日経産業新聞(8/31付け)に『地震時、柱への力半減』という記事があった。
広島大学の田川浩教授らは、巨大地震の際に高層ビルの柱に及ぶ力を従来の半分以下に低減できる耐震技術を開発した。柱とはりの接合部につなぐ鋼製の筋交いをあらかじめ緩めた状態で設置し、地震による揺れの影響を受け流す。柱の補強などをしなくてもよく、コスト低減につながるという。企業と組み、3年後の実用化を目指す。

高層ビルでは鋼製の2本の棒をX字型に組み込んだ「ブレース」を地震対策用に使う例が多い。新技術はブレースの先端部をきっちり固定せず、あえて緩めた状態で固定しておく結果、大きな地震が起きたときも、柱に与える力が減らせる。

施工の際は建物の1階から最上階まで各層にブレースを設置する。研究チームは高さ81メートル、横幅40メートルで20階建ての高層ビルを想定。建物を設計する際の想定を大きく超える地震が起きた場合の影響を2次元の模擬実験(シミュレーション)で検証した。

ブレースを単に設置する場合は柱が壊れる力がかかる。新技術ではこれに比べて柱に与える力を従来の半分以下に減らせる性能を確かめた。ブレースの損傷も軽減でき、建物の変形も抑えられることも検証した。損傷で建物が使えなくなるのを防げるとみている。

従来はブレースを設置するとともに、柱も崩壊しないように補強する必要があった。新技術ではこうした対策が不要になり、コスト低減につながるという。今後はより詳細なシミュレーションを進め、ダンパーなど他の対策と組み合わせる手法なども検討する考えだ。

提案されている緩い筋交い(ブレース)のイメージは下記のとおりで、ブレースは一定の層間変形をした後に効き始めるという。
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実験でその特性も検証されている。
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このようなブレースを組み込んだ20階建ての建物モデルの地震応答解析から、ブレースが効き始める層間変形角が約0.01のときに、ブレースの側柱の軸力が大きく低減されることがわかったという。引張側のブレースしか効いていないから、柱軸力が減るのは当然なような気もするが・・・。なお、ブレースがあってもなくても層間変形角の応答最大値は0.01を超えたところにあり、解析結果をみる限り変形の低減効果はあまりなさそうだ。

こうした緩いブレースを付けることの効果がいまいち理解できていないものの、詳しくは下記の論文で。
Prevention of story drift amplification in a 20-story steel frame structure by tension-rod displacement–restraint bracing