日本住宅・木材技術センターの機関誌「住宅と木材」(1月号)で『東京五輪競技施設における木材利用に向けた取り組み』と題して特集されている。取り上げられている競技施設は、
・新国立競技場
・有明アリーナ
・有明体操競技場
となっている。
新国立競技場では、大屋根トラスへの木材利用や外周の庇への木材利用などが紹介されている。屋根トラスは約60mの跳ね出しの片持ちトラスで、トラスのせいを約3〜6mに抑えられている。そのため鉄骨を主要部材とし、それに木材を組み合わせている。
有明体操競技場は、五輪後は展示場として10年間は暫定利用されるものの、その後は解体撤去されるという。そこで、展示場としての機能転換、10年後の解体撤去の容易性が建設コストの低減化と同時に求められた。
この競技場の特徴は、スパン86mの大空間を木造のアーチ構造で実現したことだろう(スラストの処理のために鋼製のテンション材を併用した張弦梁としている)。アーチ主材には国産カラマツの大断面集成材を採用し、建方はリフトアップ工法を採用。設計にあたっては、木接合部の耐火実験や構造実験、施工実験を行い、安全性や施工性、接合部の力学性状の確認を行ったという。
木材には燃えるという宿命があるものの、その弱点を克服し、木材を構造体として活用していく手法が蓄積されていくことで、木材を活用する道が広がっていくのではないだろうか。