日本

未来の年表

河合雅司著『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)を読んだ。
P1080655

国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2017年に約1億2653万人だったのが、50年後の2065年には約8808万人(2017年に比べ約70%)、100年後には約5060万人(約40%)になるという。さらに、200年後には、約1380万人(約10%)となる、そして300年後には約450万人になるという。これは今の福岡県の人口よりも少ない。

日本列島を1平方キロメートルごとに区切って人口の増減の見通しが国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」に示されている。これによれば現時点で人が住んでいる約18万地点のうち、2050念には63%で人口が半分以下になり、その3分の1にあたる19%の地点は誰も住んでいない無居住エリアとなる。
2050年までに無居住化する地点

本書の第一部では、日本の将来がどうなっていくかが年表形式で紹介されている。それを踏まえて第二部では10の処方箋が示されている。
(1)「高齢者」を削減
年齢区分を見直して75歳以上を高齢者と呼び、65歳から74歳を准高齢者として区分するという。これにより社会保障費を削減できるかもしれないものの、人口減少問題の本質的な解決にはならないだろう。
(2)24時間社会からの脱却
いまの便利すぎる社会からの脱却で、過剰サービスを見直すことで不要な労働を無くし、社会全体の労働時間を短くするという提案。確かに、少なくなる労働力をいかに効果的に配分するかという問題の解決につながるだろう。これには日本の消費者が不便さを受け入れてくれるかどうかにかかっている。
(3)非居住エリアを明確化
人が住む地域と、そうではない地域を明確化し、コンパクトで効率的な国につくりあげる。コンパクトシティを目指すということだが、土地所有の問題や故郷への郷愁といった問題を解決する必要があろう。

そのほか下記の処方箋があげられている(項目だけ掲載する)。
(4)都道府県を飛び地合併
(5)国際分業の徹底
(6)「匠の技」を活用
(7)国費学生制度で人材育成
(8)中高年の地方移住推進
(9)セカンド市民制度を創設
(10)第三子以降に1000万円給付


(1)〜(9)までの処方箋は人口減少にともなう社会の激変を少しでも緩和する方策であり、人口減少を食い止めるには出生数を増やしていくしかない。日本では未婚で出産する女性が少ないことを考えると、結婚支援が最も効果的となる。そのため真っ先に取り組むべきは、雇用を安定させ、出会いに恵まれない人のきっかけをつくることだろう。

そして第二子を増やすには長時間労働の改善が必要。第二子が生まれた世帯への優遇策(たとえば大学を卒業するまで所得税を下げるなど)も必要となる。さらに第三子以降を増やすには、経済的な負担を軽減する方策が求められる。それが、第三子以降に1000万円を給付するという提案となっている。

いずれにしても、安心して結婚がでてき、子どもを育てることができる社会を作っていくことが必要となる。そのためには、これからの日本社会がどのように変化していくのかを理解し、対策を考えていくことが必要だろう。

昔のお見合いのようなことをしてくれるお節介なオバちゃんも求められている、のかも・・・

米国流・免震構造の設計手法?

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日経アーキテクチュア『断層近くの病院守る! 米国流・免震構造の設計手法』という記事があった。
アメリカ大陸西岸ロサンゼルスから車で東へ1時間、人口2万人程度の小さな街、ロマリンダ市で、「ロマリンダ大学メディカル・センター・プロジェクト」が進行中だ。延べ面積9万7000平方メートル、地下2階・地上17階建て、病床数600床を超える巨大病院は、2014年の計画開始から3年の月日を経てようやく設計を終え、21年の開業を目指して現場に入ったばかりだ。

災害時にも機能維持が求められる病院プロジェクトでは、近年免震構造の採用が一般的である。最先端の医療技術の提供を目指す本病院でも、巨大地震への対策として免震構造が採用されている。筆者自身が関わったこのプロジェクトを例に、日米での免震構造の設計手法の違いを紹介したい。
(略)
まず、免震装置の違いがある。日本では天然ゴム系積層ゴムや鉛プラグ入り積層ゴムなど、ゴム系の免震装置が主流である。一方、米国では、振り子支承が入れ子構造となっているTFPと呼ばれる装置が主流である。このプロジェクトでも、126台ものTFPが使用されている。

TFPは、4面ある滑り面のうち内側の振り子支承の上下滑り面の摩擦係数だけが同一で、摩擦係数が3種類あることからTriple Friction Pendulum(TFP)と呼ばれる。
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TFPには次のようなメリットがある。
(1)周期が建物質量の影響を受けない
(2)免震層の偏心が生じにくい
(3)セルフ・センタリング機能がある
  <曲面の曲率によるけど、残留変形が残る可能性はある>
(4)フェイル・セーフ機能が免震装置自体に組み込まれている
(5)滑り面の半径が2種類あるため要求性能に応じた調整が可能

一方で、いくつかの問題点もある。
(1)上下面の平行度が高い精度で求められる(柱頭免震には不向き)
(2)スティック・スリップ現象(滑りに伴い摩擦係数が不連続に変化する現象) が見られる
  <フロアレスポンスへの影響はどうなのだろう?、上下加速度応答も気になる>
(3)1社しか製造会社が存在しない
(4)引き抜き抵抗能力がない
(5)実績がゴム支承ほど多くはない

コストはゴム系装置とほぼ同等であり、今後、日本での使用も期待される免震装置である。
<日本で使えるようにするには大臣認定が必要>

次に、設計用入力地震動における違いがある。
日本の法規では、再現期間約50年を想定した「稀に発生する地震」(レベル1、供用期間50年の間で起こる確率63.6%)、および再現期間約500年を想定した「極めて稀に発生する地震」(レベル2、供用期間50年の間で起こる確率10%)に対する検討が求められており、免震構造を採用した建物においても当然これらの地震を検討対象とする。

一方、米国の法規(ASCE7-10)では、免震層上部・免震層下部の構造体については、日本と同様、再現期間43年を想定したService Level Earthquake(SLE、レベル1)、および再現期間475年を想定したDesign Basis Earthquake(DBE、レベル2)に対する検討のみでOKとされているが、免震装置サイズおよび免震クリアランスの設定においては、再現期間2475年を想定したMaximum Considered Earthquake(MCE、レベル3、供用期間50年の間で起こる確率2%)に対する検討を要求している。このプロジェクトにおいても、免震装置および地下構造はMCEに対して設計を行った。

これは、免震構造を採用するくらい重要度の高い建物であれば、仮に50年間の供用期間で2%しか起こらない地震であっても、「想定外でした」で済ませてはいけない、という設計思想の表れでもあると言える。

設計用応答スペクトルの大小もあり、単純に日本で米国と同様のレベル3地震動を導入できないことは百も承知ではあるが、設計思想としてどこまでを自分の「想定内」にするのかは非常に重要であろう。 

3つ目に、解析手法においても大きな差がある。
(以下省略)

入力地震動や解析手法の違いは、これまでの日本と米国の構造技術の発展の違いなどを反映しているもので、どっちが優れているとかは言えない。たとえば、解析手法においては、串団子モデルとフル立体解析の違いとか、地震応答解析結果で、日本では最大応答を包絡するようにするが、米国では7種類の地震波で応答解析をすれば平均値を使っていい、などの違いがある。

ただ、入力地震動については、米国ではMCEレベル(50年で2%の発生確率)での検討が必要であるため、より大きな応答変形、クリアランスが求められる。これが米国において免震構造が流行らない理由の一つともれている。しかし、日本でも長周期地震動などの検討が求められるようになり、応答変形でいえば、レベル3に近づいている(あるいは超えている)のかもしれない。

免震装置については、日本では設計者の要求に応えて多様な装置が開発されている。そのため建物の用途や免震効果にあわせて最適な免震装置を組み合わせることができる。こうした免震装置の多様性は他国では見られない。

いずれにしても、どんな免震性能を持たせたいのか、免震構造の終局状態はどうなるのか。こうした点を設計者自身が検討をしていくことが必要なんじゃないだろうか。

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講義中・・・
著書など
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
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