたり、オーナーの理解を得る必要があるとも。

こうした海外の会議に出ると、当然かもしれないが、耐震設計の考え方や進め方が違うと感じる。アメリカやニュージーランドなどでは、基準・マニュアルなどが整備され、性能とコストなどの関係をできるだけ明確にしようと努力していると思う。日本でもそうしたことは行われているのかもしれないが、誰でもが使える形にして、建築家やオーナーへの客観的な説明ができるようにしようとしているようだ。

また、ニュージーランドでも地震被害の経験が多いものの、それらの経験から何を学び、教訓を活かせるかも問題となっているようだ。遠い(近い?)将来には、地震で建物が被害を受けるようなことはなくなるかもしれない。夢物語に聞こえるかもしれないが、地震が起きる直前に建物が浮き上がって、揺れを完全に絶縁する、なんてことができるようになるかもしれない。

今から100年前には、いまのようにコンピュータが発達し、だれもがスマホを持つようなことは夢物語であった。将来、耐震設計で悩んでいた時代があったことを懐かしく思い出すときが来るかも・・・

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講義中・・・
著書など
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
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