清水建設

地震の規模別にビルの揺れ抑制

日経新聞(11/6付け)に『地震の規模別にビルの揺れ抑制』という記事があった。
清水建設は地震の大きさによって減衰力が切り替わってビルの揺れを抑える装置を開発した。シリンダーとピストンを組み合わせた装置で、巨大地震でも通常の規模でも揺れを抑えられる。現在の免震装置は巨大地震だとビルの地下部分が地盤側の壁と衝突する恐れがあった。新築と改修のいずれにも対応できる。8月に横浜市で着工したビルに設置する予定だ。

免震構造の建物では、地震時に建物が大きくゆっくりと動くため、地盤側の壁と建物の間に隙間を設けている。建築基準法などで定められた地震では壁と衝突しないよう設計されているが、想定を超すと、壁と建物が衝突する場合がある。

免震・制震装置大手のカヤバシステムマシナリーと開発した。装置は地震でビルにかかる力を往復するピストンと油の粘りによって揺れを吸収する。ピストンには穴が開いている。

揺れが大きくなると、往復の振れ幅が大きくなって穴をふさぐような構造になっている。このため、巨大地震時には油の抵抗力が増して揺れが小さくなる。センサーなどが不要なため保守などの手間が少なくて済むという。

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↑の写真は、大成建設の免震用切替型オイルダンパーでカヤバシステムマシナリーとの共同開発。

免震層の速度や変位の大きさに応じて減衰力を可変にすることができれば、地震動の大きさに応じてよりよい応答特性を得ることができる。いま、こうした機能をもつダンパーの開発は盛んである。

巨大地震を想定して免震層に多くのダンパーを設置していると(減衰性能を高くする)、巨大地震よりも頻度が高く発生する地震動に対しては、免震効果が十分発揮できないことになる。車でいえばブレーキが効きすぎている状態。かといってブレーキの効きが悪いと巨大地震がきたときに免震建物が擁壁に衝突するような状態にいたる可能性もある。(衝突しても問題ないかもしれないが)

衝突しても上部構造に十分な強さ(耐力)があれば構造体に大きな損傷を抑制できるのではないかと思われる。可変減衰ダンパーなどのように免震技術を高度化することも一つの方向であるが、万が一のこと(終局状態)を考えて免震建物全体としてどういう設計をするのか、どういう限界状態を想定するのについて考えておくことも必要だろう。

ダンパーでなでなく、積層ゴムのようなアイソレータにも、変形性能をより高めるなどの高度化を求めたいところだ。建物の重量を支持しながらというのは非常に困難な課題であるというのはわかってはいるが・・・

世界初の水平スライドクレーン

建設通信新聞(8/28付け)に『世界初の水平スライドクレーン 次世代型建築生産の一翼』という記事があった。
清水建設が次世代型生産システム「Shimz Smart Site(シミズスマートサイト)」の一翼を担う新型建機として開発した、世界初の水平スライドクレーン「Exter(エクスター)」の1・2号機が完成した。24日、製造した広島県呉市のIHI運搬機械安浦工場内で実機を公開し、デモンストレーションを実施した。
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Exterは、水平方向に伸縮するブームにより作業半径を自由に調整できる。ブームは3体に分割され、クレーンの根本に位置する最大外寸のブームは固定式で、その中に中間と先端のブーム2本を納める構造になっている。従来のブーム起伏式のタワークレーンに比べ、ブーム先端の最高到達点を20〜25m低くすることができ、全天候カバー内でも効率よく稼働できる。主な仕様は、作業半径3〜25m、定格荷重12t、揚程200m。

シミズスマートサイトは、AI(人工知能)を搭載したロボットとBIMが連携した次世代型建築生産システム。BIMを核とする情報化施工により、最先端技術を搭載した自立型ロボットと人がコラボレーションし、建築現場の生産性向上に取り組む。

実機デモには、坂本眞一生産技術本部副本部長、水島敏文同本部機械技術部長ら関係者が出席、1・2号機の完成を報告するとともに、概要を説明した。デモではブームの伸縮や、フック巻き上げなどを披露した。坂本副本部長は、来年早々にも関西エリアで同システム全体を適用した高層ビル新築の工事に着手することを踏まえ「新築のみならず、解体工事の需要にも積極的に対応していきたい」と意欲を示した。

「現場を工場のように」を目指した全天候自動施工システムのためには、こうしたクレーンも必要なんだろう。
ところで、日本の建設現場で使われているタワークレーンは、下のような形式がほとんどだと思う。
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一方、海外では、下図のような形式のクレーンをよく目にする。
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それぞれ一長一短あるのかもしれないが、日本で上の写真のようなクレーンが多用されている理由は何だろうか。清水建設が開発したクレーンは、どちらかといえば、海外のクレーンに似ている。

ところで、大林組では、「解決!!タワークレーンの謎」という特設サイトで、仕組みや解体方法、塗装色にも決まりがあるといった雑学などがわかりやすく紹介されている。タワークレーンの支柱(マスト)の色は、建設会社によってそれぞれ違う色になっていることを知った。知らなかった。ちなみに大林組は「パッションオレンジ色」らしい。

次世代型建築生産システム

建設通信新聞(7/13付け)に『ロボットとBIM連携/清水建設「シミズスマートサイト」』という記事があった。
清水建設は、AI(人工知能)を搭載したロボットとBIMが連携した次世代型建築生産システム「Shimz Smart Site(シミズスマートサイト)」を開発した。BIMを核とした情報化施工で自律型ロボットと人間が協力し、建築工事現場の生産性向上、苦渋・反復作業の軽減、検査・管理業務の効率化を図る。揚重・搬送など3作業で7割以上の省人化が試算されている。
スマートサイト

同社では1980年代から自動施工の研究を開始し、90年代には「現場を工場のように」を目指した全天候自動施工システムを開発した。ただ、当時は機械の使用、維持、保管の手間が課題となり、全国的な展開には結びつかなかった。今回のシステムでは機械を「仲間(Buddy)」と位置付け、「自分で考え、働き、感覚と知恵を持つロボット」を開発の目標に掲げた。

シミズスマートサイトはブームを伸縮して作業半径を調整する水平スライドクレーン「Exter」、溶接トーチを操る柱溶接ロボット「Robo−Welder」、天井や床材を2本の腕で施工する多能工ロボット「Robo−Buddy」、水平・垂直搬送ロボット「Robo−Carrier」で構成する。各ロボットは「職長」にあたる統合管理システムの作業指示に基いて現場を移動し、自分と対象物の位置やBIM情報などを認識して自律的に稼働する。

同システムを30階建て、基準床面積3000屬旅眩悒咼襪謀用した場合、省人化の効果は揚重・搬送作業で75%(2700人工)、天井・床施工で78%(2100人工)、柱溶接作業で79%(1150人工)の削減を見込み、2−3現場の転用で減価償却できる。

既に同システムを構成するロボット・建機の適用現場も決定しており、来年早々には関西で同システム全体を適用した高層ビル建設工事に着手する。適用現場では、基礎工事終了後に建物全体を全天候軽量屋根「全天候カバー」で覆い、内部に設置したExterが鉄骨の柱・梁を吊り込む。Robo−Welderが柱を溶接して躯体工事を進め、下層階からはRobo−Buddyが最終工程の天井・床を仕上げていくほか、搬入した資材はRobo−Carrierを核とする水平・垂直搬送ロボットが夜間に作業階へ搬送・仮置きする。

2019年まで実証を続け、同年後半からの本格的な展開を目指す。印藤正裕常務執行役員生産技術本部長は「i−Constructionは土木が主体だが、(本システムは)建築の世界でもそうした生産性向上に取り組むための挑戦だ」と開発の狙いを語った。

いよいよ建設現場にも本格的なロボットの導入となるのだろうか。人手不足や長時間労働の解消にもつながるだろうか。ずいぶん前に、機械工学の教授が、本学の校舎建設現場を見て言った言葉が忘れられない。
『建築工事って、前近代的やね〜』
人手による作業が大半だということを見ての指摘だと思われるが、いよいよこうした意見に反論ができるようになる、かな。。。

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講義中・・・
著書など
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
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