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夏休みで旅行にいく人たちも多いだろう。週刊東洋経済(7/28号)の特集は「ホテル爆増」
そのなかで元外資系証券会社のアナリストで、「新・観光立国論」の著書もあるデービッド・アトキンソン氏(小西美術工藝社・社長)のインタビュー記事があった。
――外国人の視点から見て、日本のホテルの課題は何でしょうか。
一番の問題は多様性がないことだ。安いホテルばかりができている。その原因はいくつかある。1つは発想自体が貧乏くさい。戦後の爆発的な人口増加の中で培われた「いいものを安く」という考え方がはびこっている。

もう1つは調査・分析能力に欠けている。今は中国人や韓国人など、観光にかける予算が少ないけど日本にたくさん来ている人に対応しているだけ。現状分析ではなく、日本に来ていない人がなぜ来ないのか、市場がどの程度大きくて、どこまで伸びる可能性があるのかといった潜在市場を調査・分析し、誘致する手を打っていない。大量生産的な発想で造られた低価格・低次元の昭和の観光インフラを使い続けるなら、日本の観光戦略は危ない。

多様性という意味では、日本には5つ星ホテルが足りない。日本よりも観光収入が多いタイには111あるが(出所:Five Star Alliance)、日本は30だ。5つ星ホテルの数とその国の観光収入の相関性は非常に高い。1人何万円もする寿司屋に行く客は、安いホテルには泊まらない。日本は富裕層におカネを使う機会を提供していないということだ。観光産業を充実させるには、所得別にふさわしいホテルが必要になる。

こういう話をすると、「価値観や文化が違う」「そういう人たちは日本に来ていない」といった現状を正当化する反論が出てきて疲れる(苦笑)。富裕層に対応するホテルがないのだから、来ないのは当然だ。外資系の高級ホテルが日本に参入して、需要を喚起した事実もある。戦略的に仮設を立てて実行する日本の経営者が少ない。

――5つ星ホテルが増えると、日本のホテル産業はどう変わりますか
5つ星は客の要求水準が最も高い。その要求に応えるホテルを開発し、磨き上げていく中で、さまざまな商品やサービスが生まれ、価格も多様化し、観光産業全体の底上げにつながる。価格の安いところを追求しても、デフレに陥るだけだ。

ただし、日本にある5つ星のほとんどは世界基準に達していない。外資系でも看板やマニュアルがそうであるだけで、中身は日本企業が経営している。部屋の広さや施設の豪華さといった、ハード面が充実したホテルが5つ星だと思っている国内のホテル経営者が大半だが、それは本来3つ星の定義だ。

5つ星と3つ星の違いはソフト面、つまり顧客の要望に臨機応変に対応できるか、にある。ところが、国内の経営者は、外資系ホテルのオペレーションにわざと合わせていない部分がある。外国人の宿泊客からは、ホテル館内の直接的なサービス以外は頼んでも拒否される、値段が高いだけで中級ホテルと変わらない、という不満が多い。それは顧客の要望に徹底的に対応しようとすると利益率が低下するからだ。国内ではほかに選択肢がないから、それが成り立ってしまっている。

日本のホテルは稼働率が高すぎる。海外の5つ星ホテルや有名ホテルは稼働率が6割強でいいと言われているが、日本のホテルは8割で運営している。スタッフが常に作業に追われいるため、臨機応変な対応ができない。それならもっと価格を上げて、稼働率を下げればいい。

5つ星ホテルになんか泊まれないので、その価値というものはわからない。ただ、東京出張のときに宿泊するホテルの値段が最近高くなっていると感じる。海外からの観光客が増えているためか、東京オリンピックを控えているからなのか、理由は定かではないものの、出張する立場からいえば少々困る。

ホテルの部屋、ベッド、バスルームの広さ、エアコンの効き具合などによって、ただ寝るだけの空間であったとしても、一日の疲れを癒やす効果はずいぶん違う(と思う)。

できるなら、ある程度の質のホテルがリーズナブルな価格で提供されることを願いたい。
3つ星でも十分なので・・・