熊本地震

熊本地震から1年半

日経新聞(10/14付け)に『建物公費解体、9割完了 なお4万5千人仮住まい』という記事があった。
熊本県は13日、熊本地震で全半壊し、熊本県内で公費解体の申請があった建物約3万6千棟のうち、9割近くの約3万1千棟が完了したと発表した。解体から生じるがれきなどの災害廃棄物も8割以上処理した。最初の激震から14日で1年半。約4万5千人が仮設住宅などでの仮住まいを余儀なくされる一方、町の再生に向けた動きは進む。

県によると、9月末時点で公費解体の進捗率は約87%で、27市町村のうち上天草市や山都町など6市町で全て完了。ただ申請数の4割近くを占める熊本市の進捗率は77%と低く、3千棟以上の解体を残す。県の担当者は「業者不足で住まい再建が遅れ、被災した住宅を解体できない人も多い」と説明。来年3月には27市町村全てが完了する見通しだ。

廃棄物処理は今年8月末時点で推計量約289万トンのうち、84%の約243万トンの処理を終えた。コンクリートを砕いて道路整備に利用するなどのリサイクル利用が全体の7割以上を占めた。

一方、仮設住宅約4300戸のうち7月末までに退去したのは1割弱の約千人にとどまり、政府は原則2年の仮設の入居期限を1年延長すると決めた。県は仮設住宅やみなし仮設住宅の入居者を対象に、民間賃貸住宅に移った場合は初期費用として1世帯当たり一律20万円助成するなどの支援事業を始め、住まい再建を後押しする。

熊本城の天守閣の復旧工事は進んでいて、大天守の新しい屋根が見えており、復旧は進んでいるという印象をうける。
熊本城

東日本大震災の被災地(岩手、宮城、福島の3県)でも、まだ19000人以上が仮設住宅などで暮らしている。熊本地震での仮設住宅もこのまま使い続けていくようだ。こうなると現実的には「仮設」という言葉が意味をなさなくなってきている。災害復興をどのようにすすめていくのか、大きな課題だ。

日本建築学会九州支部の災害委員会では、熊本地震の復興・復旧の現状や取り組みなどをテーマに災害フォーラムをチラシのとおり開催することにしている。開催日は12月15日(金)で、会場は熊本大学百周年記念館。参加費は無料なので、多くの方に参加いただければと思う。
171215災害フォーラムin熊本


熊本地震観測データ捏造?

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「熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について」(9/28)で紹介したことが、日経コンストラクション『熊本地震データ捏造、近隣観測点の波形を流用か』という記事となっている。

この記事の最後に、データを捏造した理由として、地震計測がうまくできなかったこと、研究成果へのプレッシャーがあったのではないかとしている。
理由の1つとして、益城町内の3カ所に設けた地震計が、本震の強い揺れを正しく計測できていなかったことが考えられる。秦准教授は当初、余震観測を目的として地震計を設置していたからだ。

秦准教授が各地点に設置したのは、「JU210」と呼ぶ一体型微動探査兼地震計だ。地震計のセンサーを南北方向と東西方向に合わせたうえ、地表面にアンカーなどで固定しなければならない。もし固定が不十分だったり、地震計の設定を誤ったりしていれば、正しい観測データを得られない。

もう1つ考えられるのが、補助金が投入された研究に相応の成果を出さなければならないというプレッシャーだ。半面、研究で優れた成果が得られれば、今後の研究資金も獲得しやすくなる。

益城町の観測データを使った秦准教授らの研究には、文部科学省と日本学術振興会が交付する科学研究費補助金を一部に充てていたもようだ。「超高密度地震観測に基づく宅地造成斜面におけるダイナミック地すべり挙動の広域的評価」という秦准教授を代表者とする若手研究者の研究に対して、15〜17年度の3年間にわたり計1742万円の補助金が交付されている。

論文の共著者が見抜けなかった不自然な観測データが、匿名の通報者の指摘によって明らかになった今回の疑惑。地震研究の信頼性を確保するためにも、1日も早い真相の究明が待たれる。

もしデータを捏造したのだとすれば、その動機はなんだったのか。設置した地震計で熊本地震の本震は観測できたのだが、何かの設定ミスなどで地震記録が不完全だった。そのため近隣の観測データの情報に基づいて、不完全なデータを補完した、なんてことは考えられるかも。でもこれはやってはいけないことだ。

最近では研究者による論文の不正やデータの改ざんなども指摘され報道もされている。研究者としての倫理観はどこにいってしまったのか。研究成果を出さなければならないというプレッシャーなのだろうか・・・

熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について

土木学会の地震工学委員会のWEBサイト『熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について』というお知らせが27日に掲載された。

熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について、匿名の方から地震工学委員長宛に情報提供があった。大変重要な内容と認識すると共に、この情報を深刻に受け止め、公的な対応を検討中である、という。

熊本地震における臨時観測点は下図に示すとおり(論文では、M-1,M-2,S-3ではなく、TMP1,TMP2,TMP3と呼称されている)。この観測点で得られた記録は、アメリカ地震学会で公表された(こちらのエントリー参照)。
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下図は地震工学委員会で公開されたものの一つで、KMMH16(KiK-net益城)と臨時観測点TMP3(上の図のS-3)のフーリエスペクトル(上段の図)、およびフーリエスペクトルの比率(下段の左)と位相差(下段の右)を示している。
TMP1とKMMH16のスペクトル
フーリエスペクトル比と位相差は、KMMH16と比べられている。いずれもNS成分(赤線)とEW成分(青線)が描かれているが、スペクトル比はNS方向とEW方向がほぼ完全に一致し、位相差もない。これはTMP1とTMP2でも同じ結果である。

「かなり大きなレベルの地震動が対象であり、表層地盤はそれなりに非線形化していることを想定すると、各地点の方向別に相関分析をした結果が一致するというのは、極めて特徴的と考えられる」としている。かなり不自然な観測記録ということか。

この臨時観測点で得られた記録を使った分析や研究が進められており、検討結果が早急に公表されることを望みたい。

熊本地震で観測された長周期地震動

2016年の熊本地震において、西原村役場で観測された地震動は「長周期パルス」だったといわれている。しかし、そもそも「長周期パルス」って何なんだろうか。NHKでも取り上げられので、いつのまにか「長周期パルス」という言葉が一般に使われるようになるかもしれない。長周期地震動がそうだったように。地震学で「長周期」といえば、もっと長い周期帯を指す言葉だったはずだったが。科学がメディアに負けている・・・

下の図は、熊本地震の本震で観測された地震動から求めた加速度応答値(減衰5%)で、周期2秒から5秒の周期帯における平均応答をコンター図で示している。これは九州大学の研究者により作成されたものだ。
熊本地震_長周期パルス

多くの住宅が被害を受けた益城町は周期1秒から2秒が最も卓越していたのに比べ、西原村や阿蘇の一の宮付近で長周期成分が卓越していることがわかる。

以下の図は、益城町役場、西原村役場、K−NET一の宮での観測記録の波形(加速度・速度)とEW成分を使った応答スペクトル(減衰5%〜30%)である。
益城町西原村一の宮

西原村役場の速度応答スペクトルをみると周期2秒以降でも高い値を維持している。その結果、変位応答スペクトルでは周期が長くなるほど大きな変形を示している。こうした応答となった要因は、速度波形にある大速度を示してる周期3秒のパルス(?)だと思われる。一の宮は短周期成分がそぎ落とされ、周期3秒が卓越している。一の宮の加速度波形は25秒以降で周期が長くなっていようにみえる。速度波形をみるとほぼ周期3秒で正弦波に近い。

なぜ、こうした地震動が観測されたのだろうか。益城町も西原村も断層上にあるが、これほど違いがでた要因はなんだろう。国土地理院の調査では西原村は約2m沈降している。こうした断層運動が西原村の観測記録に影響を与えたのだろうか。一の宮の記録も断層運動が影響しているのだろうか。

しかし、K−NET一の宮から3kmほど離れたところにある免震病院では最大変形が46cmだった。一の宮で観測された地震動をこの建物に入力しただけでは、応答は説明できない。そうなるとこの建物の入力地震動は違う可能性もある。しかし、地震の長周期成分はあまり減衰しないはず。そうなると深い地盤構造も影響しているのかもしれない。

熊本の地質は、阿蘇山の噴火による火山灰などの堆積物が多い。地表面で大きな地盤変位が現れたり、周期3秒が卓越したのは、地質の影響はないのだろうか。こうした面からの検証も必要だと思われる。
熊本の地質図


第12回日中建築構造技術交流会に参加

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日中建築構造技術交流会は約25年前に始まり、2年ごとに開催されている。今年は、神戸大学で、16日と17日にの2日間開催された。ただ2日目は台風の影響も考慮して、早めに切り上げることになっ。参加者は、中国から117名で、研究発表と活発な議論が繰り広げられた。ちなみに日本側の参加者は107名。次は2019年の9月に中国の蘭州で開催予定。

僕は、昨年の熊本地震での建物被害と免震建物の応答について発表した。免震建物はその性能を十分に発揮し、建物被害はなかった。また、免震建物の所有者や居住者から、免震で良かったといった声が多く聞かれた。

ただ、熊本地震では長周期成分をもった地震動が観測されている。
熊本地震_長周期パルス

こうした長周期の地震動が発生したメカニズムについてはさらに詳しく検証していくことが必要だろう。熊本地震では断層亀裂が地表に現れ、地殻変動が起きたために長周期成分が生み出されたのではないか、とも言われているそうだ。地殻変動が3秒程度で起きた(未確認です)ために、周期3秒が卓越した地震動が生成されたのだろうか・・・

長周期パルスの衝撃?

昨晩放送されたNHKのメガクライシス『長周期パルスの衝撃』を見ました。
期待どおりの内容でしたね。
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https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/09/0901.html

この番組を見てて、次のような疑問が浮かびました。
  • 内陸の活断層地震では、長周期パルスが必ず発生するの?
  • これまでの活断層地震でも長周期パルスが発生していたの? 観測されなかっただけ?
  • そもそも長周期パルスって何?定義はされているの?
番組では、2016年熊本地震の西原村役場での地震計で観測された地震記録が紹介されていました。それは大きな記録で長周期構造物に大きな応答をもたらす記録だったからでしょうが、他の地点での記録はどうなっていたのでしょうか? 西原村役場で観測された地震記録だけを見て、活断層地震では長周期パルスが発生するといえるのでしょうか?

私の不勉強のためかもしれませんが、内陸の活断層地震で長周期パルスが出るということは聞いたことがありませんでした。長周期パルスは3秒が卓越するのでしょうか。もしそうだとすれば、長周期構造物の設計において周期3秒を避ければいいだけです。長周期パルスの成因について地震動や地盤震動の専門家の先生のご意見をお聞きしたいところです。

新宿の○学院大学の校舎に西原村での地震記録が入力されたときには、とても大きな被害が出ると紹介されていましたが、新宿で長周期パルスって起きるんでしょうか? そもそもそれを起こす活断層はどこに?

熊本地震のときに熊本大学の免震病院での応答変形についても紹介されていました。応答変形が40cmとなっていて、もう少し地震が大きかったら擁壁に衝突していたかもしれないという。しかし、熊本市内にある建物に長周期パルスの影響はあったのでしょうか? 

そもそも1995年の阪神淡路大震災で、短周期パルス(キラーパルス)が観測され、断層破壊の方向(ディレクティビティ)が影響したことが要因であると説明されています。では熊本地震の断層破壊の方向はどうなっていたのでしょうか?

分からないことがまだまだあります。阿蘇にある免震病院では最大変形46cmを記録しました。この病院の東3.5kmにある地震観測点では長周期成分(周期3秒が卓越)が観測されていました。この地震動が免震病院に入力されたとすると応答変形は1.5m弱となり実応答とはまったく違ってきます。こうした現象も解明していかないと、長周期パルスがどのように発生し、その影響がどういう範囲に及ぶのかは分からないのではないでしょうか。

Eディフェンスで空気圧を使った免震装置(?)の実験が紹介され、これを使えば街全体を免震化できるらしいです。空気圧でどの程度の高さの建物を支えることができるのでしょうか? 確かに戸建て住宅では空気圧で免震化されているものもあるようです。また空気圧によって上下免震実現した3階建て建物もあります。3階建てとなっているのは、使える空気圧が法的に制約されているからと聞いています。より高い空気圧を用いれば高い建物も免震化できるかもしれません。
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1気圧は平方メートル当たり約10トンに相当します。基礎面全体に1気圧の空気を瞬時に送ることができれば10階建てくらいの建物を浮かせることができるかもしれません。では4気圧なら40階建てくらいはできる? でもそうした設備を常に備えておくのって大変かも。

番組の最後に「見たくないモノを見る必要がある」と言われてましたが、そのためには情報を正しく伝えることが必要なんじゃないでしょうか。

活断層探る宇宙の「目」

朝日新聞(8/10付け)に『活断層探る宇宙の「目」』という記事があった。
地殻変動を捉える「目」として注目されているのは、宇宙航空研究開発機構の地球観測衛星「だいち2号」に搭載されている「合成開口レーダー」だ。衛星からマイクロ波を照射し、地球からの反射波を受信して距離の変化をつかむ。その解像度は3メートルで、先代の「だいち」の10メートルから大幅に上がった。軌道の安定性が向上し、数十メートルにわたって生じた地表の変化なら、わずか数センチの上下変動も検出可能。地上での調査では見逃されがちな変化を、上空から把握できる。

昨年4月の熊本地震では、その解析力がフルに発揮された。
熊本地震は、日奈久断層帯と布田川断層帯で起こった。しかし、その周辺で、200以上の小さな断層が動いていたことが、国土地理院による解析でわかった。

典型的な長さは数キロ程度で、地表のずれは数センチから数十センチ。活断層に誘発されて動く「おつきあい断層」だ。布田川断層帯から離れた場所にも多数見つかったことに、専門家は驚いた。活断層に伴う地殻変動は、これまで考えられていたよりずっと複雑なことが浮き彫りになった。
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東北大の福島洋准教授は、合成開口レーダーのデータを使い、昨年12月28日に茨城県北部で起きたマグニチュード(M)6.3の地震について解析した。その結果もまた、活断層の常識を覆すものだった。

この地震は、2011年3月19日の地震(M6.1)と同じ断層の活動により発生したことが判明した。M6の規模の地震は、通常なら数百年以上の間隔をおいて起きるというのが従来の常識だった。だが、東日本大震災を起こした東北地方太平洋沖地震(M9.0)の影響でこの地域の地殻の状況が変わり、急速にひずみがたまったため、わずか5年9カ月後にM6級の地震が再び起きた。

これまで、活断層では「同じ規模の地震が、ひずみをためきる周期で繰り返し発生する」と考えられてきた。しかし、空からの詳細な観測によって、規模や周期は固定的ではない可能性が示された。

熊本地震や茨城北部で起きた地震のように、人工衛星のデータを解析することで活断層のふるまいについて新たな知見が得られてきた。東北大の遠田晋次教授は「数万年に1回、1メートル動くと考えられてきた断層も、実は数千年に1回、10センチずつ動いてきたのかもしれない」と話す。活断層の規模や地震の頻度についての考え方は今後、見直しを迫られることになりそうだ。

こうした最新の技術を使った地震がどのように発生したのかが理解できるようになってくることで、将来の地震の規模やメカニズムの解明に役立つことを期待したい。一方で、「1498年の日向灘地震はなかった?」とする調査結果が東大地震研が発表したという記事もあった(朝日新聞8/19付け)。
マグニチュード7〜7.5の日向灘地震があったという説は、江戸時代の読み物「九州軍記」に描かれた地震被害に基づいて1987年に提唱された。九州で山崩れ、地面が裂けるなどの現象がおき、民家は全て壊れ死傷者多数とされた。

軍記は1601年に書かれ、別の人が修正を加えて1607年に完成。地震後100年以上経ってから、できていた。被害地域の名や人的な被害数などの具体的記述がないうえ、同じ時刻に地震が起きたという記録は、ほかの史料には見当たらないことがわかった。

源平盛衰記を参考に「創作」した可能性が高く、史実としての信頼性はきわめて低いと考えられるという。原田さん(地震研特任助教)「信頼性のある史料が新たに発見されない限り、地震の年表などからは削除した方がよい」と話している。

地震現象の解明には、最新の技術と、過去の史料、この両方をうまく活用していかないと、いけない。しかし、いままで当然と思われたいた過去の地震被害の証拠となる史料の再検証も必要ということか。

免震層の「けがき板」を分析したい

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昨年の熊本地震のとき、阿蘇にあった免震病院では、最大変形46cmを記録した(上の写真)。免震層の動きを記録した「けがき板」には動いた軌跡が残されている。この軌跡から免震層がどの程度変形したかが確認できる。

しかし、どの方向に、どのくらいの時間をかけて動いたかは分からない。免震建物の時刻歴応答解析などを参考にある程度推定はできるものの、「けがき板」に残された軌跡(溝)の形状や深さなどから追加の情報が得られないかと考えている。

このためには、軌跡(溝)を拡大し、形状を分析する必要がある。そのための装置としてデジタルマイクロスコープというのが使えそうだ。下の画像はデモをしてもらったときのもので、溝が鮮明に映像化され、さらに断面形状まで自動で計測してくれる。
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この装置があれば、「けがき板」からさらに情報を引き出せそうだ。
ただ、この装置の価格は数百万円(!)もして、とても買えない。免震建物の応答特性を解明するためにも、この「けがき板」から情報をもっと引き出したい。どこかの研究機関や大学にはデジタルマイクロスコープがあるはず。協力してもらえるところはないだろうか・・・

SNSの情報で避難ためらう

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日経新聞(7/24付けの夕刊)に『SNSの情報で避難ためらう 熊本地震 住民に調査』という記事があった。
震度7を記録した昨年4月の熊本地震の際に、インターネットの会員制交流サイト(SNS)で情報を得た人は避難を思いとどまる傾向にあったことが、被災地住民への文部科学省の調査で24日分かった。一方で、近所の人に声を掛けられたことは避難行動を後押ししていた。

九州北部の豪雨の際にも、被害状況の報告や救助要請などにSNSが使われて注目が集まった。うまく活用すれば災害時に役に立つこともあるが、発信者や根拠が不明な情報が流れることもあり、扱いに注意が必要だ。

調査結果を分析した甲南女子大の大友章司准教授(社会心理学)は「SNS情報が避難を促すだろうと思っていたが逆だった。『避難しなくても大丈夫』という気持ちを後押しする情報に目がいってしまったのではないか」と指摘。「近所の人とのつながりが、避難をためらいがちな人の背中を押すのに重要なことが再認識できた」と話している。

調査では、どのような理由で避難行動を取ったかを尋ねた。昨年4月14日の熊本地震の前震後に避難した人は、避難しなかった人とほぼ同数。回答を統計的に分析すると、「SNSで情報を得たから」との理由が、避難を思いとどまらせる大きな要因になっていた。SNSで情報を得た人は、SNSを使わなかった人より避難を思いとどまる傾向が強かった。

逆に避難を促したのは「建物の安全性に不安があったから」「余震が怖かったから」との理由。「近所の人に言われたから」との理由も避難を後押ししていた。近所の声掛けは、16日の本震でも避難を強く促していた。

調査は昨年11〜12月、熊本県内14市町村の18歳以上の7千人にアンケートを送付。3千人余りが回答した。

災害時、SNSによる情報発信によって支援や救助を求め、それが有効に機能したこともある。一方でデマやウソの情報が拡散されるケースもみられる。情報の信頼性をみずから確認できるようにならないといけないのだろうが、そこまでは至っていないのが現状かもしれない。

誰かに声をかけてもらうためには、地域のコミュニティがちゃんとしていないといけないし、災害弱者がどこにいるかを把握しておくことも必要だろう。ただ、SNSを使うためには、スマホやパソコンなどが必要であり、充電できる環境を整えておくことも求められる。技術の進歩によってバッテリーの寿命がもっと延びることも必要かも。
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「6強で倒壊」なお257棟

日経新聞(7/8付け)に『「6強で倒壊」なお257棟 公立校耐震化率、98%台』という記事があった。
文部科学省は7日、全国の公立学校の耐震状況について調査結果を発表した。小中学校の校舎や体育館のうち、震度6強で倒壊する危険性が高い建物が257棟あった。これらを含む「耐震性がない建物」は1399棟あり、耐震化の進捗率は前年比0.7ポイント増の98.8%となった。

福島第1原子力発電所事故の影響が大きい福島県の7町村を除き、全国の公立小中学校の11万6671棟を4月1日時点で調査した。

耐震性がない1399棟の内訳は、震度6強の地震で倒壊の危険性が高い建物が257棟、倒壊の危険性がある建物744棟、診断をしていない建物が398棟。いずれも前年度の調査から3〜4割減少した。自治体などで、全学校の耐震化を終えた割合は87%だった。

国は2015年度までに、すべての公立学校を耐震化するとの目標を掲げていた。同省によると、統廃合を控えていたり、財政的な問題から工事できなかったりするケースがあるという。文科省は近く、耐震化を終えていない教育委員会に早期の対策を促す通知を出す方針。

熊本地震により文教施設518棟の被災度判定がなされている。その報告書から被害概要を抜粋する。P1080594
調査対象の多くが新耐震(1982年以降建設)であるか、あるいは旧耐震であっても、耐震診断・補強により新耐震相当の耐震性が確保されていたものであった。これらの学校施設においては、倒壊や崩壊といった大きな被害は発生していない。

一方、鉄筋コンクリート造建物で耐震化が未完了であった学校施設においては、柱のせん断破壊や軸崩壊など、構造体に甚大な被害が生じたものもあった。また、校舎の非構造部材については全体としては軽微な被害のものが多かったが、最上階のホール天井の脱落など、一部では大きな被害もあった。

鉄骨造建物(主に屋内運動場)においては、鉛直ブレースの破断や柱脚・定着部の破壊など、構造部材の破壊により大破や中破と判定されたものがあった。また、内外壁や天井、窓ガラスの落下や破損の被害も見られ、一部には大規模脱落したものもあった。

熊本地震では新耐震の有効性が確認され、耐震改修の効果があったと思われる。しかし、一部では大破や中破と判断される被害も出ており、こうした被害を減らしていくことが今度も求められる。倒壊を防ぐというだけでなく、損傷を抑制するといった損傷制御の考えも重要となるのではないだろうか。

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講義中・・・
著書など
『耐震・制震・免震が一番わかる』
共著ですが、このような本を技術評論社から出しました。数式などを使わずに耐震構造、制震構造、免震構造のことを、できるだけわかりやすく解説しています。
『免震構造−部材の基本から設計・施工まで−』
免震構造協会の委員会活動の成果として、このような本をオーム社から出しました。免震構造の基本をしっかり学べるような内容となっています。
『4秒免震への道−免震構造設計マニュアル−』
いまでは少し内容が古いかもしれませんが、免震構造の基本的な考えを述べています。初版は1997年に理工図書から出ていて、2007年に改訂版を出しました。
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