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国立大付属「抽選選考を」

朝日新聞(8/30付け)に『国立大付属「抽選選考を」』という記事があった。
国立大学の付属校が「エリート化」し、本来の役割を十分に果たせていないとして、文部科学省の有識者会議は29日、学力テストではなく、抽選で選ぶことなどを求める報告書をまとめた。学習能力や家庭環境などが違う多様な子どもを受け入れ、付属校での研究成果を教育政策にいかしやすくすることが狙いだ。2021年度末までに結論を出すよう、各大学に求めた。

国立大の付属校は本来、実験的・先導的な学校教育を行う
 ▽教育実習の実施
 ▽大学・学部の教員養成に関する研究への協力
といった役割を担う目的で設立された。だが、「一部がエリート校化し、教育課題への取り組みが不十分だ」などの指摘が出ていた。また、学校現場で教員の新規採用が減る一方、発達障害や外国人の子の支援へのニーズなどが高まり、有識者会議は国立の教員養成大・学部の改革と一体で付属校のあり方を検討してきた。

報告書では入学の際に学力テストを課さず、研究・実験校であることについて保護者の同意を得て、抽選で選考することや、学力テストが選考に占める割合を下げることを提案。同じ国立大の付属校間で、無試験で進学できる仕組みにも見直しの検討を求めた。「多くの学校に共通する課題と対応策のあぶり出しが重要だ」とし、教員の多忙化解消などで付属校が先導役になることも求めた。

文科省によると、国立大付属学校は現在、幼稚園49、小学校70、中学校71、高校15など計256校あり、約9万人が通っている。

■有識者会議が国立大付属校に求める主な改革
  ・学力テストを課さず、抽選など多様な選考を実施
  ・同じ国立大付属校間の無試験の「内部進学」などを見直す
  ・教員の多忙化解消などで公立校のモデルをめざす
  ・30〜40年の長期間の教職生活を視野に、教員の研修機能を強化
  ・2021年度末までに結論をまとめ、できるものから実施

「エリート(elite)」は、選り抜きの人々、社会や組織の指導的地位にある階層・人々、とされている。お金や知識をもっていて、社会に影響を与えることができる人ということになるのかな。では、いまの日本の大学教育ではエリートを養成しているのか?

一部の大学ではそういう意識もあるかもしれないけれど、多くの大学は横並びではないだろうか。大学の役割を明確化していくことも求められるのではないだろうか。ところで、英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が今年の大学ランキングを発表した。

上位200校に入った日本の大学は東京大学と京都大学のみ。その2校の順位の推移は下図(出典はReseMom.biz)のとおりで、順位は低下傾向にある。これは中国などの他の大学の順位が上がってきているからだろう。
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トップ10の大学のほとんどが英米の大学で占められている。ランキングに入ることが大学の目的ではないにしても、大学入試の選抜方法がこれまでの学力試験だけで本当にいいのかどうかについて見直す必要があるのかもしれない。

大学の入口ではなく、大学に入ってからの成長をみるべきで、入口より出口での管理をしっかりすることが必要ではないだろうか。加えて、いまの就職・採用活動も大幅な見直しが求められる。大学の4年次が就職活動に費やされることは学業を妨げるし、そもそもみんな同じ服装をして就活にのぞむなんて海外から見れば異様だろう。就職活動は大学を卒業してからやるようにし、そのときには大学での成績も重視してもらいたいものだ。

大学はどうあるべきか

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『大学ランキング2018』を購入した。
本書の大部分は、その名のとおり就職や入試、教育や研究環境などに関するランキングが紹介されている。受験生などには進路を考える参考になるかもしれない。ただ、ランキングで進路を決める受験生はいないと思うが。

本書には、12人の大学論が掲載されている。興味を引いたのは、作家で同志社大学客員教授の佐藤 優氏のものだ。
大学入試で受験生の学力は正確に判断できる。短い期間で多くの知識を覚えさせ説明させる促成栽培型は、エリートには必要条件であり、軽視してはいけない。もちろん、十分条件ではない。もっと学ばなければならない教養はたくさんある。ただ、入試によってこうした資質があるか見きわめられる点では、大きな意味がある。

諸外国にくらべて、日本の大学入試の特徴は、やり直しが利くことだ。高校2年時は成績不振であっても、3年、あるいは浪人のときに猛勉強すれば挽回できる。いずれにせよ受験に奇跡はない。その時点での学力が正確に反映される。将来のことを考えると、受験勉強には大きな意味があり、偏差値競争を否定してはいけない。
(略)
大学は学生の学力の欠損状況を知り、カバーしなければならない。学力の欠損部分を補う教育を通常のカリキュラムで行うのはむずかしい。検定試験を活用することをすすめたい。数学は数検(実用数学技能検定)が内容は優れており、トリッキーな問題は少ない。3級(中3レベル)から受け、準1級(高校修了レベル)まで到達できるようにする。
(略)
英語は英検の2級までとらせる。
やればできる。その意味で、勉強は量が重要である。学校の授業以外に平日は3時間、土日は5時間、1週間で25時間、1ヵ月約100時間。夏休みと春休みの300時間を加えて、年間1500時間は使える。これだけの時間を正しい順序で勉強すれば、学力は確実につく。

佐藤氏は、学力の欠損を補うためにチューター(教員?)が教えたり、ティーチング・アシスタント(学生)が徹底的に面倒をみる、ことで劇的に変化したと述べている。そこまで面倒をみることができれば、確かにそうだろう。問題は、そうした体制を大学としてつくれるかどうか・・・

「やればできる」
まずは大学と教員の意識改革、そして危機意識が共有されないといけないだろう。

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講義中・・・
著書など
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
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